英語でよく使われる『無生物主語』?初めて耳にした人は知っておきたい使い方・訳し方

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「大雨のせいで週末どこへも行けなかった」を英語にするとき、どんな主語が頭に浮かびますか?主語といえば、ぱっと浮かぶのはIやWeではないでしょうか?日本語では普通、人や生き物を主語としますが、英語では無生物を主語にした文がよく使われます。

日本人にはなかなかしっくりこない無生物主語ですが、この記事では無生物主語の使い方や訳し方などを、たくさんの例文を使って詳しく解説します。無生物主語をじょうずに操れるようになれば、ネイティブらしい英語にぐっと近づくことができますよ。例文を何度もみて、英語独特の感覚・表現をぜひ身につけてくださいね!

無生物主語とは

無生物主語とは、生き物ではない無生物が主語となったものをさします。原因・理由・手段などを示すときに使われることが多いです。

さきほどの「大雨のせいで週末どこへも行けなかった」を、無生物主語で英語にすると

The heavy rain prevented us from going out this weekend.

となります。the heavy rainが無生物主語にあたります。

日本語を話す私たちには、なんともしっくりこない表現ですが、英語ではごく普通に、頻繁に使われます。

英語で無生物主語が頻繁に使われるわけ

日本語を話す私たちにとって無生物主語がしっくりこないのは、下記のような日本語と英語の感覚の違いがあるからだと考えられます。

日本語は自動詞が優勢な言語(=結果に重点を置く):「〇〇が~になる
英語は他動詞が優勢な言語(=原因に重点を置く):「XX(原因など)が〇〇に作用して~にする」

つまり、英語では、原因が主語になる他動詞構文がベースの無生物主語構文が頻繁に使われているのです。

たとえば、「私はその知らせに驚いた」という日本語。「その知らせは私を驚かせた」とはいいませんよね。

ですが英語では、

The news surprised me.

と表現することが多く、「私を驚かせた原因が何なのか」、に重きをおいた文が好んで使われるのです。原因にこだわる英語の世界がみてとれますね。

以下の日本語と英語の組み合わせもみてみましょう。

・この電車に乗れば新宿に行ける(=あなたがどうなるのかという結果に注目する日本語)

This train will take you to Shinjuku.(=原因・手段に重きをおく英語)

ここで、たとえば、「この電車に乗れば新宿に行ける」という日本語を、日本語の感覚のまま英語にしてみると、

If you take this train, you can go to Shinjuku.

という文になります。

This train will take you to Shinjuku.に比べると、ちょっとまわりくどく感じますよね。

英語の無生物主語は、原因を主語にすることによって、因果関係をすっきりとスマートに伝えることができるのです。

因果関係を話す、つまり「原因は~だ」ということを理路整然と説得するための文として、無生物主語構文はとても効果的な表現といえます。

無生物主語の構文

次は、無生物主語の主な構文についてみてみましょう。

無生物主語の構文は「XX(原因など)が〇〇(人など)に作用して~にする」という他動詞構文がもとでできあがっています。

主な構文として以下の形があります。

無生物主語 + cause + 人 + to + do

A bad cold caused me to lose my voice.(私はひどいかぜで声がでなくなってしまった。)

無生物主語 + make + 人 + do/形容詞

The black suit made him look thin.(黒のスーツのせいで彼はスリムにみえた。)

無生物主語 + prevent + 人 + from + 動名詞(~ing)

A leg injury may prevent her from playing in tomorrow’s game.(足のケガのせいで、彼女は明日の試合に出れないかもしれない。)

無生物主語 + remind + 人 + of

That song reminds me of my memories of the good old days.(その歌を聞くと、古きよき時代の思い出の数々がよみがえってくる。)

無生物主語構文の書き換えと訳し方

無生物主語構文を書き換えるとき、訳すときは、まず目的語となっている部分を主語にします。そして適切な接続詞(ifやbecauseなど)や前置詞(byやbecause ofなど)を付け足して、無生物主語を副詞節あるいは副詞句にします。

*2語以上の語句が副詞の働きをし、その中に主語と動詞を含むものを副詞節、含まないものを副詞句といいます。

2つの例文で、無生物主語構文の書き換えと日本語訳(訳し方)をみてみましょう。

Five-minute walk will take you to the station.
↓書き換え
If you walk to the station for 5 minutes, you will get there.(5分ほど歩けば駅につきますよ。)

*下線部分が副詞節(接続詞+S+V)

The storm prevented us from having a BBQ party.
↓書き換え
We could not have a BBQ party because of the storm..(嵐のせいで、私たちはBBQパーティができなかった。)

*下線部分が副詞句(前置詞+名詞)

無生物主語の用法

無生物主語は文字通り無生物が主語になる場合と、疑問詞が主語になる場合とに分けることができます。まずは、無生物が主語になるものからみていきましょう。

無生物を主語にした構文

無生物が主語となる構文で、よく使われる動詞を6つのグループに分けて紹介します。

無生物主語が原因や理由となるもの

動詞:cause, make, compel, force, oblige, put, allow, permit, enable, keep, prevent, stop, leaveなど

The traffic jam caused me to be late for work this morning.
=Because of the traffic jam, I was late for work this morning.

(私は今朝、渋滞のせいで仕事に遅れてしまった。)

His gentle nature made him very popular among students.
=Due to his gentle nature, he is very popular among students.

(彼は温厚な人柄から、生徒にとても人気がある。)

The scholarship enabled me to go to the college.
=Thanks to the scholarship, I was able to go to the college.

(奨学金のおかげで、私は大学に進学できた。)

The bad weather didn’t stop them from enjoying the trip.
=Despite the bad weather, they enjoyed the trip.

(悪天候ではあったが、彼らは旅を楽しんだ。)

The long delay of the flight put them all in a pretty bad mood.
=They got in a pretty bad mood because of the long delay of the flight.

(飛行機が大幅に遅れ、彼らは皆かなり不機嫌になった。)

The joyful news kept her awake all night.
=She was unable to get to sleep all night due to the joyful news.

(うれしい知らせを聞いて、彼女は一晩中寝つくことができなかった。)

無生物主語が手段や方法を示すもの

動詞:bring, carry, take, leadなど

The button at the very bottom of the page will lead you to the website.
=If you click the button at the very bottom of the page, you can go to the website.

(ページの一番下にあるボタンをクリックすれば、そのウェブサイトへとべる。)

Her business often took her to the United States and European countries.
=Because of her business, she often went to the United States and European countries.

(彼女は、仕事の関係でよく欧米の国々へ出かけた。)

無生物主語+「~を示す」になる型

動詞:show, suggest, teach, tell, reveal, proveなど

The study revealed that the medicine would be effective for cholesterol lowering.
=We learned from the study that the medicine would be effective for cholesterol lowering.

(この薬がコレステロール低下に効果があることが、試験によって判明した。)

Her look suggested that she disagreed with me.
=I could tell from the look on her face that she disagreed with me.

(彼女の顔つきから、私に異議があることがわかった。)

無生物主語+「~という犠牲を払わせる」になる型

動詞:cost, deprive, requireなど

Driving while drunk can cost you your life.
=You can die if you drive while drunk.

(飲酒運転で命を失うこともある。)

無生物主語+「(~の手間)を省かせる」になる型

動詞:save, spareなど

Wearing a seat belt could save your life in an accident.
=If you wear a seat belt, you could be saved in an accident.

(シートベルトをしていれば、事故にあっても命が助かるかもしれない。)

無生物主語+「~を思い出させる」になる型

動詞:remind

The way she talks reminds me of her mother.
=When I see her talking, I am reminded of her mother.

(彼女の話し方をみると、彼女のお母さんを思い出す。)

疑問詞を主語にした構文

最後は、疑問詞whatを主語とする無生物主語構文についてです。無生物主語には、因果関係を理路整然と伝えるというメリットのほかに、間接的で丁寧な表現にするというメリットもあります。主語を人から物に移すことで、人の感情を含まないニュートラルな文意にすることができるのです。

たとえば、日本に来た理由を外国人にたずねたいとき、私たち日本人がぱっと思いつく英語は、

Why did you come to Japan?(なぜ日本に来たのですか?)

となりますよね。

ですが、whyという単語は「いったいなんで日本に来たの?(来なくてもよかったのに・・・)」といった具合に相手を非難するネガティブなニュアンスを含んでしまう恐れがあるのです。

そこでwhyではなく好んで使われるのが、人の感情を含まない無生物主語の構文です。

What brought you to Japan?(日本に来たきっかけは何ですか?)

直訳すると、「あなたを日本に連れてきたものは何ですか?」となります。人の感情を含まず純粋に理由をたずねる文ですね。英会話において、このような間接的で丁寧な表現を知っておくことは非常に大切です。他にも例をみておきましょう。

What made you buy that book?
 =Why did you buy that book?

(なぜその本を買ったのですか?)

What made you decide to become an actor?
=Why did you decide to become an actor?

(なぜ俳優になろうと思ったのですか?)

What made her say so?
=Why did she say so?

(彼女はなぜそんなことを言ったのですか?)

無生物主語構文を練習したときは

今回は無生物主語の使い方や訳し方を紹介しました。無生物主語を使えば、表現の幅が格段に広がり、ネイティブらしい英語に近づくことができますよ。

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