疑問文に「any」を使うと失礼になることも?!気をつけるべき「any」と「some」の使い分け

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中学英語で学ぶ「some」と「any」という英単語。疑問文や否定文では「any」を使い、肯定文では「some」を使うと学んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。しかし現実の会話ではそうではない場面も多々あり、間違って使うと失礼にあたることも。そこで今回は本当に使える「some」と「any」の使い分けについてご紹介したいと思います。

「some」と「any」の通例の使い分け方

中学英語の初期に学ぶ「some」と「any」。名詞の前にある場合は、多くの場合冠詞のような役割をしており、その名詞の数量が不確かな時に「a」や「the」の代わりとして使われます。「いくつか」と訳すこともありますが、特に意味がなく、訳さないこともしばしばです。また数えられる名詞(可算名詞)と数えられない名詞(不可算名詞)のどちらに対しても使うことができます。

さて、この「some」と「any」ですが、通例、下記の例文のように「someは肯定文、anyは疑問文と否定文に使う」と学習してきた方が多いのではないでしょうか。

肯定文

We have some good butter here.(ここによいバターがあります。)

疑問文

Do you have any matches?(マッチをお持ちですか?)

否定文

I don’t want any friends.(友達はほしくない。)

しかし実際のところ、肯定文で「any」が用いられたり、疑問文や否定文でも「some」が用いられるなど、多くの例外があります。こういった「any」と「some」の本来の用法を見ていきましょう。

「some」と「any」の性質

早速、下記の例文をみてください。

Would you like to have some tea?(お茶はいかがですか?)

疑問文ですが「any」ではなく「some」が使われた文章です。このように話し手が問う場合、相手に「Yes, give me some, please(はいお願いします。)」のような「some」を使った肯定の返答を期待していると考えられます。

もともと、この「some」は潜在的に「1以上ある」という状態を想定した単語であり、一方の「any」は「ないかもしれない、0かもしれない」という状態を想定した単語であるという考え方があります。つまり、「お茶がいくつかほしいですよね?1以上ほしいでしょ?」という話し手の気持ちがある場合には「some」を、「相手がほしいかどうかわからない=まったくほしくないかもしれない=0かもしれない」が、とりあえず質問している場合には「any」が用いられるのです。

ややこしくなりましたが、シンプルに考えると、相手に肯定の返答を期待しているときには疑問文でも「some」を使うと覚えておくとよいでしょう。

その点を踏まえて下記2つの例文を比べてみましょう。

例A:Did I lend you any books last year?(去年君に本を貸したことなかったかな?)
例B:Didn’t lend you some books last year?(去年君に本を貸さなかったかい?)

「any」を使っている例Aでは、相手が「借りました」とYesで答えるのか、「借りてない」とNoで答えるのかが定かでないという話し手の心理が現れています。一方「some」を使っている例Bは、話し手が貸したと信じており、相手が「Yes(借りた)」と答えることを期待していると考えられます。

2つの文は日本語に訳すと違いがわかりくいものですが、実際には話し手の心理は大きく異なるわけですね。

ちなみに別の例ですが、下記の文章をみてください。もし誰かのお家で食事などを頂いている時、

Can I have any more tea?(もう少し紅茶をいただけますか?)

という表現をした場合、実はこれは相手に対して失礼な言い方になってしまいます。つまり「any」は相手が「yes」というか「no」というかわからないという気持ちを表すため、この文章では「相手の好意を疑うような言い方(紅茶を貰えるか貰えないか疑問を持っている言い方)」になってしまう訳です。少しの違いでも大きな違いですよね。気をつけましょう。

<まとめ>

返答に肯定文を期待している場合には、「some」を用いた疑問文が使われる。相手がYesと答えるかNoと答えるかわからない場合には「any」が用いられる。

特定の対象物を示す「some」と「any」の意味

「some」や「any」は、通常「a」や「the」といった冠詞のような役割をしているため、文章内であまり意味をもちません。そういったとき「any」「some」は「弱形」といって[əni][səm]と弱く発音されます。

しかしこの「some」「any」も、「特定の対象物を提示する」際には、強調して[éni][sˈʌm]と「強形」で発音され、意味も通常と異なることがあります。例文を見てみましょう。

例C:I don’t know some of my colleagues.(私は自分の同僚のうち、何人かの人は知りません。)

例えば上記の例Cは、否定文であるのに「some」が用いられており、かつ「sˈʌm」という強形で発音される文章です。このように表現するのは、同僚のうちの何人かを特定して提示しようという意図があるためと考えられます。(=“知らない何人か”がいるということを特に提示している)

別の言い方をすると、例Cの文章は元々、「There are some of my colleagues I don’t know.(私の知らない何人かの同僚がいます。)」のような肯定文が潜在しているとも考えられます。この「There are」の肯定文の文章自体が「〜がいます」という形でもって、「some of my colleagues」という特定の人(特定の対象物)を提示した文章ですよね。こうした特定の対象物を提示した肯定文が残り、「any」ではなく「some」が用いられていると言うこともできます。

ちなみに、もしここで、例Cの「some」を「any」に入れ替えると、

例D:I don’t know any of my colleagues.(私は自分の同僚は誰も知りません。)

となり、「not 〜 any」で「誰も〜ない」という「全否定」の意味になってしまいますね。訳ががらりと変わってしまいました。このように、特定の対象物を示す文章では、否定文だからといって「some」が「any」と入れ替え可能なものではなく、互いに独立した別の意味合いをもっていますので、注意が必要です。

なお、「特定の対象物を示す」用法は、他にも存在します。

Any boy can pass such an easy test.(どんな少年でもこんなやさしいテストは合格できる。)

肯定文ですがanyが使われています。この場合「any」は「いくつかの」ではなく、強形で発音して「どんな」と訳されます。「クラスにいるどんな少年でも」という個々の個体を対象物にして、特定し、提示しています。この「どんな」と訳す用法は、通常、肯定文で、単数形の名詞(ここではboy)とともに用いられます。

<まとめ>

特定の対象物を示す意図のある文章では、強調の「some」「any」が用いられ、独立した意味を持つ

「someone」「anyone」などの複合語の場合

これまでお伝えしてきた「some」「any」の用法は、その複合語である下記の英単語にも当てはまります。

・someone / anyone
・something / anything
・somewhere / anywhere

例を見てみましょう。

Is there anything to sit on?(なにか腰掛けるものはありますか?)

→「腰掛けるものがあるかどうかわからない」という前提で、質問を投げかけているパターン。

Can I have something to drink?(なにか飲み物をいただけますか?)

→相手の返答が「Yes」の肯定文であることを期待して、疑問文にsomethingを使っているパターン。

If anyone calls, tell him that I’ve gone.(もし誰かが電話をかけてきたら、私は出かけたと言ってください。)

→「誰かが電話をかけるてくるかどうかはわからないが」という気持ちを前提に、anyoneを使って質問しているパターン。

Are you going to somewhere(どこかに行くの?)

→「行くんですよね」と、相手が「Yes」の肯定文で答えることを想定して、疑問文にsomewhereを使っているパターン。

Anyone can make a mistake.(誰でも間違えることはある。)

→「どんな人でも(誰でも)」を対象物として、特定し、提示しているパターン

「any」と「some」の使い分け方がわかったら

「any」と「some」は中学英語で学ぶシンプルな英単語のように見えて、実は使い方を間違うと失礼な言い方にもなりかねない単語です。単に「疑問文と否定文はany」と覚えるのではなく、話し手の言葉の裏にある「本当に言いたいこと」を軸にして「some」と「any」を使い分ける事が重要です。

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