IELTS(アイエルツ)は国際的な英語の資格試験で、海外留学や移住のためにスコア取得を考える人も多いテストです。IELTSには2つの受験方式があり、それぞれで試験の結果が通知されるタイミングが異なるなど、初めて受験する人にとっては不安になることもあるでしょう。
今回は、IELTSの結果がどのように提示されるのかを中心に、通知されるタイミングや、結果の確認方法、成績証明書の再発行や試験結果の再採点について解説します。それぞれの技能の採点基準も参考にしてください。
IELTSのテスト結果は「バンドスコア」で提示される
IELTSには、大学留学や進学、専門機関などに登録申請ができる「アカデミック・モジュール」とオーストラリアやニュージーランドなどへの移住や海外研修などで申請する「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類のテストがあります。
どちらにおいても、テスト結果のスコアは「バンドスコア」と呼ばれます。ほかの検定試験には合否を判断される形式のものもありますが、IELTSでは0から9までの「バンドスコア」で英語の運用能力のレベルが提示されます。ライティング・スピーキング・リーディング・リスニングの4つの技能それぞれについてバンドスコアが付けられ、4つのバンドスコアの平均値である「オーバーオール」がその人のIELTSスコアとなります。
IELTSによると、バンドスコアごとの英語運用能力は下記のようになっています。
9 エキスパート・ユーザー | 十分に英語を駆使する能力を有している。適切、正確かつ流暢で、完全な理解力もある。 |
8 非常に優秀なユーザー | 時折、非体系的な不正確さや不適切さがみられるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない状況においては、誤解が生ずることもありえる。込み入った議論に、うまく対応できる。 |
7 優秀なユーザー | 時折、不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を駆使する能力を有している。複雑な言語も概して上手く扱っており、詳細な論理を理解している。 |
6 有能なユーザー | 不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。 |
5 中程度のユーザー | 部分的に英語を駆使する能力を有しており、大概の状況において全体的な意味をつかむことができる。ただし、多くの間違いを犯すことも予想される。自身の分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。 |
4 限定的ユーザー | 慣れた状況おいてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。 |
3 非常に限定的なユーザー | 非常に慣れた状況おいて、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションが頻繁に途絶える。 |
2 一時的なユーザー | 確実なコミュニケーションを行うことは不可能。慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることしかできない。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労する。 |
1 非ユーザー | いくつかの単語を羅列して用いることしかできず、基本的に英語を使用する能力を有していない。 |
0 非受験者 | 評価可能な情報なし。 |
海外留学には6.0以上のバンドスコアの提示が求められることも多く、海外大学院への進学には7.0や7.5といったバンドスコアが必要となるケースもあります。IELTSのスコアは試験を受けた日から数えて2年間有効です。
テスト結果はいつ開示される?
IELTSには2種類の試験方式があり、どちらの方式で受験するかによってテスト結果が開示されるタイミングが以下のように異なります。
・コンピューター方式:試験日の3~5営業日後
・ペーパー方式:試験日の13日後
・英国ビザ申請用IELTS:試験日の13日後
コンピューター方式では、会場となるテストセンターのコンピューターを使用して受験します。ペーパー方式はテストセンターで配布される問題用紙と解答用紙を使って紙と鉛筆で試験を受けます。
テスト結果の確認方法は2種類
IELTSの試験結果を確認する方法は、郵送される「成績証明書」とオンライン上の「マイページ」の2つがあります。
これら以外の電話やメール、ファックスなどでIELTSの結果を請求することはできません。成績証明書が送られてくるタイミングとマイページ上で結果が確認できるタイミングは異なるので、それぞれ詳しくみていきましょう。
成績証明書
IELTSから公式に送られる成績証明書は、4技能のバンドスコアと総合評価(オーバーオール・バンドスコア)が記載されたものです。
成績証明書は、コンピューター方式なら3~5営業日後、ペーパー方式なら13日後にテストセンターから郵送されます。郵送先は登録している「郵便物お届け先情報」の住所で、発送から到着までは7日ほどかかる場合もあります。1人1通の発行となるので、届いたら大切に保管しましょう。
オンライン上のマイページ
IELTSの試験結果はオンライン上のマイページでも確認できます。マイページに結果が開示されるのは、コンピューター方式で受験した場合は3~5日営業日後、ペーパー方式で受験した場合は筆記テストの13日後の24時間以内です。
ただしオンライン上に表示されるスコアは、受験者が自分の点数を確認するためのものなので、教育機関への提出書類やビザ申請書類として公的に使うことはできません。
IELTS IDを持っている方はこちらからマイページにログインできます。
成績証明書をなくしたら2年以内であれば再発行可能
1人1通が発行される成績証明書ですが、もし紛失した場合でも、試験の実施日から2年以内であれば追加成績証明書として再発行してもらうことができます。追加成績証明書は5通まで無料発行が可能。5通を超えて再発行する場合は1通につき1,200円の手数料がかかります。
郵送か電子送信かを選択して依頼します。教育機関・移民局などに提出するための再発行の場合は、自宅宛てではなく教育機関や移民局など提出希望先へ直送されます。再発行したい場合は追加成績証明書申請書をIELTS公式サイトからダウンロードして記入の上、受験したテストセンターに申請しましょう。
スコアに疑問があるときは再採点も申請できる!
IELTSのスコアに疑問があれば、技能ごとに再採点の申請をすることが可能です。申請するにはテストセンターへメールで問い合わせます。返信メールから申請用紙をダウンロードして記入し、再採点申請料振込の控えと一緒にIELTS事務局へ郵送してください。書類は筆記テストの実施日から39日以内必着です。締切日の当日が祝日であればその前営業日が締切になり、書類が到着していなければ再採点が受け付けられないので注意しましょう。
再採点には9,000円の手数料を事前に振り込む必要があります。ただし、再採点をした結果スコアが変更となった場合、申請者が送金先の口座を国内の銀行口座にしていれば手数料は返金されます。
4つの技能のうちどれを再採点するかは申請者が指定し、再採点する技能がいくつでも手数料は一律。再採点の結果が出るまでには申請から3週間以上かかります。再採点を申請している間は、元のスコアが一時的に無効となります。
IELTSの採点基準
IELTSの各技能の採点基準を確認していきましょう。とくにライティングやスピーキングで高得点を狙うためには、どのような回答をすればどう採点されるのか、評価基準を知っておくことが重要です。再採点の申請を考えている場合も、一度評価基準の要点を確認してみてください。
ライティング
IELTSのライティングテストは下記の4つの基準で採点されます。
・課題の達成度
・一貫性とまとまり
・語彙力
・文法知識と正確さ
「課題の達成度」では、課題で求められている要件を満たし、回答に詳細な説明があることなどが評価基準となります。
「一貫性とまとまり」としては、接続詞の使い方が不自然でなく、段落分けも自然にできていることがポイントです。
「語彙力」では、幅広い語彙を柔軟に使用できることや、同じ単語ばかりを使うのではなく他の表現で言い換えることができるかなどをチェックされます。
「文法知識と正確さ」としては、複雑な文法や長い文章でも正しい英文を作れるかなどが判断基準です。
採点は2〜4人のIELTS試験官によって行われるため、公平で一貫した判断ができるようになっています。
スピーキング
スピーキングテストの採点にも4つの評価基準があります。
・流暢さと一貫性
・語彙力
・文法知識と正確さ
・発音
「流暢さと一貫性」では、文章や単語を言い直したり繰り返したりせず流暢に話せるかどうかや、接続詞や幅広い連結詞を使って論理的にテーマを展開できるかなどがポイントになります。
「語彙力」では、テーマによって単語やフレーズを幅広く柔軟に使え、必要に応じて言い換えることができるかが判断基準に。
「文法知識と正確さ」では、複雑な構文でも自然な形で正しく使いこなせるかがチェックされます。
「発音」では正しい発音やアクセントを使えているかが評価され、高いバンドスコアを獲得するにはネイティブスピーカーが無理なく理解できるレベルの発音の正確さが求められます。
リーディング
リーディングテストでは40問が出題され、正解した解答数によってバンドスコアが算出されます。問題のタイプは選択問題や正誤問題、文章補完問題などさまざまです。
正答数から算出するバンドスコアの目安は、受験するモジュールによって異なります。ジェネラル・トレーニング・モジュールでは、15問正解するとバンドスコア4.0、23問正解でバンドスコア5.0、30問正解でバンドスコア6.0、34問正解でバンドスコア7.0、38問正解でバンドスコア8.0。アカデミック・モジュールでは、15問正解でバンドスコア5.0、23問正解でバンドスコア6.0、30問正解でバンドスコア7.0、35問正解でバンドスコアは8.0と算出されます。
リスニング
IELTSのリスニングテストでは流される音声を聞いて40の問題に答え、解答の正誤によってリスニングセクションのバンドスコアが算出されます。
バンドスコアの算出方法は1問正解したらスコアが何点になるということではなく、正解した解答数が何問以上ならこのバンドスコア、という換算表が決められています。正答数からバンドスコアを算出する目安は次の通りです。アカデミック・モジュールでもジェネラル・トレーニング・モジュールでも、40問中16問正解した場合のバンドスコアは5.0、23問正解した場合のバンドスコアは6.0、30問正解なら7.0、35問正解なら8.0とされます。
まとめ
IELTSの結果はバンドスコアとして提示され、受験したテスト方式によって通知されるタイミングが異なります。結果の確認方法にはIELTS公式の成績証明書とマイページの2通りがあり、成績証明書の再発行や試験結果の再採点も申請することができます。技能によって採点基準や正答数とバンドスコアの換算が異なるので、確認しておきましょう。
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