「ワーキングホリデー」という言葉も今ではポピュラーなものになりつつありますが、その実態はあまり知られておらず、「海外でただ遊んでいるだけなんじゃないの?」と思っている人も少なくありません。
ワーキングホリデーにデメリットがあるとすれば、海外で「学ぶ」「働く」「生活する」という自由度が高い制度であるぶん、目的や過ごし方次第では、満足な体験や成果が得られないということ。
ですがその一方で、うまく活用できれば留学よりも低費用で海外生活ができる、魅力的な制度でもあります。今回は、ワーキングホリデーの概要と、良かった点や反省点などを含めた体験談から成功へのポイントを探ります。
1. ワーキングホリデーって?成功させるには◯◯を明確に!
ワーキングホリデー(ワーホリ)とは、日本と協定を結んだ国に一定期間(1〜2年)滞在することができ、その間の滞在費を補うための就労を認めた制度です。現時点(2016年2月)で、日本とワーキングホリデー協定を結んでいる国々は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、イギリス、アイルランド、ポルトガル、フランス、ノルウェー、デンマーク、ポーランド、ドイツ、韓国、台湾、香港の計14カ国。ワーキングホリデーと聞くと英語圏のイメージが強いですが、意外にもヨーロッパやアジアの国々とも多数提携しています。
● ワーキングホリデーで何ができるのか
ワーホリビザは、提携国で就労、就学、観光をすることを許された特別なビザです。つまり、期間内であればどこに住んでもよし、仕事をしてもよし、学校に行くのもよし、旅行してもよし、というとても自由度が高いビザなのです。制度上、「働く」ことを主たる目的とすることはできませんが、海外でアルバイトができるビザは珍しく、「費用がかかるから…」と留学を諦めていた人には特におすすめです。
18歳〜30歳という年齢制限や、滞在できる年数など、国ごとに少しずつビザの条件は異なるので、詳しくは『日本ワーキング・ホリデー協会』のHP(http://www.jawhm.or.jp/)をご覧ください。
● 目的を明確にしておくことが何よりも大事
そんな自由度が高く、参加条件に英語力の基準もない魅力的なワーホリ制度ですが、その自由さゆえ、しっかりと目的を持っておかないと、帰国後に「ただ海外で遊んでいただけ」という残念な事態に陥りかねません。
特にオーストラリアやカナダなどの都市部に行くと日本人がたくさんいて、最悪「日本語さえ話せれば生活が成り立ってしまう」という現実があります。現地にいる日本人ともうまく付き合いながら、第一の目的であろう言語習得を達成したいなら、やはり明確な目標設定をしておくことが大切です。
帰国後にTOEIC800点を取る、将来海外で働くためのビジネス英語を身につける、児童英語教育の資格を取得する、イベントやボランティアに積極的に参加して内気な性格を変える、など目的は人によってさまざまですが、未来の自分の姿をイメージしやすいよう、具体的な目標設定をすることがワーホリ成功へのカギとなるでしょう。
2. 体験者に聞いた!ワーキングホリデーで得たものと反省点
ここからは実際にワーキングホリデーに参加した人の体験談をもとに、ワーホリを経験することで変わった点や反省点を紹介します。
● コミュニケーション能力、価値観の変化
まずはワーホリをして良かったと思う点から紹介します。体験者が口を揃えておっしゃっていたのは、コミュニケーション能力が上がったということ。語学学校で出会った友達や先生、アルバイト先の同僚、イベントで知り合ったネイティブの友人など、フレンドリーな関係を好む海外での交流を通じて、積極的に自分から話しかけることができるようになったり、聞いているだけでなく自分の意見を発信できるようになったなどの声が多く聞かれました。
自分の英語への自信のなさと恥ずかしさから、街中で外国の人を見かけても、話しかけられるのが怖くて無意識に避けてしまう、なんて人も少なくないのではないでしょうか。以前はそのような外国人とのコミュニケーションに消極的だった人も、ワーホリを通して変われたと実感しているようです。
また、海外生活の中で、それまでの日本生活で染み込んでいた常識や価値観が狭く偏ったものだったと気づかされた人も多いようです。「日本の常識は世界の非常識」と話で聞いたことはあっても、実際にそれを自分の目で見て体験してみないと、その言葉の本当の意味を理解することはできません。10代や20代で世界の文化やライフスタイル、価値観に触れられること、日本を客観的に見られるようになること、これらも大きなワーホリのメリットと言えるでしょう。
● なんとなく過ごしてしまった
初めて住む町、初めて出会う人々、初めて食べるものなど、海外生活を始めた数週間〜数ヶ月は全てのものが新鮮で刺激的です。しかし裏を返せば、現地での生活にも慣れ、英語コミュニケーションも少しずつ出来るようになってくると、緊張感がなくなり「なんとなく過ごしてしまう」というマンネリ化の波が襲ってくるかもしれません。
それにともなって、「なんとなく話せるしいっか」と英語へのモチベーションも落ちていく人も多いよう。渡航前は「ローカルカフェでネイティブの人たちと働くぞ!」と息込んでいたのに、実際は日本食レストランで日本人と働き、オフも日本人と過ごすといったような、日本にいるのと何ら変わりない生活をしている人は実はかなり多く、半数以上を占めていると言っても過言ではありません。そうならないためにも、前述の「目標設定」がポイントとなることでしょう。
計画と目的を持って
「海外で勉強しながら働き、旅行も遊びもできる」
ワーホリはそんな素晴らしい制度ですが、使い方次第では実りのないものに終わってしまう可能性があります。貴重なお金と時間を使って海外に行くわけですから、計画と目的設定を含めた事前の準備をしっかりとすることが何よりも大切です。なりたい自分や夢に近づくために、ワーホリを有効活用してくださいね。
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