一口に「休み」と言っても、病気で仕事を休むこともあれば、定期的な休みのこともあります。さらに、有給休暇を取って旅行をしたり、出産や育児あるいは介護のために休暇を取ったりする人もいるでしょう。
それでは、それらの「休み」を英語で言えますか?「holiday」「vacation」「break」「off」など、いくつか思い浮かぶ英単語があるかもしれませんね。
この記事では、有給休暇・介護休暇・出産休暇…いろいろな「休み」の英語表現を解説するとともに、海外の有給休暇事情もご紹介します!
「休み」を表すいろいろな英語
日本語の「休み」や「休暇」という言葉は幅広く使われますが、英語ではどんな休みかにより表現が異なります。まず、「休み」を表すいろいろな英語表現を確認しましょう。
vacationとholiday
vacationとholidayは、どちらも「学校や仕事に行かなくてもいい期間」「レジャーを目的とした長期休暇」のことです。アメリカ英語では「vacation」、イギリス英語では「holiday」を使います。
アメリカ英語:「長期休暇」はvacation、 「休日」「休業日」などはholiday
イギリス英語:「長期休暇」「休日」「休業日」などはholiday、「大学・裁判所の休み」はvacation
She has gone to Canada on vacation. (彼女は休暇でカナダに行った)
They met while on holiday in Greece. (彼らはギリシャ旅行中に出会った)
vacationとholidayは同じような意味ですが、ひとつ違いがあります。それはvacationに「休日」や「祝日」という意味がないこと。「休日」や「祝日」はすべてholidayで表します。
法定休日 | a legal holiday |
国民の祝日 | a national holiday |
祝祭日 | a public holiday |
off
offを使った「休み」の表現です。「休日」「半休」「午前半休」「午後半休」はoffで表します。休みを「取る」は、take, have, getのいずれかで表しましょう。
仕事が休みの日 | a day off / days off |
仕事を休んで | off work |
半休 | a half day off |
午前半休 | off in the morning, the morning off |
午後半休 | off in the afternoon, the afternoon off |
I took a day off work today. (今日仕事を休んだ)
I’ve got three days off next week. (来週3日間休みを取った)
She is off work for a few days. (彼女は数日間休みを取っている)
He is off in the morning. (彼は午前半休だ) = He has the morning off.
break
coffee break(コーヒー休憩)やlunch break(ランチ休憩)などからもわかるように、breakは短い休みのことですが、「休暇」という意味でも使用可能です。学校の休みはたいてい、the summer vacation / holiday(夏季休暇)のようにvacationやholidayを使いますが、summer breakと表現することもあります。また、仕事や習い事などを休むときなども、breakで表現できます。
Have you been working without a break for a month? (1ヶ月間休みなく働いているの?)
They are going away for the Easter break. (彼らはイースター休暇に出かける)
She couldn’t take a break from work yesterday. (彼女は昨日、仕事を休めなかった)
leave
leaveは許可を得て仕事を休むこと。「有給休暇」や「出産休暇」などはすべてleaveで表現します。英語では「看護休暇」と「介護休暇」はだいたい同じ意味で使われるため、どちらの単語を使っても構いません。
有給休暇 | paid leave |
年次有給休暇 | annual leave |
出産休暇 | maternity leave |
育児休暇 | child care leave |
病気休暇 | sick leave |
看護休暇 | nursing leave |
介護休暇 | family care leave |
生理休暇 | menstrual leave monthly sickness leave |
忌引休暇 | bereavement leave condolence leave |
慶弔休暇 | special leave for weddings and funerals congratulation or condolence leave |
裁判員休暇 | citizen judge leave, court leave |
「生理休暇」は日本独特の制度で、欧米諸国では聞いたことがありません。多分、病気休暇と捉えているのでしょう。また、「裁判員休暇」という英単語はあまり使われません。あえて言うなら上記で示したようになるでしょう。たいてい「裁判員義務」を意味するjury dutyやjury serviceを使います。juryは「陪審員」という意味です。
Karen will be on maternity leave next month. (カレンは来月産休に入る)
Jury duty, also known as jury service, is a type of community service leave. (陪審員サービスとしても知られる陪審員の義務は、コミュニティサービス休暇の一種だ)
「有給休暇」を意味するいろいろな英語表現
有給休暇は給料が支払われるということなのでpaidがつきます。すでに示したpaid leaveの他にも、いくつか異なった英語表現があるので見ていきましょう。
paid holiday
paid vacation
paid days off
paid time off
paid time offは「PTO」と略されることがあり、「無給休暇」はtime off without payで「TOWP」と略されます。
Employees are entitled to four-weeks paid vacation annually. (従業員は年4週間の有給休暇を取得する権利がある)
「休暇」に関する便利な英語表現
休暇を申請したり休暇中であることを知らせたりするときもあるので、便利な英語表現を深掘りしていきましょう。
休暇を申請するとき
「休暇を願い出る」「休暇を申請する」など、異なる表現を例文で見ていきましょう。
有給休暇を取る | take / have / get paid leave |
休暇を願い出る | ask for leave |
休暇を申請する | apply for vacation leave |
I’ll take a paid day off tomorrow. (明日有給を取る)
May I ask for leave of two days? (2日間の休暇をお願いしてもいいですか?)
You should apply for vacation leave as soon as possible if you want to take a long vacation. (長期休暇を取りたいなら、できるだけ早く休暇を申請した方がいいよ)
I would like a week off with pay. (1週間の有給休暇をください)
休暇中であることを知らせるとき
自分が休暇中であること、あるいは同僚が休暇中であることを知らせる表現です。例えば、「○日から休暇を取っている」「○○まで休暇を取っている」「いま休暇中だ」などです。
I’m on a paid leave now. (いま有給休暇中だ)
She will be on a holiday from tomorrow. (彼女は明日から休暇を取る)
He is on summer vacation until next Wednesday. (彼は来週の水曜日まで夏季休暇を取っている)
取引先などには、以下のように知らせましょう。
I’ll take a vacation from June 25th to July 3rd. (6月25日から7月3日までお休みします)
I’m going to take paid leave next week, so I won’t be able to attend the meeting. (来週は有給休暇を取るので、会議に参加できません)
連休のとき
日本には大型連休を表す「ゴールデンウィーク」という言葉がありますが、これは和製英語なのでそのままGolden weekと言ってもネイティブには通じません。たいてい「連休」はlong weekendを使いますが、その他の表現も見ていきましょう。
連休 | long weekend consecutive holidays |
大型連休 | long vacation long holiday season holiday-studded week |
consecutive は「連続した」、studdedは「点在した」という意味。
What did you do on the long weekend? (連休はどのように過ごしましたか?)
Let’s go on a trip during the consecutive holidays! (連休を利用して旅行をしよう!)
「5連休」のように「○連休」と言いたいときには、以下のように表現します。in a rowは「連続的に」という意味。
5連休:
a five-day vacation / holiday / weekend
five days off in a row,
five consecutive days off
I will have a five-day vacation if I work three more days. (あと3日働けば5連休だ)
その他の英語表現
次いで、その他の便利な英語表現をチェックしましょう。単語を入れ替えれば幅広く使えますよ!
All employees are provided with 20 days of paid leave per year. (すべての社員は年20日の有給休暇が支給される)
The system of paid holidays should be utilized. (有給休暇は活用されるべきだ)
I don’t know how much paid leave I have left. (有給休暇がどれくらい残っているかわからない)
How often do you take paid leave? (どのくらいの頻度で有給休暇を取る?)
I intend to have a paid holiday to visit my hometown. (有給休暇を取って帰省するつもりだ)
How was your long weekend? (連休はどうだった?)
Did you enjoy your vacation? (休暇を楽しんだ?)
Do you have any plans for the next holiday? (次の休暇の予定はある?)
We don’t have a Christmas vacation in Japan. (日本にはクリスマス休暇がない)
I have no holiday whatsoever. (私には一切休みがない)
Enjoy the Easter holiday! (イースター休暇を楽しんでね!)
utilizeは「活用・利用する」という意味で、whatsoeverはwhatever(少しの~も)の強調形です。
海外の有給休暇事情
海外には、「生理休暇」や「交通費支給」はありません。通勤にかかる費用はすべて自己負担です。ここでは海外の有給休暇事情と、日本との違いについて簡単にご紹介します。
アメリカ
アメリカには法律で定められた有給休暇制度がありません。つまり、企業が社員に有給休暇を付与する法的な義務がないということ。有給休暇の付与は各企業に委ねられ、雇用主と労働者の契約によります。そのため、有給休暇を与えられずに働いている人もいるそうです。
米国労働統計局による従業員の福利厚生に関する調査では、民間企業で働く人の77%が有給休暇(paid vacations)を付与されたと報告。家庭の問題を処理するための「家族有給休暇」を付与された人は全体の23%なので、必要がある人は有給休暇を使ったり仕事を休んだりしなければならないようです。
参考:EMPLOYEE BENEFITS IN THE UNITED STATES – MARCH 2021
イギリス
イギリスでは有給休暇が法律で定められ、すべての労働者が有給休暇の対象です。年次有給休暇は「週の就労日×5.6日」で計算して付与。週1日の就労でも有給休暇の対象です。
週5日就労の場合:5日×5.6日=28日(年28日が最長)
週3日就労の場合:3日×5.6日=16.8日
週5日働く場合、28日の年次有給休暇を付与される権利があり、3ヶ月目には7日間の有給休暇(総休暇の4分の1:28÷12×3)を受け取る資格があります。3ヶ月目に年次有給休暇28日の権利を与えられるのは、かなり優遇されているように感じませんか?
イギリスでは出産休暇や育児休暇など、一通りの休暇が整っています。そんな中でもイギリスならではの休みは、「bank holidays(バンク・ホリデー)」という祝日。5月(Early May bank holiday)と6月(Spring bank holiday)と8月(Summer bank holiday)の年3日もあります。もとは銀行の休業に関する法律で定められたようですが、銀行での取引が止まればビジネスも休まざるを得ず、学校等も休みになり、国が定める休日になったそうです。
参考:
Holiday entitlement: Calculate leave entitlement – GOV.UK
UK bank holidays – GOV.UK
オーストラリア
オーストラリアの有給休暇は正社員(Permanent)なら年20日、家族の看護を含む病気休暇も年10日付与されるのが一般的。有給休暇を消化しなかった場合は現金で受け取れ、退職する場合も残りの有給休暇分を最後の給料と一緒に受け取れます。派遣(Temporary)や契約社員(Contract)は雇用主との契約により有給休暇が付与されることもありますが、法的な義務はありません。また、オーストラリアでは州により休日や休暇の決まりが異なります。
オーストラリアでも出産休暇や育児休暇などが一通り整っています。オーストラリア独自の休暇は、年5日取得できる「Family & domestic violence leave(家族と家庭内暴力の休暇)」と呼ばれるもの。無給ですが、家庭内の問題で引っ越しをしたり裁判所に行ったりするときに取得できるそう。それだけ家庭内の問題や家庭内暴力が多いということなのでしょう。
参考:Leave – Fair Work Ombudsman
ドイツ
ドイツでは、労働契約成立から6ヶ月経過すると有給休暇を付与。フルタイムで週6日働く場合、雇用主は最低24日の有給休暇を与えることが法律で定められています。有給休暇は原則、繰り越しはできないため取得率も高いようです。
有給休暇に関する「連邦休暇法」では、有給休暇は最低でも4週間、そのうち2週間は連続で取得するよう定めています。日本人からしたら、うらやましいかもしれませんね。
またドイツの労働法では、管理職ではない社員が1日あたり10時間を超えて働くことを禁じています。ドイツにはブラック企業など存在しないのではないでしょうか。
参考:
欧州各国の雇用制度
年間30日の有給休暇、消化率ほぼ100%!ドイツの働き方を知るにはまず休み方から | ドイツ大使館 − Young Germany Japan
フランス
フランスでは同一雇用主のもとで1ヶ月間働くと、2.5就業日の有給休暇を付与。就業日ベースで年30日(5週間)、労働日ベースで年25日になります。就業日ベースとは月から土の週6日で計算し、労働日ベースとは労働契約で定められた月から金の週5日で計算するということです。法律では就業日で計算すると定められていますが、労働日で計算することもできるそう。どちらにしても、労働者に有利でなければなりません。
特徴的なのは、有給休暇の法定取得期間(5月1日から10月31日)が定められていること。この期間に4週間分を消化し、そのうち2週間は連続して取得しなければなりません。残りの1週間は翌年の4月30日までに消化しなければならないそう。有給休暇は原則、繰り越しはできませんが、企業によっては日数限定で繰り越せることもあるようです。
フランスには、「働き方改革」に伴い日本でも注目されつつある「サバティカル休暇」があります。これは一定期間勤続した従業員に長期休暇を付与するもので、フランスでは最長11ヶ月の長期休暇が取れるそうです。もちろん、取得するには条件がありますが、6~11ヶ月の長期休暇を取得できるなんて「バカンスのために働いている」などと言われるフランスならではの休暇ですね。
参考:
フランスの労務知識 – 有給休暇
第10号 平成22年07月30日 配信 – 「仕事と生活の調和」推進サイト – 内閣府男女共同参画局
有給休暇の取得率を比較
国が変われば有給休暇の事情も大きく異なるものですね。最後に、世界最大級の総合旅行サイト「エクスペディア」の日本語サイトの調査をもとに、有給休暇の「支給日数」「取得日数」「取得率」のトップ5の国をご紹介します。
有給休暇「支給日数」トップ5
有給休暇の「支給日数」が多い順に、1位から5位までの国と支給日数を見ていきましょう。
1位:ドイツ・フランス (30日)
3位:イタリア (26日)
4位:イギリス (25日)
5位:日本・オーストラリア・ニュージーランド (20日)
ヨーロッパ諸国がかなり優遇されていることがわかります。日本も5位と健闘しました。
有給休暇「取得日数」トップ5
有給休暇の「取得日数」が多い国と取得日数も見ていきます。
1位:ドイツ(28日)
2位:フランス (25日)
3位:イギリス (21日)
4位:イタリア (20日)
5位:台湾 (15日)
ヨーロッパ諸国は支給日数が多いので、取得日数も多いという結果でした。ちなみに日本は、6位のカナダ(14日)に次いで、マレーシアとともに12日で7位。支給日数のわりに取得日数が少ないというのは、日本らしい結果かもしれません。
有給休暇「取得率」トップ5
有給休暇の「取得率」はどうなっているでしょう?
1位:タイ(111%)
2位:台湾 (107%)
3位:カナダ・ドイツ (93%)
5位:香港 (86%)
これまでとは異なる国が上位に登場し、興味深い結果になりました。6位以下はイギリス、フランス、アメリカ、マレーシアと続き、日本は16ヶ国中14位の60%。それでも6年ぶりに改善が見られたそうです。
参考:エクスペディア
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