「英検S-CBTと従来の英検って何がどう違うの?」「どっちを受けた方がいいのかな?」「大学入試にはどんなふうに活用できるの?」なんて思ったことはありませんか?システムの変更が続いた英検ですが、現在は「従来型英検」とパソコンで行う「英検S-CBT」の2種類から選択するようになっています。今回は、その2つ「従来型英検」と「英検S-CBT」の違いと、「英検S-CBT」受験のメリット、大学入試への活用方法について詳しく解説します!
英検S-CBTはこんなテスト
2021年4月にComputer Based Testing(CBT:コンピューターを使ったテスト)の「英検CBT」と「英検2020 1day S-CBT」が統一され、「英検S-CBT」となりました。まずは、現在の「従来型英検」と「英検S-CBT」の2本になるまでの英検形式の歴史についてみてみましょう。
以前の英検形式:「英検CBT」「英検2020 1Day S-CBT」「従来型」の3つ
「従来型英検」では、1次試験のリーディング・ライティング・リスニングの3技能のテストが行われた後、2次試験として別の日に面接形式のスピーキングテストが行われています。
リスニングテストは1次試験を合格しないと受けることができないことや、合格判定が出るまでに日数がかかるという点などが課題となっていました。
そんな中、2018年8月にコンピューターを使って受験する「英検CBT」が新しく導入され、1日で4技能のテストを受けることができるようになりました。
そこへ、2020年度から始まる予定だった大学入試の外部検定試験に対応する形で2020年、「英検2020 1day S-CBT」が追加されました。コンピューターで受験する点は「英検CBT」と同じですが、リーディング、リスニング、ライティングは筆記で解答する形式となっていました。
そして、2021年4月には「英検CBT」と「英検2020 1day S-CBT」が統一されて「英検S-CBT」となり、以降は「英検S-CBT」と「従来型英検」の2つから選択するようになっています。
英検S-CBTとは
2021年4月に「英検CBT」と「英検2020 1day S-CBT」が統一され誕生した「英検S-CBT」。コンピューターで受験することや1日で4技能全てが完結するという点は、以前の「英検CBT」「英検2020 1day S-CBT」と変更はありません。
変更された点は、
・ライティングの解答方法が「筆記」or「パソコンでのタイピング入力」から選択できるようになった
・リスニングとリーディングテストをマークシートで解答できなくなった(パソコンで解答)
という2点です。
「従来型英検」と「英検S-CBT」の級とスコアは同様に扱われ、いずれも生涯有効となっています。
英検S-CBTと 従来型英検の違い
では次に、英検S-CBTと従来型英検の違いについてみてみましょう。
従来型英検 | 英検S-CBT | |
---|---|---|
試験日数 | 2日(1次試験と2次試験) | 1日(4技能が1日で完結) |
受験可能級 | 1級~5級すべて | 準1級~3級 |
テスト形式・テスト実施順番 | 1.リーディング:マークシート 2.リスニング:マークシート 3.ライティング:筆記 4.スピーキング:試験官による面接形式 |
1.スピーキング:吹き込み録音で解答 2.リスニング:パソコン 3.リーディング:パソコン 4.ライティング:筆記orタイピングを選択 |
試験開催日 | 年3回のみ | 毎週 |
試験日数
従来型英検は2日に分けてのテストとなっています。1日目に1次試験としてリーディング、ライティング、リスニングの順番でテストが行われ、そして1次試験の合格者のみ、別の日に2次試験のスピーキングテストを受けることになります。
一方の英検S-CBTでは、スピーキング、リスニング、リーディング、ライティングの順番で、4技能のテストがすべて1日で完結するかたちで行われます。
受験できる級
従来型英検は、1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級すべての級に対応しています。
一方、英検S-CBTは、準1級、2級、準2級、3級の4つの級のみの対応となっています。
テスト形式・テスト実施順番
従来型英検
- リーディング:マークシート
- リスニング:マークシート
- ライティング:筆記
- スピーキング:試験官からの口頭問題に口頭で解答(面接形式)
英検S-CBT
- スピーキング:ヘッドセットを利用して、解答は吹き込みで録音
- リスニング:ヘッドセットで音声を聞いて、マウスでクリックして解答
- リーディング:クリックして解答
- ライティング:筆記型は記述、タイピング型はキーボードを使って入力
試験開催日
従来型英検は、年間3回の指定された日(第1回が5~6月、第2回が10月、第3回が1月)のみの開催です。また、1つの期間内に同じ級を1度しか受験することができません。そのため第1回で不合格となった場合、再受験は第2回まで待つ必要があります。
英検S-CBTは、原則として毎週末の土日(※)に行われています。また、4月~7月、8月~11月、12月~3月の3つに試験期間が区切られていて、1つの期間内に同じ級を2回まで受験することができます。
※一部会場では平日受験も可能
英検S-CBTのメリット
従来型英検と英検S-CBTのどちらがおすすめなのかというと、万人にとって「〇〇」の方が絶対おすすめ!ということはいえませんが、それでも英検S-CBTには多くのメリットがあります。英検S-CBTのメリット5つを紹介しますので、選択の際にはぜひ参考にしてみてください。
試験日が多く受験日の選択が容易
従来型英検は年3回のみ。それに対し英検S-CBTは毎週末の土曜と日曜に実施されているため、受験日の選択肢が圧倒的に多いのが大きな魅力です。4月~7月、8月~11月、12月~3月の3つに試験期間が区切られていて、1つの期間内に同じ級を2回まで受験することができます。従来型英検と併せての受験も可能なので、最大年9回もの受験チャンスがあります。
1日で4技能のテストすべてが完結
従来型英検では、1次試験(リーディング、ライティング、リスニング)の合格者のみが、後日行われる2次試験(面接方式のスピーキングテスト)を受けることができるというシステムになっています。
一方の英検S-CBTは、スピーキング、リスニング、リーディング、ライティングの4技能すべてのテストが1日で完了し、これも大きなメリットといえます。ただその半面、試験時間が長くなってしまうというのは、デメリットかもしれません。
スピーキングテストは録音する吹き込み式
従来型英検では、面接官(主に学校の先生)が行うのですが、発音やスピードなど、面接官による差がどうしても生じてしまいます。
それに対し、英検S-CBTのスピーキングテストは、ヘッドセットを使用し、吹き込みで録音して解答します。また設問は、ネイティブスピーカーが話す動画で、それぞれの級に応じたスピードとなっています。クオリティとともに公平性も保たれ、従来型英検と比べてそのメリットは大きいでしょう。また、面接形式のテストが苦手だという人にとっても、吹き込み式の方が受験しやすいでしょう。
ヘッドセットでリスニング
従来型英検のリスニングテストではスピーカーが使われます。そのために、周囲の雑音が気になったり、会場や座る位置によって聞こえ方が異なったりすることもあります。
それに対して英検S-CBTでは、ヘッドフォンを装着して音声を耳元で聞くことができるので、周囲の雑音が少なく集中できます。リスニング環境は、英検S-CBTのほうが圧倒的によい環境といえます。
ライティングの解答は選択方式
英検S-CBTでは、リーディング、リスニング、スピーキングの3技能は問題・解答ともにパソコンを使用しますが、ライティングの解答についてはパソコンと筆記から選べるようになっています。
ライティングにおいては、タイピングのコピー&ペーストは大きな武器であり、タイピングの方が間違いなく有利といえます。いつでも何度でもコピー&ペーストができるので、頭に浮かんだことをとりあえずどんどん書き出していくことができ、書きながら構成を練ることができるからです。ある程度の速さでタイピングができるのであれば、手書きよりも速く・多く文字を打ち込むことも可能です。それでも、タイピングが苦手であれば、やはり筆記型を選択した方がよいでしょう。
リーディングに限っては、文章に直接書き込みをしながら考えをまとめていくことができる、という点で従来型のほうがやりやすい、という人も一定数いると思われます。公式サイトには英検S-CBTの体験版やバーチャルスピーキングテストが用意されています。それらも試しつつ、自分の得手不得手に合わせて選べるとよいですね。
英検S-CBTを大学入試に活用する
2020年度からの大学入学共通テストでは、英語外部検定の成績を反映する「大学入試英語成績提供システム」が導入される予定でした。結局は見送りされることとなってしまいましたが、多くの大学で個別に英語外部検定が利用されるようになっています。
英語外部検定の活用方法は大学によって異なりますが、大きく分けて4つのパターンがあります。ここでは、その4つの活用パターンについてご紹介します。
出願資格
入試の出願資格として一定の英語外部検定の級・スコアが指定され、その級・スコアを取得していないと出願することができないというのが「出願資格」のパターンです。
加点
外部検定で取得した級・スコアに応じた得点が、入試の英語科目の得点に加算されるパターンです。例えば、英検1級を取得していると英語科目に30点プラスされるといった仕組みです。
得点換算
たとえば英検1級であれば90点、2級であれば80点、といった具合に、英語外部検定の級・スコアが入試の英語の点数に換算されるのが得点換算です。英語外部検定の級・スコアが指定ラインを超えていれば満点に換算されることもあります。その場合は試験の英語科目が免除となることも。また得点換算が行われても、英語科目の受験を必須とする大学もあり、その場合は実際の英語試験の得点と換算された得点との高いほうで合否判定が行われます。
判定優遇・合否参考
具体的な内容は非公開で、外部検定の級・スコアに応じて、合否判定の際に優遇を受ける・参考にされる、というパターンです。
以上4つのパターンを紹介しましたが、いずれも英語外部検定で一定の級・スコアを取得していれば有利になるのは間違いありません。本番の入試は一発勝負。ですが、外部検定であれば複数回のチャンスがあり、その中で一番高い級・スコアを利用できるわけです。実際の優遇内容や条件は大学によって異なるので、各大学の募集要項はしっかり確認しておきましょう。
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