日本では一年で一番広く祝われるのは、お正月とクリスマス、夏の花火や地域のお祭り、そして最近ではハロウィンもそれに加わっていますが、世界にはまだまだたくさんステキなイベントが数限りなくあります。
この記事では特に有名な世界のお祭りをご紹介します。海外旅行にお祝いの時期を合わせると楽しみも倍増しますので、旅行計画を立てるときの参考にしてくださいね。
1月〜3月の世界の主なお祝い
Epiphany(公現節)
クリスマスから13日目の1月6日は、「Epiphany(公現節)」または「Three Kings Day(東方の三賢人の日)」と呼ばれる日で、三賢者が初めて赤ん坊のイエスを見かけ、贈り物を持ってきた日として祝われます。お祝いの方法は国によって少しずつ異なりますが、一番日本でなじみがあるのがフランスの風習であり、フェーヴと呼ばれる陶製の小さな人形が入っているガレット・デ・ロワ(諸王のケーキ)を食べることでしょう。
フェーヴが入った一切れを食べた人は、ガレットと一緒に渡される王冠を被り、一日王様として振舞うことができ、幸運な一年を送れるというもの。フェーヴは形もとても可愛いので毎年集めている人も多いです。スペイン語圏ではケーキではなくロスコン・デ・レイジョスと呼ばれるフェーヴが入ったパンを食べ、子供達はクリスマスプレゼントをこの日にもらいます。
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Lunar New Year(旧正月)
1月下旬から2月の大きなイベントの一つが中国の新年である旧正月。香港では街中が幸運の色とされている赤色に染まります。日本の獅子舞は1人で踊るイメージですが、中華圏の獅子舞は英語でDragon Danceと呼ばれ、何人もの人が龍の形の人形に入り連なって踊るかなり大きなものです。
ドラゴンダンスには派手な太鼓とシンバル、踊りが終わったときに鳴らす爆竹が欠かせません。赤い専用の封筒(日本でいうお年玉袋)にお金を入れたものをいくつか用意し、家の中に吊るします。ドラゴンは家の中を踊りながら練り歩き、邪気を落としてから、最後にこのお年玉を食べるという風習があります。
お年玉は近所の子供やビルの管理人、清掃人、家政婦、スクールバスの運転手、会社の部下などに渡すために、たくさん用意して持ち歩くのが普通です。市場でもお客さんにお年玉を渡すお店も結構ありますし、スーパーやデパートではお年玉袋に割引券が入ったものが配られます。日本でも横浜や関西に大きな中華街があるので、旧正月中にぜひ訪問してみてくださいね。
Mardi Gras(マルディ・グラ)
マルディ・グラはレント(四旬節。復活祭前の40日間)前の火曜日、謝肉祭の最終日である「灰の水曜日」の前日に行われます。四旬節にはキリストの受難の追体験の意味もあり、食事の節制が求められます。敬虔な信者は肉を口にしませんし、中にはコーヒーやお酒を控える人もいます。Mardi Grasはフランス語で、英語ではFat Tuesdayと呼ばれ、飽食ができる最後の日となります。
マルディ・グラは四旬節前の最後の飽食できる日であることから、揚げ物やケーキや肉などの脂っこいものを食べます。アメリカではパンケーキを食べるのが習慣です。世界各地のキリスト教国で祝われますが、特にニューオーリンズのパレードが有名です。ニュースで見たことがある人もいるかもしれませんね。
Carnival(カーニバル)
カーニバルといえばリオ!というぐらい世界的に有名なお祭り。一説によると、カーニバルはもともとギリシャの春の祭りで、ワインの神ディオニソスを讃えるものでした。ローマ人はその伝統を引き継ぎながら、ローマ神話のワインの神バッカスを讃える宴「サトゥルナリア」へと変えます。
その後さらにカトリック教会が、サトゥルナリアの祭りを四旬節の始まりに先立つ祭りに改めた結果、音楽、ダンス、食べ物、飲み物など、教会が想定していなかったような派手な祭典に発展してしまったといわれています。四旬節前週の金曜日から灰の水曜日までのカーニバルの期間で、色鮮やかな衣装に身を包んだたくさんのグループが踊るサンバのパレードやパーティーを目的に、世界中から観光客が集まります。
St. Patrick Day(セント・パトリックス・デイ)
毎年3月17日は、アイルランドの守護聖人である聖パトリックが亡くなった日を記念して祝われる「セント・パトリックス・デイ」です。宗教的な祝日として始まりましたが、時が経つにつれ、アイルランド文化の祭典となりました。
セント・パトリックス・デイといえば緑色のものを身につけるのが伝統です。アイルランド系移民の多い街では、街中がグリーンに染まります。これは18世紀にクローバーに似たシャムロックが国のシンボルとなり、セント・パトリックス・デイの行事に緑色が取り入れられるようになったことに起因します。また「緑色の服を着ると小妖精から見えなくなる」という伝承もその理由の一つだと考えられています。
4月〜6月の世界の主なお祝い
Easter(復活祭)
復活祭はキリストの復活を祝う宗教的にもっとも大事なお祝いで、洗礼式もこのときに行われます。イースターには子供達はゆで卵に色をつけ、庭や公園ではエッグハントが行われます。最近は本物の卵ではなく、うさぎや卵の形をしたチョコレートを隠す家庭も多く、子供達にとっては楽しいイベントです。復活祭の日は肉や節食が解禁され、ミサのあとにご馳走でお祝いします。
欧米では学校の四旬節の期間中から復活祭まで2~3週間休暇になります。毎年3月末から4月中旬ぐらいに行われるので、日本の春休みより少しあとになります。イースターホリデー中はたくさんの人が旅行をするので、もし「ホテルのキッズクラブで外国の子供と触れさせたい」と考えるのなら、この期間の家族旅行がおすすめです。アジアのリゾートも各国の駐在員や欧米からの観光客でいっぱいになる時期です。
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Passover(過越祭)
過越祭はユダヤ教のお祭りで、ヘブライ民族がモーゼの導きによって古代エジプトから解放されたことを祝い、4月15日の日没から4月23日まで行われます。
お祝いには、家族が集まってセダーと呼ばれる特別な夕食をとります。過越祭の期間中は、マッツというイーストを使わない平たいクラッカー状のパンを食べます。これはエジプトを脱出する際、持っていくパンが膨らむ暇もないほど早く脱出したとの言い伝えにちなんでいます。また、奴隷にされた人々の辛い経験を象徴して、食卓にはマロールという苦いハーブが置かれます。
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Holi(ホーリー祭)(Festival of the Color)
ホーリー祭はヒンドゥー教のお祭りです。「Festival of the Color(カラー祭)」とも呼ばれるとおり、色粉をかけあうことで有名です。黄色は尿、赤は血、緑は田畑を象徴し、家に押し入ってくる悪鬼を追い払うために汚物や泥を投げる習慣が始まりといわれています。
お祭りは毎年3月、旧暦12ヶ月目の最終満月の日から2日間に行われます。冬の終わりを告げるものであり、悪に対する善の勝利を称えるもので、参加者は焚き火をしたり、踊ったりして過ごします。
Songkran(Water Festival)
タイの新年であるソンクランは、別名Water Festival(水掛祭り)とも呼ばれ世界中から観光客が集まる有名なお祭りです。特にバンコクやパタヤ、プーケットのパトンビーチが盛大で、大きな水鉄砲を手に水をかけあいます。知らずに外を歩くとびしょ濡れになりますが、見ず知らずの人と水合戦するのは大人にも子供にも大変楽しいものです。徒歩だけではなく、バイクなどの乗り物に乗っていても関係なく水合戦!日本にはない、外国ならではのお祭りです。
濡れていない人を見つけては水攻撃したり、音楽に合わせて踊ったり、パレードに参加したりと親子で行ったソンクランには楽しい思い出がたくさんあります。水鉄砲はとにかく巨大なものを現地で購入するのがおすすめです。あちこちに水の供給所があるので水鉄砲にはそこで水を入れます。お祭りは朝から夜中まで行われますが、子連れの場合は夕方以降は酔っ払いが増えるので、日中に参加するといいでしょう。携帯や現金などはビニール袋に入れておかないとびしょ濡れになるので注意する必要があります。
Dragon Boat Festival(ドラゴンボート祭)
中国のお祭りで、旧暦5ヶ月目の5日目に行われます。時期的には通常6月で期間中の3日間は祝日となり、学校も仕事もお休みです。日本でいう端午の節句にあたり、ちまきを食べるのが伝統です。
大人数でオールの動きをシンクロさせながらボートを漕ぐ様子は圧巻。香港で有名なのは香港島南部のスタンレービーチのレースで、毎年たくさんのチームが参加します。いくつか異なるタイプのレースが行われますが、国別対抗もあり日本からの参加チームもあるようです。
7月〜9月の世界の主なお祝い
Independence Day(アメリカ独立記念日)
7月4日はアメリカでは歴史的な日で、1776年に東海岸の13の植民地からなる大陸会議で、イギリスからの独立宣言が採択されたことを記念しています。どの家も星条旗を掲げ、各地でパレードや花火などのイベントで盛大に祝われます。
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Bastille Day(フランス革命記念日)
バスティーユ・デイは7月14日のフランスの革命記念日です。革命の発端となったバスティーユ監獄襲撃を記念し、英語ではバスティーユ・デイと名付けられていますが、フランス語では「Le Quatorze Juillet(7月14日)」と呼ばれています。
パリでは軍や親衛隊、警察、消防団によるパレードが行われ、全国各地で花火やライブバンドによるダンスパーティ、バーベーキューなどが催されます。23日間にわたって行われる、世界3大スポーツイベントの一つ「ツール・ド・フランス」も開催中なので、フランス人の参加選手は特に革命記念日には気合いが入るといわれています。
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La Tomatina(トマト祭)
スペイン・バレンシア地方のブニョールで8月の最終水曜日に行われる「ラ・トマティーナ」は、毎年約2万人が参加し、全部で100トン以上のトマト(熟しすぎて店頭で売れなくなったもの)をぶつけ合うという豪快なお祭りです。年々参加者が増えており、安全確保のために現在では参加にチケット購入が必要です。大人向けのイベントですが、子供向けに無料で参加できる30−40分程度の短いトマト合戦も行われます。
ラ・トマティーナの起源は1945年8月の最終水曜日に、パレードを見るために広場にたむろしていた数人の少年と、1人の参加者のいざこざだそう。若者に押されて転倒し激怒したこの参加者と若者の間でトマトの投げ合いが始まりました。
その場はおさまったものの、翌年少年たちは家からトマトを持ち出し、自主的に諍いを繰り返します。警察がやめさせようと努力しましたが、若者たちは毎年トマト合戦を続けます。それがいつのまにか「トマト祭」として毎年行われる伝統となったとのことです。喧嘩がきっかけでスペインを代表するお祭りの一つになってしまったというのは面白いですね。
Mid-Autumn Festival(中秋節)
中国の大きなお祝いの一つが中秋節、日本でいうお月見です。日本ではお月見は丸いお団子を食べますが、中国では中秋節といえば月餅。私が住む香港では多くのお店でいろいろな月餅が売り出されます。中身は塩漬けの卵の黄味が丸ごと入ったものがスタンダード。あんは黒豆、赤豆、白あんなどにくるみを入れたものやハムが入っているものまであります。
香港の中秋節ではビクトリアパークのイルミネーションを始めとし、各地できれいなイルミネーションが飾られます。また街中に提灯が飾られます。香港はたくさんのビーチがあるので、ランタンを持ってピクニックしに多くの人がビーチで夜を過ごしたり、キャンプをします。砂に穴を掘って焚き火をする人もいます。また、割ると光るグロースティックを手や首にまく人も多いです。
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10月〜12月の世界の主なお祝い
Oktoberfest(オクトーバーフェスト)
ドイツ・ミュンヘンで9月中旬から10月第一日曜日か3日の遅い方に行われるオクトーバーフェストは、世界最大のビールの祭典として広く知られています。今ではミュンヘンだけではなく世界各地で行われるので、日本でも「ビール祭り」と称したイベントが行われています。
ミュンヘンのオクトーバーフェストは、会場に大きなテントが並び、バンドの演奏を聴きながらいろいろなビールを楽しむことができます。オクトーバーフェストのバーでは、ミュンヘン市内で醸造されたビールしか飲めないのも特徴です。
Diwali(ディワリ)
別名「光の祭典」と呼ばれるインドのお祝いが、カールッティカ月の新月の夜(グレゴリオ暦では10月下旬から11月上旬頃)に行わるディワリです。シンガポールやスリランカなどインド系住民が多い国では祝日となっており、インド人街はイルミネーションで彩られ、お店や屋台ではフラワーアレンジメントや粘土の入れ物に入ったキャンドルが売られます。
宗教ごとに異なる意義があり、ヒンズー教では、14年間追放されていたラーマとシータの神々がアヨーディヤに帰ってきたことを祝います。一方シーク教徒は、1619年に6番目の教祖であるハルゴビン・シンが牢獄から解放されたことを祝います。アジア最大のインド人街のあるシンガポールは、ディワリ期間中イルミネーションで彩られとても幻想的です。シンガポール旅行を予定しているなら、ディワリにあわせて行くといいかもしれません。
Dia de los Muertos(死者の日)
メキシコで11月1日、2日に行われる死者の日、亡くなった大切な人への敬意と追憶が目的です。死者の日は、死者の魂がこの世に戻ることができる1年に1度だけの日だと信じられています。自宅にキャンドルを灯し、故人の好物や、生前大切にしていた本や楽器などの品物を備えた祭壇を設置し、霊が親族のもとへ帰ることができるようにします。
また、墓地では盛大なパーティーが行われます。ご馳走を持ち寄り、墓石を掃除し、歌を歌ったり、先祖に語りかけたりします。日本のお盆と少し似ていますね。顔に死者の日のシンボルであるガイコツのペイントをしたり、ガイコツのお面をかぶって楽器を演奏したり、お店ではガイコツの形をした置物やお菓子が売られます。街中ガイコツであふれるという、ほかの国では見られないユニークなお祭りです。
Guy Fawkes Day (ガイ・フォークス・デー)
イギリスで11月5日に行われるお祭りで、カトリックの陰謀家たちがロンドンの国会議事堂を爆破しようとした計画した「火薬陰謀事件」が発覚した記念日です。Bonfire Night(かがり火の夜)とも呼ばれています。イギリス中の人々が焚き火をし、花火を打ち上げ、事件に関与したガイ・フォークスの肖像画を燃やします。
Loi Krathong(灯篭祭)
ロイクラトンは、毎年旧暦12月(現在の10月または11月)の満月の夜に行われるタイの灯篭祭です。川の恵みへの感謝の気持ちを表し、灯篭を川に流したり空に放ってお祝いします。同様の灯篭祭はスリランカやミャンマーにもありますが、バンコクやチェンマイのものが最も有名で多数の観光客が訪れます。
特にチェンマイでは「イーペン」と呼ばれ、水上に浮かんだ灯篭が天の川のように幻想的で美しいお祭りとして大変有名です。街中いろいろな形をした大きな灯篭が飾られ、山車のパレードが行われます。
Hanukkah(ハヌカ)
ハヌカは、一般的には11月下旬から12月中旬にあたるヘブライ暦第9月(Kislev)の25日に、ユダヤ人の信仰を禁じたアンティオコス王にマカビーズが勝利したことを記念して祝われます。
メノーラと呼ばれる燭台に8日間キャンドルをともします。点火の際には特別な祝福と祈りを捧げ、家族でゲームをしたり、歌を歌ったり、プレゼントを交換したりします。また、アップルソースとサワークリームと一緒にラテと呼ばれるジャガイモのパンケーキを食べるのが伝統です。
世界のお祝いがわかったら
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