英語学習において、スキルアップに欠かせないのが「語彙力」。単語やフレーズの知識は、英語学習を始めたばかりの初期段階だけではなく、そこから中級・上級へとステップアップをしていく場合にも、常に強化していく必要のある大事な要素です。新しい単語を覚えるために、あれやこれやといろんな方法を試し、日々格闘している方も多いのではないでしょうか。
では、語彙力をつけるためには、どうやって学習していくのが効果的なのでしょうか? この記事では、語彙に関する2つの主な学習方法について、具体例とともにご紹介していきます。
「意図的学習」と「偶発的学習」
実は、この語彙の習得については「第二言語習得論」(人が第二言語を学ぶプロセスを科学的に解き明かしていく学問)と呼ばれる分野においても、これまでさまざまな研究が行われてきました。
そして、この研究分野で出てくるのが「意図的学習」と「偶発的学習」という学習方法。語彙の学習方法には、大きく分けてこの2種類があると言われています。まずはそれぞれについて、簡単にご説明していきますね。
1.意図的学習とは?
「意図的学習(intentional learningまたはdeliberate learning)」とは、語彙のみにフォーカスし、集中的に単語を覚えていく学習方法です。
具体的な例を身近なところで挙げるとすれば、市販されている単語本を使った単語の学習などが意図的学習にあたります。一番スタンダードな学習方法なので、これはきっとみなさんも一度は経験したことがあるはず。
単語本を使ってボキャブラリービルディング(語彙力増強)をしていくときには、各項目に記載されている日本語と英語の意味をそれぞれ確認しながら、学んでいきますよね。例文がついているものも多いと思いますが、そのような文脈には頼らずに、単純に単語の意味をそのまま覚えていく。こういったやり方が、意図的学習に当てはまります。単語本以外では、フラッシュカードや単語帳を使った学習も同様です。
また、学校などでもよくある単語テスト。こちらでも、文脈なしに英語と日本語の訳をそれぞれ覚えて答えさせるものが多いですよね。中学・高校の授業や宿題などでもお馴染みのこのタイプのテストも、意図的学習に当てはまります。
2.偶発的学習とは?
「偶発的学習(incidental learning)」とは、意図的学習のように語彙のみにフォーカスして学習していくのではなく、文脈などを通じて自然に単語や表現を習得していく学習方法です。
代表的なものとしては、「多読」や「多聴」が例として挙げられます。リーディングやリスニングといったインプット学習をしているときには、自分の知らない単語や表現に出会うことがありますよね。これらの語彙を、前後の文脈とともに学んでいくというのが、偶発的学習に当てはまります。
また、リーディングやリスニングといった自己学習以外でも、英会話のレッスン・海外旅行や仕事の現場といったような実践の中で、新たに出会った単語や表現を学んでいく場合も偶発的学習に当てはまると言えるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットとは?
では、この意図的学習と偶発的学習。具体的には、どのように自分の学習に取り入れていけばいいのでしょうか。これには、まずそれぞれのメリットとデメリットを理解しておく必要があります。
1.意図的学習のメリット・デメリット
まず、意図的学習の一番のメリットは、短期間に集中して語彙の獲得ができること。特に、レベル別やカテゴリー・シチュエーション別などに整理されている単語本や単語帳・語彙リストを使用することで、効率よく単語を学習していくことが可能です。こういった教材は、何よりも関連性の高い単語をまとめて覚えることができる点において効果的であると言われています。さらには、同じ教材を使い、一度学習した範囲を何度も繰り返して反復練習を行った場合、定着化へと繋げていくこともできるでしょう。
しかしながら、デメリットとして挙げられるのは、やはりその単調さ。単語をただひたすら覚えていくというのは、どうしても単調な作業になりがちです。また、その場では覚えられたとしても、その単語に付随する情報が少なく刺激も少ない分、すぐ忘れてしまうというリスクも高いのです。
それに加え、単語単体で覚えるだけでは実践力にも欠けます。実際のコミュニケーションの中で、その単語をどう使うのか・どのように使われるのかまでは、意図的学習だけでは踏み込んで学んでいくことができません。
2.偶発的学習のメリット・デメリット
「偶発的学習」の一番のメリットは、その単語が使われた文脈とともに覚えることができるため、記憶にも残りやすく忘れにくいということ。また、単語単体では獲得することのできない、実践的な部分に触れることができるという点も大きなメリットです。
反対に、デメリットとしては、単語の習得までに必要となる量が考えられます。ここでは、多読を例にとって考えてみましょう。単語を記憶に定着させるためには、文章を1回読むだけでは足りません。定着化のためには、同じ単語に10回以上出会う必要があるとも言われており、レベルによってはそれ以上必要となる場合もあります。
もし仮に、多読のみで語彙の獲得を目指していく場合、5,000語を習得するには80,000以上の英文を読まなくてはいけないとも言われています。(※註1,2)
ちょっと気が遠くなるようなお話ですし、限られた学習時間の中で取り組むには、効率が悪いですよね。
以上のことから、十分な語彙力を身につけていくには、偶発的学習だけに頼るのは現実的ではありません。
そこで、効果的な学習方法としては、この「意図的学習」と「偶発的学習」のそれぞれの利点をうまく取り入れ、相互補完的にバランスよく学習を進めていくといいとされています。
レベル別!おすすめ学習方法
ここでは、レベル別のおすすめ学習方法をご紹介します。
1.初級者
語彙力がまだ十分でない初級者の方は、まず意図的学習で単語を集中的にインプットし、ボキャブラリービルディングを行いましょう。基礎的な単語である2,000語レベルをマスターするまでは、この学習方法がまず必要であるとされています。
実際に、学習の初期段階では、偶発的学習で語彙を定着させていくのは難しいこと。なぜなら、多読・多聴に取り組んだとしても、知らない単語や表現が多すぎるからです。これでは、負担も大きくなりますし、それがモチベーションの低下にも繋がる可能性も。英語学習では継続していくことが最も大事な要素のひとつ。この観点からも、まずは意図的学習で、基礎的な単語を集中的に仕上げることが求められます。
2.中級者〜上級者
基礎的な単語のインプットができた状態となってからは、偶発的学習も取り入れ、その比重を重くしていくといいでしょう。
単語や文法の基礎力がすでにある中級レベルになってくると、多読・多聴を行うときに、ある種の余裕が生まれます。すると、自然と新しい単語に注意がいきやすくなり、語彙を獲得できる確率も高まっていきます。
また、偶発的学習だけではなく、中級・上級レベルになっても意図的学習は効果的です。レベル別に分かれた単語本などを活用し、インテンシブに単語を習得していく試みも同時並行で行うと良いでしょう。さらに、そこで学んだ単語を偶発的学習でまた目にする機会を作ることで、相乗効果を狙っていくことができるのです。
ちなみに、オンライン英会話のレッスンでも、この偶発的学習の機会を作ることができます。講師との会話の中で新しく出てきた単語や表現は、“レッスン中に講師がこんな風に使っていた”という実例に触れることができるので、記憶にも残りやすいからです。レッスン後に単語を復習するときも、その時の話の流れや文脈・エピソードも思い出しながら取り組むことで、最大限の効果を得ることができます。
おわりに
今回は、「意図的学習」と「偶発的学習」という2つの学習方法をご紹介しました。これらをバランスよく取り入れることで、語彙学習の効果を最大化することができます。ぜひみなさんも、日々の学習で意識してみてはいかがでしょうか?
【参考】
1)話すための英単語やり直しドリル:知っている単語を使えるようにする(著者: 竹蓋順子、Sandra McGoldrick)
2)語彙学習における付随的学習と意図的学習の融合
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