TOEICを受験するときに、「まずは600点を目標にしよう!」と、600点を一つの到達点にする人は多いのではないでしょうか。600点は英語の基礎がしっかり身についていれば取りやすいスコアであり、就職や転職などで有利になる最低限のラインだからです。
この記事では、TOEICで600点を目指している人に向けて、特にリスニングパートを伸ばすための方法についてくわしく解説します。効果的なリスニングの勉強法を実践して、目標のスコアを確実に達成しましょう。
TOEICのリスニング問題の概要
一度受験した人はすでに知っていると思いますが、TOEIC(TOEIC® Listening & Reading Test)は全部で200問からなる英語の試験です。リスニング、リーディングがそれぞれ100問あります。制限時間は2時間で、リスニングは45分、リーディングは75分です。解答は正しいと思った答えの番号を塗りつぶす、マークシート方式で行われます。テストはすべて英文のみの表記で、英文和訳や和文英訳の問題はありません。
TOEICのリスニングセクションは、パート1からパート4で構成されています。それぞれのパートは、どのような問題かを見てみましょう。
Part1は写真描写問題が6問
PART1は写真描写の問題です。全部で6問あり、問題用紙には6枚の写真が掲載されています。写真には人物が写っているものと、人物以外のものが写っているものがあります。人物が写っている場合は、1人だけの場合や複数人が写っている場合があります。人物以外の写真では、風景や乗り物が主な題材となります。
各写真について4つの短い説明文が1度だけ音声で流れ、その中から写真の内容を最も適切に描写しているものを選びます。説明文は問題用紙には印刷されていないため、集中して聞き逃さないようにしましょう。
Part2は応答問題が25問
Part2では、短いセンテンスが流れ、その続きとして適切なものを選ぶ問題です。選択肢はAからCの3つあり、その中から1つを選びます。問題数は25問で、設問文も選択肢も問題用紙には書かれていません。
放送されるセンテンスの種類は、Yes/No疑問文やWH疑問文の他、意見、命令、勧誘、提案など多岐にわたります。2016年5月に問題形式が改訂され、間接的な応答が答えとなる問題が増えています。例えば、「資料を見せてくれませんか?」という依頼に対して、「私は資料を持っていない」ということを直接ではなく、「昨日休んでいたので」という形で遠回しに伝える応答が正解となるような問題です。
Part3は会話問題が39問
13セットの会話音声に対して、それぞれ3つの設問があり、全部で39問あります。設問と選択肢は問題用紙に印刷されています。旧形式では2人の会話だけでしたが、新形式では3人による会話や、グラフ、地図、スケジュール表といった図表を見ながら解く問題が新たに加わりました。
設問の内容は、会話中の発言の意図を問うものや、特定のフレーズの意味を問うものなどが含まれています。これにより、会話の内容をより深く理解する力が求められます。
Part4は説明文問題が30問
Part4では、1人の人物によるナレーションを聞いた後、それに関する3つの設問が放送されます。各設問には4つの選択肢があり、その中から最も適切なものを選びます。ナレーションのセット数は10セットあり、問題数は合計で30問です。
このセクションでは、ナレーションの内容を正確に理解し、設問に対する適切な回答を選ぶ力が求められます。ナレーションの内容に集中し、重要な情報を聞き逃さないようにしましょう。
リスニングが聞き取れない理由とは
リスニングで聞き取れない理由はいくつかあります。自分のレベルによってその原因は異なりますので、自分がなぜ聞き取れないかを改めて見直してみましょう。
語彙力や文法力が足りていない
語彙力や文法力が不足していることが、リスニングが聞きとれない理由の要因です。
英文法では助動詞のわずかな違いで意味が大きく変わることがあります。言い回しの違いでニュアンスが変わることを念頭に置き、知識の探求を怠らないようにしましょう。
単語の発音が正しく理解できていない
単語の発音が正確に理解できていないことも、リスニングで聞き取れない問題の一因です。例えば、英単語をカタカナ読みやローマ字読みで覚えている場合、正確なリスニングは難しくなります。
基礎的な発音練習とリスニング能力は密接に関連しています。「英文を読むのは得意だけど、聞くと理解できない」「リスニングした英文を書き取れない」という場合は、特に単語の発音が正確に身についているか再確認することが重要です。
英語のリスニングを日常的に取り入れていない
日本に住んでいる場合、日常的に英語を意識的にたくさん聞くことが重要です。YouTubeなど多くの無料アプリが使えるものは、どんどん利用していきましょう。
リスニング力を向上させたいなら、1日30分から1時間は英語を聞くことが大切です。1日の学習量を記録することで、より効果的に学習できます。ただし、聞き流しはリスニング力の伸び悩みの原因となるので注意が必要です。
初心者向けリスニング力アップの勉強法
TOEICを始めて勉強する人や、英語の勉強を久々に再開するなどの初心者の方は、まずは「英単語」、「英文法」を勉強しなおしましょう。リスニングアップをするための最短の勉強法です。
英単語帳を1冊選ぶときは、必ず音声付きのものを選ぶことをお勧めします。英単語帳を1冊、ぼろぼろになるまで使いましょう。
同時に、英単語を覚える時は、発音もきちんと覚えましょう。発音できない単語は聞き取れません。音声付きのものを選ぶといいでしょう。
TOEICの単語だけでなく、英単語の学習方法については、「英語学習は単語から始めるべき?英単語を覚える方法やコツを解説!」を参考にしてみてください。
中級~上級者向けリスニング力アップの勉強法
TOEICのリスニングで、中級から上級者の人は、既に英単語帳を1冊終えていると思います。そんな人へのおすすめの勉強法は3つありますので、一つ一つ見ていきましょう。
①ディクテーションを行う
まず実践したい勉強法は、ディクテーションをすることです。ディクテーションとは、英語の音声を聞いて、聞き取れた内容をそのまま書き出すことです。
TOEICのリスニング対策でディクテーションをするときは、まずTOEICの問題集と音源を準備しましょう。初めは英語の音声を止めずに最後まで聞き、大まかな意味をつかみます。次に、同じ文をもう一度聞き、今度は必要に応じて音声を止めながら、聞き取れた英文を書き出していきます。書き終わったらテキストと見比べ、どこが間違っているのか確認する、という流れです。
ディクテーションをすると、一語一語正確に書き出そうとしてよく耳を傾けることで、リスニング力が向上します。また、聞いた英文の中でどこが聞き取れなかったのかが一目瞭然になるので、知らない単語や文法を洗い出し、いっそうの理解を深めるのにも役立ちます。
②シャドーイングを行う
2つ目の効果的な方法は、シャドーイングです。シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、そのすぐ後ろを追いかけるようにして、聞こえた英語を同じように発音する練習方法です。
シャドーイングをするときも、必要なのはTOEICの問題集と音源です。まずは音声を何度か聞いて耳を慣らしたら、英文を音読して全体像をつかみます。次にもう一度同じ音声を流し、今度はシャドーイングをします。うまくリピートできなかった文章はテキストを確認し、もう一回挑戦してみましょう。
シャドーイングをすると、英語独特の発音やリズム、イントネーションに慣れることができます。リスニングしながら自分も口を動かし、意味を理解することで、英語を英語の語順のまま理解できるようにもなります。初めはとても速く聞こえていた英語の音声も、何度もシャドーイングの練習をするうちに次第にゆっくり聞こえるようになるでしょう。
③オーバーラッピングを行う
基本的な方法はシャドーイングと同様で、お手本の音声に合わせて発音やイントネーションを忠実に再現しながら、声に出して内容をリピートします。ただし、声を出すタイミングはお手本と同時ですので、両方の音声が同時に耳に入ってきます。
オーバーラッピングでは、スクリプトを手元に置き、目で英文を確認しながらお手本に合わせて発音します。このため、シャドーイングのように耳だけに頼るのではなく、スクリプトで各単語を確認しながら発音できることが大きな利点です。
シャドーイングと同様に、リスニング力とスピーキング力を同時に養うトレーニング方法です。
リスニングを受ける際に心がけたい2つのこと
TOEICでスコアアップをねらうときには、試験本番で使えるテクニックを知っておくことも大切です。そこで、ここからはリスニング試験を受ける際に知っておきたい2つのポイントを紹介します。
事前に質問に目を通しておく
1つ目は、リスニング問題の音声が流れる前に、記載されている質問に目を通しておくことです。
たとえば、パート1の写真描写問題では、事前にさっと写真を見て、何の写真なのかを把握しておきます。人物が写っていれば、何をしているところなのかを頭に入れてから音声を聞くようにします。人物が写っていない場合でも、何が写っているかに注目し、fountain(噴水)、lawn(芝生)、ladder(はしご)などのキーワードを押さえておきましょう。
このようにすれば、リスニングでは何に注意をして聞けばよいかがはっきりするので、正しい答えをスムーズに選びやすくなります。
選択肢で迷っても1秒以内に答える
2つ目のポイントは、選択肢で迷っても1秒以内に答えることです。リスニングの音声を聞いて、答えがどれかすぐに分からなかった場合には、じっくりと考えて納得のいく答えを探したくなるかもしれません。しかし、多くの人が認める通り、TOEICの試験は時間との戦いです。リスニングパートでは、リスニング音声が読み上げられるのに合わせて、順番にテンポよく解答していく必要があります。1つの問題につまずいて時間がかかってしまった結果、次の問題のリスニング音声を聞き逃してしまう、という事態は避けたいものです。
選択肢がどれかすぐに分からず迷ってしまった場合には、じっくり考えこまずとりあえず1秒以内に答えをどれか決めて、次の問題にすばやく思いを切り替えることが大切です。
リスニングにおすすめの参考書
TOEICの試験対策をするときは、TOEIC試験に特化した参考書を使うと効果的な対策ができます。参考書を選ぶときのポイントは、攻略したいパートとレベルを考慮することです。リスニングを伸ばしたいと思っているのであれば、リスニングパートに特化した参考書を選びましょう。
初心者に必須の1冊
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』の初心者向けの「TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)」です。「金フレ」は大学生協9か月連続1位で、TOEIC教材ランキング1位という、TOEIC受験者には言わずと知れた1冊です。著者のTEX加藤さんは、TOEICの参考書を色々出版していて信頼性が高く、またこのシリーズの本は、単語だけでも何冊かあるので、1冊ずつ終わらせていくといいでしょう。さらに単語だけでなくパートごとや文法のものだけもあるので、自分が弱いと思った部分の1冊を続けて選んでもいいと思います。
著者 | TEX加藤 |
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出版社 | 朝日新聞出版 |
価格(税込み) | 979円 |
カリスマ講師の授業を受けているよう!(初級~中級者向け)
「新形式問題対応 改訂版 CD2枚付 世界一わかりやすい TOEICテストの授業(Part 1‐4 リスニング)」は、累計40万部突破の「世界一わかりやすい」シリーズのリスニング対策本。TOEIC満点ホルダーのカリスマ講師が、英語が聞き取れない原因を徹底解説してくれます。ほぼ毎回試験を受けてきた体験を活かして、TOEICのリスニング試験の傾向を分析し、攻略方法を公開しているので要チェックです。リスニングのパート1~4のすべてで結果が出るスコアアップのコツは見逃せません。
本書は、TOEICの試験で初めて600点突破を目指す人にぴったり。日本人の苦手な英語の音を「見える化」しながら教えてくれるので、「どうしても聞き取れない音がある」と悩んでいる人はぜひ手に取ってみてください。
著者 | 関正生 |
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出版社 | KADOKAWA/中経出版 |
価格(税込み) | 1,728円 |
問題をたくさん解ける!韓国のTOEIC受験生のバイブル(中級者~)
「極めろ! リスニング解答力 TOEIC® L&R TEST」は、韓国における英語のカリスマ、イ・イクフンによるリスニング対策ドリルです。イ・イクフンは、アメリカに留学後、英文学修士・博士号を取得し、東亜日報の在アメリカ記者を務めた実力の持ち主。「解きまくれ!」シリーズは、韓国でシリーズ170万部を突破するほどのベストセラーです。
本書の特徴は、TOEICの試験8回分もの問題数を収録していること。パート1が80問、パート2が240問あり、苦手なパートだけをドリル形式でマスターできるようになっています。
本書がおすすめなのは、TOEICのパート1・パート2に特化した対策がしたい人や、とにかく問題数をこなしてTOEICの出題形式に慣れたい人です。パート1やパート2の苦手意識がある人は、ぜひこの本で徹底的に対策してみましょう。
著者 | イ・イクフン |
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出版社 | スリーエーネットワーク |
価格(税込み) | 2,640円 |
完璧にパート1とパート2を仕上げたいならこの1冊!(中級者~)
「頂上制覇 TOEIC(R)テスト リスニング Part1&2 究極の技術」は、「TOEICの神」と呼ばれるロバート・ヒルキらが手がけたリスニング対策本。日本における長年の指導経験をもとに、リアルな問題を合計7試験分も収録。「現在形」「現在進行形」「受動態」などカテゴリごとに頻出例文が収められているので、苦手な分野を効率よく対策できます。パート1の「受動態+現在進行形」や、パート2の「平叙文の問いかけに対する答え」など、上級者でも間違えやすい問題もたくさん収められています。
本書は、TOEICの基礎的な対策ではだんだん物足りなくなってきたという人におすすめです。パート1とパート2で満点も目指せる内容なので、600点を達成した後もこの本で勉強を続けていけるでしょう。
著者 | ロバート・ヒルキ、上原雅子、トニー・クック |
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出版社 | 研究社 |
価格(税込み) | 3,020円 |
変速リスニングで耳を慣らす!パート3・4の対策教材(中級者~)
リスニングのパート3とパート4の対策をするなら、「【音声DL付】TOEIC(R)L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 (TTT速習シリーズ)」がおすすめ。ゆっくりの0.7倍速から超高速の2.5倍速まで5段階の問題文が収録されていて、繰り返し聞くことでスピードある英語が聞き取れるようになります。
本書の変速音声を利用すれば、ディクテーションやシャドーイングもさまざまなレベルに対応可能。英語のスピード感についていけないという人や、ネイティブの発音が聞き取れないという人は、まずは0.7倍速から始めてみましょう。
著者 | テッド寺倉ほか |
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出版社 | アルク |
価格(税込み) | 1,430円 |
言わずと知れたロングセラー!(全レベル向け)
「英語耳」は、発音分野で20年近くのロングセラーを誇る有名な教材です。「発音できない音は聞き取れない」ため、まず英語の発音記号を学んで正しい発音ができるようになることを目指します。発音の基礎をしっかり学ぶことで、日本語にはない音もぐっと聞き取りやすくなります。
本書がおすすめなのは、発音記号をしっかり学びたい人や、リスニングだけでなく発音も改善したい人です。日本人がつまずきやすいポイントが丁寧に解説されているので、付属のCDを活用してじっくりと反復練習してみましょう。
著者 | 松澤喜好 |
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出版社 | KADOKAWA |
価格(税込み) | 1,760円 |
その他:【最新版】TOEICリスニング対策の参考書ならコレ!イチオシ15選を紹介!
まとめ
TOEICを受験するときは、目標スコアを定めて対策すれば勉強に身が入りやすくなります。英語の基礎をしっかり固めて前もって対策すれば目標に到達することは十分可能です。この記事を参考にしながらリスニング対策を行い、目標のスコアを達成しましょう。
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