マークザッカーバーグが語る、これからの時代を生きるうえで「最も重要なこと」【英文解説つき】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

自分の人生の目標を見つけるだけでは不十分。私たちの世代は、「誰もが」目的意識をもてる世界を作らなければならないーー。

フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏は自身が中退したハーバード大学の卒業式のスピーチでそう訴えました。

彼がフェイスブックで成功した理由として挙げた「大きな」目的意識とは何か、成功の道標になるよう明確にするにはどうすべきか、ザッカーバーグ氏のスピーチの内容を実際に英文を読みながら紐解いていきましょう。

PROFILE
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)
84年生まれの起業家。在学中にフェイスブックを創業し注力するためにハーバード大を中退。現同社CEO。世界で最も価値がある企業の一つとして数えられ、彼自身の資産額も世界で5番目にランクインしています。

テクノロジーの発達で「働く意味」が変わる

スピーチの序盤、ザッカーバーグ氏はテクノロジーが発達し、仕事の自動化が進んでいる現代について触れました。自分の労働力が必要とされなくなるーー。ロボットにはできない仕事をこなす能力を有していないかぎり、労働社会から弾かれてもおかしくない時代はすぐそこです。

労働社会から必要とされなくなり、仕事がなくなってしまった人は孤独な生活を強いられたり、麻薬中毒やうつ病に悩まされたりしてしまう可能性が高いとも述べています。

こうした背景を踏まえ、ザッカーバーグ氏はお金や自分の目標のために働くだけでは足りない、他の人も人生の目標をもてるようにしないといけないと訴えます。

自分にとって意義がある仕事を選ぶことが重要に

ザッカーバーグ氏が言う「目的意識をもった働き方」とは具体的にどういうことなのでしょうか。

“Purpose is that sense that we are part of something bigger than ourselves, that we are needed, that we have something better ahead to work for. Purpose is what creates true happiness.”

「目的とは、自分という存在を超越した、何かより大きなものの一部である意識をもてる感覚のこと。自分という個性が必要とされていて、自分がコミットすることである事象がよりよくなることです。目的は、本質的な幸福感をもたらします」

具体的な例として、ザッカーバーグ氏はNASAを訪問したケネディ元大統領のエピソードを紹介しました。

“When John F. Kennedy visited the NASA space center, he saw a janitor carrying a broom and he walked over and asked what he was doing. The janitor respond: “Mr President, I’m helping put a man on the moon.”

「ケネディ元大統領がNASAを訪問したとき、ほうきを持っている人を見つけました。彼にケネディ氏が何をしているのかを聞くと、『大統領、私は人類を月に到達させる手伝いをしているのです』と彼は答えました」

同じ掃除係でも、自分の仕事をただの掃除か、それとも月に人を届ける仕事の一部を担っていると捉えられるかで仕事の質は変わってくるはずです。「大きい仕事をすることが重要」なのではなく、「自分にとって意義がある仕事をする」ことが重要なのです。

目的意識がザッカーバーグ氏にもたらした成功と苦悩

フェイスブックの成功には、ザッカーバーグ氏の目的意識が大きく関係していました。

フェイスブックがサービスを開始し、急成長を遂げていた頃、徐々に買収を申し出る企業も出てきました。スタートアップの成功で大金を手にしたいザッカーバーグ以外の経営陣は、買収の提案を受けるようザッカーバーグ氏に訴えました。

しかし、彼は売る気がまったくありませんでした。お金のためではなく、人をつなぎ続けたいという目的意識を満たすためにフェイスブックを運営していたからです。結果、社員と彼との間では溝が生まれ、結果的には全員辞めてしまいました。この出来事を彼は「フェイスブックを創業して一番つらかったことだった」と述べました。

目的意識を持っていたから成功した反面、それを仲間に共有できていないがために仲間が辞めてしまった経験を経て、彼は「誰もが」目的意識をもつことの重要性に気づいたのでした。

目的意識をもちやすい社会にするために必要な3つのこと

Woman watching sunset

自分が目的意識をもつだけでなく、まわりも目的意識をもちやすい環境を築くことに貢献することが重要。そのために必要なことをザッカーバーグ氏は3つ挙げました。

1. Take on big meaningful projects.ーー意義のあるプロジェクトを推進する

自分にとって意義のあることを仕事にする。でも何に自分が意義を感じるのか分からないという人もいるでしょう。始めは意義があるかも大きい仕事かも分からないくらい小さなことかもしれません。

ザッカーバーグ氏の場合は、「ネットで人と人をつなぐ」ことでした。

“I remember telling my friend I was excited to connect the Harvard community, but one day someone would connect the whole world.”

「ハーバード大学のコミュニティをネットでことにワクワクしていることを友人に伝えたことがあったんだけど、でもきっと自分よりもっとすごい人が世界をネットで繋いでいくんだろうなと言ったこともありました」

“I know a lot of you will have your own stories just like this. A change in the world that seems so clear you’re sure someone else will do it. But they won’t. You will.“

「同じようなストーリーが卒業生のみなさんの中にもあるのではないでしょうか。つまり、『誰かが絶対に変えるだろうな』とわかること。それをするのは”誰か”ではなくあなたなのです」

“The thing is, it never even occurred to me that someone might be us. We were just college kids. We didn’t know anything about that. There were all these big technology companies with resources. I just assumed one of them would do it. But this idea was so clear to us — that all people want to connect. So we just kept moving forward, day by day.

「実際、その”誰か”が自分たちになるとは思ってもいませんでした。ただの大学生でしたから!私たちはインターネットやSNSについて何も知らなかったし、大規模で資金などリソースが豊富なテクノロジー企業は他にたくさんありました。そのうちのどこかの企業が成し遂げると思っていました。でも『みんなネットでつながりたがっているはずだ』というアイデアの道が、僕たちには明確に見えていて。だから毎日、前に進み続けることにしました」

2. Redefining equalityーー平等な機会を再構築する

2つ目は平等な機会を提供すること。ザッカーバーグ氏は世の中が経済的に平等ではないと言及し、自分が「チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブ」で積極的に機会の提供に注力していることに触れ、卒業生にも同様の目的意識をもつことを推奨しました。

“Right now, our society is way over-indexed on rewarding success, and we don’t do nearly enough to make it easy for everyone to take lots of shots.

「今の社会では、成功してはじめて報われるという考え方に偏りすぎています。もっと挑戦すること自体を簡単にしていかなくではいけません」

<<英語ワンポイント①>>
“take a shot” =「試す、やってみる」
よく使われる表現です。「やってみなよ」=”Take a shot!”「やってみる?」=”Do you want to take a shot?” や ”Do you want to give it a shot?” といった具合に使う場合が多いです。比較的アメリカで耳にすることが多い表現で、アジア圏、例えば筆者が以前暮らしていたシンガポールでは ”Give it a try” など別の表現のほうが用いられます。

彼自身、裕福な家に生まれ、ハーバード大学に入学することができ、始めた事業が失敗しても生きていけるセーフティネットがありました。自身の経験を踏まえ、より均等な機会を与えられるよう社会を再構築しなければいけないと考えるようになったようです。

“Let’s face it. There is something wrong with our system when I can leave here and make billions of dollars in 10 years, while millions of students can’t afford to pay off their loans.”

「世の中はおかしい。何百万人もの学生がローンさえ返せない一方で、僕はこうしている間にも10年で何十億ドルといった金額を稼げてしまうのが現実です」

“We should explore ideas like universal basic income to give everyone a cushion to try new things.”

「ベーシックインカムのように新しいことに挑戦して失敗したときのクッションとなってくれる仕組みを検討するべきです」

“And yes, giving everyone the freedom to pursue purpose isn’t free. People like me should pay for it. That’s why Priscilla and I started the Chan Zuckerberg Initiative and committed our wealth to promoting equal opportunity.”

「目的意識を達成する機会を与えるのはもちろんタダではできません。僕のような人が貢献します。そのために妻のパトリシアとチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブを立ち上げ、平等な機会を提供することを最大の目的にしています」

3. Building a Communityーーコミュニティを作ろう

3つ目はコミュニティを形成すること。グローバル化が進み、世界市民と呼ばれる人びとが台頭しつつあります。国境の力が薄れ、同じ目的意識をもった人が集まりやすい世の中へとシフトしているのです。

“In a survey asking millennials around the world what defines our identity, the most popular answer wasn’t nationality, religion, or ethnicity; it was “citizen of the world.”

「ミレニアル世代に自分たちのアイデンティティを表してもらったとき、『世界市民』という答えが多かったそうです。国家や宗教、人種からくるものではなかったのです」

一方で、逆に考える人もいます。

“But we live in an unstable time. There are people left behind by globalization across the world. It’s hard to care about people in other places if we don’t feel good about our lives here at home. There’s pressure to turn inward.”

「しかし、僕らは不安定な時代に生きています。グローバル化に取り残されている人がいます。もし自分の生活が満足いくものでなければ、他の場所にいる人たちのことまで考えるのは難しいでしょう。内向き志向の圧力が高まります」

“Change starts local. Even global changes start small, with people like us. In our generation, the struggle of whether we connect more, whether we achieve our biggest opportunities, comes down to this: your ability to build communities and create a world where every single person has a sense of purpose.”

「変化はローカルに起こります。グローバルな変化は小さく始まりますが、でも僕たちみたいな人から起こるのです。われわれの世代で、つながれるか可能なかぎり大きな機会を活かし達成できるかはこのことにかかっています:コミュニティを作る能力と一人ひとりが目的意識をもてる世界を作れるかです」

<<英語ワンポイント②>>
“comes down to~” =「〜に帰着する、結局〜になる」
「〜になった」と言いたいときによく用います。“I came down to a decision to pursue my dreams”「自分の夢を追うと決めるに至ったんだ」など。”I decided to pursue my dreams” と言うよりもよく考えたうえで結論に至ったニュアンスが含まれます。ザッカーバーグ氏のスピーチでも、“In our generation, the struggle of whether we connect more, whether we achieve our biggest opportunities is this:” と言うよりもこの事柄について考え抜いた結論だったという印象を受けます。

「やれるか」ではなく「やらなければいけない」理由

Future Vision

ザッカーバーグ氏のスピーチを聞いて、誰もが目的意識をもてる世界を作ることに貢献するなんて、果たして自分にできるだろうかと考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、ザッカーバーグ氏はアメリカや日本のように経済的に恵まれた国に生まれた私たちが、「やらなければいけないのこと」だと言います。

ザッカーバーグ氏は彼がメンターでもある高校生とのエピソードを挙げました。その高校生は、不法移民であるためアメリカの大学への進学を危ぶまれています。

“Last year, I took him out to breakfast for his birthday. I wanted to get him a present, so I asked him, and he started talking about students he saw struggling and said, “You know, I’d really just like a book on social justice.”

「去年、彼の誕生日に朝食に招待しプレゼントに欲しいものを聞きました。そしたら苦しんでいる同級生の話をはじめ、社会正義の勉強をできる本がほしいと答えました」

“I was blown away. Here’s a young guy who has every reason to be cynical. He didn’t know if the country he calls home — the only one he’s known — would deny him his dream of going to college. But he wasn’t feeling sorry for himself. He wasn’t even thinking of himself. He has a greater sense of purpose, and he’s going to bring people along with him.”

本当に驚きました。自分の故郷のはずのアメリカが、不法移民であるために大学に行かせてくれないかもしれないのに…シニカルになっても仕方がないような境遇の若者が、彼自身をかわいそうだと思うことも、自分のことを考えることもしていませんでした。彼には大きな目的意識があり、だからきっと彼を応援する人が出てくるでしょう」

<<英語ワンポイント③>>
“be blown away”=「(良い意味で)驚く、感動する、感心する」
外国の友人がよく使っているのを耳にします。“I was blown away by his speech”「彼のスピーチに感動したんだ」、“You will be blown away with the taste of this. Give it a try!”「この料理の美味しさに驚くはずだよ、試してみて!」など。“surprised” も「驚く」ですが、ネガティブな意味の「驚く」としても使えるのに対して、”blown away” は良い意味でしか使えないので注意しましょう。

「自分はどう生きたいのか」ーー誰でも潜在的な目的意識はもっているはずです。それに意識を向け、次は他の人も目的意識をもてるよう働きかける必要がある。そのために必要な勇気を与えてくれるスピーチでした。

執筆:赤江龍介
編集:岡徳之(Livit

レアジョブ英会話 レアジョブ英会話 RareJob English LabはNo.1オンライン英会話スクール「レアジョブ英会話」が運営しています。
英語を「話せる」ようになるにはくり返しアウトプットする機会が必要です。 レアジョブ英会話なら1レッスン129円で每日外国人講師と話せます。
メールマガジンで新着記事や、あなたの英語学習をサポートする情報をお届けします。

購読する