リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能が問われる、TOEFLの試験。TOEFLの受験を検討しているのであれば、ほかの3つの技能と同じようにライティングについてもしっかり対策しておくことは大切です。TOEFLのライティングは、正しい方法で対策すればスコアアップにつながりやすい分野と言われているからです。
この記事では、TOEFLのライティングの対策方法やスコアアップのコツなどを詳しく紹介します。
TOEFLライティングのスコアリングの仕組み
はじめに、TOEFL のライティングではどのようにして点数が決められているのか、スコアリングの仕組みについて解説します。TOEFLライティングにおいて点数を伸ばしたいなら、採点基準を知っておくことがカギとなります。独自のスコアリングの仕組みを理解して、試験ではどんなことが求められているのか、また反対にどんなことがマイナス要素となるのかを知っておきましょう。
5段階で評価される
TOEFLのライティングには、Integrated writingとIndependent writingという 2つのタスクがあります。それぞれのタスクは、0点~5点の6段階で評価されます。タスクによって評価の内容は少し異なりますが、大まかに説明すると、全く書けていない場合は0点、展開も構成もよく論理的にしっかり書けている場合は満点の5点です。
内容だけでなく文字数も評価対象となり、内容がそれなりによくても200文字ほどしか書けていない場合は2点、300文字以上書けていても内容が今ひとつの場合は3点、などと採点されます。
日本人の多くは、3点は取れるものの、4点を取ろうとするときに壁を感じます。3点から4点へとスコアアップさせるには、構成と展開がしっかりしていて、論点や主張にブレがないかどうかが重要なポイントです。
評価がスコアに換算される
TOEFLのライティングには、5段階でつけられた評価が30点満点のスコアに換算されます。評価とスコアの関係性は、以下の通りです。
評価 | スコア |
---|---|
5.00 | 30 |
4.75 | 29 |
4.50 | 28 |
4.25 | 27 |
4.00 | 25 |
3.75 | 24 |
3.50 | 22 |
3.25 | 21 |
3.00 | 20 |
2.75 | 18 |
2.50 | 17 |
2.25 | 15 |
2.00 | 14 |
1.75 | 12 |
1.50 | 11 |
1.25 | 10 |
1.00 | 8 |
評価をスコアに換算するときは、タスク1とタスク2の評価の平均で計算します。たとえば、タスク1の評価が5.0、タスク2の評価が3.0だった場合、(5.0+3.0)÷2=4.0なので、平均評価は4.0です。上の換算表を参照すると、評価が4.0であればスコアは25となることが分かります。
TOEFLライティングで求められるスキル
TOEFLのライティングでは、読解力・批判的思考力・リスニングスキル・アウトライン作成スキルが求められます。では、それぞれのスキルについて、具体的にどのようなものなのか、なぜ求められるのかを見てみましょう。
読解力
1つめの読解力は、パート1のIntegrated writingで必要になります。Integrated writingでは、リーディングで読んだ内容とリスニングで聴き取った内容とを対比しながら、150字以上のライティングをしなければなりません。リスニングでよく聴き取れたとしても、リーディング文を読解するスキルがなければ、うまくライティングすることはできないのです。
リーディング文を読むために与えられる時間は3分です。その後、その文章に関連した内容のリスニング音声が流されるので、いつまでもリーディングに時間をかけることはできません。3分の間に読み終えて内容を把握し、重要なポイントを押さえておく必要があります。
批判的思考力
2つめの批判的思考力は、パート2のIndependent writingで必要です。Independent writingでは、はっきりした答えのない質問に自分なりの主張をエッセイ形式で回答することが求められます。Independent writingで高評価を得るには、単に正確な英文が書けるというだけでなく、具体例などを挙げて説得力のある主張を展開することが必要です。
批判的思考力とは、個人の主観や経験ではなく信頼できるデータや理論などを引き合いに出して論理的に物事を考えるスキルのことです。多角的な視点で客観的に課題を見つめ、的確な判断をしているかどうかが重視されます。批判的思考力があれば、自分が選んだ選択肢に対して具体例を挙げながら、筋の通った説得力のある文章を書くことができるでしょう。
リスニングスキル
3つめのリスニングスキルは、パート1のIntegrated writingで求められます。「ライティングの試験なのにリスニング?」と思う人もいるかもしれませんが、TOEFLのライティング試験のパート1はリスニングとリーディングが組み合わさった問題となっているのです。先に取り上げた通り、パート1ではまず3分間でリーディング文章を読み、その後リスニングの音声を聴いて質問に答えます。リーディング文章の要点とリスニング音声の要点とを対比しながら文章をまとめることが求められるため、リスニングスキルも必須というわけです。
Integrated writingでは、リーディング文章の主張に対して、リスニング音声では反対の意見を述べるケースが多くなっています。リスニング音声は一度しか再生されないため、内容をよく聴いて正しく要点をつかむことが大切です。
アウトライン作成スキル
4つめのアウトライン作成スキルは、パート1のIntegrated writingとパート2のIndependent writingの両方で必要です。アウトラインとは文章の大まかな流れを記したもので、まずアウトラインを作ってからエッセイを書き始めることで、効率のよいライティングができます。先にアウトラインを作るなら、複数のパラグラフで同じ主張を繰り返してしまうようことはなく、パラグラフ同士が論理的につながった筋道立った文章を作成できます。
Integrated writingでは150~225字、Independent writingでは300~350字のライティングが必要です。どちらも長文というわけではありませんが、先にアウトラインを作っておくことで基本的な構成がブレることはなく、一貫性のある文章を作りやすくなります。
Integrated Writingの評価と対策方法
ここからは、試験のパートごとに、より詳しく試験内容やその対策方法を見ていきましょう。
まずは、パート1のIntegrated Writingでは、リーディングとリスニングの両方をもとに、その2つの内容をまとめた要約をライティングします。記述の中にはリーディングとリスニングの関連性を正確に示し、具体例を挙げつつ一貫性のある文章を書かなければなりません。もちろん、文法の誤りやスペルミスがないかどうか、語彙の選択が適切であるかどうかなどもチェックされます。試験官からメモ用紙をもらえば、試験中にメモを取ることも可能です。
では、このパート1で評価される内容とその対策方法について紹介します。
Integrated Writingの評価
Integrated Writingでは、満点のスコア5からスコア0まで、6段階で評価されます。では、それぞれの評価がどの程度のレベルなのか、概要を見ていきましょう。
スコア5
満点のスコア5を獲得するには、リーディングよりもリスニング音声の内容を中心に文章を組み立てる必要があります。スコア5ではリスニング音声への理解が重視されていて、それをもとにリーディングの情報と関連させながら、首尾一貫して主張を提示しているかどうかがチェックされます。
文法やスペルミスが多少あっても、スコア5を取ることは可能です。その一方で、文法やつづりが完璧でも、重要なポイントやキーワード、内容の理解が抜け落ちていると満点を取ることはできないので注意しましょう。
スコア4
スコア4は、パッセージをきちんと理解するとともに、重要なポイントやキーワードも押さえているレベルです。リーディングとリスニングの関連性も正しく示し、論理的に話を展開することができています。ただし、その中で少し説明不足な部分や、あいまいな部分、内容が正確ではない部分などがあり、満点には及ばない状態です。
表現や文法にも誤りが多少、または目立つほど見られるくらいがレベル4となります。日本人は、スコア3から4に上げたいときに伸び悩みを感じる人が多いようです。
スコア3
スコア3では、リスニングやリーディングとの関連における重要な部分についてはきちんと書けています。しかし、リスニングの重要なポイントが抜けている、またはリーディングとリスニングの関連性を示してないなどの理由で、スコア4には及びません。表現や文法の誤りがひんぱんに目立ち、あいまいな表現や理解しにくい部分も見られます。
スコア2
スコア2は、リスニングやリーディングの内容に少し触れているものの、重要なポイントが抜け落ちている場合です。リーディングとリスニングの関連性に誤りがある、回答における重要な論点があやふやになっているなどの場合もスコア2となります。表現や文法の誤りも多く、理解が困難なレベルです。
スコア1
スコア1は、言語レベルが極端に低く、内容を理解できない場合のスコアです。リスニングやリーディングの重要なキーワードにも全く触れておらず、関係のないことを書いている場合にスコア1となってしまいます。
スコア0
スコア0は、リーディングのコピーを記載している、または英語ではなく多言語で回答した場合につきます。全く何も記載せず、無回答で提出した場合もスコアは0です。
Integrated Writingの対策
では、Integrated Writingでできるだけスコアを上げるには、どのような対策をすればよいのでしょうか。ここからは、事前にできる対策を2つ紹介します。
文章の構成に慣れる
1つめのポイントは、文章の構成(パラグラフライティング)に慣れておくことです。文章の構成を攻略するには、基本となるテンプレートを活用することが近道です。では、テンプレートの例文を挙げてみましょう。
The article explains that ~ and provides three reasons of support. However, professor argues ~ and refuses the main point.
First of all, the passage states that ~. However, the lecture disagrees with this and says ~.
Second, ~.
Third, ~.
In conclusion, although the professor and the author both talk about ~, the professor effectively challenges the ideas mentioned in the article.
このような基本となるテンプレートを頭に入れておけば、問題文に合わせて少しの応用を加えながら英文を書くのはそれほど難しくありません。試験の際にはまずテンプレートを書き出し、それから題に合うように「~」に内容を加えていきます。初心者の人は特に、テンプレートを参照しながらエッセイを書く練習をしてみましょう。
聞き取ったことをメモする習慣を作る
2つめのポイントは、聞き取ったことをメモする習慣を作るというものです。すでにふれた通り、Integrated Writingのリスニングは一度しか聴くことができません。重要なポイントを忘れてしまわないように、大切な要点はメモに残す習慣をつけましょう。ちなみに、リスニング中はリーディングの文章が画面に表示されませんが、ライティングの時間になると再び表示されます。
メモは、リスニングに限らずリーディングでも役立ちます。パラグラフごとにメインとなるトピックやキーワードを見つけたら、忘れないようにメモしておきましょう。リスニングパートでは、付け加えられた情報や反対意見などを中心にメモすれば、アウトラインを作成しやすくなります。
ただし、人によっては、メモは必要ないと感じるかもしれません。リスニング中にメモするとそちらに注意がいってしまい、リスニングに集中できなくなるという人もいます。記憶するのが得意な人は、メモがなくても十分内容を覚えておけるということもあるでしょう。そのため、メモありとメモなしの両方で試してみて、自分にとってやりやすいと感じたほうでやるのがおすすめです。
Independent Writingの評価と対策方法
ここからは、パート2のIndependent Writingの試験内容について詳しく紹介します。このパートでは、質問文に対して自分なりの主張をエッセイ形式で回答する必要があります。では、パート1と同じように、評価と対策方法を順に見てみましょう。
Independent Writingの評価
Independent Writingも、評価はパート1と同じようにスコア5から0までの6段階です。では、それぞれの採点基準やレベルを詳しく紹介します。
スコア5
満点を取れる文章は、質問文に対して具体例を含めながら適切に答えつつ、パラグラフ構成がしっかりしている文章です。評価される構成は、まずイントロダクションで自分の意見や主張をはっきりさせ、中心となる2~3のパラグラフで理由を挙げながら論点を展開します。最後に、結論部分で自分の主張を再度繰り返しながら全体のまとめをすれば完璧です。
多少の文法の誤りやスペルミスがあっても、スコア5を取ることは可能です。ただし、その誤りによって文章の意味が伝わらなくなってしまう場合には減点されるので、注意しましょう。
スコア4
スコア4も、質問文に対して適切かつ十分に例を挙げながら、論理的に主張を展開することができています。全体的によくまとまっていて一貫性のある文章ですが、時おり話が脱線したり、冗長表現が見られたり、前後のつながりが不自然であったりするのがレベル5との違いです。
語彙は豊富に使われていて言語の使用に熟達していますが、文法や慣用句の使い方、スペルなどにミスが見られます。ただし、意味を理解するのに問題とはならない程度です。
スコア3
スコア3は、テーマに対して例を挙げてはいるものの、話の展開や説明などが十分ではないレベルです。統一性や一貫性は見られますが、論点と論点のつながりが不自然であったり、意味を理解しにくかったりします。使える語彙や構文は限られていて、表現の幅にも限界があります。
スコア2
スコア2では、タスクに対して限定的な回答しかできていません。質問に対して一般論を述べるだけで、自分なりの主張を展開できていない場合もこのレベルです。主張に対して例を引き合いに出すことができず、説得力のない文章である場合にはレベル2とみなされるでしょう。表現や文法、スペルなどにもミスが目立ちます。
スコア1
スコア1を取ってしまうのは、タスクに対して主張を展開できていない、または詳細の説明がほとんどない場合です。具体例を述べていてもトピックとは関係のない例を挙げていたり、文法や単語に著しいミスがあったりする場合などもスコア1となってしまいます。
スコア0
スコア0は、トピックとは全く関係のないことを書いている場合や無回答の場合、多言語で回答している場合です。トピックをただ丸写しした場合もスコアは0です。まじめに設問に取り組めば、スコア0を取ってしまうことはないでしょう。
Independent Writingの対策
Independent Writingにおいて、スコアを上げるためにできることが大きく3つあります。ここからは、それぞれの対策方法を取り上げ、具体的に説明します。
ブレインストームの練習をする
1つめの対策方法は、ブレインストームの練習をすることです。ブレインストームとは日本語に訳すと「突然のひらめき」で、自由にアイデアを出すときに使われます。質問文の趣旨を理解したら、このブレインストームと呼ばれる手法で、どのように答えたらよいか複数のアイデアを出してみましょう。
覚えておきたい点として、試験のエッセイ文では必ずしも自分の意見や考えを正直に書く必要はありません。自分とは異なる意見でも、理由や事例を挙げやすい、論理的な構成がしやすいなどの場合には、違う立場に立って書いてみるのも一つの手です。ブレインストームによりさまざまなアイデアを挙げれば、普段とは違う視点で物事を考えることが容易になります。書き始める前には、どの立場が書きやすいか、どのような具体例が挙げられるかという観点でブレインストームをしてみましょう。
文章の構成に慣れる
2つめの対策方法は、パート1のIntegrated Writing と同じようにパート2のIndependent Writingでも文章の構成(パラグラフライティング)に慣れておくことです。
パート2は、特に決まった回答のない題に対して自分なりの意見を述べるというものなので、パート1よりも自由度が高くなっています。問題文では、Agree or disagree(What do you think)?またはWhich do you prefer?と聞かれます。それぞれの問いに対して、テンプレートで回答することに慣れておきましょう。
質問文がAgree or disagree(What do you think)?の場合は、まず自分の意見を述べ、それについて理由を3つ挙げながら話を展開します。テンプレートの例は以下のようなものです。
Some people think that ~, Others think that ~. If asked, both sides will prove logical reasons to support their stance. I agree(disagree) with~.
First, ~.
Second, ~.
Third, ~.
In conclusion, from the reasons above, I agree(disagree) with~.
まずイントロダクションパラグラフで自分の意見を明確にし、ボディパラグラフでその理由を2つか3つ挙げて説明します。最後に、コンクルーディングパラグラフで自分の主張を繰り返して全体をまとめる、という流れです。
添削をして自分の癖に気づく
3つめの対策方法は、添削をして自分の癖に気づくというものです。書き終わった後に自己添削し、修正が必要な箇所がないかどうかチェックしてみるのです。合っているかどうか自信がないところは、辞書を引いたりインターネットで検索したりして確かめましょう。
自分で添削する習慣を持つことで、自分が間違えやすい文法や苦手な構成などに気付くことができます。間違いの癖や傾向に気付いたら、ライティングをするときに同じ間違いをしないように意識して改善していきましょう。
まとめ
TOEFLのライティングには独自のスコアリングと採点基準が設定されているため、まずはその内容をよく把握することが対策の近道です。さらに、テンプレートを覚えたり、試験中にメモを取ったりすれば、エッセイはずっと書きやすくなります。この記事で取り上げたスコアアップのコツを参考にしながら、少しでも高得点が取れるようにコツコツ努力しましょう。
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