英検の勉強を始める前に知っておきたいのが、自分には何級の受験がふさわしいのか、そして各級の難易度はどの程度なのかということ。
中学生レベルや大学生レベルなど、英検は級によって出題範囲や単語数が変わります。そのため自分の実力に合わない級を選んでしまえば、時間やお金を無駄にしかねません。
そこで今回は、英検各級のレベルや効率的な勉強方法をまとめました。また自分に合った級のチェック方法や、同じ英語試験であるTOEICとの違いも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【例題付き】英検の各級レベルを解説!単語数や問題形式がポイント
はじめに、英検の各級レベルを解説します。英検は1~5級までが7段階に分かれており、各級で単語数や問題形式が異なるのがポイントです。
過去に出題された問題を参考にしながら、自分には何級が合っているのか考えてみましょう。
【5級/4級】英語の基礎。主に中学生レベル
英検の5級と4級は、英語の基礎である中学初級~中級レベルです。この2つの級で鍵となるのは、中学レベルの基本的な単語や文法を覚えているかどうか。合格に必要な単語数は5級が約600語、4級が約1,300語です。
下記は実際に4級で出題された問題なので、参考に見てみてください。
It’s snowing a lot today, so please drive( ).
1. slowly
2. freely
3. coldly
4. busily
引用元:実用英語技能検定
5級のリーディングでは、上記のような空所補充問題と単語の並び替え問題のみ出題され、4級からはさらに長文の内容一致問題が追加されます。リスニングは、5級・4級ともに会話と短文を聞いてから回答を選ぶ問題です。
合格点は5級が419点(満点850点)、4級が622点(満点1,000点)なので、過去問を解く際の目安として参考にしてみてください。またスピーキングの技能を測る二次試験も受けられますが、こちらの点数は合否に影響しません。
答え:1
【3級】面接が必須!中学卒業/高校受験レベル
英検3級では、問題の難易度が中学卒業(高校受験)レベルまでアップします。単語数は約1,300~2,100語まで増え、出題されるトピックは身近な話題のほかに人物紹介や歴史などが含まれます。
下記のようなやや難易度が高い熟語が登場するのも、4級と3級の違いでしょう。
Harry and Paul couldn’t come( )with any good ideas for the science contest.
( 1. on 2. in 3. into 4. up )
引用元:実用英語技能検定
単語や熟語のほかに、時制や不定詞、比較級など中学で習う文法は基本的にすべて出題範囲です。
さらに短文英作文が追加されること、二次試験のスピーキングの点数が合否に影響されることも3級の受験で覚えておきたいポイント。スピーキングは面接形式で、英文を音読したり面接官の質問に答えたりします。
3級の合格点は一次試験が1,103点(満点1,650点)、二次試験が353点(満点550点)です。
答え:4
【準2級/2級】履歴書に書ける!大学受験レベル
進学や就職でアピールできるのは、高校中級レベルの英検準2級が目安。2級にもなると大学受験レベルの英語力を証明でき、留学に自信を持って挑戦できます。
単語数は準2級が約3,600語、2級が約5,100語で、adopt (採用する)のような日常的に使わない単語や、deal with~ (~対処する)のような3級より難しい熟語を聞かれる問題が増えます。
下記は、過去に2級で出題された問題です。
The lifeguard ran into the ocean to help a young girl who looked like she was ( )in the big wave.
( 1. proposing 2. converting 3. drowning 4. exporting )
引用元:実用英語技能検定
一次試験(筆記)と二次試験(面接)の合格点は、それぞれ下記の通りです。
準2級:一次試験1,322点(満点1,800点)、二次試験406点(満点600点)
2級:一次試験1,520点(満点1,950点)、二次試験460点(650点)
答え:3
【準1級】留学先でも困らないレベル!就職にも役立つ
英検準1級は、大学中級レベルの英語力です。単語数は7,100語以上で、留学などの英語環境でも不安なく生活できるレベルだと言えます。
準1級の試験で特に注目したいのが、英作文の書き方に指示が増える点です。
たとえば2021年の第一回試験では“Agree or disagree:Big companies have a positive impact on society (賛成か反対か:大企業は社会に良い影響を与える)”というテーマが出され、下記4つのポイントのうち2つを作文に含めるよう指示がありました。
・Product(製品)
・The economy(経済)
・The environment(環境)
・Work-life balance(仕事と生活のバランス)
今までの級と違い自分の意見を自由に書けない点が、英作文における準1級の難しさでしょう。
準1級の合格点は一次試験が1,792点(満点2,250点)、二次試験が512点(満点750点)です。
【1級】世界で活躍できる!ネイティブに近いレベル
英検で最高難易度の1級を取得すれば、海外への出張や赴任にも対応できるネイティブに近い英語力を証明できます。
単語数は準1級をはるかに上回る10,000~15,000語で、二次試験では2分間のスピーチも。スピーチでは豊富な語彙力と相手へ伝える発信力が求められ、合格のハードルはかなり高いです。
それでは実際に、1級で出題された空所補充問題とスピーチのサンプルテーマを見てみましょう。
Cell phones have become a permanent( )in modern society. Most people could not imagine living without one.
( 1. clasp 2. stint 3. fixture 4. rupture )
スピーチのサンプルテーマ
Do the rich have a responsibility to help the poor in society?
引用元:実用英語技能検定
1級の合格点は一次試験が2,028点(満点2,550点)、二次試験が602点(満点850点)です。
答え:3
各級の勉強方法と対策を解説!効率よく勉強しよう
どうすれば効率よく合格できるのか、各級の具体的な勉強方法と対策を解説します。
【5級】英語の基本をおさえよう。ひねった問題は少ない
英検5級に合格するためには、英語の基本を確実におさえることが大切。5級はひねった問題が少ないため、深く考え込むのはNGです。
具体的に、下記の過去問を参考に説明します。
I know Judy. She can( )French very well.
( 1. see 2. drink 3. speak 4. open )
引用元:実用英語技能検定
上記の文章では( )の後ろにFrench(フランス語)が続いていることから、対応する単語はspeak(話す)が正解です。
5級の問題では、たとえ複数の意味をもつ単語でも、第一で使われる頻出の意味が回答になることがほとんどです。
たとえばspeakには”話す”のほかに”講演する”などの意味がありますが、ここで「話すと講演する、どちらの意味だろう?」と悩む必要はありません。大抵の場合は、最も簡単な基本の意味を聞かれています。
またリスニングは音声のスピードがゆっくりで、2回リピートされるため安心してください。1度目を聞き逃したからといって、慌てないようにしましょう。
5級の対策としては、中学初級レベルの単語と文法を単語帳や問題集で確実におさえること。そして実際に過去問を解き、問題形式を把握してから本番に備えることが大切です。
【4級】5級のレベルが実用的に。スピードもプラスして
4級では、5級で問われる知識を応用して実践で使えるレベルの英語力が求められます。たとえば過去には、下記の問題が出題されました。
When Sachiko was visiting India, she( )her camera.
( 1. lost 2. lose 3. to lose 4. losing )
引用元:実用英語技能検定
上記の問題では、lose(紛失する)の活用法を問われています。前文で過去形の”was”が使われていることに気づけなければ、正解の” lost(紛失した)”には辿り着けません。
単語の意味を答えられるかどうかだけでなく、その単語が文章内でどのように活用するのか知らなければ解けないのが5級と4級の違いです。4級レベルの単語を覚えることは当然として、時制の一致など中学レベルの基本的な文法を改めて見直しましょう。
また4級からは長文読解問題が追加され、まとまった文章を読む読解力も求められます。長文読解問題の正答率を上げるためには、回答時間に余裕を持つことが重要。本番で時間切れにならないように、時間配分を意識しながら過去問を解いて練習するのが効果的です。
【3級】面接対策が必須。英語をトータルで学ぼう
英検3級に合格するためには、単語や文法を知っているだけでなく、実際に日常の身近な場面で使えるレベルの英語力が必須です。
下記は3級で過去に出題されたリーディングの問題ですが、正解は分かりますか?
Sarah saw some flowers by the road while she was taking a walk. She( )a few and took them home.
( 1. spent 2. wished 3. picked 4 .guessed )
引用元:実用英語技能検定
正解は、”picked(摘む)”です。
前文の「サラは散歩中に道で花々を見かけた」を読み解けること、そして選択肢4つの単語の意味がわかることが不可欠で、単語帳で語彙力を強化しておく必要があります。
また3級からは、ライティングとスピーキングの試験が追加されます。英検の公式サイトを見ると、スピーキングの試験をバーチャルで体験できるサービスがあるので、それを活用して当日の流れをおさえておくとよいでしょう。
バーチャルで体験できるサービス
参考:3級の過去問・対策「英検バーチャル二次試験 3級」
3級からは読む・書く・聞く・話すすべての技能を測定するため、4技能の土台となる語彙力をまず単語帳で鍛え、できれば英語が得意な人に面接の練習を手伝ってもらうことをおすすめします。
【準2級】全部門が一気に難易度UP!3級までの基礎を応用できるように
ゆるやかに難易度が上がる5~3級ですが、3級と準2級ではレベルが全く異なります。
下記の過去問からも、単語や熟語のレベルが格段にアップしていることが分かるでしょう。
After easily beating the strongest team in the league, the coach of the baseball team was( )winning next weekend’s game.
( 1. used up 2. derived from 3. similar to 4. confident of )
引用元:実用英語技能検定
正解は、”confident of(確信している)”です。
選択肢の熟語の意味が分かるだけでなく、文脈を理解できなければ正解を導き出すことは難しい問題だと言えます。
さらに準2級では長文の穴埋め問題が登場すること、すべてのリスニング問題の音声が1回しか流れないことにも注目したいところ。3級までと同じ対策では、歯が立たない可能性があります。
そこで準2級へ合格するためには、まず単語・熟語・文法を確実にしましょう。この3つの基礎を固めたうえで何度も過去問を解き、いろいろな長文に触れて読解スピードを上げることが重要です。
またリスニングでは、日頃からシャドゥイングで耳を鍛えておくのがおすすめ。リスニング力を鍛えられるだけでなく、発音も磨かれるためスピーキング試験の音読対策に有効です。
【2級】高校英語を完璧に。幅広いテーマに対応した語彙力を
2級では日常生活のほかに医療やIT、自然、科学など社会に関する幅広いテーマから問題が出題されます。
Expert at the art gallery discovered that one of their painting, which they had thought was a( )Picasso, was actually just a copy.
( 1. genuine 2. severe 3. logical 4. portable )
引用元:実用英語技能検定
正解は、genuine(本物の)です。
問題を見て分かる通り、単語のレベルが高いだけでなく”one of their painting”を”which~Picasso”が修飾している点など、2級以上は構造が複雑な文章がよく登場します。
2級を攻略するために必要な対策は、まず医療やITなど幅広いテーマの英文に触れ語彙を増やすこと。そして長文問題を速く読めるだけでなく、文章のどこに要点が書かれているのか意識しながら読むクセをつけることです。
ライティングやスピーキングなど自由回答の試験では、テーマと離れた内容を書いたり話したりした場合、減点または0点の可能性があるため注意してください。できれば試験前に、英語のプロに英作文の添削や面接の練習をお願いするのがよいです。
【準1級】10,000語近く暗記が必須!速読も対策を
準1級は、2級とは段違いの難しさです。必要な単語数は約7,100語以上にのぼり、特に最初の空所補充問題では難易度の高い単語が頻出します。
とにかく語彙力が無ければ歯が立たないのが準1級なので、単語帳はもちろん過去問に登場する語彙もおさえて、理解できない語彙を極限まで減らす努力が必要です。
それでは実際に準1級の単語を理解できるかどうか、下記の過去問に挑戦してみましょう。
Mark spent more than a month in the hospital after becoming the victim of a( )bear attack.
( 1. dazed 2. vicious 3.heartfelt 4. superior )
引用元:実用英語技能検定
答え:2
また長文読解では文量が増加し、ときには論文のような堅苦しい文章が登場することも。ゆっくりと読んでいると時間切れになるため、注意してください。過去問を解くときは時間を計り、目標時間内に読む速読の練習が必要です。
リスニングでは難しい単語が登場することから、聞き取れなかった単語に気を取られて続きの音声を聞き逃してしまう受験者が少なくありません。全ての単語を完璧に聞き取る必要はないため、話の大枠と要所を捉える意識を持って日頃から問題を解きましょう。
【1級】単語は準1級の2倍。難しいテーマでも論理的な回答ができるように
英検で最高難易度の1級は、一発で合格することが難しい高い壁です。文法そのものの知識が問われる問題はほとんどなく、文脈を理解し正しい単語を選ぶ力が求められます。
Now that the local steel factory has closed down, the streets of the once-busy town are lined with( )businesses. Most owners have abandoned their stores.
( 1. rhetorical 2. volatile 3. defunet 4. aspiring )
引用元:実用英語技能検定
答え:3
ライティングの試験では、単語力のほかに論理性もチェックされます。序論・本論・結論を意識した論理的な回答ができなければ、高得点は望めません。そのため日頃からニュースや新聞に触れ、自分の意見を論理的に英語でまとめる練習をするとよいです。
この論理性を意識して文章を組み立てる練習は、スピーキング試験でも役に立ちます。「いきなり英語で論理的な話なんてできない」と感じる人は、まずは考えを文字にまとめて、書いた文章の構造を意識しながら口に出す練習をしましょう。
スピーチは時間制限があるので、練習時にストップウォッチで時間を計るのがおすすめ。2分間の長さを身体で覚えられるのに加えて、本番を意識することで試験当日に緊張しなくて済みます。
英検受験のメリットは?
英検以外にも英語関係の試験にはTOEICやTOEFLなどいろいろありますが、英検ならではのメリットとは一体何なのでしょうか。
第一のメリットとして、日本での認知度の高さが挙げられるでしょう。日本国内の学校は英検を推薦入試の場などで高く評価しており、高校や大学、大学院への進学で有利に働きます。
英検はほかの英語試験と違い、中学受験レベルや高校卒業レベルなど学校教育における英語の習熟度を測っているのが特徴です。そのためビジネスに特化したTOEICなどの試験と比べて、学校の成績として評価されやすいです。
また進学だけでなく、就職の場でも英検の点数を高く評価する日系企業は少なくありません。英語教員や通訳案内士など英語力を求められる職においては、試験が一部免除になる優遇措置も設けられています。
2019年度には合計3,924,841人が受験を志願していること、そして文部科学省が後援していることからも、英検は日本で英語力を証明するには不足ない試験だと言えるでしょう。
英検受験のデメリットは?
上記のようなメリットがある一方、英検のデメリットとして挙げられるのが、海外でアピールしにくいこと。
英検は日本独自かつ日本人向けの試験であり、海外進学や海外就職の場での活用が難しいです。なかには英検の点数を加味する海外の学校もありますが、基本的にはTOEFLやIELTSの点数で評価されます。
またTOEICなどの試験は合否が存在しないため点数で英語力を証明できますが、英検の場合は合格と不合格の2択のみです。せっかく高い英語力を保持していても、1点足りずに不合格になれば英語力の証明はできません。
英検は国内での進学や就職に役立ちますが、グローバルな場では効果が薄いこと、そして合否の2択しかないため「確実に目標の級を合格する」というモチベーションが求められることを理解する必要があります。
英検の各級をTOEICと比較するとどのくらいの点数?特徴の違いは?
英検と同じく日本で有名な英語試験といえばTOEICですが、「英検1級はTOEICで何点くらい?」などの疑問がある人もいるでしょう。
下記は英検とTOEICの点数を比較した表なので、ぜひ参考にしてみてください。
英検 | TOEIC(L&R) |
---|---|
1級 | 945~990点 |
準1級 | 785~945点 |
2級 | 550~785点 |
準2級 | 225点~550点 |
3~5級 | 120点~225点 |
出典元:文部科学省
ただしここで注意しておきたいのが、一般的なTOEICの試験である(L&R)では、リスニングとリーディングしか測らないという点です。スピーキングとライティングの技能を測りたい場合は、TOEIC(S&W)も受ける必要があります。
また、英検は学校教育における英語力、TOEICではビジネスにおける英語力を指標としていることから、求められる知識や能力が異なります。
英検が得意な人もいればTOEICが得意な人もいるため、まずはそれぞれの過去問を解いて向き不向きを確認するのがよいでしょう。
自分の英検レベルをチェックするにはどうしたらいい?
英検で何級を受験すべきか分からない人は、まず日本英語検定協会の公式サイトで各級の過去問を覗いてみてください。それぞれの過去問を見て、「少し難しいかな?」と感じる級を目標に設定しましょう。
また、インターネットで「英検 レベル チェック」と検索すると、自分の英検レベルを調べられるサイトがいくつか見つかります。10分程度の短時間で測定でき、回答後に分析結果を詳しく教えてくれるのがうれしいポイント。無料で利用できるサイトがほとんどなので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
英検は日本の学習カリキュラムに合った試験であり、日本国内の学校や日系企業から高い評価を得ています。
英語力の高さはもちろんのこと、学校の英語教育に真剣に取り組んだことや、目標を達成するために努力したことなどもアピールできるでしょう。
特にこれから進学や就職を控えている人は、英検の資格を役立てることができるので、今回の記事を参考にぜひ取得を目指してみませんか?
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