「買い物を忘れがち」「やりたくないことを後回しにしがち」「複雑に考えがち」など、「〜しがち」という傾向を表す言葉は日常的によく使われますよね。
では英語で「〜しがち」はなんていうのでしょうか。多くの方は、tend toというフレーズをすぐ思いつくことでしょう。
英語ではほかにも、likely to, apt to, inclined toなどの表現がありますが、今回はこれらをどのように使い分けたらいいのかについて解説します。
一般的に使われる「〜しがち」を表す表現
「〜しがち」という傾向を意味する一般的なフレーズとして「tend to」がよく使われます。
また、tendの名詞形tendency を使って「have a tendency to」という表現もありますので、両方セットで覚えておくと便利です。
tend to
「tend to+動詞原型」で特定の行動や特定の傾向を表す自動詞のフレーズで、日本語で言う「〜しがちである」「〜する傾向がある」の意味で使われます。
I tend to eat more in autumn.
(私は秋にもっとたくさん食べる傾向がある。)
「少食になる傾向がある」と言いたい場合は、eat moreの代わりにeat lessを使います。
The British traditionally tend not to display much emotions in public.
(イギリス人は伝統的に公の場で感情を出さない傾向がある。)
(引用:Cambridge Dictionary)
「〜する傾向がある」「〜しがち」を否定にする場合は、tendとtoの間にnotが入り、「tend not to」となるので覚えておきましょう。
「tend not to」の代わりに「don’t tend to 」も間違いではありませんが、英語としてナチュラルなのは「tend not to」です。
I tend to forget things easily.
(私はものごとを簡単に忘れがちである。)
口語ではthingsの代わりにstuffに置き換えることも可能です。stuffはそれだけで複数のものを指すので、一般的には単数形のまま使われます。たくさんの意味をつけ加えたいのであれば、a lot of stuff, so much stuffなどと表現します。
なお、他動詞のtendは次の例のように「世話をする・大事にする」という意味に変わるので注意が必要です。
For years he tended her in her painful illness.
(長年彼は痛ましい病気の彼女の世話をした。)
(引用:Collins Dictionary)
The nurse gently tended the patient’s cuts and bruises.
(看護師は優しく患者の切り傷とアザの手当をした。)
(引用:Cambridge Dictionary)
have a tendency to
tendの名詞形tendencyを使った表現として「have a tendency to」があり、tend toと同じ意味で使用されますので、そっくり入れ替えることが可能です。ただ会話ではよりシンプルなtend toの方が多くの場合に使われます。
I have a tendency to talk too fast.
(私は早口でしゃべりがちだ。)
talk too fast以外にもtoo fastを使ってwalk too fast(早く歩く), eat too fast(早食い)などいろいろな言い回しができます。逆に「ゆっくり話し過ぎる」場合は、talk too slowlyとなります。
too fastもtoo slowlyも「〜しすぎ」のtooがなくても問題ありませんが、この例の場合は、tooを入れることでよりスピードを強調しています。英会話ではこのように必要ない場面でも、大げさにいうことがよくあることを頭に入れておきましょう。
She has a tendency to work late.
(彼女は残業をしがちだ。)
(引用:Cambridge Dictionary)
work lateは「残業をする」という意味で、必ずしも遅い時間まで仕事をすることを意味しませんが、 work till lateは「夜遅い時間まで仕事をする」という意味になります。
When it comes to homework, I have a tendency to procrastinate.
(宿題となると私は先延ばしにしがちだ。)
procrastinateは「すべきことをやりたくない、つまらないという理由で先延ばしにする」という意味です。英文や英会話によく出てくる単語ですので、ぜひ覚えておきましょう。
会話で例えば、“I know I have to deal with the problem but I’m just procrastinating. ”(問題に取り組まないといけないのはわかってるんだけど、先延ばしにしてるんだよね。)といった使い方ができます。
ネガティブな「〜しがち」を表す表現
「怪我をしがち」「洪水になりがち」などネガティブな傾向を表すには、「be prone to」や「be liable to」が使われます。特に「be prone to」は会話にもよく出てきますので、ぜひしっかり頭に入れておきましょう。
be prone to
怪我や病気などネガティブな現象や特性に対する傾向を表すフレーズは「be prone to」です。be prone toのあとは名詞・動詞原型のどちらも使用できます。
またproneは、accident-prone(事故を起こしやすい)、injury-prone(怪我をしやすい)のように接尾辞としても大変よく使われるのでぜひ覚えてくださいね。
For all her experiences, she was still prone to nerves.
(彼女は全ての経験をもってしても、緊張しやすかった。)
(引用:Collins Dictionary)
nerveは神経を意味する単語ですが、複数形では「緊張」という意味にもなります。
People with fair skin who sunburn easily are very prone to skin cancer
(色白で日焼けしやすい人は、皮膚ガンになる傾向が非常に高い。)
(引用:Cambridge Dictionary)
この例のようにbe prone toは病気や怪我などになりやすい場合に一番よく使われます。
ほかにも同じような例として“I was prone to injury when I was small.” (子供の頃は怪我をしがちだった) “He is prone to accidents.”(彼は事故に遭いやすい傾向がある)などがあげられます。
He is prone to exaggerate.
(彼は大げさにいいがちだ。)
動詞を組み合わせた場合の例です。このようにbe prone toは怪我や病気だけではなくネガティブな性質に対しても使われます。
be liable to
liableは「責任がある」という意味の形容詞で、保険や免責事項など契約・法律に関する書類によく出てくるので見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
責任を表す以外にも、be liable toは起こりうる危険や好ましくないことが起こる傾向を示すことがあります。
If you don’t take care of yourself, you’re liable to get sick.
(体調管理しないと病気になるよ。)
(引用:Cambridge Dictionary)
この例のように、ある行動を行わないことにより悪い結果が導き出される場合によく使われます。似た例として”Watch out, or you are liable to fall!”(気をつけないと、転ぶよ!)のように不慮の事故などネガティブなことが起こる傾向を意味します。
He’s liable to say anything that comes into his head.
(彼は頭に浮かんだことをなんでも口に出しがちだ。)
(引用:Cambridge Dictionary)
頭に浮かんだことをすぐ口に出すことはポジティブな特性として捉えられることもあるかもしれませんが、この例では「余計なことを口にする」というネガティブな意味を指しています。
The areas of town near the river are liable to flooding.
(街の川近辺のエリアは洪水になりやすい。)
(引用:Cambridge Dictionary)
この場合のfloodingは動詞ではなく名詞のfloodingが使われています。
動詞原型を使って“The areas of town near the river are liable to flood.”も文法的には間違っていませんが、文章として不自然で「街の川近辺の地域が増幅する」という意味にもとれて意味が曖昧になってしまいます。この理由から、通常はfloodingを使うことが自然です。
例文の背景として、「以前からこの地域では洪水がよく起こっている」(=洪水が起こりがち)という傾向が示唆されています。
道路標識でも”Road liable to flooding”(洪水になりやすい道)がたまに見かけられます。このように、洪水になりがちな傾向を示唆して注意喚起を促す場合にも使われます。
そのほかに「〜しがち」を表す表現
過去の行動や常識から考えて「こうなるであろう」と想定されるフレーズ「be likely to」や「be apt to」も日本語の「〜しがち」と似たような意味合いで使えます。
中高生時代の英語の授業で「be apt to」が「傾向を表すフレーズとして学習したことを覚えている方も多いでしょう。ただしこの2つの表現は使い方が異なります。本来なら「tend to」を使うべきである場面で、「be apt to」を使ってもネイティブにうまく通じません。ここでしっかり復習しておきましょう。
be likely to
常識や知識から予想されるこれから起こるであろうことを表し、傾向を表すフレーズとして使えます。
Please remind me. I’m likely to forget.
(私に思い出させてください。忘れがちなので。)
Children from an underprivileged family background are statistically more likely to become involved in crime.
(経済的に恵まれていない子供たちは、統計的に犯罪を犯す傾向がある。)
(引用:Cambridge Dictionary)
Are parents who have a lot of money likely to spoil their children?
(お金持ちの両親は子供を甘やかしがちなのですか?)
(引用:Cambridge Dictionary)
be apt to
likelyとほぼ同意語ですが、過去のいつもの行動や習慣などから想定してそうなるだろうというときに使われ、likelyよりも過去との繋がりがより強調されます。
The kitchen roof is apt to (= likely to) leak when it rains.
(キッチンの天井は雨が降ると雨漏りしやすい。)
(引用:Cambridge Dictionary)
She’s in her eighties now and apt to be a little forgetful.
(彼女は80代で物事を忘れがちだ。)
(引用:Cambridge Dictionary)
This type of weather is apt to be more common in winter.
(冬にはこういう天候になりがちだ。)
(引用:Collins Dictionary)
be inclined to
tend toは普段からその傾向が習慣的に生じる場合を指すことに対し、be inclined toは日常的にそうではないが、外部からのプレッシャーやモチベーションなどによってその方向に傾いている場合に使われます。また、ほかのフレーズに比べてフォーマルな表現になります。
He is inclined to disagree.
(彼は同意しない方向だ。)
その場でのプレッシャーなどによって、同意するよりも同意しない方向に傾いていることを意味する一方、He tends to disagree(彼は意見に反対しがち)は、いつも同意しないで今回も同意しないことを意味する、というニュアンスの違いがあります。
Most animals are inclined to run when they feel threatened or frightened.
(動物の多くは危険や恐怖を感じると走る傾向がある。)
(引用:Macmillan Dictionary)
be threatenedは身体的・精神的に身の危険を感じることの意味で、be frightenedは恐怖を感じることです。
混乱しやすい単語ですが、be frightenedは狭い場所やエレベーターなどが原因となるのに対し、be threatenedは主に人や動物などが原因となるという違いがあります。
They’ll be more inclined to listen if you don’t shout.
(君が大声を出さなければ、彼らはもっと耳を傾けてくれるよ。)
(引用:Oxford Dictionary)
be inclined toはこのようにmore/lessなど比較を使って意味を強調することもできます。
まとめ
日本語では傾向を表すには「〜しがち」の一言でたいていの場合は事足りますが、英語では使う状況によっていくつかのフレーズを使い分ける必要があります。全部覚えるのは大変!という方は、日常会話でよく使われる「tend to」と「be prone to」の2つだけは使いこなせるようにしっかり練習しておきましょう。
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