その相槌、海外ではマナー違反かも? “印象の良い英語”のために知っておきたい相槌文化の違い

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せっかく英語を話すなら、相手にポジティブな印象を与えたいですよね?とくにビジネスでは相手と良好な関係を築けば、仕事もぐっと進めやすくなります。

では、印象のいい英語とは一体どんなものなのでしょうか?日本語ならイメージできても、英語となると具体的にどうすればいいか思いつかない方も多いかもしれません。

しかし、意外にも「相槌」にも印象の良い英語の鍵があります。
 
流暢な英語を話しても、話し方がぶっきらぼうではもったいない。逆に言えば、英語が流暢でなくても少しのコツでぐっと印象は変わります。さっそく「相槌」を軸に、ワンランク上の気持ちよい英語を学んでいきましょう!

「なんでジャマするの?」、何気ない相槌が生んだ勘違い

ある日、私はアメリカの学生と英語で話していました。普段は日本語で話していましたが、英会話の練習のために英語で話してもらったのです。和やかに会話ができたので、達成感を感じていると、帰り際に彼がこんなことを言いました。

あなたは英語で話すときも、何度も何度も「うん」「はあ」を繰り返すんですね。申し訳ないけど、ジャマされているみたいで少し嫌でした。

彼は私の相槌を ”interruption”=「妨害」だと感じていたというのです。そんなつもりはないどころか、ていねいに話しているつもりだった私は大変驚きました。

いったい、何がいけなかったのでしょうか?

1. そもそも相槌とは?

日本語の「ああ」や「へえ」のように、相手の話に反応する短い言葉は、もちろん英語にも存在しています。”yeah”, ” uh-huh”などは、英語学習者なら知っている方も多いのではないでしょうか?。

日本語の相槌は特殊?

In the Japanese language, Aizuchi (Japanese: 相槌or あいづち) are the frequent interjections during a conversation that indicate the listener is paying attention and/or understanding the speaker.
(日本語の相槌とは、会話中に挟まれる頻繁な間投詞のことであり、聞き手が話し手に注意を払い、理解していることを表わす機能を持つ)

– 引用元:Wikipedia

なんと、英語版Wikipedia には ”Aizuchi” という項目があります。

英語話者向けにオンラインで日本語の授業を提供している「lingalift」では、英語話者から見た日本人の相槌の姿が次のように書かれています。

日本人の相槌は恐ろしく頻繁で、ひっきりなしに「うん」「ああ」「それで?」と口をはさむから、慣れていないと大変疲れる。どうやら彼らは常に声を上げていないと、相手が聴いているか不安になるようだ。(筆者訳)

日本語話者とアメリカ出身の母語話者の英語を比べた研究では、日本語話者の相槌の回数は英語話者の3倍にもなるという結果が示されています。

2. 20秒に1回?日本語の特殊な相槌

水谷信子さんの著『感じのよい英語 感じのよい日本語 日英比較コミュニケーションの文法』によると、日本語の自然な会話では、約20秒に一回相槌が挟まれます。例えば次のような例です。

A: 昨日暑くて
B: うんうん(うなづきつつ)
A: あんまり暑いからアイス食べに行ったんですけれど
B: そうしたら?
A: そうしたらアイス屋さんにすごくたくさんの人が並んでいて、それで一時間待っても入れなかったので
B: 帰ってきてしまったんですか?

Aさんは、いずれも文を最後まで言い切らずに、途中で止めています。 一人で話し続けるのを避け、Bさんが話の筋を追いやすいよう配慮しているのです。

対するBさんは「うんうん」「そうしたら?」と一言返すことで、「話を続けて大丈夫ですよ」という信号を出しています。最後の文では、Aさんの言いかけた言葉に付け足すことで、文を完成させています。

日本語では、常に二人が同じくらい会話に参加することで、いっしょに一つの会話を作り上げるのです。

話す側が相槌を打つ暇もなく喋り続けると、聞く側は「自分が話す隙間がない」と感じるでしょう。聞く側がまったく相槌を打ってくれないと、話す側は「私の話に興味がないのかな?」と不安になってしまいます。

3. 言い終わるまで待つ、英語における相槌の役割

英語話者はコミュニケーションにおいて、相手の「独立」を大事にします。話は一人がするもので、相手が話している最中に口をはさむことは妨害であり、マナー違反です。

先ほどのアイス屋さんの例をもう一度使用します。

A: Since it was so hot yesterday, I went to an ice cream shop.
(昨日暑かったから、アイス屋さんに行ったんだ)
B: Yeah.
(うん)

A: There were so many people there. Though I was waiting for an hour, I couldn’t buy anything.
(すごくたくさん人がいたんだよ。一時間待ってもアイスを買えなかったよ)
B: That’s a shame.
(それは残念だったね)

英語で話すなら相手が言い終わるまで待つべきです。文の続きを先回りして言うのは避けた方が相手は話しやすくなります。

前出の『感じのよい英語 感じのよい日本語』には、日本から帰ったばかりのアメリカ人が、日本生活の癖で相槌を打ってしまった体験談が掲載されています。

国で会社の上司と用談中、突然上司が Wilkinson, cut that out, please.(それ、やめてくれないか。)と言い出したので Cut out what?(やめろって、何をですか?)と聞くと次のように答えた。

Cut out punctuating every sentence I utter by nodding your head and mumbling ‘Eh,’ ’Aha,’ ‘So so’ – or whatever it is you’re mumbling. What does it mean, anyway?
― ぼくが何か言うたびに、句読点を打つみたいにうなずいてみたり、「エエ」とか「アハア」とか「ソウソウ」とか、何だかわけのわからないことをブツブツ言うのをやめてくれと言うんだ。いったい、それは何だね。

英語話者にとっては頻繁な相槌は ”interruption(妨害)” と受け取られ、むしろ評価を下げてしまうのです。

「ていねいな話し方」のすれ違い

過去の記事でも言及していますが、英語ではていねいな言い方をするほど言葉が長くなります。日本語話者は相手が長く話せば話すほど、あいづちを打ちたくなるものです。

英語話者がていねいに長く話そうとすると、日本語話者がていねいにあいづちを打ってあげようとする。英語話者はせっかくていねいに話してあげてるのに、何で途中で邪魔してくるんだ!?と感じ、日本語話者はていねいにあいづちを打ってあげているのに何で不機嫌なんだ!?と不思議に思う。

日本語話者と英語話者の「ていねいな話し方」の認識の違いが、すれ違いを生み出してしまうのです。

4. 英語で使える相槌表現集

ではどのような表現で相槌を打てばいいのでしょうか?ここでは英語でよくつかわれるあいづち表現を場合別に紹介していきます。

1. もっとも万能な「はい」を示す “yeah”

あいづちとして一番良く使われる表現です。フォーマルな場面では代わりに「yes」を使うといいでしょう。

A: Do we need to serve some drinks at the conference?
(会議の席上では、何か飲み物をお出しした方がいいですか?)
B:Yeah, probably.
(はい、おそらく)

2. “uh-huh” 同意を表わす「うんうん」

ン↓ フン↑ のように、前を低く、後を高く発音します。疑問文のようなアクセントになるので、「うん、それで?」と会話を続けることをうながしているようなニュアンスがあります。

A: “Do you want to see this movie?”
(その映画見たい?)
B: “Uh-huh.”
(うん)

3. ”uh-uh” 同意できない「ううん」

こちらは前を高く、後ろを低くして、「ン↑ ウン↓」のように発音します。日本語の「ううん」と意味はほぼ同じです。フォーマルな場面では、「No」を使います。

A: “You don’t mind going to see that movie again at this weekend?”
(週末はまたあの映画を見に行ってもいいよね?)
B: “Uh-uh.”
(ううん、いやだ)

4. “oh”心が動かされた「おお、えっ」

「oh」の意味のコアは「心が動いた」ことです。心が動くことには、感謝・おどろき・びっくりなど様々な原因があります。そのため、「oh」は非常に幅広い場面で使われるのです。フォーマルな場面でも使うことが出来ます。

A: ”Here’s your coffee.”
(コーヒーをどうぞ)
B: ”Oh, thank you.”
(おお、ありがとう)

5. “hmm” ちょっと考えさせての「うーん」

日本語の「うーん」のように、考えるまでの間を持たせるあいづちです。気をつけたいのは、「うーん」で止まってしまうと、英語話者からは「何も考えていない」と思われてしまいかねないところです。例文のように、もう一言付け足しておくとgoodです。

A: ”What do you think about this idea?”
(このアイデアをどう思いますか?)
B: ”Hmm, let me think about it.”
(うーん、ちょっと考えさせてください)

5. まとめ

日本語では、二人が一緒に話します。聞き手がするべき配慮とは、話の切れ目ごとにあいづちを打ち、話し手が話しやすい流れを作ってあげることです。英語では、二人がはっきりと役割分担します。聞き手には、話し手を尊重してだまって聴いてあげる配慮が求められます。

文の途中であいづちを打つことは、英語話者から「私を尊重していない」と取られる可能性もゼロではありません。相手が英語話者なら、あいづちは相手の話が途切れるまで我慢する配慮が必要になります。

逆に言えば、相手があいづちを打たずにじっと聞いていても、話に興味がないからではなく、あなたを尊重しているからです。筆者もかつてはあいづちの少なさが苦手だったのですが、会話の仕組みの違いを学んでからは怖くなくなりました。
 
「英語では相手の話を遮らない」を守ると、ビジネスシーンでもプライベートでも、英語話者からのイメージもグッとよくなるに違いありません。日英の会話のスタイルにも注目して、ワンランク上の英語をマスターしましょう。
【参考】
White, Sheida:“Backchannels across cultures: A study of Americans and Japanese.” Language in society, 1989

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