英語のイディオムは文字から意味を連想することができず、学習をさらに難しくする要素の1つです。けれどもビジネスシーンではよく使われるため、英語力が高くなってもイディオムを知らないと、英語を母国語としないノンネイティブは話についていけず、コミュニケーションがスムーズにできなくなる可能性があります。
英語のイディオムは数え切れないほどたくさんありますが、この記事ではビジネスシーンでネイティブがよく使うイディオムを厳選してお届けします!
基本的なビジネス用語
ビジネスに特化したイディオムを知らないと、「この人は話がわかっているのか?」と思われ、うまくいくものもうまくいかなくなってしまうかもしれません。まずは、基本的なビジネス用語について解説します。
Backfill
Backfillは、掘った穴を「埋め戻す(動詞)」や「埋め戻し(名詞)」という意味。まったくビジネスとは関係のないような単語ですが、ビジネスシーンでは「空いたポジションを埋め戻す」といったニュアンスで、to backfill(後任者を補う)あるいはthe backfill(後任者)のように動詞としても名詞としても使われます。つまり、to find a replacement for ~(~の後任者を見つける)やa replacement(後任者)と同じ意味で使われるということです。
They’re recruiting for Kate’s backfill. (彼らはケイトの後任者を募集している)
It can be difficult for your company to backfill a position. (あなたの会社が後任者を補うのは難しいかもしれない)
Heads-up
Heads-upは「頭を上げる」という意味ですが、ビジネスシーンでは誰かに注意を向けさせたり何かを知らせたりするときに、「注意喚起・警告」という意味で使います。notice(通知・警告)やwarning(警告・注意)と同じような意味。もともとはスポーツで「周囲に目を配って注意する」という意味で使われていたそうです。
I just wanted to give everyone a heads-up about the changes in advance. (事前に変更についてみなさんに注意を向けてほしかっただけです)
I appreciate the heads-up. (注意喚起に感謝します)
Blue-sky thinking
Blue-sky thinkingは直訳すると「青空思考」ですが、ビジネスシーンでは「既成概念にとらわれない独創的なアイディア」という意味の名詞です。
What we need now are specialist knowledge and blue-sky thinking. (我々に今必要なのは専門知識と独創的なアイディアだ)
Some consultants are good at blue-sky thinking but can’t explain it well. (一部のコンサルタントは独創的空想が得意だが、それをうまく説明できない)
No-brainer
No-brainerは「ほとんど考える必要がないこと」「非常に簡単または明白な決定」という意味の名詞。
The decision I made was a no-brainer. (私が下した決定は簡単なものだった)
I immediately said yes. It was a no-brainer for me. (私はすぐに「そうだ」と言った。私にとって簡単なことだった)
To push the envelope
To push the envelopeは一般的に可能だと見なされる限界を超えることを指し、「限界に挑む」「限界を超える」という意味のイディオムです。envelope(封筒)という単語が使われていますが、もともとは航空業界で使われ、航空機の安全な飛行を可能にする速度や出力の上限・下限を表すflight envelope(飛行包囲線)に由来するそう。
テストパイロットがどれくらい航空機を飛行できるかを測るのがpushing the envelopeで表され、今ではビジネスシーンで「急進的なアイディアを試す」という意味で使われます。
He is the director who has pushed the envelope with his latest film. (彼は最新の映画で急進的なアイディアを試した監督だ)
We need someone who will help us push the envelope of artificial intelligence. (我々は人工知能の急進的なアイディアを試すのを手伝ってくれる誰かが必要だ)
Run it up the flagpole
19世紀半ばにアメリカの広告会社の幹部によって造られたやや古い表現。元はLet’s run it up the flagpole and see if anyone salutes it.(直訳:旗ざおに掲げてみて誰かが敬礼するかどうか見てみよう)という長い文で、「アイディアや製品を試して、どう機能するのか反応を確認する」という意味で使われました。
現在では前半のRun it up the flagpoleのみが使われ、「試して反応を探る」という意味です。itを具体的に示してもいいでしょう。
Let’s run my idea up the flagpole before proposing it to the boss. (上司に提案する前に私のアイディアを試して反応を探ろう)
Let’s run it up the flagpole and see what happens. (それを試して反応を探り、何が起こるか見てみよう)
会議で役立つビジネス英語のイディオム
次に、会議で役に立つ英語のイディオムを見ていきます。
At +(時間)+ sharp
sharpは「鋭い」や「先が尖った」という意味で知られる形容詞ですが、ビジネスシーンでは特定の時間を表すときに使用。「きっかり」「ぴったり」という意味で、副詞の役割を果たします。at two o’clock sharpなら、「2時きっかり」に約束の場所にいる必要があるということ。exactlyと同じ意味で、その場合はexactlyを時間の前に置いて、at exactly two o’clockのように表現します。
The meeting with Mr. White will begin at 10:00 o’clock sharp. (ホワイト氏との会議は10時きっかりに始まる)
Please be the conference room on the third floor at one o’clock sharp. (1時きっかりに3階の会議室にお集まりください)
To get the ball rolling
get the ball rollingは直訳すると「ボールを転がす」ですが、これは会議などを「始める」「口火を切る」、何かを「軌道に乗せる」という意味のイディオム。このイディオムを知らないと「?」となってしまうので注意しましょう。ビジネスシーンだけでなく、日常会話でも使われるので、覚えておくと便利です。getの代わりにsetやstartを使う場合もあります。
Let’s get the ball rolling. (では、[会議を]始めよう)
At the meeting, the manager tried to get the ball rolling by asking a few questions. (マネージャーはいくつかの質問をすることで会議を始めようとした)
To get down to business
get down to businessは「本題に入る」という意味のイディオム。会議では最初の挨拶の後、具体的な話を始めるときに使います。
Now that the introduction is over, I would like to get down to business. (紹介が終わりましたので、本題に入りたいと思います)
All right, everyone. Let’s get down to business. (よし、みんな。本題に入ろう)
To take the minutes
take the minutesは、「議事録を取る」という意味。つまり、会議で誰が何を話したのかを書き留めることです。
Setting the agenda and taking the minutes of board meetings is part of my job. (取締役会の議題を設定して議事録の作成は私の仕事の一部です)
It’s my turn to take the minutes, so please let me know if there’s anything worth noting. (議事録を取るのは私の番なので、何か注目すべき点があればお知らせください)
To fill someone in
fill someone inは、不足している「情報を誰か(someone)に提供する」という意味のイディオム。つまり、事情がつかめなかったり、重要な情報を入手できていなかったりする場面で使われるということ。このイディオムは会議などのビジネスシーンだけでなく、日常会話でも情報を逃した場合などに使われます。
Could you please fill me in on what happened? (何が起きたのか教えていただけませんか?)
We will need to fill the client in on some of the details. (我々は詳細のいくつかについてクライアントに情報提供する必要があるだろう)
Ballpark figure
ballpark figureは「概算」「大まかな見積もり」という意味。特定の市場に進出するのにかかる費用、企業が利益を上げるまでにかかる年数、大量購入を正当化する売上高の見積もりなど、ビジネスシーンのいたるところで使用されます。また、日常生活で買い物をするときの見積もりなどでも使われるので覚えておくと役立つでしょう。
figureには「数字」や「(数字の)桁」という意味もあるので、ballpark figureは直訳すると「球場の数字」という意味。「球場のように広範囲の数字 ⇒ 大まかな見積もり」となったようです。
Do you have a ballpark figure for the cost of the renovations? (リノベーションの費用の概算はありますか?)
We don’t need an exact number. A ballpark figure is enough. (正確な数は必要ありません。概算で十分です)
To get the show on the road
get the show on the roadは「活動を始める」「実行する」という意味のイディオム。直訳すると「路上でショーを手に入れる」というまったく異なる意味になるので要注意。ビジネスシーンでは計画やプロジェクトを「始めよう」と急ぐようなときに使います。
Let’s get the show on the road! (さあ、始めよう!)
It’s finally time we get the show on the road. (いよいよ計画を始めるときが来た)
To blow a deal
blow a dealは多くの場合、何らかの理由により「取り引きに失敗する」「合意を台無しにする」という意味。あまり起こってほしくない状況ですが、覚えておくと役立つでしょう。
Unfortunately, we blew a business deal with a client. (残念ながら、我々は顧客との取り引きに失敗した)
If you push it forward, you’re going to blow a deal. (それを推し進めると君は契約に失敗するぞ)
In black and white
In black and whiteは直訳すると「黒と白で」ですが、これらの色はインクと紙を表して「書面にして」「文書の形で」という意味。特に、合意や契約などの正式な文書を指します。
I keep everything in black and white in case I have problems in the future. (将来問題が発生した場合に備えて、すべてを文書として保管してる)
I would like to confirm the details in black and white. (詳細を文書にて確認したいのですが)
よく使われるビジネス英語のイディオム8選
最後に、ビジネスシーンでよく使われるイディオムを厳選してご紹介します。ここでは簡単に意味と例文を見ていきましょう。
To learn the ropes
learn the ropesは、「コツを覚える」という意味。新しい仕事を始めたり、新しいスキルを学んだりするときに最適なイディオムです。船乗りが最初にロープの結び方を習うことから、「仕事のやり方を学ぶ」という意味になったそう。
She still has to learn the ropes, but she has great potential. (彼女はまだコツを学ばなければならないが、大きな可能性を秘めている)
It takes weeks for new employees to learn the ropes. (新入社員がコツを習得するには数週間かかる)
To cut corners
cut cornersは時間や労力を節約するために物事を最も迅速かつ安価に行うことを指し、「手を抜く」という意味。多くの場合、品質を犠牲にし、ルールに従いません。
Don’t cut corners on this project. It has to be done thoroughly, no matter the cost. (このプロジェクトで手抜きをするな。費用に関係なく、徹底的に行う必要がある)
He’s always trying to find ways to cut corners. (彼はいつも手抜きをする方法を見つけようとしている)
By the book
By the bookは「規則に従って」「規則通りに」という意味。非常に厳密な方法で規則と指示に従うことを指し、上記に示したcut cornersとほぼ反対の意味です。
My supervisor insists on doing everything by the book. (スーパーバイザーはすべてを規則に従って行うと主張している)
She was famous for completing all her tasks by the book. (彼女はすべての作業を規則通りに完了することで有名だった)
It’s not rocket science
It’s not rocket scienceは直訳すると「それはロケット科学ではない」ですが、これは「それほど難しくないこと」「簡単なこと」という意味のイディオム。rocket scienceには「過度に複雑なこと」「高度な理論」という意味があるためnotで否定形にして、実行または理解するのが難しくないことを強調するときに使います。
I’m sure you can manage. It’s not exactly rocket science, is it? (君が管理できると確信している。難しいことではないだろ?)
Website Design is hard work, but it’s not rocket science. (ウェブサイトのデザインは大変な作業だが、そんなに難しくはない)
Back to the drawing board
Back to the drawing boardは「振り出しに戻ってやり直す」「白紙に戻して練り直す」という意味。計画などがうまくいかなかったため、プロセスの最初に戻って別のアイディアや方法を試すときに使います。
That advertising campaign was not as successful as we hoped. We have to go back to the drawing board. (その広告キャンペーンは私たちが期待したほど成功しなかった。最初からやり直す必要がある)
They didn’t accept our proposal, so it’s back to the drawing board. (彼らは私たちの提案を受け入れなかったので、最初から練り直しだ)
Behind the scenes
behind the scenesは「秘密裏に」「水面下で」「ひそかに」という意味のイディオム。ネガティブな意味だけでなく、「影で努力している」のようにポジティブな意味でも使われます。
There are many negotiations going on behind the scenes. (秘密裏に多くの交渉が行われている)
The real heroes of this project are the people who worked behind the scenes. (このプロジェクトの真の英雄は舞台裏で働いていた人々だ)
A long shot
a long shotは「望みが薄い」という意味。スポーツに由来するイディオムで、バスケットボールの選手が遠くからシュートを打とうとしているイメージ。遠くからだとゴールが決まる見込みが薄いことから、このイディオムは「成功する可能性がほとんどない」ことを表します。
It’s a long shot, but it might work. (望みは薄いけど、うまくいくかもしれない)
We hope to double our profits, but I know that’s a long shot. (利益を2倍にしたいと思っているが、それは望みが薄いとわかっているよ)
The bottom line
bottom lineにはいくつか意味がありますが、覚えておきたいのは「要点」「結論・最終決定」「最終的な収益」という3つの意味です。
The bottom line is that we need another twenty thousand dollars to complete this project. (肝心なのは、このプロジェクトを完了するにはさらに2万ドルが必要ということだ)
The bottom line is that the decision must be made today. (要するに今日決断しなければならないということだ)
Sales last month failed to add to the company’s bottom line. (先月の売上高は会社の最終収益に追加できなかった)
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