「海外駐在の希望がやっと通った!」という人も多いでしょうが、突然思ってもみなかった時に海外駐在の打診を受けることもあるものです。「自分は英語が苦手なのになぜ?」と不安や疑問を感じても、準備期間がたったの数ヶ月、短い場合では一ヶ月などのことも。
短期間で心の準備をしつつ、少しでも英語力を上げるにはどうしたらいいか、いくつかポイントを解説します。
海外駐在が決まったら
急に海外駐在が決まると不安や心配事がつきません。みなさん共通の大きな不安としては、「求められる英語力」「駐在前の準備として考えること」「帯同する家族のこと」の3つです。それぞれ考慮すべきポイントをみてみましょう。
海外駐在に求められる英語力はどれぐらい?
求められる英語力は業務と国によって違います。英語圏かつ現地事務所の社員や取引先もネイティヴが多いなら高い英語力が必要になりますが、日本の本社や顧客とのやりとりが主になるなら日常会話程度で対応可能です。また日本ではとかくTOEICの点数が問題にされますが、TOEIC試験は対策をすれば得点を上げることはそれほど難しくない場合が多いので、「TOEIC高得点でも全く問題なく意思疎通ができるか?」というと必ずしもそうではありません。
英語力に注目しがちですが、実際はコミュニケーション能力の方がはるかに大切です。電話やメールなど顔の見えないやりとりは英語力に頼らないといけない部分が大きいですが、対面では語彙力や表現力はボディランゲージで補うことも可能ですし、自分のリスニングが弱くても顔を付き合わせれば相手の表情やボディランゲージから言わんとすることを理解するのも難しくない場面も多いでしょう。
コミュニケーションは取引先だけではなく、同僚や上司、日常生活で大切です。ネイティヴもコミュニケーション能力向上のためのトレーニングや社外コースを受講しています。英語力が高いことに越したことはありませんが、英語はあくまでもコミュニケーションのツールです。コミュニケーション能力が高い人は英語力がそれほどではなくても友達作りや同僚との関係を円滑に進められますので、まずは自分の仕事に関係ある語彙やビジネス文書の書き方などを中心に準備するといいですね。
駐在する前に考えること
駐在が決まると引越しにあたって決めるべきことがたくさんあります。小学生以上の子供がいる人は、学校は一番大きな問題です。現地校か日本人学校か、インターかをまず決めなければいけません。数年で戻ってくるのであれば日本人学校の方が勉強の遅れの心配が少ないでしょう。
また、住む場所のリサーチも始めましょう。アパートホテルを会社が提供してくれてその間に探したり、会社が借り上げているアパートに住むことが多いかもしれませんが、もし現地で決めるのであればある程度住む地域の目星をつけておくとスムーズです。子供がいる人は学校と会社への距離や通勤通学方法もあわせて調べておきましょう。
現地での生活のリサーチとともに、持ち物の整理も始めます。特に大きい家具は収納場所を借りて置いていくのか、破棄したり売るのかは早めに考えておくといいです。洋服は駐在する国によって冬物がいらない場合もあります。現地で色々と買い物をするとあっという間に持ち物が増えますし、数年後にそのまま別の国に駐在ということもありえますので、できるだけ必要ないものは処分して、少ない荷物で引っ越すのがおすすめです。
家族も心の準備を
小さい子はわりとすぐ新しい環境に馴染めますのでそれほど心配はありません。しかし奥様やある程度の年齢の子供は、日本と全く違う慣習や環境・言語に慣れることが難しく、先に帰国する場合もあります。家族の不安をできるだけ取り除き、海外への引越しを前向きに考えられるよう、事前によく話し合うことが必要です。最初は駐在員の奥様同士が安心ですが、徐々に付き合いの範囲を広げないと逆に狭い人間関係で苦労することも多いです。滞在国ならではの習い事は、交流範囲を広げたり、自然に現地の生活や言葉に慣れるのに効果的です。
学校についてですが、インターといってもピンキリで、有名インターは母国語並みにすでに高い英語力があることが前提で、年齢が上がるほど入学試験や面接も厳しいです。そのため日本人は非英語圏の子供が多く、非ネイティヴ向け英語クラスのあるインターやレベルが低めの学校に入り、まずそこで英語力をつけることも多くあります。
有名インターは人気が高く、現地でも生まれてすぐ受験のためのウェイティングリストに入れたり、空きがあるまで何年か待つのも一般的ですし、生徒の学力も高く、多くの生徒が欧米の一流大に進学します。逆にいうと、申し込めばすぐ入れたり無試験の学校のレベルは高くないと捉えるといいかもしれません。
インターや現地校に通う場合、現地の言葉や英語より、日本語の維持力に本当に大変な努力を要します。特に小さい子供の場合は、子供はあっという間に英語が日本語に置き替わります。場所によっては週一の日本語補習校もありますが、これだけで日本語維持はほぼ不可能です。周りに日本人の子供がいる環境ならできるだけ彼らと遊ばせたり、日本語だけで行う習い事をさせる、毎日読書をするなど、日本語の勉強をどうするか決めておくといいですね。
駐在までに短期間で英語力を高める方法
英語力を高めるには地道にコツコツと長い時間かけて学習を続ける必要があるので、近道はありません。しかし急に駐在が決まったら短期間で少しでも英語力を上げる必要がある人もいるでしょう。ここでは「あと数週間・数ヶ月でなんとか今より英語力をあげたい!」という場合に効果的な方法を解説します。
例文をたくさん暗記
「とにかく短期で使える英語を!」という場合に効果的な方法が、例文をたくさん暗記することです。とはいえ、少し単語を変えただけの似た例文をいくつもではなく、文型が異なるものやよく使うフレーズを含んだものに限定します。
簡単な例でいうと、例えば次のような例文を覚えるとします。
Have you seen Mr. Green?(グリーンさんを見かけませんでしたか?)
Mr. Greenの部分だけを変えれば、たくさんの文章が作れます。例文を考えなくてもすっと言葉が出てくるまで繰り返し練習し、さまざまな場面を想像して文章を作って口に出してみてください。
Have you seen my son?(息子を見かけましたか?)
Have you seen any movies lately?(最近、何か映画を見ましたか?)
Have you seen the headline of today’s newspaper?(今日の新聞の見出しを見ましたか?)
Have you seen Mike’s new baby?(マイクの新しい赤ちゃんを見ましたか?)
Have you seen this?(これを見ましたか?)
Have you seen the new design of Product A?(製品Aの新しいデザインを見ましたか?)
暗記用の例文集は大学受験の時のものがあればそれで構いませんし、初級者向けのたくさんの本が出版されているので、気に入ったものを購入するといいでしょう。
<参考>
ネイティヴなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!
英文の多読
短期間で英語力を上げるには集中して学習する必要があります。特に日本にいる間にどれぐらいインプットをしているか、どこまで英語力を高められるかが海外に行ってからの英語力の伸びに関わってきます。大量のインプット無くして会話力の伸びは期待できません。
できるだけ英文を多く読むことが大切です。日本語でも読書好きな人は語彙力が豊富ですし、知識の幅も広いのと同様に、英語もたくさん読書をすることで自然と表現力・語彙力が身につき、知らない単語を推測する力もつきます。
最初は自分がわりとスラスラ読めて、一読して8割以上理解できる文章を読むと抵抗感が少ないです。徐々に読む英文の長さや難易度を上げていきましょう。自分の興味ある分野や知識が豊富な分野のものを読むと楽しく読むことができます。仕事に直接関係ある分野のものだと、即使える単語も多いのでオススメです。
一人英会話
英会話レッスンを受けていても時間は短く絶対的なアウトプットの量が不足しています。普段頭で考えていることを英語にして口に出してみてください。繰り返すことで会話力が向上します。私が若い頃はオンライン英会話もなかったので、この方法で会話力を身につけました。日本語から訳さず、直接英語で素早く考える力もつきます。短期間で会話力が劇的に向上するので、ぜひ実践してみてください。
同じものを繰り返し聞く
リスニング力を高めるカギは「同じものを繰り返し聞くこと」です。ピアノを習ったことがある人も多いと思いますが、長い曲を通して何度も練習するより、短い曲の一部を指の形や音の出し方に気をつけて何度も完璧に弾けるように練習すると、より上手に全体の曲が弾けるようになります。
英語も同様で、短くてもいいので同じものを繰り返し聞くことで英語のリズムが掴めるようになります。数十秒のものでもたくさんの使える表現や単語を学ぶことができます。余力があれば聞くだけではなく、ディクテーションをしてきちんと聞き取れているかチェックするとより効果的です。
必要なビジネス英語に限って学習
とにかく短時間・短期で仕事に使える英語だけを学びたい人は、基本的ビジネス英語に限って学習すると良いでしょう。数多くのスラングや人によってクセのある表現や話し方も理解しないといけない日常会話と違って、ビジネス会話はパターンやよく使う表現が決まっている部分も多いので学びやすいです。
ビジネス英語の学習アプリやサイトを利用したり気に入った教材を購入してもいいですが、一人で学習するには不安があったり、どこから手をつけていいのかわからない人は、レアジョブの英会話のコーチング「スマートメソッド®」を利用するのもオススメです。
海外駐在のための英語学習方法がわかったら
初めての海外駐在でも事前準備をしっかりしておけば、ある程度の不安は取り除けます。特に英語は「現地にいけばなんとかなる」と思っていると、仕事や環境に慣れることに追われてなかなか学習できず、結局行く前と英語力は大して変わらなかったということになることもあります。できることは日本でやっておきましょう。
現地に行く前に準備するなら、スピーキング力のレベルアップに特化した英会話コーチングサービス「スマートメソッド®」がおすすめです。
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※CEFR-Jとは、世界共通で使われている語学力を測る「ものさし」CEFRを日本人の英語学習者向けに応用した指標のこと。
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