語学習得に“手遅れ”は存在しない!「言語習得論」に学ぶ、大人のための4つの英語勉強法

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大人になってからも「英語を習得したい」と真剣に考えるひとは少なくありません。一方で、「今から始めるのは遅いかも」と心のどこかで不安に思うひとも多くいるのが実情です。

しかし、「第二言語の習得に年齢の壁がある」という俗説は、なぜここまで信じられているのでしょう? 今回は、そんな「神話」を打ち砕く“大人のための英語学習方法”に、『言語習得論』の立場から迫ります。

『言語習得論』が提示した“Older is faster, younger is better.”って?

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『言語習得論』とは、第二言語が習得されるメカニズムを明らかにする学問において説かれるものです。言語学はもちろんのこと、心理学や神経学など多くの学問分野から、理論や仮説が登場し議論されてきました。

「学習能力が年齢を重ねるごとに下がっていく」という、語学学習の「臨界点(期)」をめぐる議論には決着がついていません。ただし、70年代・80年代の研究では、“Older is faster, younger is better.”という結論が導き出されています。これはつまり、大人は子どもよりも総合的知能が優れているため早く学習することができる、ということです。

総合的知能における大人の優位が逆転し、子どもの語学学習能力に軍配があがるのは、学習を始めてから1年以降のこと。その原因として最も有力だと考えられているのは、「母国語によるフィルター」の存在です。例えば、日本語を通して英語を理解してしまう、つまり日本語→英語・英語→日本語という言語処理をいちいち行ってしまうということです。

この「母国語によるフィルター」は通説として影響力を強めていますが、「臨界期」の存在については未だに確認されていません。一方で“Older is faster, younger is better.”は、研究者によって立証されています。俗説に縛られるのは、もう終わりです。

「インプットか?アウトプットか?」という愚問

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ここで少し、仮説と理論の話をします。言語習得論の本質には、「インプット仮説(input hypothesis)」「自動化理論(automatization theory)」という2つの考え方があります。

インプット仮説

言語習得におけるインプット仮説とは、「インプット(聞くこと)により言語習得は起こりうる」という考え方。後の研究では、「理解可能なインプット(comprehensible input)」が必要条件であることが強調されています。

自動化理論

自動化理論とは、「身につけた知識を練習することによって、徐々に自動的に使えるようになる」という考え方。この理論については、頭の中で理解した言語ルールは必ずしも使いこなせるようになるとは限らない、という限界の存在が指摘されています。

外国語習得においては、インプットと自動化の両者が最大限に活用されるべきであるという結論が出ていますが、大切なのはそのバランス。「(1)言語習得は、かなりの部分がインプットによる」、そして、「 (2)インプットで身につけた知識は、意識的に練習(自動化)されることで、実際に使える能力を培うことができる」ために、その二つを絶えず行き来するような学習が求められるのです。

また、インプットによる言語習得の効率が最大化されるように、アウトプットを適切に勉強方法に組み込む、という考え方を持つことも重要です。日本人の一般的な英語学習では、インプットの質や量が、そもそも不十分と言えます。さらに、意思伝達よりも正確さを過大に重視する(入試に向けた)英語教育や自動化の訓練不足が加わって、大人になってからの英語勉強に難を感じる人が後を絶えないのです。

それでは大人はどのような英語学習方法を実践していくべきなのでしょうか?以下に4つの学習方法を紹介します。

大人のための英語学習方法①|教材選び

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英語を勉強するうえでは、大量のインプットを確保することが必要です。ただし、参考書をやみくもに読んだり聞いたりするのでは意味がありません。以下の大切なポイントを踏まえたうえで、自分にあった教材を選ぶことから始めましょう。

(1)意味理解が確実にできる教材か

この判断基準は、先に述べた「理解可能なインプット」に関係するものです。結論から言うと、「内容から英語を学ぶ」ことに適しているかどうかが重要なポイント。これには、分野を絞ったインプットが効果的です。

例えば、アメリカの政治について英語で学ぶとします。トピックが一つの分野に収まっているので、教材のなかでは繰り返し同じ単語が登場することに気づくでしょう。さらに、英字新聞やニュース番組でも知識をつけるようにすることで、内容理解が高まっていきます。

これを、他の分野や単語、表現に広げていけばよいのです。

(2)感情に訴える=記憶に残る教材か

人の心を揺さぶるようなスピーチや映画のワンシーンは、「感情に訴える教材」の代表例です。お気に入りの洋画を繰り返し観て英語の表現を身につけた、という話を耳にしたこともあるのではないでしょうか。

例えば、オバマ大統領の勝利演説やスティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学での演説。ナタリー・ポートマンのハーバード大学での演説も良いですね。

こうして耳にした表現を定着させるための近道は、心に響く(感情に訴える)ものを選び暗唱することです。心理学のフラッシュバルブ記憶という概念に照らせば、感情的に重要な出来事というのは、意識的であれ無意識的であれ、頭の中で何度も繰り返されるといいます。最近ではYouTubeなどで簡単に動画を見つけることができますから、そういった身近なチャンネルを活用してみるのもいいでしょう。

大人のための英語学習方法②|リスニングとリーディング

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リスニングにおいてもリーディングにおいても、大量のインプットを確保することが可能です。そして、どちらも、何度も繰り返し聞いたり読んだりすることになりますから、「理解可能なインプット」を意識するだけで、効率的な習得が実現します。

ここで気をつけるべきことは、リスニングは「ただ聞き流す」のではなく、常に文字を媒介させることで文法的な正確性にもこだわること、です。耳にした英語を口元で繰り返す「シャドーイング」で流暢さ(fluency)を確保しつつ、同時に文字を追うこと(リーディング)で正確さ(accuracy)とのバランスも重視しましょう。

大人のための英語学習方法③|インプットからアウトプットへ

大人になってからの英語学習では、すぐに英語を話せたり書けたりすることが求められています。十分な量のインプットは必要ですが、いつまでもインプットに偏るわけにもいきません。

そのためにも、インプットとアウトプットの比率を徐々に変えていきましょう。あくまでもインプットが前提ですから、はじめは「インプット100%」で問題ありません。上級者でも、「インプット7・アウトプット3」が適度でしょう。海外出張などがある場合は、一時的にアウトプット練習を増やすことも有効です。

大人のための英語学習方法④|インタラクション(会話練習)

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研究では、インプットとインタラクション(会話練習)を組み合わせた方が効果的である、という結果が示されています。注目すべきは、「インプットを後にする方が効果的」という点です。

インタラクションを先に行うことで、「自分にはどこが不足しているのか」に気づくことができ、相手の話を聞くときの集中度が高まるといいます。自分が英語で言えなかったことに関して、「どう言えばいいのか」聞くことで習得しようとするのです。

日記などの手段も効果はありますが、英語を話すという環境をつくり、毎日「自分のことについて話す」ことを繰り返すことによって、言語習得の効果が高まります。ぜひ、実践してみてくださいね。

【参考】英語教師のための第二言語習得論入門(白井恭弘 著、大修館書店)

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