「1ヶ月で英語が話せるようになる」と聞いたら…
「たった1ヶ月で英語が話せるようになるなんて無理でしょ!」
「そんな短期間で英語が話せるようになったら誰も苦労しないよ!」そんなことを感じられるのではないでしょうか。
確かに英語学習は一朝一夕にはいかず長い時間がかかりますが、1ヶ月の短期集中学習で話せるようになる可能性は十分にあります。
そこで今回は、「話せるようになる」ことに焦点を当てて、1ヶ月の短期集中学習の計画を立ててみようと思います。
英語が話せない理由を見つけよう
計画を立てる前に、まず「英語が話せない理由」を探る必要があります。なぜなら、なぜ英語が話せないのかがわからなければ、学習方法を決められないからです。
スピーキングに必要なスキルと知識
英語が話せない理由を探るには、スピーキングに必要なスキルと知識について理解しなければなりません。簡単にスピーキングに必要なスキルと知識について見ていきましょう。
スピーキングに必要なスキル
私たちが英語を話すとき、「概念化→文章化→音声化」というステップで進みます。
「概念化」とは頭の中で何を話そうかと思い浮かべることで、漠然とした状態を指します。まだ文章にはなっていません。「文章化」とは頭の中に思い浮かべたことを言語化することで、自分が持ちうる単語や文法を使って脳内で文章にする作業で、「発音化」は脳内で作った文章を声に出して発話することです。
つまり、スピーキングに必要なスキルは「概念化」「文章化」「音声化」の3つで、特に「文章化」と「音声化」をスムーズに行えるようになると英語が楽に話せるようになるということです。
スピーキングのスキルに必要な知識
スピーキングに必要な「概念化」「文章化」「音声化」という3つのスキルに必要な知識を見ていきましょう。
概念化は言いたいことを頭の中に思い浮かべることなので特に英語の知識を必要としませんが、実際には語彙力と文法力が高まるほど概念化がしやすくなります。当然のことながら文章化するには、語彙と文法の知識が必要です。
また、発声化には発音の知識が必要で、発音できなければ英語を話すことはできません。発音の知識には英語特有の音の変化やリズムも含まれます。
英語が話せない理由
スピーキングに必要な「概念化」「文章化」「音声化」というスキルのうち、何かが不足していれば英語を話すことはできません。ですから自分が英語を話せない理由を見つけることが重要です。自分がどのような状態なのか確認しながら、英語が話せない理由を見つけましょう。
文章化できない場合
言いたいことを頭の中に思い浮かべても、それを文章化できない人はインプットが不足しています。つまり語彙と文法を学習して、脳内に記憶させる必要があるということ。さらに、語彙と文法を使って文章を作るトレーニングをした方がいいでしょう。
文章化できてもなかなか発話できない場合
語彙力と文法力がそれなりにあって文章も作れるのに、なかなか発話できない人はアウトプットが不足している可能性があります。要するに、知識は脳内にあるものの、それらをスムーズに引き出せない状態です。この場合は、アウトプットの機会を増やすことを優先させましょう。
発話しても相手に伝わらない場合
頭に思い浮かべたものを文章化して発話しても相手に伝わらない人は、正しく発音できていないことが主な理由でしょう。つまり、発音練習が不足しているということ。カタカナ英語のように発話していたり、強勢アクセントの位置やシラブル数が間違っていたりするのかもしれません。
強勢アクセントとは強く(高く)ゆっくり発音する部分のことで、シラブルとは音節のことです。例えば、「conversation /ˌkɑːnvərˈseɪʃn/(会話)」という単語なら、con・ver・sa・tionと4音で発音し、強勢アクセントは3音目に置かれます。
強勢アクセントとシラブル数はとても重要で、これらに注意するだけでも伝わる英語になるので試してみてください。
話せない理由から必要な学習を見つけよう
英語が話せない理由が明らかになったら、克服するための学習法を見つけます。1ヶ月で英語が話せるようになるためには、1日に少なくとも5~6時間の学習が必要。それ以外に1日2回以上のオンライン英会話レッスンを受けた方がいいでしょう。オンラインレッスンを受ける理由は、アウトプットの場を増やすため。また、間違えをその場で指摘してもらえるのも利点です。
ここではオンライン英会話以外の学習について解説します。
学習法:文章化できない場合
文章化に必要な知識は、語彙と文法です。どのような学習をすればいいのか見ていきましょう。
知識の構築:語彙
語彙、つまり英単語を覚える必要があります。まず、中学英語で使われる約1,000語から始めましょう。なぜなら、中学英語で使われる英単語は基本単語だから。
単語を覚えるときには書いて覚えるのではなく、聞いて覚えるようにしましょう。必ず声に出して練習し、単語の音と意味のイメージをつなげて脳内に記憶させます。
語彙も文法も不足している状態からオンラインレッスンを始める場合は、オンラインレッスンのテキストに出てくる語彙と文法から学習するのも1つの方法ですが、それ以外の時間にも語彙をなるべく増やすように心がけましょう。
ちなみに「英単語を覚える」とは、意味と音だけでなく文章の中で使えるようにすること。単語を覚えながら文章の中で使えば、文法の学習にもなるのでおすすめです。
知識の構築:文法
文法の知識は語彙と同じように中学英語の文法から始めます。中学英語の文法を使いこなせれば、日常英会話がスムーズにできるから。文法に特化した参考書などを活用して、使いこなせるようになるまで何度も見返しましょう。
文章化できない段階では発音に重きを置く必要はありませんが、単語を覚えるときにも文法を理解するときにも自分で文を作り、必ず音読することをおすすめします。
学習法:文章化できてもなかなか発話できない場合
文章化できてもなかなか発話できないのは、アウトプットが不足しているからです。
アウトプットの機会を増やす
アウトプットの場を増やすために、毎日オンライン英会話レッスンを活用します。1日に2回以上レッスンを受けるのが理想。オンラインレッスンでは受け身にならず、積極的に英語を話すようにしましょう。
オンラインレッスンの前には準備・練習する
オンラインレッスンの前に準備と練習をします。つまり、オンラインレッスンが本番で、そのための準備・練習をしておくということ。次のレッスンのトピックが決まっていれば、そのトピックに合った文や質問などを作って、それらを発話する練習を事前にしておきます。もちろん、最初は紙に書いて読み上げてもいいでしょう。
慣れてきたら2回のレッスンのうちの1回は準備をせずに受け、どれくらい話せるのか自己チェックしてみてもいいかもしれません。反省点が見つかった場合は、次のレッスンで活かせるように準備しましょう。
学習法:発話しても相手に伝わらない場合
発話しても相手に伝わらない場合は、発音練習が必要です。動画などを活用して、母音・子音の発音練習から始めると基礎が築けるのでおすすめ。時間が足りないという人は単語レベルで発音練習をして、文へ移行します。最初のうちはネイティブのように音をつなげて話す必要はありませんが、脱落する音には注意しながら練習しましょう。
発音を集中的に学習したい人は、1日2回のオンラインレッスンのうち1回を発音に特化したレッスンにするのも1つの方法です。
英語が話せるようになる具体的な学習計画
では、1ヶ月で英語が話せるようになるための具体的な学習計画を、「文章化できない場合」「文章化できてもなかなか発話できない場合」「発話しても相手に伝わらない場合」にわけて立てていきます。
文章化できない場合
文章化できない場合は、語彙と文法を強化しながら作文力や発音も取り入れなければなりません。ここでは、オンライン英会話レッスン以外の学習計画を立てます。
1週目:中学英語の語彙と文法の復習
文法に特化した参考書を1冊決めて、中学英語の語彙と文法を復習します。1週間で1冊すべてを復習できるように、1日に学習する量を決めましょう。
文法構造ごとに自分で文を作って、声に出して練習します。発音がわからないときにはGoogle翻訳を使えば、文レベルでも聞けるので便利です。もちろん、聞くだけではなく声に出して真似しましょう。
2週目:覚えられない・発音できない単語をリスト化
基本的には1週目と同じ。参考書を1週間かけて再度復習します。同じ参考書でやり直すのは、何度も確認することで記憶を定着させるためです。
新たにやることは、どうしても覚えられない・発音できない単語のリストを作ること。書き出したりカードを作ったりして、ひと目でわかるようにします。付箋に単語を書いてノートの貼りつけてもいいかもしれません。覚えたらリストから除外します。
3週目:独り言
3週目も同じ参考書を1週間かけて復習します。記憶が定着しているところは時間をかける必要はありません。
それ以外に「やってみたいこと」「やったことがあること」「やらされたこと」「やりたくないこと」などの項目を作り、それを英語で言う練習をします。要するに、さまざまな表現を使って独り言をつぶやくということ。慣れるまでは書き出しても構いませんが、なるべく文字に頼らないようにしましょう。
4週目:英語モード
4週目は1日中頭の中を英語モードにします。文字には頼らずに、なるべく以下のように英語で考えるようにしましょう。
I have to study English but I also have to go for a dog walk. Which should I do first? (英語の勉強をしなきゃならないけど、犬の散歩にも行かなきゃならないな。どっちを先にした方がいいかな?)
表現できないことがあればスマホなどにメモしておき、その日の学習時間に調べると表現の幅が広がるでしょう。
文章化できてもなかなか発話できない場合
文章化できてもなかなか発話できないのは、アウトプットが不足しているから。なるべく英語を話す機会を作ります。
1週目:音読する
ある程度の英語の知識があるので英語を話すことに重点を置きますが、新しい単語や文法知識のインプットも必要です。
英語を話すことに慣れるために音読から始めましょう。音読する英文は簡単な内容から徐々に難易度を上げていきます。発音などがわからない場合は、Google翻訳を活用しましょう。
慣れないうちはスラッシュリーディングにするといいかもしれません。スラッシュリーディングとは、英文を意味のかたまりごとにスラッシュ「/」で区切って読む方法のこと。音読する際には内容をいちいち日本語で考えずに、英語のままイメージするようにします。どちらにしても、声に出して英文を読むことに慣れるまで練習しましょう。
2週目:とにかく英文にして発話する
1週目に英文を音読したので、英語を発話することに慣れたはず。2週目は英語を話す機会を増やしましょう。
まず自分がどのような場面で英語を話したいのかを想定して、思ったことや感じたことを発話します。1人で2役演じて会話形式にしてもいいかもしれません。発話している中で表現や単語がわからないときには、その都度調べましょう。
1日の終わりには、「今日の出来事」を10文以上英語で発話します。何を思ったかなどの感想でも構いません。可能であれば録音して自分の発話をチェックして、スムーズに話せていない部分を見つけましょう。スムーズに話せなかったことは、次の日に言い直してみるといいかもしれません。
とにかく概念化したことを英文にして発話できるように何度も行います。電車に乗っているときでもテレビを見ているときでも、英語で勝手にコメントしてみてください。
3週目:質疑応答
英語でなるべくたくさん質問を考えて英語で答えますが、その際に質問内容に関することを1~2文程度加えます。質問内容は何でも構いませんが、興味・関心があることにした方が楽しみながら学習できるでしょう。もちろん慣れるまでは質問を書き出しても構いませんが、なるべく文字に頼らないようにすることを心がけてください。
4週目:英語モード
4週目はやはり頭の中を英語モードにします。すでに1日の多くの時間を英語学習に費やしているので、1日中頭の中を英語モードにするのはそれほど苦ではないはず。
また、不足していると感じることがあれば復習します。余裕があれば、シャドーイングなどを取り入れて発音や音の変化などを練習しましょう。
発話しても相手に伝わらない場合
最後に、発話しても相手に伝わらない場合を見ていきます。必要なのは発音の練習です。
1週目:母音・子音の音の練習
1週目は発音の基本となる母音と子音を徹底的に練習します。1音で練習した後は、それぞれの音が入った単語で練習。アプリなどを活用すると効率的に学べるでしょう。
2週目:音の変化の知識構築
2週目は音の変化の知識を構築します。連結・同化・脱落・フラップのT・弱形は必ずチェックし、自分で発音しながら音の変化を耳で記憶しましょう。
3週目:ネイティブの発話の真似
音の変化が理解できた後はオーバーラッピングやリピーティングなどをしながら、ネイティブの音の変化を真似しましょう。使用する音声は簡単な内容から徐々に難易度を上げていきます。
何度も繰り返すことで音を脳内に記憶させることができるので回数を重ねることは大切ですが、きちんと真似できていなければ意味がないので、自分のオーバーラッピングやリピーティングを録音して自己チェックしましょう。音の変化の最終チェックはオンラインレッスンでの発話です。
4週目:生教材で真似
生教材とは実際にネイティブが話しているポッドキャストやTEDなどの動画や音声のこと。それらを活用して、発音を1文ずつ真似しましょう。内容が理解できたら、それについて自分の意見を英語で発話してみるのもいいかもしれませんね。
英語は話している人の国籍によりかなり異なるので、アメリカ英語を身につけたい人はなるべくアメリカ人が話しているコンテンツを活用した方がいいでしょう。もちろん、イギリス英語の場合も同様です。
短期間で英語が話せるようになりたいなら
1ヶ月で英語が話せるようになるためにはかなり集中的に学習しなければなりませんが、最初に「英語が話せない理由」をしっかり見極めて、理由に合った学習をすることが重要です。
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