海外展開を考えている企業や海外企業と取引がある企業に勤めるビジネスパーソンは、英語で見積書を作成する機会もあることでしょう。見積書は単語や文法を知っているだけでなく、ビジネス文書に適した言い回しや文化の違いを踏まえて作成することが重要です。
本記事では見積書の作成方法と依頼・送付メールのテンプレートなど、役立つ英語表現を紹介します。
英語で「見積書」はCost estimate/Quotation
英語での見積書の表記は2種類あります。まずは、それぞれの違いを見ていきましょう。
Cost estimate (コスト エスティメイト)
直訳すると、価格見積りです。ビジネス用語では概算見積りを意味しており、必要な工程・数量・諸費用を踏まえた概ねの見積りとなります。日本における概算見積りの精度は、最終見積りの-25~+50%とされますが、取引先国や企業によって差が生じます。よって、価格変更が発生する大まかな見積り「Rough estimate (ラフ エスティメイト)」と覚えておくとよいでしょう。
Quotation (クオテイション)
直訳すると、見積りです。ビジネス用語では正式見積りや確定見積りを意味しており、正確に価格算出された最終的な見積りとなります。Final estimate(ファイナル エスティメイト)と表現されることもありますが、Quotationのほうが一般的です。
英語での見積書の書き方
英語の見積書と日本語の見積書の記載内容に大きな違いはありません。よって、日本語の見積書をベースに作成するのがおすすめです。
本章では、以下の項目別に書き方の注意点や例文を紹介します。
・タイトル
・発行元
・日付・有効期限
・顧客情報
・合計金額・内訳
・補足
・連絡先
タイトル
タイトルは見積りを意味する表現を簡潔に用いましょう。
・Quotation
・Cost estimate
概算見積り時は Cost estimate、確定見積り時はQuotationと記載します。具体的な商品がある場合は、Quotation for 〇〇(〇〇の確定見積書)と書いても問題ありません。
発行元
発行元である自社情報を記載します。英語の見積書の場合、発行元情報は1枚目の上部に書くことが一般的です。タイトルの近くに発行元情報が書かれているイメージです。内容は、社名・住所・電話番号をはじめ、必要に応じてメールアドレス・ウェブサイト・ビジネス登録番号などを記載します。住所は日本語と書き順が違うため、注意が必要です。
〒123-4567 東京都港区〇〇 1-2-3 △△ビル 10階
△△building, 10F, 1-2-3, 〇〇, Minato-ku, Tokyo, Japan 123-4567
上記の例文のとおり、英語の住所は、ビル名と階数をはじめに、国名を最後に記載します。
日付・有効期限
見積書を発行した日付とともに、有効期限を記載することも重要です。有効期限がないと、いつまでも記載された金額で取引できる、と誤解されてしまう可能性があります。
見積した日付:Quotation date:30 September 2021
有効期限:Validity of quotation:31 October 2021
上記の例文をタイトルの下段に加えることで、有効期限を明示することができます。また、見積書の末尾にThis quotation is valid for a month from the date above. (この見積書は、上記の日付から1ヶ月間有効です)と記載することも可能です。
日付にはアメリカ式とイギリス式があり、順序が異なるので注意が必要です。
アメリカ式:September 30, 2021
イギリス式:30 September 2021
アメリカ式は主にアメリカとカナダ、イギリス式はヨーロッパ、アジア諸国で広く使われています。正式なビジネス文書では、月をSep と略式表記せず、September と記載する点もポイントです。
顧客情報
顧客情報は、部署名・会社名・住所の順番で書きます。
TO
Marketing department
○○ campany
1-2-3 Rd. Wattana, Bangkok 10110 Thailand
会社によっては商品の配送先と請求先が異なる場合もあるので、事前に確認をしておきましょう。見積書のあと送付する請求書では、配送先のShip to と請求先のBill to を取引先情報として記載します。
合計金額・内訳
合計金額・内訳は英語の見積書においても、表で記載されることがほとんどです。下記のような単語を使って表を作成しましょう。
商品コード | Item code |
内訳 | Description |
数量 | Quantity/QTY |
単価 | Price per unit /Unit price |
金額 | Amount |
小計 | Subtotal |
税金 | Tax |
送料 | Shipping |
割引 | Discount |
合計金額 | Total /Grand total |
表内に備考の欄を設けて、割引の詳細情報などを書くケースもあります。合計金額はわかりやすいよう太字にしたり強調してみてもよいでしょう。
補足
必要に応じて見積書の末尾に補足の項目を作成します。
The buyer is responsible for all charges and fees associated with bank transfers.(銀行振込手数料はお客様のご負担となります)
Terms of Returns and Refund Policy: within 7 days after the arrival of your order(返品・返金規定:注文商品到着後7日以内)
上記例文の他に、補足事項を次のように記載することも可能です。
備考 | Remarks |
キャンセル規定 | Cancellation policy |
取引条件 | Terms and conditions |
前払金 | Deposit |
連絡先
相手からの問い合わせにスムーズに対応できるよう、見積書内に連絡先を書いておくと親切です。また、見積り依頼に対して謝意を伝える一文を加えることで、自社の印象も良くなります。
hank you for your inquiry. (この度はご依頼いただきまして、ありがとうございました)
If you have any questions about this quotation, please contact us at abcd@ef.com.(この見積書にご質問があれば、abcd@ef.comまでお問い合わせください)
見積書を送付する英文メールの作成方法
つぎに見積書を送付する英文メールの作成方法をまとめます。相手が興味を持つような内容を盛り込みつつ、ビジネスマナーを意識した内容に仕上げることがポイントです。本章では、以下の項目別に書き方の注意点や例文を紹介します。
・宛名
・書き出し
・自社商材のアピール・注文への期待
・フォローアップ
・結び
・署名
宛名
送信先の相手が明確な場合は、担当者の名前を記載します。わからない場合は、役職名やご担当者様といったニュアンスの英語を用います。
Dear Mr. Johnson, (ジョンソン様)
Dear Accounting Manager, (経理部長様)
To Whom It May Concern, (ご担当者様)
可能な限り、宛名は担当者か役職名で書きましょう。どうしても特定できない場合は、To Whom It May Concernのように、語頭を大文字にすることでビジネス文書に適した礼儀のある宛名となります。
書き出し
書き出しは見積り依頼に対するお礼の言葉を書きましょう。
Thank you for your request for a quotation. (お見積りのご依頼をいただき、ありがとうございます)
Thank you for your interest in our products. (我々の商品に興味を持っていただき、ありがとうございます)
続けて、本題である見積書を添付した旨を伝えます。
We have attached our quotation as a PDF file. (PDFファイルにて見積書を添付させていただきました)
添付ファイルは英語でattached file といいます。ビジネスメールでは頻出用語となるので、覚えておくと便利です。
自社商材のアピール・注文への期待
見積り依頼から商品購入につなげるために、簡単に自社商材のアピールの文面を加えたり、注文への期待を添えてもよいでしょう。ただし、アピールが過ぎると逆効果になるため、長文で書くことは避けてください。
This is the most popular product in our company. (こちらは弊社でもっとも人気の商品となります)
We look forward to receiving your order. (ご注文お待ちしております)
Look forward to 動詞+ing で「楽しみにしている」という意味になります。ビジネスシーンや日常会話でもよく使われる用語です。
フォローアップ
問い合わせに関する情報を記載します。また、必要に応じて後日フォローアップの連絡を入れるのも有効です。
If there is anything unclear, please feel free to contact us. (もし何かご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください)
I will follow up with you. (後日フォローアップのご連絡をさせていただきます)
気軽に問い合わせをしてほしい場合、don’t hesitate(遠慮なく) という表現も使えますが、直訳すると「躊躇せずに」「ためらわずに」となるため、人によっては違和感を抱くことがあります。自然な文章にしたいのであれば、feel free to contact の言い回しがおすすめです。
結び・署名
最後に結びの文章と署名を書きます。結びの挨拶はいくつか定型文を用意しておくと便利です。また、フォローアップの文章とつなげて記載しても構いません。
I look forward to hearing from you. (お返事をお待ちしております)
署名の前に、日本語の「敬具」や「草々」にあたる言葉を添えましょう。文頭に書く「拝啓」や「前略」にあたる言葉はないため、文末の締めだけを書きます。
Best Regards,
Sincerely yours,
Best Regards は社内外のビジネスメールで使えます。Best Regards より Sincerely yours のほうがより丁寧な表現となります。最後に、自分の名前、会社名の順に明記すれば、見積書を送付するための英文メールは完成です。
見積書作成時に役立つ英単語・英語表現
見積書作成時に役立つ英単語や英語表現をまとめました。これらの言葉を知っておくと、少しアレンジを加えるだけで簡単に見積書が作成できるようになります。
支払い方法 | methods of payment |
支払い期限 | payment term |
希望小売価格 | suggested retail price |
納期 | delivery deadline |
商品 | merchandise |
販売条件 | consider of sales |
ありがとうございます | I appreciate it. |
ご注文をお待ちしております | We look forward to receiving your order. |
ご回答をお待ちしております | We hope to get answers from you. |
同上(前に述べたものと同じ) | ditto |
見積書を依頼する英文メールの作成方法
見積書を依頼する際は、あらかじめ形式を決めておくことで、短時間で英文メールが作成できます。本章では、テンプレートとしても使える例文と書き方の注意点を紹介します。
・件名
・宛名
・書き出し
・見積りの依頼と依頼理由
・期限と結び
・署名
件名
タイトルはメールの内容が伝わりやすい表現を用います。
Request for quotation (見積り依頼)
RFQ for ○○ (○○についての見積り依頼)
RFQは Request for quotationの頭文字を取った表記です。 Request for quotationは、見積り依頼時の基本的なフレーズとなっているため、概算見積り時のタイトルも Quotationを用いて問題ありません。大まかな見積りであることを強調したいのであれば、request for cost estimateとすることで相手に意図は伝わりやすくなりますが、タイトルとしてはあまり一般的な表現ではありません。
宛名
基本的には担当者の名前を記載します。担当者が曖昧な場合は役職名を用いましょう。以下に担当者名・役職名・担当部署名の英語表記例を紹介します。
ウィリアム様 | Dear Ms.WILLIAMS, |
支社長様 | Dear General Manager, |
工場長様 | Dear Factory Manager, |
広報担当者様 | Dear PR officer, |
人事部御中 | Dear Human Resources Department, |
書き出し
書き出しでは、相手の商品に興味を持っている旨を伝えます。
We are considering ○○. (私たちは、○○を検討しています。)
We would like to purchase ○○. (私たちは、○○を購入したいと思っています。)
「拝啓」のような頭語や季節の挨拶などは必要ありません。英文メールでは、単刀直入に商品について述べましょう。
見積りの依頼
見積りの依頼はさまざまな表現がありますが、できる限りシンプルな文章を心がけます。
We would like to get your quotation. (見積書の作成をお願いしたいです)
Please quote us for 〇〇. (〇〇について見積りを出してください)
ビジネスシーンでは、want to ではなく、より丁寧なwould like to を使います。また、個数の指定や希望納期がある場合は、あわせて伝えましょう。
item code(商品番号):123-456
Quantity(個数):10 pieces
Desired delivery date (希望納期):10 November 2021
結び・署名
見積書を依頼する際は、返信を希望する期限を明記しましょう。
We would appreciate it if you could send us a quotation by 10th October 2021. (2021年10月10日までにお見積りを頂けると幸いです)
I would appreciate it if you could ~は、丁寧な依頼の表現となります。結びと署名は以下のとおり記載します。
Sincerely yours,
Hanako Nihon
結びの挨拶のあとは、必ずカンマ「,」を入れます。署名は必要に応じて部署名や会社のURLを追加しましょう。
見積書依頼時に役立つ英単語・英語表現
見積書依頼時に役立つ英単語や英語表現をまとめました。これらの言葉を知っておくことで、見積りの依頼がスムーズにできるようになります。
固定価格 | firm price |
申し込み | offer |
逆提案 | counter offer |
代金引換 | Cash on delivery /COD |
原材料 | raw materials |
未定 | To be determined /TBD |
発送方法 | method of shipment |
サービス手数料 | service charge |
銀行振込 | bank transfer |
納入場所 | place of delivery |
見積りを断るときの英語表現
提示された見積りを断る場合は、以下の順番で記載します。
・見積りを作成してもらったことへのお礼
・断りの意思を伝える
・断りの理由を伝える
・今後の展望を述べる
以下に断る際に使える例文を紹介します。
We appreciate your quotation for ○○. (○○についてのお見積りをいただき、感謝申し上げます)
However we are afraid that we must decline your proposal at this time. (しかしながら、大変申し訳ありませんが、今回のご提案は辞退させていただきたく存じます)
Unfortunately it doesn’t fit our budget. (残念なことに私たちの想定した予算内に収まりませんでした)
I hope we can meet at another time. (またの機会にお会いできることを願っております)
単価交渉するときの英語表現
提示された見積書よりコストを抑えたい場合は、単価交渉も検討してみましょう。市場相場を把握し、競合他社から相見積りをとることで、価格交渉を有利に進めやすくなります。
Could you offer a discount? (値下げをしてもらうことはできますか?)
We were wondering if we could get a discount on a bulk order. (大口注文においてを値引きいただくことは可能でしょうか。)
他にも以下の表現が使えると便利です。
価格を10%割り引く | reduce the price by 10% |
価格を80ドルまで値下げする | reduce the price to USD 80 |
良い価格 | better price/ good price |
「安い価格」と伝えたいときは、cheap price ではなく、inexpensive・better price・good priceなどを用いましょう。値下げ交渉をする際は、価格のことだけを書くのではなく、商品に魅力を感じていて買いたい気持ちがあることを伝えると、相手に応じてもらいやすくなります。
まとめ
英語での見積書ではビジネス文書に適した言い回しや、文化の違いを踏まえて作成することが求められます。扱う金額が大きくなるほど、ミスや誤解がないか心配になることもあるでしょう。
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