「単語でしか英語を話せない」から、文章でしっかり英語を話せるようになるために必要なこと

首都圏を中心とした訪日外国人数の急増は多くの人が肌で感じていることでしょう。浅草や上野などの外国人に人気のスポットでは、日本人よりも外国人の方が多いような印象すら与えられます。必然的に外国人に話しかけられる日本人もよく目にするようになり、以下のような状況にたびたび遭遇します。

外国人「Where is the 〇〇 station?」
日本人「Go… and… Left… so… Bank… Right…」
まさに「単語で話す」状態です。

誰もが経験する道ですが、できることならなるべく早く文章でしっかり英語を話せるようになりたいものです。今回はそのための学習方法についてです。

「文章で話す」ために必要なこと

「単語は出てくるけれど、文章が出てこない」という英語レベルの方に共通して当てはまることがあります。単語単位でしかインプットを行っていないことです。この単語単位インプットは、多くの場合、大学受験前などに英単語集を用いた学習法を経験しているために、社会人になってからも継続しているというケースであるようです。

私はこの学習法を全否定するつもりはありません。むしろ、大学受験などの長文読解のために語彙力を増やす学習法としては打って付けの学習法だと思います。しかし、「英語を文章でしっかり話す」学習法としては不適であると言わざるを得ません。

「英語を文章でしっかり話す」ためには、多くの「チャンク（語のかたまり）」を頭の中にインプットしておかなくてはならないのです。

チャンクとしてインプットする効用

英語の「チャンク」を頭の中にインプットしておくことについての説明です。次の英文を見てください。

I was pleased to have the opportunity to provide your company with an estimate for our services.

いくつかの難易度の高い単語が含まれています。単語単位で確認します。
pleased「嬉しい」、 opportunity「機会」、 provide「提供する」、 estimate「見積もり」です。

留意すべき点は、これらの語はそれぞれ特有の語と結び付き、チャンクを作りやすいということです。例えば、pleasedはたいていの場合「人 be pleased to / that」という形で結びつきます。opportunityは「the opportunity to do」という形を多くとります。これらの結びつきをそのまま（結びつきやすい状態で、つまり、チャンクとして）覚えておくのです。

具体的には、pleased「嬉しい」ではなく、人 be pleased to / that「人は～してうれしい」。opportunity「機会」ではなく、the opportunity to do「～する機会」としてインプットしておくのです。こうすることにより、英語でアウトプットする時に、一語一語頭の中で行っていたプロセスが格段に速くなります。

これは私たちが少なからず無意識に行っていることでもあります。例えば、thank「感謝する」と覚えている人はかなり少数派でしょう。たいていの人は、thank you very much「とても感謝しています」などというチャンクで頭の中に入っているはずです。

実際に道を尋ねられても・・・

このようにしてチャンクとしてインプットしておくことにより、冒頭で紹介したように突然道を尋ねられたとしても

というチャンクを組み合わせることにより、

Go straight until you get to the Sumitomo bank, then turn to the left, you can’t miss it.

という表現がアウトプットできるのです。

「文章としてしっかり話せる」ためにはチャンクとしてインプットしておくとが不可欠です。英語をチャンクとして覚え、「文章としてしっかり英語を話せる」ようになりましょう。

【お知らせ】
今回取り上げた「英語を文章として話せるようになる」など英語学習法をまとめた書籍『英語力はメンタルで決まる』をアルクより上梓する機会をいただきました。どうぞよろしくお願いします。

『英語力はメンタルで決まる』