会話をする時、文章を書くときには必ず「なぜこのような結果になったのか」「なぜこう思うのか」など「なぜなら」という理由を述べることで、主張の根拠がはっきりします。
ほとんどの人がまず最初に思いつく英語の「なぜなら」はbecauseだと思いますが、日本語で「つまり」「だから」「それゆえ」など理由を述べるのにいろいろな表現を使うように、英語も様々な表現の方法があります。いくつかよく使われるものを覚えて、表現の幅を広げましょう。
「なぜなら」の代表格 ‘because’
becauseは理由を説明する時に会話でも書き言葉でも使えて利用度が幅広く、「なぜなら」という英語を学習するときに、まず最初に習う単語です。whyで聞かれた時にbecauseで答える、というのが定番となっています。
becauseは文頭や文末に入れることもあれば、単体で使う場合もあります。ここでbecauseの使い方をしっかり復習しましょう。
最初に理由を述べるbecause
「なぜなら」という理由を先に述べる場合は、”Because…, …”のように「Becauseから始まる副詞節+主節」の形をとります。
Becauseから始まる副詞節の終わりに必ずカンマ(,)を打つことに注意しましょう。特に理由に焦点をあてたり強調したい場合に使われる形です。
Because I went to bed early last night, I couldn’t pick up your call.
(昨夜は早く寝たから、君の電話に出ることができなかった)
Because I have an exam tomorrow, I need to study hard today.
(明日テストがあるから、今日は一所懸命勉強しないといけない)
最後に理由を述べるbecause
文頭にBecauseから理由を先に述べる形に比べて、より一般的な形です。主節と理由の間にカンマ(,)はつけません。
また、”…because…’という形だけではなく、”It’s because…”のような形で、理由のみを述べるという形もよく使われます。
下の例で説明すると、この場合の”It”は「パーティーに行けない」という事実を受けているように、通常whyで聞かれたことに対して答える形で使われます。あるいは自分の意見を一つの文章にし、その後にその理由を説明する場合に用いられます。
I study English because I want to travel overseas.
(英語を勉強するのは海外旅行がしたいからです。)
Why can’t you come to the party?
(どうしてパーティーに来れないの?)
It’s because I’m grounded*.
(外出禁止にされているから)
*be groundedは「外出禁止になる」という意味です。「飛行機が離陸禁止」(規則を破った飛行士が離陸禁止になる)という他動詞のgroundが由来で、そこから派生して「悪さや家庭のルールを破ったことで外出禁止」という意味で使われるようになったようです。
子供が宿題をしていない、成績が下がった、禁止されていたことを行ったなどの理由で学校以外の外出を親から禁じられている時に使用される表現です。
短文で使うbecause
“Because…”のように、すでに何のことを話しているのか説明しなくても互いに理解していて、理由のみを伝えたいときに使われます。”It’s because…”の”It’s”の部分が省かれていて、日常会話でよく聞く表現です。
Why do you have to go shopping today? It’s raining outside!
(どうして今日買い物に行かないといけないの?外は雨だよ!)
Because I forgot to buy something I need for school tomorrow.
(明日学校で必要なものを買うのを忘れてたんだよ)
A: Why are you angry with me?
(何で怒ってるの?)
B: Because you stepped on my book!
(僕の本踏んだでしょ!)
A: Oh, come on, that was not intentional.
(おいおい、わざとじゃなかったんだよ)
B: I know but you still owe me an apology*!
(わかってるよ、でもまだ謝ってもらってないからね!)
*”you owe me〜”で「あなたは私に〜の貸しがある」という意味の表現です。ここでは「an apology=謝罪の貸しがある」、つまり”you owe me an apology”で「あなたは私に謝る必要がある」という意味になります。
逆に”I owe you an apology”だと「私はあなたに謝らないといけない」という訳になります。会話でよく出てくるフレーズなので覚えておきましょう。
注意すべきbecauseの使い方
becauseを使って理由を説明する時に、次の例のように全く同じ文章で違う意味にも取れる場合があるので気をつけましょう。ただ通常は会話の流れでどういう意味で話しているのかわかる場合がほとんどですので、それほど神経質になる必要はありません。
I don’t like her because she’s rich.
(A. 彼女が金持ちだから好きではない)
(B. 金持ちだからという理由で彼女を好きな訳ではない)
上記の例でAの意味をよりはっきり表現するには、次のように文章を分けるか、まず最初に理由を述べます。
・I don’t like her. It’s because she’s rich.
(彼女が好きではない。彼女が金持ちだからだ)
・Because she’s rich, I don’t like her.
(彼女が金持ちだから、彼女のことが好きではない)
またBの意味をよりわかりやすく表現するには、just becauseを使って「ただ〜だから」と理由を強調するか、but it’s not becauseを用いて「それだけが理由ではない」ということをはっきりさせると誤解がないです。
・I don’t like her just because she’s rich.
(ただ彼女が金持ちだからという理由で彼女のことを好きなわけではない)
・I like her but it’s not because she’s rich.
(彼女が好きだが、それは彼女が金持ちだからだけではない)
「なぜなら」の代表的な会話言葉
会話でよく使われる、くだけた「なぜなら」の表現を例文とともに学びましょう。
so
形容詞と一緒に「非常に」という意味で使われることの多いsoですが、接続詞としてのsoは理由を述べるために会話で非常によく使われるので、ぜひ覚えておきましょう。
一つの文章の中の文末で使うこともできますし、文頭で使うこともできます。
ただし、注意すべきなのは、becauseから始まる文節が理由を述べるのに対し、soは逆になることです。理由があって、それに対して「だから〜なのだ」という形になるので、so以降が理由を述べていないことに気をつけてください。
次の例では、becauseを使うと次のように言い換えることができます。
My mother is coming over tomorrow, so I’m busy cleaning the house.
(明日母が来るから、家の掃除で忙しい)
→Because my mother is coming over tomorrow, I’m busy cleaning the house.
I have a meeting in 30min. So, I don’t think I have time for lunch.
(30分後に会議がある。だからランチをする時間はないと思う)
→Because I have a meeting in 30 min, I don’t think I have time for lunch.
that’s why
that is the reason whyが省略されたthat’s whyも、soとともに会話の中で頻繁に使われる「なぜなら」を意味する表現です。上手に使うことで会話がグッとナチュラルになるので使い方を覚えましょう。
A: Let’s go have some drinks after work!
(仕事の後に飲みに行こうよ)
B: Well, I have an early meeting tomorrow.
(明日朝早くに会議があるんだよね)
A: Oh, come on, just a few drinks won’t hurt*.
(おいおい、何杯かだけなんだから大丈夫だよ)
B: Only a couple, OK?
(2杯だけだよ?)
A: That’s why I like you!
(だから君が好きなんだよ)
*won’t hurtは文字通りだと「傷つけることがない」という意味ですが、口語では「差し障りがない、損をしない」という意味で使われます。とても英語的な表現で、会話中でよく使われるので覚えておきましょう。
前述の例以外に、例えば次のように使うことができます。
・It won’t hurt us to wait for her a little longer.
(彼女をもう少し待っても(私たちにとって)問題はないでしょ)
・I’m on a diet but I guess a little bite of chocolate won’t hurt.
(ダイエット中だけどチョコレートをちょっとかじるだけなら大丈夫かな)
cause / cuz / cos
’causeやcuz、cosは全てbecauseを省略した口語表現です。書き言葉には使いませんが、友人とのメッセージのやりとりやSNSのコメントや投稿で見たことがある人もいるのではないでしょうか。
’causeやcuzはアメリカ、cosはイギリスで使われます。becauseの「be」の部分は発音で省かれるため、知らないとリスニングで聞き取れない場合が多い単語の一つです。
Why are you calling me so early?
(なんでこんなに朝早くに電話してきたの?)
‘Cause you asked me to!
(君が頼んだんじゃないか!)
I quit my job cuz (cos)I got fed up.
(うんざりしたから、仕事をやめたんだ)
and
「そして、〜と〜」の意味のandはこれまで出てきた表現と比べてダイレクトに理由を指すことはありませんが、「結果としてどうなったか」という観点において理由を述べる場合に使うことができます。
Bring the flowers into a warm room and they’ll soon open.
(その花を暖かい部屋に持っていけば、すぐ花が開くよ)
→花が開くのは、暖かい部屋におかれることが理由
Stand over there and you’ll be able to see it better.
(そこに立てば、もっとよく見えるよ)
→もっとよく見えるのは、そこに立つことが理由
the reason is that
the reason is thatは「理由はこれこれである」と強調したい場合に使い、会話でも書き言葉でも使うことができます。
注意しなくてはいけないのは、the reason is becauseという表現もよく聞いたり目にすることがあるかもしれませんが、この正当性を巡って専門家の間でも意見が分かれていることです。
the reason is becauseは「理由(the reason)が理由(because)だ」のように「同じことを繰り返しているため正しくない」とされる意見がある一方、「実際使う人も多いし不自然ではない」という意見もあります。
ただし誰が見ても正しいのはthe reason is thatなので、もし試験などで出題された時はこちらを選ぶ方が確実ですし、普段からこちらに慣れていた方が間違いがありません。
The reason is that it rained a lot last night.
(その理由は昨夜雨がたくさん降ったからです)
The reason is that he is suffering from insomnia.
(その理由は彼が不眠を患っているからです)
そのほかの「なぜなら」の表現方法
理由を述べる英語表現はほかにもたくさんあります。ここでは中でも頻出の知っておくべき表現を解説します。
because of, as a result of, caused by
これまでが「接続詞+文章」という形だったことに対し、これらは前置詞であるためその後にくるのは名詞です。
例を見てみましょう。
The flight was delayed because of bad weather.
(フライトは天候不良のため遅延した)
引用:Cambridge Dictionary
As a result of the accident, he was out of work for three months.
(事故が原因で、彼は3ヶ月間仕事を休んだ)
引用:Merriam-Webster
The company’s bankruptcy is caused by the sudden drop in sales.
(その会社の倒産は、売上の急激な落ち込みによって引き起こされた)
thanks to / due to / owing to
thanks toはポジティブな理由、due toとowing toはネガティブな理由に主に使われます。これらも前置詞のため、後に続くのは名詞や代名詞になります。
I managed to finish my homework thanks to your help.
(君が手伝ってくれたおかげで、なんとか宿題を終えることができたよ)
I can’t go on a holiday due to the lockdown.
(都市閉鎖のために休暇に出かけられない)
Every country’s border is closed owing to the pandemic outbreak of a new virus.
(新ウィルスの世界的流行のために、あらゆる国の国境が封鎖されている)
「なぜなら」の代表的な書き言葉
最後に書き言葉で使われる、理由を伝える時に使われる代表的な接続詞を解説します。日常会話で使われることはほとんどありませんが、英文の読み書きに知識として必要なので覚えておくと役立つでしょう。
since
becauseに比べてフォーマルで、会話でも使用することはできますが、主に改まった場で使います。理由よりも結果を強調したいときに使われるのが特徴です。また、理由が既知の情報や常識的に予想できることで意外性がない場合に用いられます。
文頭・文末両方に使えますが、文頭の場合は「Since…,」文末の場合は「, since…」のように必ずカンマ(,)をつけることに注意しましょう。なお文末よりも文頭で使われることの方が多い単語です。
Since the weather is bad, we decided to stay home.
(天気が悪いので、私たちは家にいることにした)
There is no need to travel for meetings anymore, since everything can be done online.
(全てオンラインでできるので、もう会議のために旅をする必要がない)
as
asもsinceとほぼ同じ使われ方がされるフォーマルな表現です。同じように文頭で使われる頻度の方が文末で使われるよりも多いのですが、sinceと異なるのは「文末に使う場合はカンマが必要ない」という部分です。
As it was getting late, I decided to book into a hotel.
(遅くなってきたので、ホテルにチェックインすることにした)
引用:Cambridge Dictionary
You can go first as you’re the oldest.
(あなたが一番年上だからお先にどうぞ)
引用:Cambridge Dictionary
so that
まず理由を述べてso that以下に結果としてどうなったかを示す時に使う表現です。
so thatのthatは省くことが可能です。
Leave the keys out so that I remember to take them with me.
(鍵を出しておいて。そうすれば持って行くのを忘れないですむから)
I deliberately didn’t have lunch so that I would be hungry tonight.
(わざとランチを食べなかった。そうすれば今夜お腹がすくから)
therefore / hence / thus / consequently / accordingly
これらは非常に硬い表現で、論文や契約書などのビジネス文章によく用いられます。会話で使われることはまずありませんが、ビジネス英語を学んでいたり論文を書く予定がある場合覚えておくといいでしょう。
We were unable to get funding and therefore had to abandon the project.
(資金を調達することができなかったので、プロジェクトを断念した)
A better working environment improves people’s performance, and hence productivity.
(より良い仕事環境は人のパフォーマンス向上を促すこととなり、結果として生産性も上がる)
They planned to reduce staff and thus to cut costs.
(人員を削減し、結果としてコスト削減になることを計画した)
All the shops were closed, and consequently we couldn’t buy any food.
(全ての店が閉店していたので、何も食べ物を買うことができなかった)
Surveys suggest that these shows are not what most people want to watch. Accordingly, one network is now scheduling a made-for-TV movie every Sunday night.
(調査によるとこれらの番組は視聴者が見たいと思うものではないことがわかった。そのため、ある放送局は毎週日曜日の夜にテレビ専用に作られた映画を放送することを計画している)
まとめ
理由を示す英語表現はたくさんあるため、一度見ただけでは覚えきれないかもしれません。最初はまず、汎用性の高いbecauseとカジュアルな場面で使うsoなどの表現を使えるようになることに集中。そして余裕が出てきたら、徐々にここで紹介した他の表現も覚えていくようにしてくださいね。
理由を述べられるようになるとストーリーを話すことができるようになり、会話の幅が広がります。少しずつ使いこなせるようになっていけるよう練習しましょう。
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