「泊まり込む」「走り込む」……「○○込む」は英語で何という?

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「昨日は会社に泊まり込んだ」

「学生時代は陸上部で、毎日走り込んだ」

直感的に英語に翻訳することができますか?できないと思った方も安心してください。これはまだまだ研究途上の、プロでも訳せない日本語だからです。実は「○○込む」という表現は、英語にとても訳しにくいと言われています。日常的に使う表現ですが、とっさに翻訳するのはむずかしいですよね。

今回はそんな「○○込む」を勉強してみましょう。

物理的な「移動」を表わす「込む」は「in」や「into」:「入り込む系」

いちばんわかりやすいのは、「実際にものが移動する」ことを表わす「込む」です。これは前置詞の「in」「into」を使えば訳すことができます。

He jumped into the river.
(彼は川に飛び込んだ。)

日本語を見てみると、ジャンプした結果、彼の体は川の中に入っていることがわかります。ものが移動して、別の場所に入るとき、英語では動詞の後にinやintoをつけるのですね。

Get into the bed.
(ベッドに入り込む。)

Insert fliers in newspapers.
(チラシを新聞に折り込む。)

Blend into the cityscape.
(風景に溶け込む。)

ベッドに実際に体が移動する・チラシが新聞の中に移動する……実際にものが移動するなら、inやintoを使えば問題ありません。「溶け込む」は少し抽象的ですが、建物が風景の中に入り込んで同化すると考えれば、移動だと考えることができます。

一方で、移動しない場合には、翻訳がむずかしくなってきます。

「時間が長い」場合はstay:「泊まり込む」系

「会社に泊まり込む」のように、長い時間なにかをする場合には「stay」を使うことができます。

I stayed at the office yesterday.
(昨日は会社に泊まり込みで働いた。)

「泊まり込み」をただ泊まるのと比べると、長い時間そこにいたというニュアンスがありますよね。stayにもそのニュアンスがあるので、翻訳に使えます。

I stayed seated.
(しばらく座り込んだ。)

「座り込む」というと、ただ座るよりは長い時間であると感じられます。この場合も、ニュアンスはstayを使うことで訳すことができます。

I stayed with my employer in his house.
(雇い主の家に住み込んだ。)

「住み込む」というと、これもただ住むよりは長い時間がかかると考えられますよね。stayを使うことによって、ニュアンスごと翻訳できるのです。

このように、stayを使うことで、時間が長いというニュアンスを出すことができます。これは、「込む」を訳したというより、文全体のニュアンスを訳したのだと言えます。

「程度が大きい」場合は「deeply」「heavily」:「考え込む系」

「考え込む」と言ったら、ただ考えるよりも深く考えていると思います。なにかの程度が大きい場合には、副詞のdeeplyやheavilyが使えます。

I deeply thought about it.
(そのことについて考え込んだ。)

ただの「考える」ではなく、「深く考える」と言えば、考え込んでいるニュアンスが伝わりますね。その他にも、老け込む・寝込むなどがここに当てはまります。

He aged heavily.
(彼は老け込んだ。)

「老け込む」というと、ただ老けるよりもなお激しく老けているようなニュアンスがありますね。これは「老ける」という状態の強調だと考えられるので、強調の副詞をつけることで訳せます。

I slept deeply yesterday.
(私は昨日寝込んだ。)

「寝込む」というと、寝るという動作を少しおおげさに言っているようなニュアンスがあります。これも程度が激しいと考え、強調の副詞を使うことになります。

程度が大きいことを表わすためには、副詞といっしょに使うのが最適なのです。これもやはり、「込む」そのものではなく、ニュアンスを翻訳していると言えます。

「何度もやる」は複数を強調:「走り込む系」

「走り込む」と「走る」はどう違うでしょうか? 走り込みをすると言ったら、一回だけでなく、何度も走ったニュアンスが出てきます。そのため、まずは「複数」だということを強調してみましょう。

I ran every day.
(走り込んだ。)

every dayをつけることで、少なくとも「何回もやった」ということは伝えられます。これが第一の翻訳です。

また、こちらも単純に「厳しいトレーニングをした」と言い替えればかんたんに伝えることができます。

I trained hard.
(走り込んだ
→激しくトレーニングした。)

「走り込む」のように、その動作を何度もやるニュアンスを英語に訳すことはむずかしいといわれています。その場合は、もっとわかりやすい日本語に言い換えた上で英語に訳した方がいいでしょう。

少し上級の言い方として、前置詞を使うこともできます。行為とその結果をならべてtoやintoでつなげることで、「込む」を表わすことができるのです。

I ran into shape.
(私は健康のために走り込んだ。)

I polished the pan to a shine.
(私は鍋を磨き込んだ。)

「走り込む系」はとても翻訳がむずかしいです。日本語の部分を別のものに言い換えた方が伝わりやすくなるでしょう。

どうして「込む」はむずかしいの?

ここまで見てみると、「込む」が思ったよりむずかしいことに気づきます。私たちは直感的に使っている「込む」ですが、実は色々な意味を含んでいるんです。外国人に日本語を教える場合にも、多くの方が使いこなすことができません。なぜかというと、多くの言語で、「込む」と対応する表現がないからです。

英語もそうで、英語には「込む」という言い方がそもそもありません。「ものが実際に移動する」場合はかろうじて「in」や「into」が対応していますが、それ以外はこれといった対応がないんですね。今回紹介した訳し方も、「込む」そのものではなく、文脈全体を翻訳するようになっています。だから、英語ネイティブが日本語を勉強すると、「込む」をマスターするのはとてもむずかしいと言われています。

だからこそ、日本語から英語にするのもむずかしいんです。

まとめ

私たちは直感的に使いこなせる「込む」といういい方ですが、英語にするのはとてもむずかしいものです。なぜなら、そもそも英語にはそういう言い方がないからです。日本語の「込む」が持っている意味自体も、50年近く議論されていますが、未だに分かっていないくらいです。

私たちが身近に思っている言い方が、外国語にしてみるとむずかしい……という場合はよくあります。その場合は直訳ではなく、ニュアンスを訳すことを目指してみましょう。語学は臨機応変に!

参照文献
・ローレンス・ニューベリー・ペイトン. (2019). 複合動詞「―こむ」と英語表現の対照研究. 日本研究教育年報23, 1-17.
・松田文子. (2004). 日本語複合動詞の習得研究:認知意味論による分析を通して. ひつじ書房.
・姫野昌子. (1999). 複合動詞の構造と意味用法. ひつじ書房.

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