予期しないことや信じられないことが起きたとき、驚いたり否定したりするのに使う「ありえない」という言葉。日常生活でも頻繁に使われますよね。もともと「ありえない」という言葉は「あるはずがない」という可能性を否定する意味でしたが、近年では「不可能だ」「無理だ」「信じられない」「とんでもない」のような意味でも使われるようになりました。そのため、いくつもの意味を持つ「ありえない」を英語で表現するのは、意外と難しいかもしれません。
そこで今回は、「ありえない」を意味する英語表現を使い分けられるように、例文とともに解説します!
「ありえない」を表すいろいろな英語表現
すでに述べたように「ありえない」という言葉は「不可能」「驚き」「否定」など、さまざまな状況で使われます。それぞれの状況に合ったリアクションができるように詳しく見ていきましょう。
「可能性がない」を表すありえない
まず、「不可能だ」「あるはずがない」という意味の「ありえない」から解説します。
That’s impossible.
impossibleは「不可能な」という意味の形容詞ですから、That’s impossibleは「(それは)不可能だ」「ありえない」「無理だ」という意味です。
たいてい、なにかが起こる前に「起こりそうにない」と可能性を否定するときに使いますが、すでに起きたことに「信じられない」と驚きを表すときにも使います。
A:Will I be able to speak English fluently in a week or two? (1~2週間で英語が流暢に話せるようになるかな?)
B:That’s impossible. Because it takes years to master a language. (そんなのありえないよ。言語をマスターするには数年かかるんだから)
A:He got into a prestigious university. (彼、名門大学に入学したんだって)
B:That’s impossible! He didn’t study at all and was just playing games every day. (ありえない!彼、全然勉強しないで、毎日ゲームばかりしていたのに)
また、「絶対にありえない」のように強調したいときには、「absolutely(絶対的に・きっぱりと)」や「definitely(絶対に・明確に)」などを入れましょう。
That’s absolutely impossible. (それは絶対に不可能だ[ありえない])
That’s definitely impossible. (それは間違いなく不可能だ[ありえない])
It can’t be ~
It can beは「ありうる」「なりうる」と可能性を示し、can’tと否定になることで「ありえない」という意味になります。「It can’t be」だけで「ありえない」「そんなこと起こりうるの?」という意味になり、すでに起きたことに使います。
~の部分に「true(本当の)」を入れて「It can’t be true」としても、「ウソでしょ?」「ありえない」という同様の意味です。また、It をThat に代えて「That can’t be ~」で表現することも可能です。
A:She quit her job yesterday. (彼女、昨日仕事を辞めたんだよ)
B:That can’t be true! Even though she was trying so hard. (そんなのありえない!一生懸命頑張っていたのに)
A:I saw him driving a car. (彼が車の運転しているのを見たよ)
B:It can’t be! He just got his car license suspended. (ありえない!彼は免停になったばかりだよ)
「信じられない」を表すありえない
信じられない気持ちを表す「ありえない」も見ていきましょう。たいてい、「驚き」や「疑い」を表現します。
I can’t believe it.
動詞の「believe(信じる)」をcan’tで否定して、「信じることができない = 信じられない」とした表現です。
itの代わりに「my eyes(自分の目)」や「my ears(自分の耳)」を使って、「目を疑う」「耳を疑う」と表現してもいいでしょう。もちろん、信じられない内容を具体的に表現することもできます。
A:Do you know that Tim proposed to Jane? (ティムがジェーンにプロポーズしたって知ってる?)
B:I can’t believe it. He asked me out on a date yesterday. (信じられない[ありえない]。昨日彼にデートに誘われたよ)
I can’t believe she missed the chance to go to Europe. (彼女がヨーロッパに行くチャンスを逃したなんて信じられない = ありえない)
unbelievable
unbelievableは「信じられない」という意味の形容詞で、テレビ番組でも「アンビリバボー」として使われているので知っている人も多いもしれませんね。「信じがたい並外れた」人や行動に対して使い、ポジティブな意味だけでなくネガティブな意味でも使います。
I had an unbelievable experience. (私は信じられない[ありえない]ような体験をした)
A:Everyone was laughing at me. (みんなが私のことを笑っていたんだ)
B:That’s an unbelievable behavior! (それは信じられない[ありえない]振る舞いだ)
incredible
incredibleはunbelievableと似た単語で、「信じられないほど」と訳されます。両者の違いは、unbelievableが「信じられないなにか」を指すのに対して、incredibleが「信じられない範囲を超えたなにか」を指す点です。
His appetite is incredible. (彼の食欲は信じられない[ありえない]ほどだ)
I heard she earns an incredible amount of money. (彼女は信じられない[ありえない]ほどのお金を稼いでいると聞いた)
inconceivable
inconceivableは「想像も及ばない」「信じがたい」「驚くべき」という意味の形容詞で、「想像することも考えることもできないこと」を表します。
I thought it was inconceivable that the crash was an accident. (その墜落が事故だったとは考えられなかった[信じがたかった]と思った)
It was inconceivable that Japan would beat Spain and Germany in the World Cup. (ワールドカップで日本がスペインとドイツに勝つとは考えられなかった[信じがたかった])
「非難」を表すありえない
「それはないよ!」「ひどいんじゃない!」と非難を込めた表現です。
○○ really did that?
「そんなことをしたの?ありえない!」「信じられない」!という「理解できない状況」で使います。○○にはHeやYouなどが入り、もちろんきちんとした疑問形でもOKです。このフレーズの後に「I can’t believe it.(信じられない[ありえない])」を入れて強調してもいいでしょう。
She really did that? (彼女は本当にそんなことをしたの?)
Did you really do that? I can’t believe it! (あなた、本当にそんなことをしたの?ありえない!)
go too far
go too farは「度がすぎる」「行きすぎる」「ひどすぎる」という意味で、言動に呆れて「ありえない」という気持ちを表すときに使います。
Your jokes are funny, but sometimes you go too far. (君のジョークは面白いが、時々度がすぎる)
It went too far for the police to handcuff him. (警察が彼に手錠をかけたのは行きすぎだ)
「完全否定」を表すありえない
次に、「絶対的にありえない」という完全否定を表す表現を見ていきましょう。
No way!
no way!は「まさか!」「そんな!」「絶対にありえない!」という気持ちを簡潔に表現するのに便利です。ポジティブな意味でもネガティブは意味でも使えます。もちろん文中で使うことも可能で、「決して~でない」という意味です。
A:Let me borrow your car. (車を貸してよ)
B:No way! I just bought it, so I won’t. (まさか!買ったばかりだから貸さないよ)
There’s no way that she would get lost in Tokyo. (彼女が東京で道に迷うなんてありえない)
Never
Neverも「まさか」という意味で、驚きや疑いの気持ちを「Never!」と一言で表現できます。もちろん文中でも使え、「絶対に~ない」という意味です。
A:Have you ever try eating snake? (ヘビを食べてみたことある?)
B:Never! (まさか!)
Never speak ill of the dead. (決して死者を悪く言ってはいけない)
illは「病気で」「不健康で」という形容詞用法がよく知られていますが、上記の文では「悪」「苦難」などの意味を表す名詞。「Never speak ill of the dead」は英語のことわざで、ラテン語に起源を持つ言葉です。
「疑い」を表すありえない
怪しい話やおいしい話を聞いて「ありえない」「信じられない」と疑ったり、「そんなことは起こりえない」「ありそうもない」と疑いを抱きつつ断定しきれなかったりするときの表現です。
I don’t buy it.
I don’t buy itは直訳すると「それを買わない」ですが、「ちょっと信じられないな…」「それはなりえないでしょ!」という意味で使われます。カジュアルな表現なので、親しい間柄で使うのが一般的です。意味的には「I can’t believe it」に近い表現。もちろん、itを具体的に示すこともできます。
A:I heard he got divorced. (彼、離婚したって聞いたよ)
B:I don’t buy that story. I saw him happily with his wife yesterday.(その話は信じがたいなぁ。昨日、彼が奥さんと幸せそうにしているのを見たもの)
A:You can make money online. Do you want to know how? (オンラインでお金が稼げるよ。その方法を知りたい?)
B:I don’t buy it! It sounds too suspicious. (それはありえないでしょ!怪しすぎる気がするよ)
That wouldn’t happen
wouldは実際に起きたことではなく「想像での話」をするときに使うので、That wouldn’t happenで「それは起こりえないだろう = ありえない」となります。
A:What would you do if your boyfriend was with his ex-girlfriend?(あなたの彼氏が元カノと一緒にいたらどうする)
B:Well, he said he would never see her again, so that wouldn’t happen. (うーん、彼は彼女にもう会わないって言ったから、それは起こりえないよ)
さらに、現実的に「ありえない」場合と可能性として「ありえない」場合も見ておきましょう。
現実的に「ありえない」場合:
That never happens. (それは決して起きない = それは絶対にありえない)
可能性として「ありえない」場合:
That could never happen. (そんなはずはない = それはありえない)
unlikely
unlikelyは「ありそうもない」「起こりそうもない」という意味の形容詞。「それはないかな」と可能性の低さや考えられないことを表します。
A:I saw an animal like a cat near my house. I think that’s a raccoon.(うちの近くでネコのような動物を見たんだ。あれはアライグマだと思うよ)
B:I think it’s unlikely. (それはないと思うよ[可能性が低い])
It’s unlikely that he missed the last train. (彼が最終電車に乗り遅れたとは考えられない)
「スラング」のありえない
すでに示した「No way」もスラングですが、ここでは「ありえない」を意味する他のスラングを見ていきます。
For real
For real?は「マジで?」という意味のスラング。「Really?(本当に?)」や「Are you serious?(本気?)」のくだけた表現です。似たような意味で「Seriously?(マジで?)」もよく使われます。
A:I’ll take you to a nice restaurant tonight. (今夜は素敵なレストランに連れて行くよ)
B:For real? (マジ?)
Are you for real pregnant? (マジで妊娠しているの?)
What the heck!
No way!と同様に、「What the heck!」もネイティブがよく使う表現です。たいてい、ありえないことが起きたときに「なんてことだ!」「ありえない!」という意味で使います。
A:The doctor told me not to drink alcohol. (医者からお酒を飲まないように言われたよ)
B:What the heck! Can you do that? (なんてことだ!できるの?)
ネイティブの中には「What the f**k!」とFワードで表現する人もいますが、それは避けた方がいいでしょう。
また、「What the hell!」もネイティブがよく使うスラングで、意味はWhat the heck!と同じ。heckは「hell(地獄)」の婉曲表現なので、What the heck!の方がソフトな表現です。What the hellは罵倒語で、What the heckには罵倒の意味は含まれないと考えられています。
「ありえない」に似た英語表現
「ありえない」を表すいろいろな表現を見てきましたが、次は「ありえない」に似た意味の表現です。
とんでもない・言語道断・問題外
言動などが「恥知らずな」「ひどすぎる」「道理をわきまえない」ような、「とんでもない」あるいは「問題外」な状況を表すものから見ていきます。これらの表現も、「ありえない」と同様の意味になるでしょう。
outrageous
outrageousは「無礼な」「恥知らずな」「乱暴な」という意味の形容詞。衝撃的・暴力的・道徳的に容認できない場合に使います。
The judge criticized some politicians for their outrageous greed. (裁判官は一部の政治家のとんでもない貪欲さを批判した)
It’s outrageous for her to use my stuff without permission. (彼女が私のものを勝手に使うなんてとんでもない)
unreasonable
unreasonableは人や行いなどが「理性的でない」「道理をわきまえない」「突飛な」という意味の形容詞。値段や要求などが不公平または受け入れられない場合にも使われます。
No one wants to feel unreasonable. (理不尽な思いをしたい人はいない)
It would be unreasonable to make her to do that. (彼女にそれをやらせるのは無理だろう)
out of the question
out of the questionは「問題外」「もっての外」「問題にならない」という意味のフレーズ。不可能だったり許可されていなかったりするために、議論する価値がないことを表します。
He emphasized that it was out of the question. (彼はそれが問題外であることを強調した)
It’s out of the question for you to say such a thing to her. (彼女にそんなことを言うなんて論外だ)
想定外・予想外
予想の範囲を超えていたり予想とは違ったりする場合の表現です。
unexpected
unexpectedは「予想外の」「思いがけない」という意味の形容詞。出来事や人の行動が予想外だったときに、それが起こる可能性が高いとは思っていなかったような状況で使い、たいてい「驚き」が込められています。「ありえない」状況と言えるかもしれません。
An unexpected rainstorm caused the roof to collapse. (予想外の暴風雨により、屋根が崩壊した)
He is puzzled by an unexpected question. (彼は予想外の質問に困惑している)
unforeseen
unforeseenもunexpectedと同様に「思いがけない」「予期しない」という意味の形容詞ですが、両者は微妙にニュアンスが異なります。動詞のexpectとforeseeで考えると、わかりやすいでしょう。expectは「高い確信度と理由によりなにかが起こることを予測・期待する」ときに使い、意味は「予期する」です。一方、foreseeは「先を見越す・予知する」ときに使います。
The project was delayed due to unforeseen circumstances. (不測の事態によりプロジェクトが遅れた)
Something unforeseen happened at that wedding. (その結婚式で予測不能なことが起きた)
contrary to (all) expectations
contrary to (all) expectationsは「(あらゆる)予想に反して」という意味のフレーズ。contrary to ~で「~に反して」という意味です。
Contrary to expectations, the film was an immediate success. (予想に反して、この映画はすぐに成功した)
The weather was terrible, contrary to my expectations. (予想に反してひどい天気だった)
あってはならない
「あってはならない」は「ありえない」に似た言葉ですが、意味は多少異なります。「ありえない」はこれまで見てきた通り、「可能性がない」「信じられない」「あるはずがない」という意味です。一方、「あってはならない」は「起こってはいけない」「あっていいはずがない」という意味で、低い確率で起こることを示唆しています。このような場合の英語表現も、しっかりおさえておきましょう。
should not
shouldは「~すべきだ」という意味の助動詞で、should notと否定形にすると「~すべきでない = あってはならない」となります。
Children should not be shown violent movies. (子どもに暴力的な映画を見せるべきではない[見せてはならない])
That should never have happened. (そんなことは絶対にあってはならない)
forbid
forbidは「禁じる」「許さない」という意味の動詞。人や事情がなにかを禁止するときに使います。
That is something forbidden. (それはあってはならないことだ)
My father forbids me from marrying. (父は私が結婚することを許さない)
「ありえない」に関する英語表現を実践で身につけたいなら
「ありえない」にはいろいろな意味がありますが、シーンに合ったリアクションを自然にとれるようにするには、何度も使ってみることが大切です。
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