英語には、どこか直接的でカジュアルな表現が多いイメージをもつ人も多くいますが、実際は日本語と同じく控えめな表現や丁寧な言い回しも頻繁に使っています。ビジネスだけはなく、日常生活におけるコミュニケーションで、「言い方」に注意が必要なのが、「お願い」をする時です。
そこで今回は、「お願い」をするときに注意したい表現や、基本フレーズ、そして丁寧にお願いする「Could you?」「Would you?」の使い分けを解説していきます。場面に合ったスマートな「お願い」フレーズをマスターして、英語でのコミュニケーション力アップを目指しましょう。
お願いするときの英語が丁寧だと誤解しがちな表現
主に学校で教わる英語は、文法的な正しさに偏重してきたこともあり、実際に英語圏で使ってみると自然な表現ではなかった、なんてこともよくあります。
ここでは、特に日本人の私たちが「丁寧な表現」だと誤解しがちな英語表現をご紹介します。
お願い英語の定番「Please」は実は命令口調
何かをお願いする時のフレーズとして、まず日本人が思い浮かべるのが「please」ではないでしょうか。
確かに「Please」には、丁寧さを加える「お願い」の意味合いがあるのですが、その後に続く文の作りが命令形になっているのがポイントです。もともとの文の形が意味にも影響し、どこか上から目線の命令っぽいニュアンスが入ってしまいます。
今後は、意図的ではない限り、「Please」をお願いのフレーズとして使うのはやめましょう。
「I want to」はストレート
英語圏で生活すると、「いつでもストレートな表現を使う」というイメージが打ち消されるほど、相手によって表現方法を変えていることに気付きます。
その中でも、ビジネスシーンはもちろん、買い物などで店員さんと会話する時にも、ストレートすぎる表現は失礼になる可能性もあります。
日本人がよく使ってしまう注意表現が「I want to」という「〜したい」という表現です。自分が欲しいものを直接的に伝えていることから、稚拙にも聞こえてしまいます。
日頃から、「want to」ではなく「would like to」という丁寧表現がすぐ口から出るように練習して慣れておくことをおすすめします。
「Can you speak Japanese?」は失礼
会話を円滑にするためとはいえ、耳にするとヒヤッとしてしまう要注意フレーズが「Can you speak Japanese?」です。
もし相手に何の意図もなく「日本語を話せますか?」と聞きたいのであれば、「Do you speak Japanese?」と聞きましょう。「Can you?」には、「可能かどうか」つまり相手の能力を問うニュアンスが含まれてしまい、相手に不快な想いをさせてしまうかもしれません。
「〜できますか?」という質問をする時に、「Can you?」を使うのは避け、「Do you?」という習慣を聞くフレーズを代用するようにしましょう。
お願いする時に使える基本フレーズ
お願いする時は、相手に気持ちよく引き受けてもらえるような表現を使いたいですよね。
ここでは、「お願い」のフレーズの基本として使いこなしたい英語表現を学んでいきましょう。
「Do you mind ~ing?」
相手への配慮がしっかり表現できるフレーズです。
「Do you mind?」には「あなたは気にしますか?」という意味があり、その後に「~ing」をつけることで、丁寧に「~ing」を相手にお願いすることができます。
例えば、
Do you mind helping me? (手伝ってもらえませんか?)
ここで注意したいのが、相手の返答です。
「手伝ってもいいですよ」=「手伝うことは気にならない」ということで、お願いを受ける時は「No, not at all. (全く気にしないよ)」となります。
一般的には、Yes/Noで答えず、受ける時は「Sure / Ok」で断る時は「Sorry」を使うことが多いので、答え方も覚えておくといいですね。
「Can you ~?」
先ほど要注意表現としてご紹介した「Can you?」ですが、カジュアルなお願い表現としてはよく使われています。
例えば、
Can you show me how to use this? (これの使い方を教えてくれる?)
このような形で、「〜してくれる?」というニュアンスが出るので、ビジネスシーンでは同僚といった近い人以外には使わないようにしましょう。
「Will you ~?」
「Can you?」と同じくカジュアルなお願いの表現ですが、違いは「will」が本来もつ意味にあります。
例えば、
Can you help me?
Will you help me?
両方とも、「手伝ってくれない?」というお願いの意味になりますが、「can」を使うと「手伝う時間・余裕があるか」をたずねる一方で、「will」を使うと「手伝う意志があるか」をたずねるニュアンスがあります。
この違いが理解できると、プロポーズの言葉「Will you marry me?」のニュアンスもイメージがつきやすいですよね。
「May I ask you a favor?」
許可を求める「May I?」を使った丁寧なお願い表現です。
「favor」は、「好意・願い」といった意味があり、「あなたにお願いをしてもいいですか?」というのが直訳のニュアンスです。忙しそうにしている人に声をかける時に使える表現として覚えておきましょう。
さらに丁寧にお願いする時のフレーズ「Could you?」と「Would you?」の違い
ビジネスシーンなど、丁寧さが求められる場面でよく使われる表現に、「Could you?」と「Would you?」があります。
この2つは両方「とても丁寧」と説明されていますが、それぞれもつ意味合いは異なります。
ここでは、丁寧なフレーズである「Could you?」と「Would you?」のそれぞれのニュアンスと使い分け方を確認しておきましょう。
「Could you?」が伝えるニュアンス
基本は、「can」のもつ意味です。「could」には、「can」の過去形で使われる場合と、「can」を弱めた丁寧な形で使われる場合があります。
「Could」は丁寧な表現ではありますが、「能力的・物理的にできるのか?」を問うニュアンスはしっかりベースに残っています。
相手の都合を伺いつつ、対応してもらえるかを丁寧にたずねることができる表現が、「Could you?」です。
「Would you?」が伝えるニュアンス
ここでも、基本は「will」のもつ意味です。「would」とすることで、丁寧さを出すことができます。
ただ「will」のもつ「意志」のニュアンスが残ることから、「お願いを快く受ける意志があるか」をたずねることになります。
「できるか・できないか」よりもまず、「やる意志があるかどうか」に焦点を置く表現が、「Would you?」です。
実例を参考に使い分けよう
ニュアンスの違いを最も明確に理解するには、実例を使うのが一番です。より深く「Could you?」と「Would you?」の違いを理解するために、次の例を使いましょう。
Could you show me how to use this?
Would you show me how to use this?
(この使い方を教えていただけますか?)
この2つの文章の違いは、それぞれ「できるか」と「やる意志があるか」をたずねるニュアンスが入っている点です。つまり、「Could you show me how to use this?」に対して、「I could but I would not. (できますが、やりたくないです)」なんて答え方もできてしまいます。
一般的に、何かをお願いする時は、相手の都合をたずねるニュアンスが強い場面が多いので、基本は「Could you?」を使うと覚えて問題ありません。
状況に応じて、細やかなニュアンスを伝えられると、英語での表現の幅は一気に広がるので、この機会に使い分けをマスターしましょう。
ビジネスシーンで頻出!遠回しにお願いするときに使える便利フレーズ集
最近ではあらゆる業種や職種で、英語でメールをやり取りする機会が増えてきています。相手への確認事項など、あらゆる場面で「お願い」することがあり、スマートで丁寧な表現を使う必要があります。
そこでここでは、ビジネスメールで頻出する「お願い」のフレーズを確認してみましょう。
「I was wondering if you could~.」
「もしできれば〜してもらいたいのですが」という控えめに相手にお願いできるフレーズです。
あえて「I was wondering」と過去進行形を使うことで、お願いするまでのためらいのニュアンスも加わり、丁寧さをプラスさせることができます。
例えば、
I was wondering if you could update me on the plan.
(もしできれば計画について近況をお知らせいただきたいのですが)
のような使い方ができます。
「It would be great if you could ~.」
「〜していただけると助かります」という「してもらえたら嬉しい・ありがたい」というこちらの感謝を事前に伝えることができる表現です。
例えば、
It would be great if you could consider our proposal.
(こちらの提案をご検討いただけると幸いです)
のような使い方ができます。
「I would appreciate if you could ~.」
「It would be great if you could」よりも「appreciate」という「感謝」を意味する単語を入れることで、あなた自身の気持ちをさらに込めた丁寧さを表現できます。
例えば、
I would appreciate if you could reschedule the meeting.
(もし会議の日程変更をしていただけたらありがたいです。)
のような使い方ができます。
このように、「していただけますか?」と相手に問わず、「お願いを受けてもらえると助かる」という気持ちを伝えることで、遠回しにお願いしています。
特にメールでよく使う表現ですが、対面で相手にお願いする時にも使えるので、練習して使いこなせるようにしましょう。
まとめ
「お願い」の表現は、あらゆる場面のコミュニケーションで使われる基本です。
あらゆる言い方があるからこそ、それぞれのニュアンスや丁寧さの度合いをしっかりと理解しておけば、相手に不快な想いをさせることなくお願いすることができます。
まずは、基本のフレーズと丁寧なフレーズを使い分けるところから練習してみましょう。
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