アメリカの離脱で話題!パリ協定と環境問題を知る時事英語

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2017年6月1日、アメリカのトランプ大統領は、パリ協定(Paris Agreement)からの脱退(withdrawal)を宣言しました。

世界規模で活動する企業の多くが環境問題への取り組みを重視する現状で、時代に逆行するとも取れるトランプ大統領の決断は、アメリカ国内外で大きな議論を呼んでいます。
手続上の制約から、アメリカの正式離脱は2020年のアメリカ大統領選挙後の11月3日以降になりますが、環境問題を無視しようとするトランプ大統領のアメリカは、そして世界はどこに向かうのでしょうか?

大統領の独断ともいえるこの脱退をめぐり、アメリカ国内外の反応、そして今後への影響について、キーワードやフレーズを取り上げながら紹介します。

そもそもパリ協定ってどんなもの?

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パリ協定とは

パリ協定は、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で2015年に締結された、2020年度以降の地球温暖化対策の枠組みを取り決めた協定(Agreement)です。

二酸化炭素(carbon dioxide)を主とする温室効果ガスによる地球温暖化は、全世界の問題となっています。地球の温暖化は、熱波など極端な気象事象(extreme weather events)、海面上昇(sea level rise)や生態系(ecological systems)の変化などをもたらすといわれます。そんな社会的背景がある中、アメリカやヨーロッパ諸国、日本など先進国が推進していたのが、地球温暖化対策の国際的な取り決めの策定です。

協定成立の経緯をおさらい

COP21のCOPとは、Conference of the Partiesすなわち締約国会議のことです。また気候変動枠組条約(Framework Convention on Climate Change, FCCC)は、1992年の地球サミット(Earth summit)で155か国が署名し成立した条約です。二酸化炭素など、地球温暖化(global warming)などの気候変化の原因となる温室効果ガス(greenhouse gas)濃度の安定化を目標とします。

1992年の条約成立後、1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書(Kyoto protocol)が採択されました。この京都議定書は2008年から2020年までの地球温暖化対策として策定されたので、パリ協定は京都議定書の後の対策として定められたことになります。

パリ協定は、2015年12月12日にパリで採択(adopt)されました。議長国フランスのファビウス外相は「野心的でバランスのとれた計画は地球温暖化を低減させるという目標で「歴史的な転換点」である」と述べました。当然アメリカも含め、気候変動枠組条約締約国190か国以上が参加(join)し、例外はシリアとニカラグアのみでした。協定の内容は、産業革命前からの世界の平均気温(global average temperature)上昇を2度未満におさえ、1.5度未満を目指すというもの。世界中の国で協力して対策を講じましょうというわけです。

協定からの離脱を宣言!トランプ大統領の思惑は?

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トランプ大統領は、2017年6月1日、パリ協定から脱退(withdraw)すると宣言しました。

In order to fulfill my solemn duty to protect America and its citizens, the United States will withdraw from the Paris climate accord.
(米国とその市民を守るという重大な義務を果たすために,アメリカ合衆国はパリ協定から脱退します

出典:The guardian

大統領は、選挙運動中から(on the campaign trail)、気候変動は「でっち上げ」だと主張していました。(he called climate change a hoax ※hoaxとは、いかさま、いたずら、でっち上げ、人をかつぐという意味)選挙で炭鉱労働者の支持を得るための発言だったと見られます。

したがって彼は公約を果たした形だ(He is making good on a campaign promise. ※making good on~とは、~を遂行・履行するとか~を返済・清算するという意味)ともいえます。

もっとも、政権内部でも、トランプ大統領の長女イヴァンカ大統領補佐官、その夫クシュナー上級顧問、ティラーソン国務長官、マティス国防長官らが脱退に反対を示したのに対し、バノン首席補佐官らが賛成に回るなど、一枚岩ではなかったようです。

トランプ大統領が、パリ協定を脱退したのは、パリ協定がアメリカ経済の足かせになっていると考えているからです。パリ協定によって、アメリカは総額30億ドルの拠出(contributions)をすることになっていますし、国内の石炭産業が活動しにくくなっている現状を優先したからでもあります。また、ロシアゲート(Russiagate)疑惑から目を背けさせたかったからとも疑われています。
 

トランプ大統領の暴挙?国内外から批判の声 その影響は?

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パリ協定離脱宣言に対して、アメリカ国内外から多くの批判がされています。アメリカでも、国民の70%はパリ協定残留を望んでいるとも言われます。もっとも、共和党の議会幹部や石炭産業はこの宣言を歓迎しています。

しかし多くの内外の政治家は反対の声明を発表しました。

バラク・オバマ前大統領

This administration joins a small handful of nations that reject the future.
(この政府は未来を否定する少数の国に加わった)

出典:CNN politics

ビル・クリントン元大統領

Walking away from Paris treaty is a mistake. Climate change is real. We owe our children more. Protecting our future also creates more jobs.
(パリ協定に背を向けることは大きな間違いだ。気候変動は現実だ。子供達にもっといい未来を。未来を保証することによってもっと仕事が生まれる)

出典:ビル・クリントン元大統領 twitter

バーニー・サンダース上院議員

To the people of Germany and elsewhere in the world: Please don’t think that President Trump represents American values, he doesn’t.
(ドイツの人々、そして世界の人々、トランプ大統領がアメリカの精神を反映していると思わないでください。彼は、反映していません)

出典:バーニー・サンダース上院議員 twitter

フランスのマクロン大統領は、英語で、アメリカの科学者らに向けて「フランスに来て欲しい。一緒に(温暖化対策で)働こう」と呼びかけました。なお、アメリカ以外のG7の6か国はアメリカの脱退を阻止しようとしましたがかないませんでした。

経営者達の多くも脱退に反対しました。アップル、ゼネラルモータース、ゴールドマンサックス、グーグル、エクソンモービルなどの大企業をはじめ、多くの経営者が反対しています。例えば、アップルは、「気候変動は現実であり、私たち全員がこれと闘う責任を負っています。今日の出来事は、アップルの環境保護の取り組みに全く影響しません」と述べました。

トランプ大統領は、離脱の宣言の中で、Pの語呂合わせを楽しむかのように語りました。「I was elected to represent the citizens of Pittsburgh, not Paris.」(私はパリ市民ではなく(かつて炭鉱産業で栄えた)ピッツバーグ市民を代表するように選ばれているのです)

しかし、名指しされたピッツバーグ市のビル・ペドート市長は、「市長として、私たちの市民、経済、そして未来のために、パリ協定の指針に従う(follow)ことを保証する」とただちにツイートしました。

アメリカ離脱の影響

英BBCのマット・マグラス環境問題編集員の「5つの影響 米のパリ協定離脱」によると、アメリカのパリ条約脱退の影響はなお大きなものがあり、次の5点が指摘されています。

まず、パリ協定の目標達成は困難になると言われます。アメリカは世界の二酸化炭素の約15%(15% of global emissions of carbon)を排出しています。一方で、気温上昇や海面上昇、異常気象などと戦う発展途上国(developing countries)には資金や技術を提供してきました。パリ協定に大きな打撃を与えることで、世界の指導者としても道徳的な問題(question of moral leadership)が浮かび上がり、他の外交分野にも影響が生じるでしょう。 

次に、中国に絶好の機会を与えることになると言われます。オバマ大統領と中国の習近平国家主席は互いに妥協点を見つけることに成功し、そのおかげでEUや小島しょ諸国(small island states)を含む「高い野心連合(coalition of high ambition)」の形成に成功したのです。中国はトランプ大統領の宣言を受け、速やかにパリ協定遵守の意思を表明しました。EUも中国と力を合わせて邁進すると述べました。

3番目に、前記のような多くの世界的大企業の経営者はパリ協定への残留を求めてきたため、トランプ大統領への落胆を示しました。

4番目に、トランプ大統領の意図にかかわらず、石炭産業が復活する可能性は低い(Coal is unlikely to make a comeback.)といわれています。アメリカの石炭産業で働く労働者数はすでに太陽光発電業界の半分に過ぎない(the number of jobs in the US coal industry is now just a half of the number employed in solar.)といわれます。また、再生可能エネルギーの価格が急落し、新興国でも環境負荷の低いエネルギーに移行しつつあるのが実情です。

5番目に、パリ協定を離脱してもアメリカの二酸化炭素排出量は減少するとの指摘があります。予想では、オバマ政権の目指したアメリカの二酸化炭素削減量の半分は減少するとみられています。アメリカでは、石炭よりガス発電のほうが多いことがその理由です。
(出典:Five effects of US pullout from Paris climate deal

まとめ

地球温暖化は、国境を超えた世界のあらゆる人の問題です。トランプ大統領のパリ協定からの離脱宣言だけでなく、地球温暖化全般について広く理解したうえで、雑談の話題にすることは英語の上達にもつながります。ここで紹介した言葉は、外国人と会話するときも、同じ問題意識のもと、広く話が弾むきっかけとなります。世界レベルで交流を図るうえでのキーワードと言えるでしょう。

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