これから英語学習を始める方のなかには、“精読”という学習法を聞いたことがある方もいるかもしれません。英語精読とはどのような学習方法を指し、どのような効果があるのでしょうか。
本記事では、英語精読とは何なのかを詳しく説明するとともに、メリットや具体的な学習方法を解説します。また、英語精読におすすめな参考書も紹介しているので、テキスト選びで迷っている方はぜひご覧ください。
英語精読とはどんなもの?多読との違いは?
英語精読とは、英文を“精査する”こと。ただ流し読みするのではなく、その英文に使われている単語や文法、構造に注目し、一つ一つ確実に理解しながら読み進める作業を指します。
精読と似た学習方法に「多読」がありますが、これらは学習の目的が異なるため注意が必要です。多読では単語や文法、構造にじっくりと注目することはなく、とにかく大量の英文を読み進めて英語に慣れることを目的としています。
そのため多読と比べて精読は、文章や本を読み終えるまでに長い時間がかかるのが特徴です。場合によっては、理解できなかった箇所まで戻って読み返すこともあります。
中学や高校の授業で、SVOなどの文型を当てはめながら英文を分解した記憶がある方もいるかもしれません。そのときの学習方法が、精読と比較的近いと考えて良いでしょう。
英語精読を行うメリットや効果は?
こちらでは、精読の具体的なメリットや効果を解説します。
語彙力や文法力が上がる
精読は、語彙力や文法力を鍛えるトレーニングとして最適です。分からない語彙を辞書で引いたり検索したりなど、自主的に調べる作業を通して、いつの間にか単語やフレーズが頭に入っていることが少なくありません。
また、学習に使う本のテーマによっては同じ語彙が何度も登場するため、暗記する気がなくても自然と覚えていることがよくあります。
文法に関しても、一つ一つの英文に丁寧に注目することで、主語や動詞、目的語、補語それぞれに対する理解が深まります。英語の文法は「第5文型」と呼ばれる5パターンのいずれかに当てはまりますが、文法が分かれば文型を見抜くことも難しくありません。
語彙力と文法力は英語の基盤とも言える重要なスキルであり、精読を通して確かな英語の土台を固めることが可能です。
英文の構造が理解できるようになる
語彙力があるにも関わらず英文を読めない人は、英語の構造を理解できていないことが大きな理由です。構造が分からないから英文を読めず、その結果として英語学習が嫌いになってしまう方も少なくありません。
特に一文が長く修飾語が多い英文では、何が主語で何が目的語にあたるのか見抜けない方も多いのではないでしょうか。
精読では英語の構造に注目し、文章を分解する作業を行います。SVOなどの文型はもちろん、長々とした修飾語がどこに掛かっているのか、指示語が何を指しているのかまで分析しなければいけません。その結果、英語の構造を理解する力が身につきます。最終的には、深く考えずとも英文を見てすぐに構造を見抜けるようになるでしょう。
細かいところまで意味が理解できるようになる
精読では文章をゆっくりと読むため、通常であれば見逃しそうな細かな部分にも気づけます。
例えば英文を読んでいて、“at school”というフレーズが登場したとしましょう。いつもなら「at+school」という並びだけを見て「学校で」と読み流しますが、精読では「なぜatが使われているのか」や「なぜinやonではダメなのか」を自分で考えることになります。
前置詞のほかにも、英文のなかには「なんとなく読めるけど詳しい活用法は分からない」という語彙や文法が少なくありません。今までなんとなく使っていた語彙や文法に関して、精読の作業を通して正しい使い方が習得できます。
英文を読むスピードが速くなる
精読自体は時間を気にせずゆっくりと行いますが、その精読の作業を続けることで最終的には英文を読むスピードがアップします。
英文を読むスピードが遅いことに悩みを抱える方も多いですが、単語や文法、構造の基本を理解していないことが一つの理由です。
精読では単語や文法、構造など英文を読む上で欠かせない基礎を鍛えるため、速く読む練習をしなくても、結果として英文を読むスピードがアップします。
また、たくさんの英文を速く読むためには集中力が必要ですが、精読の作業を繰り返すことで英文を読むことに慣れ、どんなに長い文章でも途中で挫折せずに済むようにもなります。
英語精読の効果的なやり方と手順は?
英語精読で効果を出すためにはどうすれば良いのか、こちらでは具体的なやり方と手順を解説します。
1. まずは本を選ぼう。自分のレベルよりも少し難しいものを
精読で効果を出せるかどうかは、最初の本(教材)選びに大きく左右されます。レベルが低すぎる本を選べば、いくら読み込んでも新しい知識を得られず英語力が伸び悩むことに。反対にレベルが高すぎる本を選べば、一冊終えるまでに時間がかかりすぎて非効率です。
本を選ぶときは、中身を何ページか読んでみて「少し難しいかも」と感じるくらいがちょうど良いです。なんとなく内容を理解できるものの、見たことのない語彙や、スムーズに分析できない文法があるくらいの本を選びましょう。
また、英語学習が苦痛にならないための工夫として、自分の興味のあるジャンルの本を選ぶことも重要なポイントです。
2. 時間を気にせず一度じっくり読もう。わからないところはマーカーを
本を選んだ後は、具体的な精読作業に入ります。最初に英文を読む時は、時間を気にせず「自分が理解できない箇所はどこなのか」を細かく探しましょう。意味が分からない単語や理解できないフレーズ、構造が分からない文章に注目します。
そして、これらの理解できない箇所は、全てマーカーを引いてください。全て同じ色のマーカーで引いても良いですが、人によっては単語やフレーズ、文法など項目別に色分けすることで後から見やすくなります。
なお、この時点ではひたすらマークするだけで良く、単語の意味を調べたり、文法構造を分析したりする必要はありません。
3. わからなかった箇所の意味や構造を調べよう
文章を一通り読んで、分からない箇所にマーカーを引いた後は、マーカー箇所を理解する作業に入ります。分からない単語やフレーズは、辞書や参考書を使って意味を調べましょう。単語とフレーズを調べた後に一文を読んでみて、意味が分かるようになっていれば、自身の語彙力不足に気づけます。
また、文法や構造の分析も忘れてはいけません。ぱっと見てその文章がどのように成り立っているのか分からない場合は、それぞれの語をSVOなど品詞ごとに分けてみましょう。一つ一つの語を丁寧に品詞分解することで、動詞が指し示しているものは何なのかや、修飾語がどこに掛かっているのかなどを視覚で簡単に理解できるようになります。
4. 最後にもう一度はじめから読もう
マークした箇所を全て分析し終えたら、再び最初からその本を読んでみてください。再度読んでみて、全て完璧に理解できるようであれば問題ありません。ですが実際は、マークをし忘れている箇所が見つかったり、理解が甘いままの箇所があったりするもの。
2度目を読んでみても分からない場合は、手順2の【時間を気にせず一度じっくり読もう。わからないところはマーカーを】からやり直す必要があります。2度目のマークでは、1度目のマークと差別化できるよう色分けするのが良いでしょう。手順は同じく、マークが一通り終わった後はまた分析作業に入り、分析が終わったら一通り最初からまた読み返します。
5. 2度目でもわからない箇所があれば手順を繰り返そう
2回目の分析が終わり、再び本を読み返してみた結果、それでもまだ理解できない箇所が出てくる可能性があります。その場合は、分からなかった箇所を放置して終えるのではなく、理解できるまで同じ手順を何度も繰り返してください。
多読のような一気に読み流す学習と違い、精読は同じ本を何度も読むためストレスを感じるかもしれません。途中で放棄したくなることもありますが、この繰り返し作業を通して確かな語彙力や文法力が身につきます。
そのためマークを曖昧にしたり、分析作業で手を抜いたりするのではなく、完璧に理解することを目標に厳しくチェックすることが大切です。
英語精読を行うにあたっての注意点は?
英語精読の効果を最大限発揮するためにも、ここでは実施するにあたって意識したい注意点を解説します。
速く読もうとしないこと
特に文章量が多いと、「急いで本を終わらせなければ」という気持ちから速く読もうとしてしまうことがあります。ですが、精読は速く読むために行う学習法ではなく、自分の苦手を見つけて語彙力や文法力を高めるための学習法です。
速く読んでしまえば、自分の苦手ポイントや理解できていない箇所を見つけられず、英語力が最初とあまり変わらないまま本を読み終えてしまう可能性があります。
そのため精読する際は、時間を意識しすぎないことが大切です。完璧に理解できるようになるまで、立ち止まってしっかりと考える時間を確保しましょう。ただし、いくら時間をかけても理解できない場合は、本の難易度自体が合っていない可能性があるため注意してください。
難しすぎるor簡単すぎる本を選ばないこと
最初に本選びの重要性をお伝えしましたが、難しすぎたり簡単すぎたりする本を選ばないことが重要です。例えば自分の英語力が大学受験レベルにも関わらず、中学生レベルの本を選んでしまえば、新たにインプットできる語彙や文法はほとんどありません。
反対に、自分の英語力が中学生レベルにも関わらず、高度な本を選んでしまえば「本の内容をほとんど理解できない」という状況に陥ってしまいます。マークするだけでも膨大な時間がかかるのはもちろん、英文を分析すること自体が不可能でしょう。
本を選ぶときは、おおよその内容は理解できるものの、単語や文法などの不明点が散見され、読むのにやや時間がかかる「少し難易度が高い教材」を選ぶことが大切です。
分からないところを和訳で確認しないこと
ついやってしまいがちですが、分からない箇所が出たときに日本語訳を確認しないようにしましょう。日本語訳をすぐに確認してしまうと、自分で考えて答えを導き出したわけではないため記憶として定着しにくいです。
あくまでも精読とは、本を読むことが目的ではなく、自分の分からない箇所を潰すことが目的。自分の理解できないポイントを知り、意味や構造を自分で調べることで確かな英語力を習得できます。
また日本語訳を見てしまえば、文脈を推測する力を鍛えることもできません。前後の単語や文章から文脈を想像することも英語の重要なスキルのため、まずは自力で読み進めてみてください。
英語精読におすすめな参考書5選!
それでは最後に、英語精読をする際におすすめの参考書をレベル別に5つ紹介します。
「受験英語の神様」が講義する英語精読の定番本!
『英文解釈教室 入門編』は、「受験英語の神様」とも呼ばれた予備校講師の伊藤 和夫氏による参考書です。基礎編や新装版も出版されていますが、ここで紹介する入門編は初めて精読に挑戦する方や、まだあまり英語力に自信がない方に向いています。
本の構成はシンプルですっきりとしており、例文を読んで日本語に訳す作業をひたすら繰り返すだけ。例文の次のページに記載されている解説を読めば英文の内容が分かるため、自分が本当に理解できているのか確認する最終チェックとして活用するのが良いでしょう。
内容は、他動詞と自動詞の見分け方や、形容詞と副詞の見分け方など、英語学習者が間違えやすいポイントが網羅されているのが特徴。英文解釈教室シリーズは英語学習者から長い間評判を集める良書のため、入門編の後は基礎編や新装版に挑戦してみるのもおすすめです。
おすすめレベル | 初級〜中級 |
---|---|
著者 | 伊藤 和夫 |
出版社 | 研究社 |
価格(税込み) | 1,287円 |
問題形式でサクサクと英文の構造を理解できる!
『基本からわかる英語リーディング教本』は、TOEICやTOEFL、受験英語など、幅広い場面で使われる英語の読解力が身につけられる教材です。英文の下に「この文章を和訳せよ」や「この単語の品詞は?」などの問題が記載されており、問題に答えるだけで自然と文章の構造が理解できます。そのため、精読のポイントが分からない方でも学習方法に戸惑うことはありません。
また“Frame of Reference の要点”と記載されたページには、精読をする上で重要なポイントがまとめられています。このページを丸暗記するだけでも、文章構造を理解するための考え方が身につくはずです。
おすすめレベル | 初級〜中級 |
---|---|
著者 | 薬袋 善郎 |
出版社 | 研究社 |
価格(税込み) | 1,650円 |
豊富な解説で「なんとなく読めるレベル」から卒業!
『思考力をみがく 英文精読講義』は、「子どものしつけ」や「昼間に眠くなる原因」など日常に関するトピックを精読できる本です。馴染みやすいテーマの英文が多いため、飽きずに勉強できます。
本書の特徴として挙げられるのが、一つのテーマに対して解説の量がとにかく豊富なこと。詳細な解説をじっくりと読み込むことで「なんとなく読めていたつもり」から、「文章構造までしっかりと理解できる」レベルまで英語力を向上できます。
練習問題に関しても、なんとなく英文を読める程度の英語力では解けないものがほとんど。英語は苦手ではないけど、細かな部分まで解釈できていないと感じる方は、本書で確かな英語力を身につけられるでしょう。
おすすめレベル | 中級 |
---|---|
著者 | 薬袋 善郎 |
出版社 | 研究社 |
価格(税込み) | 1,760円 |
重要構文を網羅しネイティブの解釈を理解する!
『基礎英文問題精講』は、英語学習者にとって英語精読の定番とも呼べる本です。構文編・文脈編・応用編と分かれており、例文の数が豊富なためさまざまな文章に触れられます。構文編には英語の解釈に必要な重要構文が網羅されており、ここを押さえるだけでも知識量がぐんと増えます。
文脈編は、ネイティブが意識せず使っている英語を理論的に詳しく解説しているのがポイント。thatやitなどの指示語が何を指し示しているのか見つけるのが苦手な方は多いですが、文脈編では指示語に対する理解を深められるトレーニングも含まれています。
また、通常の参考書と比べてサイズが小さいため、移動時などに持ち運びしながら学習したい方にもぴったりでしょう。
おすすめレベル | 中級 |
---|---|
著者 | 中原 道喜、宇佐美光昭 |
出版社 | 旺文社 |
価格(税込み) | 1,375円 |
大学入試レベルの良質な問題!英語上級者の仕上げの一冊
『精読のプラチカ英語長文』は、上記4冊を一通り理解できるレベルの上級者におすすめの本です。大学入試に登場する問題のなかから、さらに良質な問題を25問厳選。受験対策向けの問題が多いですが、難しい語彙や文法、複雑な構文に触れて英語力をワンランクアップさせたい方の学習にも向いています。
解説ページは分かりやすく、ただ単語や文法に関する説明が載っているだけでなく、それぞれの問題に対する考え方も紹介されています。また、解答冊子には重要な単語がまとめられ、これを覚えるだけで語彙力が格段にアップ。やや短めの長文を25題解くことで、英語を読む体力もつけられるでしょう。
おすすめレベル | 上級 |
---|---|
著者 | 鈴木 裕次 |
出版社 | 河合出版 |
価格(税込み) | 996円 |
英語での効果的な精読方法がわかったら
英語の精読が、語彙力や文法力、構造の理解力を高められることが理解いただけたのではないでしょうか。ぜひここであげた正しい手順や注意点を意識して試してみてください。
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