IELTS8.0のレベルとは?学習時間やおすすめの勉強法を詳しく解説!

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IELTSはイギリスのケンブリッジ大学英語検定機構などによって運営されている英語試験です。目的の異なる2種類の試験があり、アカデミック・モジュールは大学や大学院への進学、ジェネラル・モジュールは就労や移住に必要な英語力の証明として用いられています。

本記事では、IELTS8.0のレベルを紹介するとともに、学習時間やおすすめの勉強法についても詳しく解説します。

IELTS8.0のレベル感とは?

IELTSが世界140ヶ国、10,000以上の機関で採用されている英語試験で、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能を総合的に評価されます。近年は、日本の機関でも導入されることが増えてきたことから、日本人受験者も増加傾向にある試験です。

IELTSは正答数に応じて0.5刻みでスコアが算出されます。まず、IELTS8.0のレベル感を英語力の目安や活用できるケースを紹介します。

IELTS8.0の英語力

IELTSは英語圏や欧州の留学や移住を目的とした英語試験で、満点はバンドスコア9.0です。他の英語試験と比べても難易度は非常に高く、ネイティブが無対策で受けても8.5程度のスコアになるといわれています。スペルミスもなく、文法の構成も完全に理解できてはじめて満点スコアが取得できます。よって、IELTS8.0をとるためには、ネイティブに近い英語力が必要です。

IELTS8.0があれば、海外の大学で講義を受けたり、専門的なディスカッションも問題なくできるレベルです。日本の英語学習者のなかでも、上級者のみが獲得できるスコアといえます。とくにスピーキングとライティングで高スコアをとるためには、かなり入念な対策を行い、時間をかけて学習することが必要となります。

海外の一流大学への出願が可能

英語圏の大学では総合バンドスコア6.5から7.0を目安としているケースが多く、難関校であるオクスフォード大学院でも7.5です。IELTS8.0のスコアは世界の一流大学に出願できるレベルであり、かなり高い英語力の証明となります。

また、アカデミック・モジュールは英語圏の大学や大学院での生活を想定した内容となっているため、実用的な知識を身につけることも可能です。大学では講義を受講するだけでなく、自分の意見を英語で伝えるスキルも重視されます。論文の作成に必要不可欠となるライティングの能力やディスカッションの土台となるスピーキングの能力を鍛える意味でも、IELTSの受験は有効といえるでしょう。

ビジネスでもかなり有利に働く!海外就職のチャンスも

IELTS8.0があれば、ビジネス面でもかなり有利になります。IELTSは受験者数も多く、多くの国と機関で導入されています。よって海外就職のチャンスを広げるためにも、役立つ英語試験といえるでしょう。

海外就職においては目安となるバンドスコアを6.5以上に設定している機関が多く、8.0を取得しているとライバルとの差別化にもつながります。日本国内の外資系企業や海外での就職を希望している人は、IELTS8.0を目標とすることで、選択肢を大きく増やすことができるでしょう。

IELTS8.0を他の試験と比較してみよう!

IELTS8.0を他の試験と比較してみると、どれくらいの難易度になるのでしょうか。

日本人の受験者が多いTOEIC・英検、実用的な英語試験として留学や海外就職で活かせるTOEFL iBT・ケンブリッジ英検と比較してみました。

TOEIC・英検に換算すると?

IELTS8.0は難易度が高く、求められる英語力もTOEICや英検と比べて高くなります。よって、IELTS8.0を取得するためには、TOEIC990点以上、英検1級以上のレベルが必要となるでしょう。TOEICで満点をとっても、英検で1級に合格できても、IELTS8.0のスコアに届かないケースもあります。

たとえば、TOEIC L&Rはリスニングとリーディングのスキルをマークシートによって測定しますが、IELTSではスピーキングやライティングの実践的な能力が求められます。評価の対象となるスキルが異なるため、一概に点数を換算することはできませんが、参考として以下の表に6.0から8.0の目安をまとめました。

IELTSTOEIC
英検
8.0該当なし(990点以上)
該当なし(1級以上)
7.0930点
1級
6.5870点
準1級以上
6.0790点
準1級

TOEFL iBT・ケンブリッジ英検

TOEFL iBTとケンブリッジ英検は、TOEICや英検より難易度の高い傾向にあります。

TOEFLは、アメリカやカナダへの留学や就職でとくに活かせる英語試験です。個人向けのiBTと団体向けのITPの2種類があります。ケンブリッジ英検はケンブリッジ大学が開発と運営を行っている英語試験です。リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能に加えて、Use of English(文法)のスキルも評価されます。

IELTSがバンドスコアで算出されるのに対して、ケンブリッジ英検は合否で判断されます。また、IELTSのスコアは2年間の有効期限がありますが、ケンブリッジ英検の認定書は生涯有効です。

参考として以下の表に8.0のバンドスコアの目安をまとめました。基本的にIELTSで8.0をとるためには、TOEFL iBTでもケンブリッジ英検でも、満点に近いレベルが必要となります。

IELTS8.0TOEFL iBT 120点
ケンブリッジ英検 CPE(最上級)

IELTS 8.0に必要な勉強時間

IELTSのスコアを0.5あげるためには、最低でも200~300時間の学習時間が必要とされています。一般的には3ヶ月程度でスコアを0.5あげることができますが、5.5から6.0に到達するのと7.5から8.0に到達するのでは難易度が変わってきます。

まずは、いまの実力がどの程度なのかを知り、必要な勉強時間を割り出しましょう。必要な時間が割り出せたら、目標日までの1日あたりの学習時間を算出します。毎日わずかでも勉強する時間を確保することで、確実に英語力は向上します。定期的に進捗を確認しながら、スコアアップを目指しましょう。

総合バンドスコア8.0を取得するための勉強法

総合バンドスコア8.0を取得するためには、どんな勉強法が適しているのでしょうか。本章では、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの技能ごとに、試験問題の特徴や対策のポイントを紹介します。

リーディング

リーディングの問題はアカデミック分野が多く出る傾向にあります。自然科学・文化・世界経済といった幅広いテーマとなるため、日頃から学術的な英文に慣れておくとよいでしょう。IELTSのリーディングは、長文が3つ出題されます。単語数も700~900語と多く、記事や論文の形式です。60分の試験時間内に40問に答える必要があるので、速読力も必要となります。

目指すべきセクション別のバンドスコアとしては、40問中35、36問正解することがIELTS8.0を取得するためのポイントです。日本の英語教育ではリーディングとリスニングに強みがあるので、できれば1、2問のミスに抑えて8.5以上を狙っていきましょう。

アカデミックな英単語・表現を習得する

「英語には敬語がない」といわれますが、プライベートと公式の場で用いられる表現は異なります。さらに、IELTSなどのアカデミックな試験では置き換えるべき単語などもあるため、これらの知識を習得することが重要です。日常会話で頻繁に用いられる、「good」「bad」「say」などの表現は、以下のアカデミックな言い回しに置き換えることが可能です。

日常会話での表現アカデミックな表現
goodpositive / beneficial / favorable
badnegative / poor / ineffective
saydiscuss / suggest / explain

スキミング読法を習得する

8.0を目指すときの具体的な勉強法としては、できるだけ一般的な英語力アップではなく、IELTSに特化した学習になるよう意識しましょう。たとえば、短時間で長文を読み解くスキルを身につけたい場合は、スキミング読法がおすすめです。スキミング読法とは、書かれた英単語をすべて理解しなくても、斜め読みしながら文章全体の内容をつかめるテクニックです。

スキミング読法のポイントとしては、「タイトル・見出し・図表からテーマと概要とつかむ」「第一段落と最終段落に注目する」「各段落内にあるキーセンテンスを見つける」などが挙げられます。文章のなかにある要点を適切にすくいあげるテクニックが身に付けば、リーディングスコアの大幅アップが期待できます。

公式問題集を繰り返し解いて復習する

IELTSには公式問題集もあります。アカデミックな表現を学び、速読力も身に付いてきたら、公式問題を繰り返し解いて復習してみましょう。日本語で学習したい人は『【音声ダウンロード付】IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』、英語で学習したい人は『IELTS 16 Academic Student’s Book with Answers with Audio with Resource Bank (IELTS Practice Tests)』がおすすめです。

【音声ダウンロード付】IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集

おすすめレベル中級
著者ブリティッシュ・カウンシル
出版社旺文社
価格(税込み)2,860円

IELTS 16 Academic Student’s Book with Answers with Audio with Resource Bank (IELTS Practice Tests)

おすすめレベル上級
著者
出版社Cambridge English
価格(税込み)2,670円

リスニング

リスニングの問題はマークシート形式に加えて、空欄に英単語を書き込むタイプもあります。人名や地名を問われる場合もあるため、「Charles」や「Wales」などのスペルもチェックしておくとよいでしょう。IELTSのリスニングでは、問題を先読みするスキルも重要となってきます。幅広くアカデミックな知識を学んでおくことで、会話が聞き取りやすくなるはずです。

リスニングも、40問中35、36問正解することがIELTS8.0を取得するためのポイントです。ミスは1、2問に抑えて8.5以上を狙いましょう。

各パート・出題シーンの頻出単語を把握する

IELTSのリスニングは30分で40問に解答します。リスニングは4つのパートに分かれており、それぞれに頻出単語が存在します。パートごとの特徴を知ることで、聞き取れなかった単語があっても、前後の文脈から予想が立てやすくなるでしょう。

パート1図形・数字・時間・貨幣・頻出動詞・頻出形容詞
パート2施設・交通・方向・位置
パート3学校・組織・大学の科目
パート4健康・動物と習性・環境・自然・政治・エネルギー・その他頻出単語

リテンション・スキルを身に付けるトレーニングを行う

リスニング力を向上させるトレーニングに、「リテンション」があります。追いかけて発声するシャドーイングとは違い、リテンションは聞いた音声を一度止めて、自分自身で正確に再現するトレーニング法です。

1つでも聞き取れない単語があると正確な再現は難しくなるため、より精度の高いリスニング力を身につけることができます。IELTSのリスニングは、パートごとに会話パターンが決まっているので、苦手を見つけて重点的にリテンション・スキルを鍛えるのもおすすめです。

パート12人の話者による日常会話
パート21人の話者による日常的な話
パート3最大4人の話者による教育現場や研修といった場面での会話
パート41人の話者による学術的な話

イギリス英語でよく使われる単語・発音を覚える

日本語にも方言があるように、同じ単語であっても国ごとに発音やスペルが異なるケースがあります。たとえば「often」はアメリカ英語では「オーフン」、イギリス英語では「オフトゥン」のように発音します。

IELTSはケンブリッジ大学英語検定機構などによって運営されているため、イギリス英語でよく使われる単語や発音を覚えることも大切です。

イギリス英語アメリカ英語
universitycollege
lorrytruck
chemistdrugstore

スピーキング

スピーキングは試験官と1対1でのインタビュー形式で実施します。試験は4~5分程度の自己紹介、3~4分程度のスピーチ、4~5分程度のディスカッションの3つのパートで構成されています。

IELTSで8.0を取得するためには、パート別に対策を練ることが大切です。パート1では「日常会話の流暢さ」を、パート2では「決められた時間で効果的にスピーチするスキル」を、パート3では「アカデミックな英語力が身に付いていること」をアピールできれば、高スコアが期待できます。

自分の解答を録音して改善点を見つける

スピーキング対策としては自分の解答を録音してフィードバックをするのがおすすめです。頭の中ではうまく文章が構築できていても、実際に口に出すと違和感や文法のミスを発見できるケースがよくあります。

とくにスピーキングに慣れていないと、過剰な表現や回りくどい言い方をしてしまいがちです。大きなミスがなかったと満足するのではなく、より良いスピーキングに仕上げるための改善点を見つけ、ブラッシュアップしていきましょう。スピーキング対策では、簡潔で適切な英語を用いることを重視してください。

自分の意見とその根拠を述べる練習をする

アカデミックなスピーキングスキルが求められるパート3は、IELTSで8.0を取得するためには、とくに対策を行いたいポイントです。自分の意見と、その根拠を論理的に述べる練習を重点的に実施しましょう。

ただ、スピーキングの練習を独学で行うには限界があります。プロのレッスンを活用したほうがスキルアップにつながるケースもあるため、勉強方法については工夫が必要です。レッスンを受ける場合は、IELTS向きのアカデミックなスピーキングの練習ができるかを事前に確認しましょう。

英語らしい発音の特徴を押さえた話し方を身に付ける

IELTSのスピーキングでは、流暢な英語を話すための努力が必要不可欠です。ネイティブの話し方を研究して、正しい発音を知識として身につけましょう。流暢に話すためのポイントとしては、リズム・抑揚・リエゾンなどがあります。リエゾンとは、前後の単語とのつながりによって生じる音声変化のことで、連結・同化・脱落の3種類があります。

リズム・抑揚・リエゾンに共通しているのは、1つひとつの単語を正しく発音するよりも、文章を滑らかに発声する点を重視している点です。日本語に慣れていると、ネイティブの話し方は大げさに感じるかもしれませんが、まずはネイティブの発音を恥ずかしがらずに真似るところからスタートしてみましょう。

補足:スピーキングの採点基準

スピーキングの採点基準としては、以下の4つの項目が設定されています。

・Fluency and coherence (流暢さと一貫性)
・Lexical resource (語彙力)
・Grammatical range and accuracy (文法知識と正確さ)
・Pronunciation (発音)

IELTS8.0を取得するための具体的な評価項目を以下の表にまとめました。

Fluency and coherence ・テーマを理路整然と適切に展開できる
・時折言い直しはあるが流暢に話すことができる
・言葉や文法が出てこないことはほとんどない
・内容を熟考する際に若干言いよどむことがある
Lexical resource・幅広い語彙を柔軟に使用できる
・一般的でないアカデミックな熟語も使いこなせる
・シーンに応じた適切な言い換えができる
・わずかに不正確さが見られる
Grammatical range and accuracy・さまざまな構文を使用できる・軽微な/非体系的な間違いが時折ある
・全体を通して間違いの少ない文章を構築できる
・まれに不適切な文法や用語がある
Pronunciation・幅広い発音の特性を使用できる
・時折うっかり間違えることもある・無理なく理解できる発音になっている
・アクセントの悪影響はほぼない

ライティング

スピーキングは2つのパートに分かれています。タスク1ではグラフ・表・図などから情報を処理して要約するスキルが要求されます。タスク2では大学進学や職業登録を希望する受験者向けの一般時事について、エッセイを書くスキルが要求されます。

IELTSの4技能のなかでもライティングの難易度はとくに高く、8.0を取得するのは簡単ではありません。よって、比較的ハイスコアをとりやすいリスニングとリーディングで8.5以上を目指し、ライティングは7.0~7.5を目標とするのも1つの方法です。

理想の文章に多く触れる

ライティングで7.0~7.5を取得するためには採点基準を知り、理想の文章に多く触れることが大切です。手軽な方法として高スコアのサンプル解答を参考にすることもできますが、業界雑誌や書籍などプロの書いた質の高い文章を読み込むことも有効です。

アカデミックな文章の構造やテクニックに触れることで、IELTSのライティング試験にも活かすことができます。英語の論文執筆やプレゼンをサポートするブックシリーズで『English for Writing Research Papers (English for Academic Research) | Wallwork, Adrian | Words & Language』は、ライティング対策におすすめの1冊となっています。

English for Writing Research Papers (English for Academic Research) | Wallwork, Adrian | Words & Language

おすすめレベル上級
著者Adrian Wallwork 
出版社Springer
価格(税込み)4,676円

アカデミックライティングのルールを習得する

アカデミック・モジュールでは、解答の文体にも意識を向ける必要があります。セミフォーマルかつニュートラルな文体で記述できなければ、IELTS8.0の取得はかなり難しくなるでしょう。よって、アカデミックライティングのルールを習得することが重要です。

アカデミックライティングでは、端的で科学的な文章を書くスキルが要求されます。具体的には「専門的な内容をわかりやすく相手に伝えられる」「主張を裏付ける客観的な根拠が提示できる」といった学術的なレベルの高さが求められます。日本語の大学論文と同じように、序論・本論・結論の構成を採用したり、主張と根拠の順番で文章を構築したり、アカデミックライティングのルールやポイントに沿って文章を組み立てていきましょう。

作成した英文を英語のプロに添削してもらう

ライティングスキルを向上させるには、繰り返し英文を作成し、それをプロに添削してもらう方法が有効です。アカデミックライティングのルールを独学で身につけることはできますが、実践できているかの確認は自分1人で行うには限界があります。

独学でのライティング添削は正誤の判断が難しいため、できれば英語のプロに添削してもらいましょう。IELTSは日常英会話ともビジネス英会話とも違い、教える側にも学術的な知識が必要となります。よって、レッスンを受講する先もしっかりと検討したうえで選ぶことが大切です。学術論文の添削サービスを利用してもよいでしょう。

補足:ライティングの採点基準

ライティングの採点基準としては、以下の4つの項目が設定されています。

・Task Achievement(課題への回答)
・Coherence and Cohesion(一貫性とまとまり)
・Lexical Resource(語彙力)
・Grammatical Range and Accuracy(文法知識と正確さ)

IELTS8.0を取得するための具体的な評価項目を以下の表にまとめました。タスク1とタスク2では評価基準が異なるため、ここではタスク1を中心に記載しています。

Task Achievement・課題の要件を十分にカバーしている
・適切に要点を記述できている
・強調を取り入れながら明確に説明できている
Coherence and Cohesion・分析と意見を論理的に配置している
・総合的な観点から文章をまとめている
・段落分けが適切にできている
Lexical Resource・幅広い語彙を柔軟に使用できる
・アカデミックな語句を活用できる
・単語の選択に時折不適切さがある
Grammatical Range and Accuracy・さまざまな構文を使用できる
・全体的に間違いのない文章に仕上がっている
・まれに間違いや不適切な文法がある

IELTS8.0のレベルがわかったら

IELTS8.0は難易度の高いスコア。ネイティブに近いレベルが求められます。8.0を狙うなら、すべての技能を戦略的に学ぶ必要があります。

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