クッション言葉を使って英語のコミュニケーションをもっと円滑にしよう

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「恐れ入りますが」「お手すきの時に」「またの機会に」など、日常でもビジネスでもクッション言葉は円滑なコミュニケーションのためによく使われます。特に何かを依頼したり、断ったり、あるいは反論したりする時に特に意識せず自然に使っている人が多いのではないでしょうか。

日本語とピッタリ同じ言葉ではありませんが、日本語より直接的な表現をする英語にもクッション言葉があります。英語のクッション言葉にどのようなものがあるか学び、日常やビジネスシーンで使いこなせるようになりましょう。

クッション言葉とは

クッション言葉とは、直接的な言い方で相手に不快感やショックを与えないよう、やわらく聞こえるために前置きとして使われるフレーズです。英語ではcushionあるいはcushion statementと呼ばれます。特にビジネスの場で頻繁に使われますが、友人へ頼みにくいことをお願いしたり、断ったりする場合にも効果的です。

クッション言葉はなくても意味が通じますし、気心の知れた親しい間柄なら使わないことも多いですが、クッション言葉を入れることで丁寧な印象になります。特に「依頼するとき」「断ったり言いにくいことを伝えるとき」「意見や反論を述べるとき」の3つの場面で英語でも日常的に使います。日本語では決まった言い方がありますが英語では「この時はこの表現を絶対使う」というような決まったルールは特にありません。cushion statementは「まず相手を尊重し認める」ことがポイントになり、状況に応じて相手を刺激せず緩衝材となるさまざまな言い回しが使用されます。

お願いするとき

I hate to ask you but…(恐れ入りますが)

仕事上だけではなく、友達同士や知人に対しても使える表現で、頼みづらいことをお願いする時に使います。クッション言葉としてだけではなく、して欲しいと思うことを誰かがやってくれると申し出てくれたときにも「大変ありがたいけど、十分なお返しができないかも」という意味で使えます。

I hate to ask you but would you mind driving me to the town?(恐れ入りますが、街まで送ってもらえませんか?)

A: I can look after your son tomorrow if you need help.(もし必要なら、明日あなたの息子さんを預かりますよ)
B: I hate to ask you! (そんなの申し訳ないわ!)
A: Neighbors should help each other.(ご近所同士、助け合わないと)
B: Thank you very much.(ありがとうございます)

I know you are busy but…(お忙しいとは思いますが)

相手が忙しいことをわかっているけれど、何かをお願いしたいときに使います。ただし「忙しいのがわかっているくせに、また面倒なことを頼むんだな」と思われかねませんので、使い方や相手に気をつけましょう。

I know you are busy but could you send me the survey result again? I cannot find it.(忙しいとは思うけど、もう一度アンケート結果を送ってくれる?見つからないの)

I know you are busy but it would be very nice to see you at the party.(お忙しいとは思いますが、パーティーでお会いできたらとてもうれしいです)

I was wondering if you could…(もしよければ)

この表現は過去形が一番丁寧で一般的な使い方です。もう少し直接的な言い方になると、「I wonder if you could…」となりますが、決して現在進行形の「I am wondering」にならないことを覚えておきましょう。相手が助けてくれるかどうか疑っていて失礼な表現になります。

I was wondering if you could help me.(もしよければ、手伝っていただけないでしょうか?)

I was wondering if you could lend me your car this weekend.(もしよければ、週末に車を貸していただけないでしょうか)

I’m sorry to trouble you but…(ご面倒をおかけして申し訳ありませんが)

何かを依頼する時の丁寧でフォーマルな表現です。道順を訪ねる時や機器の使い方など、ちょっとした日常の場面でも使えます。ママ友でたまにこの表現を使ってグループチャットで学校のことに関して質問している人がいました。あまり親しくない間柄では丁寧な表現を使うのが無難です。

I’m sorry to trouble you but could you show me how to log in?(ご面倒をおかけして申し訳ありませんが、ログインの方法を教えていただけますか?)

I’m sorry to trouble you but could you tell me the way to ABC Theater?(お手数ですが、ABCシアターの行き方を教えていただけませんか?)

If you don’t mind…(差し支えなければ)

色々な場面で使える丁寧な表現で、日常会話でよく使われます。

If you don’t mind, can I have your phone number?(差し支えなければ、電話番号を教えていただけませんか?)

If you don’t mind, can we go there together?(もしよろしければ、ご一緒してもよろしいですか?)

使い方によっては自分が面倒だと思っていた時に、相手に返す少しキツい言葉にもなります。

If you don’t mind, I’d like to get back to work.(よろしければ、仕事に戻りたいのですが)

また、丁寧に断る時にも使えます。

I won’t join you tonight if you don’t mind. I have a lot of things to do.(構わなければ今日は参加しません。やることがたくさんあるので)

I would appreciate it if you could…(もしよろしければ…だとありがたいのですが)

丁寧に依頼する時の表現です。会話で使うことはあまりないかもしれませんが、特にビジネスメールでよく使われるのでぜひ覚えておきましょう。

I would appreciate it if you could send me more details about your new product.(もしよろしければ新商品の詳細を送っていただけるとありがたいのですが)

I would appreciate it if you could reply by Monday.(​もしよろしければ月曜日までにご返信いただけると幸いです​)

断るときや言いにくいことを伝えるとき

I wish I could but…(そうしたいのは山々ですが)

友達同士のお誘いにもよく使われる丁寧な断りの言葉です。お誘いは嬉しくてぜひ行きたいけれど、予定などがあって残念な気持ちを短いフレーズで伝えることができる便利な表現です。英語のミームでもよく見かける言葉です。

A: We’re going to have a drink tonight. Are you coming?(今夜、飲みに行くんだけど、来る?)
B: I wish I could but I already have a plan.(行けたらいいんだけど、もう予定があるんだ)

I’d love to but…(そうしたいのは山々ですが)

「I wish I could but」と同じ意味で、どちらもよく使われます。好きな方を使うといいでしょう。

「I’d like to but」という言い方もできますが、こちらは控えめな表現です。お誘いを受けて「ぜひそうしたいんだけど本当に残念!」という強い気持ちを伝えるには「I’d love to but」の方を使います。実際お誘いを断る時にはほぼ100%「I’d love to but」か「I wish I could but」が使われます。「I’d like to but」は元々の提案が乗り気ではなかったり、ダメだとわかっていて誘った以外の返事で聞いたことがないので、「I’d love to but」を使いましょう。

A: Michelle and I were talking about having a holiday together this summer, maybe to Okinawa. Are you interested?(ミッシェルとこの夏、一緒に休暇を過ごそうかと話していたの、沖縄あたりとか。興味ある?)
B: I’d love to but I won’t be in Japan! (ぜひ行きたいけど、日本にいないの)
A: Ah, too bad! Maybe next time.(ああ、残念!また今度ね)

I hate to say this but…(言いにくいのですが)

相手にとって批判的やネガティブなこと、あるいはネガティブではないけれど言いにくいことをいう前の前置きとしてよく使われるフレーズです。「I hate to say this but」と前置きすることで、「こんなことは言いたくないんだけど」という気持ちが入りソフトな印象になる上、相手は「あ、何か言いにくいことを言われるんだな」と気持ちの準備ができます。

I hate to say this but he is not happy with your report.(言いにくいんだけど、彼はあなたの報告書に満足していない)

I hate to say this but I can’t make it to your farewell party. Some urgent family matters came up.(​​言いにくいんだけど、送別会に行けなくなったんだ。 家族の急な用事が入ってしまって)

このフレーズは悔しくて認めたくないことを認める場合や告白するときにも使えます。

I hate to say this but you’re right.(悔しいけど君が正しい)

I hate to say this but I’ve been seeing Tom, your ex.(言いにくいんだけど、あなたの元彼のトムと付き合っているの)

Unfortunately,(残念ながら)

ネガティブな報告や残念な結果を伝えたいとき、「あいにく」「残念ながら」という前置きを日本語でもよく言いますが、「Unfortunately」はそれと同じように使える表現です。会話でもメールなどの文章の両方でよく使われます。

Unfortunately, there’s nothing I can do.(残念だけど、僕にできることは何もないよ)

Unfortunately, tickets are all sold out.(​残念ながら、チケットはすべて売り切れました​)

Unfortunately, you didn’t pass the exam.(残念ながら、あなたは不合格です)

I’m sorry but…(申し訳ありませんが)

「Unfortunately」とほぼ同じような使い方をしますが、「Unfortunately」の方がよりビジネスライクで距離を感じ、「I’m sorry but」の方がより距離感が近く残念な気持ちがこもっている印象です。

I’m sorry but we are out of watermelon juice today. Would you like something else?(申し訳ございませんが、本日はスイカジュースを切らしております。何か他のものはいかがでしょうか?)

I’m sorry but I lost his phone number.(申し訳ありませんが、彼の連絡先をなくしてしまいました)

「I’m sorry but」は相手と異なる意見を述べるときにも使います。

I’m sorry but I don’t think you know what I’m talking about .(申し訳ないけど、私の言っていることわかってないと思う)

I’m sorry but your boyfriend is a jerk.(こんなこと言ってごめん、でもあなたの彼氏は嫌な奴ね)

I’m afraid (that)…(申し訳ありませんが)

「I’m sorry but」と同じ意味ですが、謝罪の気持ちが少し薄くなり客観的な表現です。thatは会話では入れないことがほとんどです。「I’m sorry but」のようにbutがつかないことに気をつけましょう。

I’m afraid we’re fully booked.(申し訳ありませんが満室です)

I’m afraid I disagree with you.(申し訳ありませんが賛成しかねます)

You may not want to hear this but…(聞きたくないかもしれませんが)

相手にとってネガティブで聞きたくないであろうニュースを伝える時に使えるクッション言葉です。

You may not want to hear this but she’s been cheating on you.(こんなこと聞きたくないかもしれないけど、彼女は浮気しているよ)

You may not want to hear this but this is not going to work.(こんなこと聞きたくないかもしれませんが、これはうまくいかないでしょう)

意見を言うとき

To my mind,(私の考えでは)

自分の考えを述べる時に使うフォーマルなクッション言葉で、ビジネスの場で使われます。In my opinion(私の意見としては)と同じ意味合いで使われます。

To my mind, whichever option we choose there’ll be disadvantages.(私の考えでは、どの選択肢を選んでもデメリットがあると思います)

To my mind, losing this deal would be a misstep.(私の考えでは、この取引を失うことは誤った選択です)

Frankly,(率直に言うと)

正直に思ったことを述べたい場合に日常会話で使われる言葉です。Frankly speakingというイディオムを習った記憶がある人も多いと思いますが、会話ではspeakingを省いて使うことがほとんどです。個人的な体験になりますが、実際私もFranklyはよく聞いても、Frankly speakingは文章でしか見たことがありません。同じ意味の言葉として、Honestlyも頻繁に使われるので、合わせて覚えておきましょう。

Frankly, I don’t care!(正直言って、どうでもいい!)

Frankly, I don’t think he fits for that position.(​率直に言って、彼がそのポジションにふさわしいとは思いません)

Personally,(個人的には)

個人的な見解を述べる時に使います。色々な意見が出ている時に自分の意見を述べたり、一般的な意見と異なる場合に使えます。

Personally, I don’t think their relationship is going to work out.(個人的には、あの二人の関係はうまくいかないと思う)

Personally, I prefer Plan A.(​個人的には、プランAがいいと思います​)

As I see it,(私が思うに)

カジュアルな表現ですが、ビジネスの場でもよく使われます。同じことを目にしても人によって受け取り方も変わりますが、自分がどう捉えているか意見を伝える場合によく使われる表現です。

As I see it, he has a decent chance to win the competition.(私の思うに、彼には優勝するチャンスが十分にある)

As I see it, he is a real asset to the team. We can’t lose him.(私が見るところ、彼はチームに本当に大切な存在だ。失うわけにはいかない)

If you ask me,(私に言わせると)

自分の意見を述べる時に使うカジュアルな表現で、個人的な意見であることを強調する時に使います。

If you ask me, he should break up with her. She doesn’t deserve him.(私に言わせれば、彼は彼女と別れるべき。 彼は彼女にはもったいないよ)

If you ask me, we should just go home. There’s nothing more we can do here.(私としては家に帰った方がいいと思う。これ以上私たちにできることはもうないし)

It seems to me that..(私が思うには)

It seemsは個人的な要素がなくフォーマルな表現になりますが、to meを入れることで「自分にはこう思える」という控えめな個人的意見を述べることができます。フォーマルでありながら、少しカジュアルな表現になります。自分の意見に相手は同調するかもしれませんし、反論するかもしれません。この表現を使っていれば、もし反論された場合に「自分にはこう思えると言っただけで、異なる意見もあるでしょう」というように、波風があまり立たないよう議論や交渉をうまく運ぶことができる便利なフレーズです。

It seems to me that he’s not doing well in his new job.(私が思うに彼は新しい職場でうまくいっていないようだ)

Do you think we really should buy this? It seems to me that it’s too expensive.(本当にこれを買うべきだと思う?高すぎる気がするんだけど)

In my humble opinion,(意見を言わせていただくなら)

SNSのコメントでよく見かける表現で、略してIMHOもよく使われます。明白な事実としてではなく、自分の意見を述べる時に謙譲的な意味を込めたり、わざとへりくだることで冗談ぽく使われます。このフレーズを使うことで、特に相手に同意を期待していないことを理解してもらえます。

In my humble opinion, this is a ridiculous suggestion.(意見を言わせていただくなら、これは馬鹿げた提案です)

In my humble opinion, it’s a big mistake to trust him.(意見を言わせていただくなら、彼を信用するのは大きな間違いです)

I see your point but…(おっしゃることはわかりますが)

反論する時や相手とは別の意見を言いたい時のクッション言葉で、日常会話でもビジネスシーンでもよく使われます。英語で反論する時は、一度相手の意見を認めて尊重してから相手とは異なる自分の意見を述べることが一般的です。

I see your point but I don’t agree with you.(おっしゃることはわかりますが、同意しかねます)

I see your point but I don’t think your plan is realistic.(言いたいことはわかるけど、君の計画は現実的ではないと思う)

With all due respect…(お言葉を返すようですが)

誰かを批判したり反論したりする時に使われるフレーズで、相手を尊重しつつ間違っていることを指摘する意味があり、イギリスではall dueを省き、With respectと言うことも多いです。最近では軽蔑の意味を込めて使うことが多くなっているので、使い方に注意が必要です。悪感情を和らげるためのクッション言葉から、礼儀をまとった微妙な無礼的フレーズへと機能が変化したため、人がイラっとするフレーズの上位にランクインしています。政治的議論の場などで、論客が相手に反論する前に使うこともありますが、この場合は微妙な軽蔑の意味が込められていることが多いです。

With all due respect, he may have been a good president but he was never a great president.(​お言葉を返すようですが、彼は良い大統領だったかもしれませんが、決して偉大な大統領ではありませんでした​)

With all due respect, I think you’re mistaken.(失礼ながら、勘違いされているようです)

With all due respect, it is the point.(失礼ながら、それがポイントです)

英語のクッション言葉がわかったら

英語のクッション言葉は日本語のように深い意味なく機械的に使われるものもあれば、気持ちを込めて使われるものもあります。ドラマや映画を見て会話の中でどのようなフレーズがどんな状況で使われ、ニュアンスはどのような感じなのかをチェックしてみるとより理解が深まるでしょう。クッション言葉を使いこなせるようになることで、一段上のコミュニケーション力が身につきます。

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