通関士はどのような国際資格?英語力の他に必要な力や試験概要も徹底解説

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英語を勉強している人の中には、将来的に英語を使った仕事に就きたいという人もいるでしょう。英語を使う仕事はいろいろありますが、資格を持っていると就職に有利になる場合があります。

そこで今回は、国際資格である通関士について紹介します。通関士の資格は通関業者以外でも活かせる場があるのです。通関士がどのような国際資格なのか、必要な英語力やスキル、試験概要とあわせて徹底解説します。

通関士の資格に興味がある人や、英語を使う仕事を探している人はぜひ参考にしてください。

通関士とはどのような国際資格?

通関士とは、輸出入手続を行う国家資格です。資格取得には法律などの専門的な知識や英語力が求められるため、ある程度しっかりと対策する必要があります。

とはいえ通関士という仕事に馴染みがない人もいるでしょう。まずは通関士がどんな仕事なのか詳しく解説します。

国際的ステイタスのある貿易関連の唯一の国家資格

通関士の資格は、貿易関連の仕事において唯一の国家試験です。海外の企業と貿易取引するときに必要とされ、資格がないと通関士として名乗れません。

資格の効力は日本国内に限定されますが、WTO(世界貿易機関)のルールに基づいた国際的な法を使いながら行う仕事なので、世界を舞台に活躍できます。

世界的にグローバル化が進んでいるため、今後海外進出する企業も多いでしょう。通関業者だけでなく、商社やメーカーに勤めている人も取得しておくと役立ちます。

国際貿易における事務のエキスパート

通関士の資格を取得していれば、貿易事務として業務を行う際にも役立ちます。

貿易事務は、貿易取引に関する事務業務を全般に行う仕事です。主に商社やメーカー、フォワーダー(通関業者)などが勤務先として挙げられます。

輸出入の手続きを中心に行う通関士とは少し異なりますが、転職の際に有利になることが期待できるでしょう。

通関士は人気のある国際資格

通関士は近年徐々に注目を集めている人気のある資格です。その理由は、昨今のグローバル化に伴い輸出入が増えていることが考えられます。新たに海外を視野に考える企業も増えており、通関士のニーズが高まっています。インターネットによって海外展開もしやすくなったので、今後も需要が衰えることは考えにくいでしょう。

また通関士の仕事では、詳細な業務内容によっても異なりますが、資格手当として基本給にプラスされることが多いです。

通関士に必要な力は?

年々注目されている通関士ですが、国家資格で難易度の高い資格の1つとして知られています。

試験をパスするための力や交渉力など通関士にはさまざまな能力が求められます。ここからは通関士に必要な能力を紹介します。

英語の書類を処理できる英語力

通関士の仕事は海外の企業と貿易取引することが中心です。通関業務で使う書類は英語で書かれているものが多いので、英語のリーディング力は必須です。貿易に関する専門的な英単語は覚える必要がありますが、高校卒業程度の英語力で問題ありません。具体的にはTOEIC600点以上、英検2級以上が目安です。

仕事内容によってはより高いレベルが求められるところもあります。書類の読み書きができるだけで十分ですが、英会話もできるようになると仕事の幅が広がるので、総合的な英語力があるとよりいいでしょう。

関税や為替、貿易などに関する法律の知識

通関士の業務を行うには英語力だけでなく、関税や為替、貿易に関する法律の知識も必ず求められます。また、法改正があるたびに対応する必要もあります。資格を取ってからも学び続ける姿勢でいなければなりません。

通関士の試験にも、通関業法、関税法、通関実務のといった3つの出題科目があるので対策が必要です。通関士の試験は誰でも受けることができますが、法律の中には複雑なものが多く最初は難解に感じてしまうかもしれません。きちんと勉強計画を立てて挑みましょう。

国際貿易についての知識

通関士になるには国際貿易に関する知識も必要です。具体的には、世界各国の経済史や国際金融などの知識、貿易の理論や実践方法、消費者の行動論やマーケティング論まで幅広く知る必要があります。通関士の資格試験だけでなく、実際に通関士になってからの業務でも必要になるので、日頃から勉強しておきましょう。

これらの知識があれば、通関士としてだけでなく、貿易事務として業務を行う際にも重宝されます。通関手続き以外にも関われるので、仕事の幅も広がるでしょう。

輸出入業者や税関との交渉力

通関士として書類をチェックする際、間違っている箇所を指摘したり、不備があったら対応してもらったりと、スムーズに業務を進めるために、伝える力は持ち合わせておいた方がいいでしょう。

また、通関士の業務は書類作成が中心ではありますが、場合によっては輸出入業者や税関といったクライアントと直接交渉しなければならないこともあります。有利に取引を進めるための交渉力も重要です。

正確に緻密な作業をできる力

貿易業務に関する書類は英語で書かれているものが多く、記載ミスがないか、税率の計算が正しいかなど、一つ一つ確認しなければなりません。それはけっこう緻密な作業となります。たった一つのミスで大きなトラブルにつながる可能性があるので、見落とさないように常に注意が必要です。

なので通関士は緻密な作業を正確に進められる能力が求められます。デスクワークや緻密な作業が得意な人は、通関士に向いてると言えるでしょう。

通関士の試験の概要

ここからは、通関士試験の概要について、受験資格や試験期間、試験科目、受験料などをそれぞれ詳しく紹介します。これから受験を検討している人はぜひご参考ください。勉強を始める前に、まずは概要をおさえておきましょう。

受験資格

通関士の受験資格は特にありません。年齢や学歴、国籍などの制限は一切なく、誰でも受験することができます。受験料さえ支払えばどんな人でも受験できるのは嬉しいですね。

最初から通関士を目指すと決めているなら、高校や大学に通って学生のうちから取得を目指す人もいます。資格を持っていることで就職活動も有利に進められる可能性があるのでおすすめです。

試験時期

通関士の試験日程はその年により異なりますが、例年10月の第1または第2日曜日に実施されることが多いです。年に1度のみなので、後悔しないように本番に臨みたいですよね。しっかりと対策しておきましょう。

願書の配布は7月下旬ごろから行われますが、年によって異なるので、配布時期や締め切りの詳細は税関のホームページをご確認ください。願書の提出方法は、予定試験実施地を管轄する税関に直接行くか、郵送、またはNACCSを使用してオンラインでの提出が可能です。

試験会場

試験会場は北海道、新潟、東京、宮城、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、熊本、沖縄の全国13ヶ所の主要都市です。

受験会場は現住所の管轄税関に限らず、自分が希望するところで受けられます。受験願書の提出は、受けたい会場がある都道府県の税関へ送るようにしましょう。

試験会場の詳細な所在地は、税関のホームページでご確認ください。

試験科目

筆記試験は以下の3科目です。

(1)通関業法(45点)50分
(2)関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る。)(60点)100分
(3)関書類の作成要領その他通関手続の実務(45点)120分

例年では、合格基準は3科目それぞれで得点率60%以上と言われていますが、合格基準となる点数は毎年異なり、合格発表の際にあわせて発表されます。事前には発表されないのでご注意ください。全科目偏りなく得点する必要があるため、苦手な科目を作らないよう学習するのがおすすめです。

試験内容は全体の75~80%が、過去問からの出題となる傾向があります。過去問題を繰り返し解き、間違えた問題は徹底的に解き直しをして理解することで、本番の試験でも正答率を上げることができるでしょう。

受験科目免除の条件

通関士試験は、条件を満たす人は受験科目の一部免除を受けられます。通関業者や税関職員など、通関事務の実務経験があり、その期間が一定年数を超えると、最大2科目が免除されます。

ただし、データ入力事務や、貨物の内容点検業務といった特別な判断を必要としない機械的事務の場合は、実務経験としてカウントされないので注意しましょう。詳しくは以下の通りです。

通算5年以上:「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」を免除
通算15年以上:「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」と「関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る。)」を免除

科目免除に該当するかどうかは、願書提出時にご自身でよく確認してください。

受験料

受験料は、書面での出願は3,000円です。郵便局で入手できる収入印紙を願書に貼付して納付します。現金や郵便切手などでは支払えないのでご注意ください。

通関手続き用のオンラインシステムNACCSから出願する際の受験料は、2,900円です。

すでに通関関連の仕事をしている人は、社内でまとめて出願する場合もあるので事前に相談してみるといいでしょう。

合格率

近年の合格率は約15%前後です。数字だけ見ると国家資格としては一般的に難易度が高めです。通常、合格までに400時間以上の学習時間が必要と言われています。受験生の多くは一発では合格できないと考えた方が無難でしょう。

ただし、通関士の試験は受験条件がなく、他の資格試験と比べて受験料がリーズナブルなことから、受験する人が多いのも特徴です。あまり試験勉強をせずに受ける人もいるため、合格率が低いとも考えられています。

そのため合格率は気にしすぎないでもいいでしょう。

通関士取得後の主な進路

通関士の資格を持っていれば、通関業者以外にも就職先はさまざまな選択肢があります。
ここでは通関士取得後の主な進路を紹介します。あらかじめ取得後のことを考えておけば、試験勉強のモチベーション維持にもつながるでしょう。ぜひご覧ください。

通関業者に就職する

通関士を目指す人にとって王道な就職先は、通関業者です。通関業者に就職することで、正式に通関士と名乗れます。

通関業者は、輸出入に関する税関手続きを代行する会社を指します。商社やメーカーなどから通関業務を請け負い、貿易・通関部門としての役割を担います。

主な業務内容は、輸出入に関わる書類作成です。クライアントは荷主や航空会社、倉庫会社などがあります。コミュニケーションを取りながら、輸送の予約や運送の手続きを行う能力が必要です。

一般企業に就職する

通関士の就職先は、通関業者だけではありません。貿易や流通に関わる企業や、倉庫業を行なう企業など選択肢はさまざまです。これらの企業は輸出入に関わる書類作成や事務業務を社内で行なう場合が多いと言われています。そのため、通関士の資格を持っていると、審査役としての需要も高いのです。

また、航空会社や海運会社、税務事務所や税に関するコンサルティング会社などでは、通関士の資格を持つ人を優先的に採用する場合もあります。通関士は貿易の専門家として捉えられるので、アドバイザーとしても求められることが多いです。就職先の選択肢が幅広いのは嬉しいですね。

まとめ

今回は、通関士はどのような国際資格なのか、求められる英語力やその他の能力について、試験概要とともに解説しました。

まずはどんな資格なのかを知り、求められる英語力を身につけていくといいでしょう。通関士には英語の読み書きができる程度の英語力が求められますが、英会話もできると仕事の幅も広がるのでおすすめです。

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