“ポストトゥルース”や”alternative facts”の意味って何?世界動向がもっとわかる英語の新語を知ろう

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2017年はこの人を中心に世界が回りそうです。

1月20日に第45代アメリカ大統領に就任したドナルド・トランプの話題が世界中のメディアを賑わせています。トランプをめぐる話題はもはや「政治の話題」ではなく、現代人のコミュニケーションに日常的に顔を出す「世界共通の話題」になっています。

そんな会話に欠かせないのが、トランプ大統領就任によって世に送り出された新しい言葉たち。これらの言葉は、外国人と会話するとき、海外でのビジネスシーンだけでなく、私たちの生活に影響を与えるキーワードと言えるでしょう。

この記事では、一躍話題になった“alternative facts””Post truth”など、トランプ大統領や政権周辺にまつわる新語・キーワード、グローバル・コミュニケーションのために知っておきたい言葉とその意味についてご紹介します。

トランプ躍進の原動力?“Post Truth”

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英オックスフォード英語辞典が、2016年を象徴する単語「Word of the year」(今年の単語)として選出した言葉“Post Truth”もまた、トランプ政権と無関係ではありません。“Post Truth”は「ポスト真実」と訳され、「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況のこと」を意味します。

【Post Truth】
・post:〜以降、〜後
・truth:真実
※We are living in a post-truth age.
(我々はポスト真実の時代に生きている)

[定義]
“Relating to or denoting circumstances in which objective facts are less influential in shaping public opinion than appeals to emotion and personal belief.”

・objective facts:客観的事実
・shape public opinion:世論を方向づける、世論を形成する

引用:Oxford living Dictionaries(下線追加)

世界を大きく揺るがした2つの出来事

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1992年にすでに登場していた“Post Truth”という言葉。2016年に注目を一気に浴びる要因となったのが、まだまだ記憶に新しい6月の英国EU離脱(“Brexit”・ブレグジット)、そして7月のトランプ氏共和党候補への正式指名という、世界を大きく揺るがした2つの出来事です。これを機に、ワードの使用頻度が前年比の2000%へと急激に高まり、「ポスト真実」という言葉が世に広まったのです。

また、“Post Truth”とともに候補とされていたものには”Brexiteer(ブレグジット支持者)”、”alt-right(オルタナ右翼)”など、いまの世界情勢を反映する注目のワードが挙げられていましたが、「非常に緊迫した」政治的な1年を反映する言葉として“Post Truth”が選ばれました。確かに、先述の2つの衝撃的な出来事を表す言葉としては、的確としか言いようがありませんよね。

アメリカでは、依然としてトランプ大統領と大手メディア、親トランプのニューメディアが、お互いを「Fake news」と非難し合っています。こうしたメディアの信頼性やネットを含めたリテラシーの問題は決して対岸の火事ではなく、日本でも身近な問題となっているのです。

一気に流行語になった “alternative facts”

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トランプ大統領就任後、瞬く間に世界的な流行語となったのが“alternative facts”(オルタナ・ファクト/オルタナティブ・ファクト)という言葉です。“alternative facts”とは、「代替的事実」あるいは「もう1つの事実」という意味です。

【alternative facts】
・alternative:二者択一の、もう一方の
・facts:事実

トランプ陣営VS米メディア

“alternative facts”(代替的事実)という言葉が世に広まったきっかけは、トランプ大統領就任式の聴衆の数をめぐるトランプ陣営と米メディアの対立でした。米メディアは就任式に参加した聴衆の数を「過去最少だった」と報道。一方のトランプ陣営、ショーン・スパイサー大統領報道官は「過去最大だった」と主張しました。米メディアはスパイサー報道官の発言に猛反発し、2009年のオバマ大統領就任式との比較写真を掲載し、その発言が根拠のないものだと痛烈に批判しました。

これを受けて、アン・コンウェイ大統領顧問が米NBCテレビ「ミート・ザ・プレス」に出演、司会者からの質問に対し「あなたは嘘だと言っているが、ショーン・スパイサー報道官が示したのは“代替的な事実”(alternative facts)だった」と主張し、一躍話題となったのです。
司会者は「代替的事実は事実ではない」と即座に反論。このコンウェイ氏の発言によって批判がますます強まり、後日スパイサー氏が謝罪をする事態にまでなりました。

<実際の会話>

コンウェイ氏:“You’re saying it’s a falsehood, and Sean Spicer, our press secretary is giving alternative facts to that.”

司会者:Alternative facts aren’t facts, they are falsehoods.”

会話文引用:Merriam Webster(下線追加)

“alternative facts”が大流行

番組放送後、世の中では“alternative facts”が旬のキーワードになり、ネット上を賑わしました。オンライン辞書サイトであるMerriam Websterは、“fact”の検索数が爆発的に急増したと発表。トランプ政権の言い分に「事実とは何か」と、思わず“fact”という言葉の意味や定義を再確認する人が殺到したのでしょう。

また、Twitter上でも大きな反響を呼び、ハッシュタグ「#alternativefacts」「#SpicerFacts」(スパイサーの事実)をつけて自分の“alternative facts”を投稿するのがトレンドとなりました。明らかな嘘や見え見えの嘘をついた皮肉とユーモアを感じさせるツイートがタイムラインを埋め尽くし、異様な盛り上がりを見せたのです。ハッシュタグの他には、スパイサー氏が記者会見で発言した「以上(period)」という表現を使った投稿も話題になりました。

Merriam Webster

■Twitter
“I’m about to devour this alt-salad. #alternativefacts”
ニューヨークを拠点とするジャーナリストは、いかにも高カロリーそうなフィッシュアンドチップス(?)の写真とともに、「この代替サラダをこれからガツっと食べるところ #alternativefacts」と投稿。

“Kellyanne Conway is a fashion icon! #SpicerFacts”
(ケリーアン・コンウェイはファッションアイコンだ!)

このように、トランプ政権から発信された“alternative facts”という言葉は、政治の枠を超えて私たちの生活まで影響を及ぼしています。

世の中の動向を語る新語、キーワードはグローバル・コミュニケーションにも必須

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以上、ニュースやネットで話題となった新語・キーワードについてご紹介しました。世界経済・政治だけではなく、言語形成にも影響を及ぼしているトランプ政権は、これからどんな新しいワードを生み出していくのでしょうか。欧米では政治や支持政党、宗教の話はタブー視されがちですが、トランプ大統領にまつわる話題は「政治の話の枠」を超えて、私たちの生活に入り込んできています。こうした新語やキーワードを理解して、自分なりの考えや意見を持っておくことも、グローバルなコミュニケーションには必要になってくるかもしれませんね。

【参考】
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1701/23/news080.html
http://www.ei-navi.jp/news/983/
http://www.bbc.com/japanese/38009790

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