近年、世界の中でも経済成長が著しいアジアの国々では、英語のコミュニケーション能力を持つ人材の育成に積極的に取り組んでおり、英語教育への投資が盛んに行われています。最近では、日本でも文部科学省が「アジアトップクラスの英語力」を目標に掲げ、小学3年生から外国語活動を導入する方針を固めるなど、英語の教育改革に動き出しています。では、アジア諸国では、どのように英語が学ばれているのでしょうか。
今回の記事では、中国・韓国をはじめとするASEAN諸国の英語教育への取り組みについてご紹介します。
アジア諸国の英語力の現状とは?
まず、アジア諸国の英語力について、こちらの過去記事でも紹介した世界53カ国で教育事業を展開しているEducation First社が発表した「EF EPI(英語能力指数)」(2015年度版)から、その現状を明らかにしてみましょう。「EF EPI」とは、世界70カ国、91万人の成人の英語学習者のデータを用いて作成される世界最大の英語力ランキングです。
今回、アジア地域でランキングが高かったのは、シンガポール(12位)とマレーシア(14位)です。また、インド(20位)とベトナム(29位)が前年度に比べ、大きくスコアを伸ばした点が大きな特徴です。
一方で、韓国(27位)・日本(30位)・中国(47位)では、スコアにあまり変化は見られず、停滞していると見なされています。(※参考1)
英語教育が発展していく国の特徴とは?
では、英語教育が発展していく国や地域の条件にはどういったものが挙げられるのでしょうか。ここでは、TOEFL・TOEICを開発するETS社の最高執行責任者であるデイビット・ハント氏が言及した4つのポイントについて、ご紹介します。
1.英語教育を早期から行っている。
2.英語の指導の質が良い。
3.英語を使用する実践の場がある。
4.英語を身につけることによるインセンティブがある。
(※ベネッセ教育総合研究所、グローバル教育研究室より引用)
これらの条件は、先ほど出てきた英語力の高いアジアの国々にも当てはまることが分かります。
シンガポールは英語が公用語として使用されていますし、多民族で構成されるマレーシアでは、英語がコミュニケーションにおける共通語となっており、日常生活において英語は欠かせません。さらには、英語の指導の質を向上させる取り組みもしっかりと行われています。
また、ベトナムでは、外国語を習得することが収入アップへと繋がるため、英語や日本語をはじめとする外国語の学習に意欲的な学生・社会人が多く、英語学習で得られる社会的インセンティブが明確となっているケースといえるでしょう。
英語教師の質を重要視するマレーシア
2011年にマレーシアは、国として英語教師を育成する「英語教師養成プログラム(Pro-ELT)」を開始しました。
このプログラムでは、教師の英語能力を向上させることを目的としており、具体的にはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠、Common European Framework of Reference for Languagesの略称)でいうところの「C1」レベルまで引き上げることを目標に掲げています。このCEFRとは、語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格のことで、A1、A2 、B1、B2、C1、C2 の6段階で学習者の言語運用能力を評価しています。マレーシアのPro-ELTは、教師の教育能力を高めることで、生徒がマレー語と英語のバイリンガルとして能力を発揮できるように指導することを狙いとしています。(※参考2)
このように、英語教育を発展させるためには、先ほどのポイントを抑えた取り組みが重要であるといえるでしょう。
中国・韓国における早期英語教育
先ほどのEducation First社による英語力ランキングではその英語力が停滞していると評された中国・韓国ですが、どちらの国も「早期英語教育」には積極的な動きが見られます。
1)韓国
韓国では、1990年代の金泳三大統領による改革により、英語学習時期の低学年化・コミュニケーション重視への転換が行われました。そして、小学校に英語教育が導入されたのは1997年です。これは、中国・日本に比べ、かなり早い取り組みだったといえるでしょう。現在、小学校3年生では週2時間、5・6年生に関しては、週3時間の授業が正規授業として行われています。また、韓国各地には「英語村」と呼ばれる施設が設置されており、児童に英語漬けの環境を与えるためのプログラムが行われるなど、英語イマージョン教育への意欲がうかがえます。 (※参考3)
そして、韓国の英語教育で特徴的なのが「フィリピン留学」です。フィリピンの語学学校は韓国資本であることも多く、留学している生徒の大半が韓国人という場合も少なくありません。韓国資本の語学学校は、スパルタ式と呼ばれる指導形態が特徴的で、長時間のレッスンと厳しい規則で生徒を管理しています。本人ではなく両親の希望で留学している生徒も多く、英語教育に熱心な韓国人の間で人気となっています。
2)中国
中国では、「使える英語」の習得を目指し、2001年より小学校に英語教育が導入されました。北京・上海などの大都市では1年生から、地方では3年生から週4回を基準に英語授業が行われています。中国では、広大な国土でいかに英語教育を広めていくかが重要なポイントとなっており、特に農村部では条件が整わずに英語教育の実施に至っていないケースも多いといわれています。
こういった状況や英語教育へのニーズに対応すべく、オンラインでの英語教育の普及に期待が高まっています。2013年には6720万人だったオンライン学習者が、2017年には1億2000万人まで増えると予想されています。(※参考4)
アジア発!注目の英語学習ツール「Cash English」ってなんだ?
(画像:http://www.cashenglish.com/)
では、最後に、英語教育に熱心なアジアの国から生まれた英語学習ツールをご紹介します。
「Cash English」は、韓国の教育系スタートアップ企業「Smatoos」が提供する“リワード型学習モデル”を採用した英語教育ゲームアプリです。勉強した分、報酬が得られるというもので、英単語のパズルゲームで語彙力を増やしてポイントを溜め、そのポイントに応じて現金やAmazonギフトが得られるという仕組みです。iTunes AppStoreやGoogle Playなどのアプリストアにおいて、世界10カ国以上において教育ゲームアプリとして一位を獲得するなど、いま注目されている英語学習ツールです。
今後もアジアから、英語教育に関するサービスやツールがどんどんと生まれてくるかもしれませんね。
おわりに
アジア諸国の英語力の現状と英語教育事情についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今後も各国がしのぎを削り、英語力の高い人材育成へと取り組んでいくことでしょう。アジアの英語力がこれから一体どう変化していくのか、今後が楽しみですね。
<参考URL一覧>
※参考1:EF EPI(EF 英語能力指数2015)によるアジア評価
※参考2:EF EPI(EF 英語能力指数2015)によるアジア評価
※参考3:韓国の小学校英語教育の現状-教材を中心に(新課程への移行期間に見る)-
※参考4:・〈中国〉2001年に「使える英語」をめざして導入。小学校3年生から週4回実施。
・文部科学省ホームページ「Ⅱ. 教育目標、内容と指導方法」
・EF EPI(EF 英語能力指数2015)によるアジア評価
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