「英語がなかなか上達しない」「ネイティブのように滑らかに話せない」などと悩んでいませんか?その原因は耳から英語を学習していないからかもしれません。実は、「耳」から英語学習をすれば、効果は2倍になることも。ここでは、英語上達に不可欠な耳で聞いたことを「まねする」学習法について解説します。
言語習得は「まねすること」から始めるといい
私たち日本人はどうして日本語を話すのでしょうか?母語である日本語は、学習することなく「自然に身についた」と感じている人もいるかもしれませんね。では、母語と第二言語の習得プロセスについて見ていきましょう。
母語習得は「まね」でできあがる
私たち人間が赤ちゃんとしてこの世に誕生してから、母語が話せるようになるまでには数年の時間が必要です。1~2歳で単語を発するようになり、それが短い文となり、徐々に複雑な文が話せるようになります。それは親や周囲の人が話す言葉を聞いてまねしていくことで形成されるのです。
例えば、母親が「バスが来たよ」「りんごだね」と我が子に話しかけるから、子どもは「バス」や「りんご」を認知していきます。つまり、耳と目から入った情報により覚えていくということです。ある人はバス好きの子どもにいつも「あっ!バス!」と言っていたら、子どもがバスのことを「あバス」と言い始めたそうです。親の影響とは細かいところまで及ぶものですね。
このように母語を習得する際には、耳から聞いた「音」を軸にまねすることを繰り返すのが自然なプロセスなのです。
よく「子どもは大人より速く英語を習得する」と聞きますが、それは子どもがまね上手だからです。大人は「子どもがまねする」のを見本にした方がいいかもしれませんね。
第二言語も「耳」を軸にすると習得がスムーズに
第二言語習得の研究では、言語学習のカギを握るのは「リスニング」であり、習得の初期段階でリスニングを集中的に鍛えると、効率的に習得できることが明らかになっています。また、初期段階に書いたり話したりする生産的な言語活動を要求しなければ、言語学習効率は向上するそう。つまり、文字ではなく「耳」を軸にした学習をすると、第二言語の習得もスムーズになるということです。
日本に住む外国人がそのいい例です。彼らの日本語を聞いたことがありますか?彼らの多くは、日本人がよく口にする「あっ!」「ええっと」「そうそう」などの言葉を使います。つまり、聞いたことをまねして日本人のように話すことで、自然な会話にしようとしているのです。
以上のことから、母語だけでなく第二言語も「耳」を軸に学習する方が自然であり効率的だということが分かります。日本の学校教育では文字に頼ってばかりで「耳」からの学習が疎かになっていたので、英語を話すのが苦手な人が多いのではないでしょうか。
参考:第二言語習得におけるリスニング能力促進:効率の良い学習方法
まねは英語習得の近道
ネイティブと話したりネイティブのスピーキングを聞いたりするメリットの1つは、彼らがよく使う単語やフレーズが分かるようになることです。学校で教わった単語の中には日常生活であまり使われないものもあり、逆に知らない単語が頻繁に使われていることに気づくでしょう。また、日本語でよく使われる単語が、そのまま英語で使われているわけではないことも分かります。
母語である日本語の単語でもすべてを覚えることはできないのですから、第二言語の英語の単語やフレーズをすべて覚えるのは不可能です。ネイティブがよく使う単語やフレーズをまねすれば、それだけでも自然な英語になるので習得の近道となるでしょう。
英語を「まねする」際の注意ポイント
英語を「まねする」際のコツを知っていれば、「まねする」学習が効果的に進められるのでご紹介しておきます。
文字を見ずに「耳」から学ぶ
「まねする」にはリスニング力が必要です。つまり、英語の聞き取りができなければまねすることはできないということ。慣れないうちは難しく感じるため、聞き取れないと文字に頼ってしまいがちですが、「耳」からインプットするのが基本です。どうしても文字に頼りたい人は、目で確認しながら内容を理解しても構いませんが、最終的には「耳」だけを頼りにまねするようにしましょう。
英語のリズムを理解する
英文にはプロソディ(prosody:韻律)があります。プロソディとは、音の時間的なリズム、強弱、高低、長短など、発話において現れる音声学的性質のことです。これらのうちで文脈により異なる可能性があるものを指します。具体的に言うと、リズムとイントネーションです。
例えば、Excuse meのイントネーションは文末を下降調で発話すれば「すみません」という意味ですが、文末を上昇調にすれば「何とおっしゃいましたか?」と尋ねる意味になります。
このようなプロソディを理解すれば、英語独特のリズムをまねする学習がスムーズになるので、詳しく解説します。
アクセントに注意する
まず、英単語のアクセントです。英単語の発音記号には、アクセント位置が示されています。学校教育などで「強弱アクセント」のように教えるので、多くの人がアクセント位置を強く発音すればいいと思っていますが、実はそうではありません。アクセントは強弱ではなく、「高低」の違いを表すものです。つまり、アクセント位置がある位置を高く、その他を低く発音するということ。そして、高いところはゆっくり、低いところは速く発音します。
例えば、Coffee(コーヒー)の発音記号は / kˈɔːfi / となるので、[k]の位置を高くゆっくり、その他を低く速く発音します。
ちなみに、英語ではアクセント(accent)は「訛り」という意味で使われることが多く、単語の中にあるアクセントは「ストレス(stress)」と呼ばれます。
内容語と機能語の違いを知る
次に重要なのは、「内容語(content word)と機能語(function word)」の違いを理解することです。内容語とは実質的な内容を表す語を指し、文法的な意味は持ちません。一方、機能語は語そのものの意味は曖昧で、文法的な構造を示します。そして英文では、内容語を強くゆっくり、機能語を弱く速く発話します。以下の文では、太字が内容語となるので、その部分を強くゆっくり、細字の部分を弱く速く発話すると自然な英語になるはずです。
She came to our house to meet her aunty. (彼女はおばに会いに私たちの家に来た。)
内容語と機能語の具体的な品詞は以下の通りです。
内容語:名詞、形容詞、動詞、副詞、数詞、指示代名詞、感嘆詞など。
機能語:前置詞、助動詞、冠詞、人称代名詞、関係代名詞、接続詞など。
同じ単語でも文脈で韻律が変わる
内容語は強くゆっくり、機能語は弱く速く発話すると説明しましたが、話者の意図や重要な部分は強くゆっくり発話される場合もあります。
前後の関係で
以下の文では通常、疑問詞のWhereと動詞のgoが強くゆっくり発話されます。
Where are you going? (どこへ行くの?)
しかし、同じ文でも以下の状況なら強調される部分が変わり、疑問詞のWhereと機能語のyouが強くゆっくり発話されます。
I’m going shopping. Where are you going? (私は買い物に行くよ。あなたはどこに行くの?)
話者の意図で
You need to go now. (あなたは今行かなければならない。)
You need to go now. (あなたは今行かなければならない。)
上の文では「(他の誰でもなく)あなた」が行かなければならないことを、下の文では「(後でではなく)今」行かなければならないことを伝える意図があります。
リエゾンに注意する
リエゾンとは、発音されない語末の子音と直後の母音がつながって発話されたり、音が脱落したりすることです。これを知らないとネイティブの会話は理解できません。
I like it. (好きです。)
Can I come in? (入ってもいい?)
上の文では動詞のlikeは強くゆっくり発話され、likeとitがつながって「アイ・ラ~ィキッ(ト)」と、下の文では動詞のcome が強くゆっくりとなり、CanとIがつながって「キャナイ・カム・イン」と発話されます。また、語末の / t / d / p / b / k / g / は脱落して発音されません。
「リズムをまねする」ことから始める
日本語には高低アクセントがあるものの、英語と比べると平坦で1拍ずつ同じ長さで発音していくため、英語のリズムを身につけるのは簡単ではありません。しかし、上記で解説したポイントを意識しながらまねしていけば、徐々に英語らしい響きになっていくはずです。
英文を聞き取る際には、最初は1語1句すべてを拾ったり発音を気にしたりせずに、高低、強弱、長短に焦点を当ててみてください。そして、歌を歌うようなつもりでリズムをつかんでいきましょう。きっと楽しくまねできますよ!
効果的な「まねする」英語学習法
最後に、具体的なまねする学習法について解説します。
シャドーイング
シャドーイング(Shadowing)とは、聞こえてくる音声より2~3テンポ遅れて影(Shadow)のように追いかけるトレーニング法です。シャドーイングで期待できる効果はリスニング力の向上だけでなく、スピーキング力も強化されます。なぜなら、聞こえた音が意味する単語を認識する「音声知覚」の能力が鍛えられるからです。また、細かい音にまで意識を集中しなければならないため、英語独特のリズムや音の変化なども身につきます。
具体的な方法を簡単にまとめますが、自分流にアレンジしてもらっても構いません。また、後から確認できるように、シャドーイングの音声は録音しましょう。
1.リスニング
テキスト(文字)を見ずにすべてを聞いてみましょう。拾える単語から、内容を推測します。
2.シャドーイング
テキストを見ずに、耳から入る音に集中してシャドーイングします。うまく追いつけなくても途中で止まらないで先に進みましょう。(高低、強弱、長短、イントネーション等に注意。)
3.録音した音声をチェック
発音、追いつけなかった部分、リズム、イントネーションなどをチェックし、できなかったものを声に出して練習します。
4.テキスト確認
テキストを見て聞き取れなかった部分や知らない英単語をチェックして、内容を把握します。
5.シャドーイング
テキストを見ずに再びシャドーイングして、1回目にできなかった部分ができているか確認します。
なお、教材は自分のレベルより少し難しいのを選ぶと学びが多いでしょう。
動画を活用
シャドーイングではまとまった文でトレーニングしますが、動画を活用すれば何度でも同じ部分を再生できるので、極端に言えば単語レベルでまねを繰り返すことが可能です。初心者なら1文ずつがおすすめです。好きな映画のワンシーンなら、楽しみながら学べるかもしれません。
また、動画の速度を変えることができるので、0.5倍速で聞いてみてください。どのように発音しているのか聞き取れるので、聞き取れたら0.75倍速に早め、最終的には通常の速度でまねできるようにしましょう。
さらに、設定により自動字幕が出る場合もあるので、字幕で確認しながらまねしてもいいでしょう。ただし、自動字幕は音を拾っているだけなので、正しくないこともあるので注意が必要です。
ポッドキャスト・オーディオブックを活用
ポッドキャストやオーディオブックはシャドーイングに向いていますが、動画のように何度でも同じ部分を再生できるので、文レベルでのトレーニングが可能です。1文を2文に、2文を3文に…とまねする部分を長くしたり、苦手な発音やリズムがある文を集中的に練習したりすれば弱点を強化できます。
まとめ
英語は強弱、高低、速さなどにより独特のリズムが生まれ、イントネーションで意味の違いも表します。このリズムやイントネーションを理解しないと、ネイティブの話していることが聞き取れなかったり、自分の英語が通じなかったりするので非常に重要です。そして英語独特のリズムを身につけるためには、まねする学習が最適です。まねするのが上手な子どもを見習い、耳から学習をしてみてください!きっとメキメキと上達することでしょう。
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