英語の学習方法として効果が高いとされるシャドーイングとオーバーラッピング。興味があり情報取集しているものの、両者の具体的な違いや実践方法はいまいちわからない、という人も多いのでは? せっかくなら、きちんと内容を理解したうえで効果的に日々の英語学習に取り入れて、レベルアップを図りたいですよね。
本記事ではシャドーイングとオーバーラッピング、それぞれの違いを踏まえながら、そこから導き出される効果的な学習方法やコツや、注意点を交えて解説します。
シャドーイングとオーバーラッピングの違い
一見似ているようで非なるこの2つの手法には、どんな違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴を見ていきます。
シャドーイングとは?
シャドーイングは、お手本となる英語音声のスタートより少し遅いタイミング、目安としてはだいたい0.5〜1秒後に同じ内容を声に出して追いかけていくトレーニングのことです。お手本の音声のリズムや発音、イントネーションや抑揚を、できるだけ忠実にコピーして発音する必要があります。自分の声はお手本の音声よりワンテンポずれて耳に入ってきます。
シャドーイングでは、テキストを見ずに、あくまで耳から聞こえてくる音声を記憶しながら内容を繰り返します。そのため、ハードルは高いもののリスニング力の向上が期待できます。同時にスピーキング力も養われるので、まさに一石二鳥ともいえるトレーニング方法です。
オーバーラッピングとは?
一方のオーバーラッピングは、基本はシャドーイングと同じくお手本の音声に合わせて、発音やイントネーションなどの忠実な再現を心がけながら、声に出して内容をリピートします。ただし発声のタイミングは、お手本と同時スタート。両方の音声が同時に耳に入ってきます。
オーバーラッピングでは、スクリプトを手元に置き、目で英文を確認しながらお手本に合わせて発音します。そのため、ひたすら耳からの情報を頼りに音声を追うシャドーイングと異なり、スクリプトで一つひとつの単語を確認しながら発音できる点が大きなメリットです。
シャドーイングと同様、リスニング力とスピーキング力が同時に養われるトレーニング方法です。
シャドーイングとオーバーラッピングで期待できる効果
シャドーイングとオーバーラッピングの類似点と異なる特徴が理解できたところで、次に、この2つのトレーニング方法で期待できる効果を見ていきましょう。
リスニング力が向上する
シャドーイングとオーバーラッピングでは、発音やリズム、イントネーション、アクセントなど、可能な限りお手本の音声を細部にわたり再現することが求められるため、集中して音声データを注意深く聞き取る姿勢が身につき、回を重ねるに従ってリスニング力が向上します。
なぜリスニング力が向上するかというと、まず、耳にネイティブの発音で単語が音声として記憶され、さらにその単語が文章の中でどのような意味を持つのかを理解することで、単語が意味として記憶されるからです。回数を重ねれば重ねるほど単語のデータが蓄積され、英語独特の会話の流れやスピードに合わせて正確に内容をリスニングできるようになります。
スピーキング力が向上する
シャドーイングとオーバーラッピングでは、お手本の音声を注意深くリスニングしながら、発音やアクセントなどを細かく押さえて内容の再現を繰り返します。何度もネイティブの発音をコピーして声に出していくうちに、英語独特のリズムやイントネーションが身につきます。スピーキングが向上する中で、内容を正確に理解する力も向上します。
特にオーバーラッピングの場合、スクリプトを見つつもお手本の音声と同時のタイミングで発音するため、最初のうちはかなりの難航が予想されます。しかし、次第に慣れてくるにつれ、ネイティブ独特の単語と単語のつなげ方、あえて部分的に発音しないスタイルなどが身につき、ネイティブ並みのスピードで流暢に話せる英語力が養われます。
シャドーイングとオーバーラッピングの効果的な学習方法
シャドーイングとオーバーラッピングには、リスニングとスピーキングの両方を向上させる効果があることが確認できたら、次は実践あるのみ! ここで、シャドーイングとオーバラッピングの手法を組み合わせた効果的な学習方法の流れをご紹介します。
音声だけを聴く
お手本の音声に従って発音するまえに、まずは通常のスピードで、音声を何度もくりかえし聞いてみましょう。重要なのは、スクリプトを見ずに音声のみ集中して聞くこと。スクリプトの視覚的な補助がない状態で音声に集中するのは、ハードルの高い作業ですが、どうしても外せないステップです。
音声を繰り返し聞いているうちに、難なく聞き取れる部分と、聞き取りが難しい部分が出てくることと思います。聞き取りが難しい部分は、あなたがヒアリングで苦手とする箇所です。
何度も聞いてみたけれど、よくわからない部分が多々ある場合などは、とりあえず全体像をつかむ程度に理解が深まればOKです。
ディクテーションをする
音声のみに集中するリスニングと並行して取り組むと効果的なのが、ディクテーションです。見本の音声から聞こえてくる内容を書き出しましょう。
ディクテーションは、特に音声のみのリスニングで聞き取りが困難な箇所が多く出た人におすすめです。耳に入ってくる情報を文字化するため、より集中してリスニングするなかで、自分が苦手とする箇所がどのような音で変化するのか、どのような単語が使用されているかを識別できるようになります。
ディクテーションを進めるうちに、次第に耳が音声に慣れ、苦手としていた箇所が減り、逆に聞き取れる箇所が増えていきます。そのため、自分のリスニング力の確実な向上を実感できるでしょう。
スクリプトを確認する
次は、スクリプトの精読です。この作業を通じて文章内での不明点を解決し、内容を正しく理解することで、以後のステップの効果が上がります。
まず、リスニングやディクテーションでの不明箇所を重点的にチェックし、どのような単語が使用され、どのような内容なのかを把握します。
さらに、全体を通して目を通し、意味のわからない語句や文法的に理解しづらい箇所などを洗い出します。辞書や文法書などを参考に、不明点を一つひとつ解決していきましょう。最後に、再度スクリプト全体に目を通して、正しく内容を理解しているかどうか確認します。
音声やアクセントを確認する
スクリプトの精読で全体の内容が正しく理解できたら、次に着手するのが、音声やアクセント、イントネーションの確認です。この段階でもなお、正確に発音できていない語句が見つかる可能性があります。
インターネット上で単語の発音が聞けるオンライン辞書が多数公開されているので、それらを利用して正確な発音やアクセント、イントネーションを確認しましょう。自分で正しく発音できる語句が増えれば、それだけ聞き取りも上達します。
オーバーラッピングをする
次はいよいよオーバーラッピングです。お手本の音声のスタートと同時に声に出してリピートするため、最初のうちはうまくいかず、進行に手間取ることが予想されます。実際、最初から通常のスピードで馴らそうとしても、あまり成果は期待できません。
まずは音声のスピードを落として、ゆっくりめで馴らしながら、徐々にスピードアップしてレベルを上げていきましょう。お手本の音声の再生には、スピードの細かい変更が可能なアプリやデバイスなどの使用がおすすめです。通常のスピードで無理なくスラスラ発音できる状態になるまで繰り返します。
シャドーイングをする
最後に、シャドーイングです。今度はスクリプトを使わずに、お手本の音声のみに集中し、0.7〜1秒遅れで聴き取った内容を発音していきます。
最初のうちはなかなかうまく音声が聞き取れず、スラスラ言葉が出てこない可能性があります。いかに自分がスクリプトに依存していたかを実感できるでしょう。ここは焦らずに、不明箇所は飛ばしながら進めていきましょう。何度か全体を繰り返しているうちに、耳が慣れて不明箇所も発音できるようになります。
シャドーイングでは、オーバーラッピングのように音声と同時スタートする必要はありません。それよりも、しっかりと音声を聞きながら、発音やアクセント、イントネーションなどの細部を正しくコピーすることに集中しましょう。
シャドーイングとオーバーラッピングをする際のコツと注意点
次は、シャドーイングとオーバラッピングをする際のコツと注意点を、ポイント別に見ていきましょう。
自分のレベルに合った教材を選ぶ
シャドーイングやオーバーラッピングでは、自分の英語力に適したレベルの教材を使用することが大切です。教材のレベルが高度すぎても、逆に低すぎても、学習効果は下がります。
教材となる音声とスクリプトの入手にはインターネットを活用しましょう。特にニュースサイトやポッドキャストには、多種多様なトピックがそろっています。
教材選びのポイントとして、その音声のスピードについていけるかどうかの確認が大切です。また、せっかくなら楽しみながら学べるように、自分が好きなジャンルからトピックを選ぶのも1つの手です。
しっかり声を出す
英語は大きく口を開けて発音する言語ですが、シャドーイングやオーバーラッピングでは、うまく聞き取れない箇所は自信が持てず、つい声が小さくなりがち。
わかる範囲でOKなので、聞き取った内容をはっきりと発音しましょう。聞き取れない箇所は自分が英語で苦手とする部分。そこを克服できれば、さらなる英語力の強化につながります。
英語のリズムに注意する
繰り返しになりますが、シャドーイングとオーバーラッピングで重要なのは、お手本の音声で聞き取った内容を可能な限り忠実に再現すること。イントネーションや音の区切り位置を意識して発音し続けることで、内容的にどの部分が意味の区切りか、強調すべき重要な部分はどこかなどを判別する力、そして英語特有のリズム感が身につきます。
英文の意味を意識する
英文の意味を意識しながらの発音も重要です。スクリプトの精読を通じて、知らない語句やわかりづらい文法箇所などの不明点を一つひとつチェックしながら、文章全体を正確に理解できます。単語の意味や文章の構造が身につくので、実際のシャドーイングやオーバーラッピングの段階で、英文の意味を意識しながら発音できるようになります。
声を録音する
シャドーイングやオーバーラッピングを続けていると、自分の発音がネイティブの発音やスピードに追いついたような感覚を覚えます。しかし、実際にはまだ細かいレベルでネイティブのようには発音できていない箇所が潜んでいます。自分ではなかなか気づきづらい部分です。
そこで役立つのが、シャドーイングやオーバーラッピング中の自分の声を録音し、再生して確認すること。強調すべき箇所を忘れていた、一呼吸置くべきところをそのまま発音していたなど、お手本とのさまざまなズレが確認できます。録音を活用して、自分のウィークポイントを洗い出しましょう。
シャドーイングとオーバーラッピングにおすすめの教材5選
シャドーイングとオーバーラッピングのトレーニング効果を高めるうえで留意すべきポイントがわかったところで、最後に、実際のシャドーングやオーバーラッピングを活用した英語学習に役立つおすすめの教材をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング
『みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング』は、英語学習で効果が高いとされている音読、リスニング、リピーティング、シャドーイングがまるごと網羅された1冊。「音声パッケージ」と称されるこのパッケージを使用したトレーニング方法で、英語の語順のまま、直接的・間接的に理解できる音読の効果が得られるとともに、リスニング力も大きく向上させることが可能です。
中学レベルの英文と厳選された語彙が使用された本書を活用して、英語を音声で直接的に処理できる「英語体質」を目指してみてはいかがでしょうか。
おすすめレベル | 初級〜初中級 |
著者 | 森沢 洋介 |
出版社 | ベレ出版 |
価格(税込み) | 1,870円 |
新ゼロからスタートシャドーイング
『新ゼロからスタートシャドーイング』は、入門者や初級者でも気軽にチャレンジできるシャドーイングの学習書。単語のシャドーイングを起点に、短い文、会話、長文、生のニュースと、学習に使用する素材が段階的にレベルアップしていきます。ネイティブの音声が収録されたCDおよびAR動画の付録付きです。
本書に取り組むことで、英語の音感、ネイティブ筋、質の高いリスニング力、英語で考える思考力、語彙や例文をラクラク覚えられる暗記力が身に付くでしょう。シャドーイングの短期集中レッスンを通じて、効果的に英語力を伸ばしてみませんか?
おすすめレベル | 入門・初級〜 |
著者 | 宮野 智博 |
出版社 | Jリサーチ出版 |
価格(税込み) | 1,540円 |
「音読」で攻略TOEIC®L&Rテストでる文80
『「音読」で攻略TOEIC®L&Rテストでる文80』は、音読を通じてTOEICスコアを上げていくことを目的とした学習書。音読を通じて頭の中に英語のチャンク(塊)のストックが効率よく増加していき、英語の読解スピード、そして聞いた英語を頭の中で処理するスピードが向上します。TOEICのスコアを上げるために必要な語彙力、速読力、早耳力が身につき、英語中級者の目安の1つである750点達成を可能に!
本書では、掲載語句や英文をTOEICの400〜750点を目指すうえで必要なものに絞りこんだ結果、実際のTOEICの試験問題にそのまま出るほどの超頻出例文を網羅。これらの英文の音読を通じて、効率的にTOEICのスコアをアップできます。
おすすめレベル | – |
著者 | 西田 大 |
出版社 | かんき出版 |
価格(税込み) | 1,760円 |
英語スラッシュ・リスニングトレーニング プロ通訳強化メソッド活用
『英語スラッシュ・リスニングトレーニング プロ通訳強化メソッド活用』は、スラッシュ・リスニング(区切り開き)を軸に、シャドーイングやクイックレスポンスなどのプロの通訳者養成に使用されるメソッドを取り入れた、リスニングのトレーニングテキストです。
スラッシュ・リスニングをベースにした3ステップのトレーニングで、英語を一発で、聞こえた順に理解するための15 レッスンが網羅されています。アメリカの国営放送であるVOAのニュースレポートが音声素材として収録されたCD付きです。
おすすめレベル | – |
著者 | 小倉 慶郎 |
出版社 | DHC |
価格(税込み) | 1,980円 |
究極の英語リスニング
『究極の英語リスニング』は、リスニングが苦手と感じる人々の悩みを解決するためにデザインされたテキスト。どのような英文にも登場する基本単語1000語のみを使用しているので、無理なく聞き取りに集中できます。日常会話や旅行会話、観光地の説明や物語など、楽しみながら学習できるうえに、聞き取りポイントが一目瞭然の100〜600語程度の英文50題を掲載しています。
わかりやすさと学習効率を考えて企画された本書で、効率よくリスニング力をアップしてみませんか?
おすすめレベル | – |
著者 | アルク英語出版編集部 |
出版社 | アルク |
価格(税込み) | 1,870円 |
まとめ
シャドーイングとオーバーラッピングは、方法に若干の違いはあるものの、どちらもリスニングとスピーキングの両方を効率的に向上させ、ネイティブに近い発音を身につけることが期待できる学習メソッドです。この2つを組み合わせた効率的な学習方法を通じて、聞き取りづらい箇所や不明点を洗い出したうえで、文章の内容を正確に理解して、ネイティブ並みのリズムとスピードで無理なくスラスラと発音できるレベルまで、口と耳を鍛えることが可能。ほかにもご紹介したコツを押さえれば、シャドーイングとオーバーラッピングの効果はさらに高まります。
ぜひ本記事を参考に、シャドーイングとオーバーラッピングを日々の英語学習に取り入れて、あなたの英語コミュニケーション能力を強化してみてくださいね。
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