英語の前置詞とは?使い分けやイメージの例を一覧で紹介

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英語学習で多くの人がつまずきやすい前置詞。用法がなかなかつかみにくい品詞の一つですよね。前置詞が違うだけで、英文の意味が大きく変わってしまうこともあります。ワンランク上の英語力を身に付けるためには、前置詞を正しく使いこなすことが不可欠です。

また、前置詞の用法を身に付けるためには、英語特有の言語体系を理解することが大切です。日本語のセオリーをそのまま英語に当てはめた結果、誤った前置詞を使ってしまうことも少なくありません。

今回は、前置詞の見分け方や、それぞれを「どんなイメージで覚えればいいのか」について解説します。

前置詞とは?

前置詞とは、英文を構成する品詞の一つです。時間や場所、方角などの名詞・代名詞や動名詞(動詞のing形)と一緒に使って、意味を補足します。

「前置詞」という名前の通り、意味を付け足す単語の前に置くのがルール。日本語における「~が」「~に」「~を」「~の」などの助詞に近い役割だととらえると分かりやすいはずです。

また、前置詞は78個と非常に多くの種類があるのも特徴です。in、to、at、withなどのスタンダードな前置詞は、中学校で習う基礎的な英語から登場しますね。

前置詞の種類によって、その英文の意味が変わります。似た意味に思えても、ニュアンスの違いが出ることがあるので注意が必要です。

前置詞と他の品詞との見分け方

TOEICなどの英語テストでは、英文の穴埋め問題がよく出題されます。穴埋め問題をスムーズに進めるには、前置詞と他の品詞を見分けるコツをおさえておくことが重要です。

前置詞と副詞:目的語の有無で見分ける

前置詞と混同しがちな品詞としてまず挙げられるのが、副詞です。upやdown、in、onなど、一部の単語は前置詞と副詞の両方で使えます。

前置詞と副詞の大きな違いは、目的語(O)の有無にあります。

①in(前置詞)

She is in the car. (彼女は車の中にいる。)

②in(副詞)

She just came in now. (彼女は今来たところだ。)

①ではinの後に目的語となるthe carがありますが、②のnowは目的語ではありません。前置詞と副詞を見分けたいときには、この目的語があるかどうかで判断しましょう。

前置詞と接続詞:後ろにつくもので見分ける

前置詞と、語句や文節をつなぐ接続詞も間違われやすい品詞です。

接続詞には、文法上の位が等しい単語同士を結ぶ「等位接続詞」と、情報を補足する文節をメインの文章に結ぶ「従属接続詞」があります。前置詞と混同されやすいのは従属接続詞です。

前置詞と接続詞は、後につくもので見分けるのがポイント。前置詞の後には名詞・代名詞・動名詞のいずれかが付くのに対し、接続詞の後には主語+動詞(SV)がつきます。

①during(前置詞)

During my stay in the U.S., I met many people. (アメリカに滞在中、たくさんの出会いがあった。)

②while(接続詞)

While I was staying in the U.S., I met many people. (アメリカに滞在中、たくさんの出会いがあった。)

なお、前置詞+名詞は副詞句や形容詞句、接続詞+SVなら副詞句や名詞句として働くこともおさえておきましょう。

前置詞はイメージで覚えるとGOOD!よく使う前置詞を例文で紹介

前置詞は日本語には存在しないため、日本人にとって難しい文法の一つです。

しかし、種類豊富な前置詞をただ丸暗記するような学習法はあまりおすすめできません。それぞれが「どんなイメージで使われるのか」を覚えることが、前置詞を使いこなす近道です。

ここからは、代表的な前置詞を例に挙げ、用法やニュアンスについて見ていきましょう。

to:何かに向かっていき最終的に到達する

toは主に時間や場所などの目的を指すときに使われる前置詞です。「場所(時間)に向かって進んでいく」ことをイメージして使われます。また「最終的には到達する」という前提で使われるのもtoの特徴です。

Change trains at Tokyo Station to Kanda. (東京駅で電車を乗り換えて神田へ行ってください。)

There are 25 minutes to 5pm. (5時まであと25分です。)

for:何かに向かっていくものの到着はしていない

forもto同じく、「向かっていく状態」を表す前置詞です。しかし、forの場合は「(向かってはいるものの)到着・実現はしていない」という現状を含んでいます。

I have a special dinner for you. (あなたのために特別なディナーを用意したの。)

Everyone in the project is now preparing for the presentation. (プレゼンのために、プロジェクトの皆で準備を進めているところです。)

from:何かの起点から離れていく

fromは、toやforとは反対に「離れていく」というイメージを持つ前置詞です。場所や時間など、起点を指す目的語に使われます。

I came from Hokkaido for today’s event. (今日のイベントのために北海道から来ました。)

This restaurant is open from 7:00 a.m. to midnight. (この店は朝7時から深夜まで営業している。)

in:広がりのある何かの中にいる

inは、物や空間の中にあることを指す前置詞です。「ある空間の中に存在している」「ある物質の中に身を置いている」といったイメージで覚えましょう。また、季節や年といった長い時間にもinが使えます。

I was dressed in my very best dress. (とっておきのワンピースに身を包んだ。)

I would like to go to Kyoto in spring. (春に京都へ行きたい。)

She is still in tears. (彼女はまだ涙に暮れている。)

on:何かの上にいる

onは、物などの位置を表す前置詞として知られています。「何かの上にある(いる)」とイメージすると分かりやすいですね。また、曜日(カレンダーのある地点)など、時間をポイントで指すときにも使われます。

Your lunch is on the table. (昼食はテーブルの上に置いてあるよ。)

Who gave you the postcard on the wall? (壁に貼ってあるハガキは誰からもらったの?)

Your next appointment is on Friday. (次の予約は金曜日ですね。)

under:何かの下にいる

「真下の位置」「基準より下」といった事柄を指すのがunderです。似ている前置詞にbelowがありますが、これは「位置が低い」「基準より低い」というニュアンスで使います。目的との距離がより近いのがunderだととらえましょう。

There is a treasure buried under this tree. (この木の下には宝が埋まっている。)

No one under the age of 18 can buy alcohol. (18歳未満はお酒を買えません。)

up:起点よりも上にいる、上に向かっている

「起点になる物事よりも上にいる状態」「上に向かって進んでいる」ことを指すときはupが使われます。名詞や動詞、副詞などとしても使われる単語なので、混同しないように注意しましょう。

Go up the stairs and turn right. (階段を上がって右に曲がってください。)

I moved up one English class. (英語のクラスが一つ上がった。)

down:起点よりも下にいる、下に向かっている

「起点になる物事よりも下にいる状態」「下に向かって進んでいる」ことを指すのはdownです。upの対となる前置詞として覚えておきましょう。物理的な移動から、気分など形のないものまで幅広く使われます。

Please turn down the volume. (音量を下げてください。)

She runs down the stairs. (彼女は階段をかけ下りた。)

at:ある一点

「時間や場所のある一点を表す」前置詞がatです。先述のinは空間の中、onは平面の上を指すので、違いをきちんとおさえておきましょう。

My barber appointment is today at 3:00. (床屋さんの予約は今日の3時です。)

Tomorrow we will meet at Tokyo Station. (明日は東京駅で落ち合いましょう。)

Look at line 7 of the print. (プリントの7行目を見てください。)

into:何かの空間の中に入る

「空間の中にある(いる)」のが前述のinであるのに対し、「外から空間の中に入る」イメージの前置詞はintoです。物事の動きを表すことから、派生して「遭遇する」などの熟語にも使われます。

One after another, people walk into the building. (次々と人が入ってくる。)

Put this program into your computer. (このプログラムをパソコンに入れておいて。)

My grandfather ran into a bear in the woods. (祖父は森で熊に遭遇した。)

around:何かを取り囲む

「ぐるっと周りを取り囲んでいる」ようなイメージを持つのがaroundです。物や物事を取り囲む状況の他に、「時計の針が一周する=24時間ぶっ通しで」といった表現にも使われます。

Wrap a ribbon around the box. (箱にリボンを巻いてください。)

Everyone stood around the teacher. (みんな先生の周りに立っていた。)

We worked around the clock. (24時間体制で仕事をしました。)

among:何かに取り囲まれている

「取り囲む」というニュアンスのaroundに対し、「(3つ以上の何かに)取り囲まれている」イメージで用いられるのがamongです。これが派生し、「人ごみの中で」「(複数人の)間で」といった表現にも使われます。

I was lost among the crowd. (人ごみの中で迷子になってしまった。)

She is a popular singer among young people. (彼女は若い人の間で人気が高い歌手です。)

between:2つの何かに挟まれている

betweenは、「2つに挟まれている」というイメージで用いられます。3つ以上の場合は先ほどのamongが使えるので、状況に応じて使い分けましょう。なお、人や物の他に、時間や抽象的な物事にも使われます。

Kunitachi is located between Tachikawa and Kokubunji. (国立は立川と国分寺の間にある。)

She took a picture of me between my father and mother. (彼女は、父と母の間に挟まれている私の写真を撮った。)

The color between red and yellow is orange. (赤と黄色の中間色はオレンジです。)

by:何かの近く、近くのものを使う手段

「物事に近接している」というイメージで使われるのがbyです。「~のそば」「差がある」といったニュアンスで用いられます。これが派生して「近く(手元)にあるものを使う」という表現にも使われます。

There is a hut by the river. (川のそばに小屋がある。)

They got here by a few minutes. (彼らは数分差でここに来た。)

I peeled an apple by using this knife. (リンゴの皮をこのナイフで剥いた。)

of:何かの一部

「物や物事全体の一部分」というニュアンスを持つのがofです。本来は分離や所有の意味でしたが、派生して現在のような使われ方になりました。

London is the capital of the United Kingdom. (ロンドンはイギリスの首都です。)

My share is 20% of the total. (私の取り分は全体の20%だ。)

with:何かと一緒、付帯状態

「何かと一緒にいる状態」や「〜をしながら」という付帯状態を表すのがwithです。人や物、物事まで幅広く使われています。

Come with me to the police. (一緒に警察に行こう。)

How about tea with rice balls? (おにぎりと一緒にお茶もいかがですか?)

There is a girl with short hair.(髪の短い女の子がいる。)

about:漠然と、ぼんやりと、だいたい

「約」「だいたい」などの意味を持つのがaboutです。「彼はアバウトだな。」など、日本語の会話でも使われますね。「ぼんやりと何かが周りにある」という本来の意味が変化しています。

The average life expectancy of the Japanese is about 84 years. (日本人の平均寿命は約84歳です。)

I can usually be home by about 8:00. (だいたい8時くらいには帰宅できます。)

near:近い、そば(手は届かない範囲)

「何かの近く」や「そばにある」というイメージで使われるのがnearです。先述のbyよりも対象への距離が遠く、「そばにはあるけれど手は届かない範囲」を指します。

A sushi restaurant opened near my house. (家のそばに寿司屋ができた。)

I will contact you again near the show. (本番近くになったらまた連絡します。)

until:ある時点まで何かの状態が続いている

「ある時点まで同じ状態で続く」ことを指すのがuntilです。byと似ていますが、「~までずっと」とその状態の継続が強調されます。主語・動詞(SV)とつなげることで接続詞としても使えるので、間違えないよう注意しましょう。

I have to work until 5:00. (5時までは仕事だ。)

We’ll be here until sundown. (日没までここにいる。)

as:イコール、同じ

「イコール(=)」「同じ状態」「同時に」といったニュアンスを持つのがas。接続詞、副詞、関係代名詞など用法が多岐にわたるため、混同しないよう注意が必要です。

I have a responsibility as president. (私には社長としての責任がある。)

I thought of him as a hero. (彼のことを英雄のように思っていた。)

I do not like seafood such as octopus and squid. (タコやイカなどの海産物が嫌いです。)

似た意味を持つ前置詞の使い分け方

前置詞の中には、似た意味を持つものがいくつかあります。これらの使い分け方についてもおさえておきましょう。

時間を表すat/on/in

at、on、inに共通するのが、時間を表す前置詞でもあるという点です。しかし、用法がそれぞれ異なるので注意しましょう。

・at…主に時間を指す

Please come to the hospital at two o’clock. (2時にご来院ください。)

・on…曜日や日付

Let’s go out on Sunday. (日曜日に出かけよう。)

It will run on October 1st. (10月1日に実行する。)

・in…月や季節、一定期間

Cherry blossoms bloom in spring. (桜は春に咲きます。)

I want to be a doctor in the future. (将来は医者になりたい。)

場所を表すat/on/in

at、on、inは時間の他に場所に関する表現でも使われる前置詞でもあります。それぞれが指す位置や範囲は大きく異なるので、間違えないよう注意しましょう。

・at…明確な一点

I arrived at the library at 3:00. (3時に図書館に着いた。)

・on…面の上

There is a magazine on the refrigerator. (冷蔵庫の上に雑誌が置いてある。)

・in…空間の中

The target is in this building. (ターゲットはこのビルにいる。)

There is a handkerchief in the bag. (鞄の中にハンカチが入っている。)

手段を表すby/with

byとwithは、共に手段を表す前置詞です。しかし、その出来事を「何が」起こしたのか、「どのようにして」起こったのかによって使い分けます。

・by…誰が行動したのかを指すとき、偶然に起こったことを指すとき

The greatest betrayal occurred by Mitsuhide Akechi. (最大の裏切りは明智光秀が起こした。)

The accident was caused by two cars. (2台の車が事故を起こした。)

・with…ある行動の方法や使った道具を指すとき、意図的に行われたものを指すとき

That film was shot with this camera. (あの映画はこのカメラで撮りました。)

This show was organized with them. (この番組は彼らと一緒に企画したんです。)

行き先を表すto/for

行き先を表すときに使う前置詞にはtoとforがありますが、この2つは「必ず目的地に到達するかどうか」で使い分けます。

・to…目的地に必ず到達する場合

We will drive to Nagano. (車で長野に向かいます。)

・for…目的地に必ずしも到達するわけではない場合

This train is bound for Istanbul. (この列車はイスタンブール行きです。)

2つ目の例文では「列車自体はイスタンブールに必ず到着するが、乗客は途中下車する」ことから、目的地への到着が必須ではないforが使われます。

また、「正確に使わないと失礼?!前置詞で意味が変わる「動詞+前置詞」11選」では、意味が変わってしまう前置詞についても紹介しているので、チェック!

英語の前置詞について理解できたら

たくさんの種類があり、使い分けが難しい前置詞。覚えるコツは、それぞれのイメージをつかむことです。今回解説したポイントをヒントに、前置詞の使い方をマスターしてくださいね。

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