「モスクワ」や「ローマ」は通じない!?日本語と違う英語の都市名まとめ

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日本語では多くの場合、海外の都市名を国名と同様にカタカナで表記します。カタカナが使われているので、そのまま英語風に発音すれば通じると考える人もいますが、実際には発音がまったく異なる場合があります。ですから英語での会話では、「モスクワ」や「ローマ」などの都市名がカタカナのままでは通じません。

英語での正しい都市名の発音を知らないと、空港職員や外国人と会話をしているときに「ん?」「あれ?」となってしまうかもしれません。そこで今回は、世界の都市名とカタカナ表記の違いをまとめます。

日本語と違う英語の首都名

まず、世界の主要な首都名から見ていきましょう。全体的な特徴は、カタカナと異なる発音の首都名がヨーロッパに多くあるということです。また、オセアニア地域では多くの首都名がカタカナに近い発音だということも特徴の一つでしょう。

カタカナ読みに近いオセアニア地域の英語の首都名

<オセアニアの主要な国名:首都名>

オーストラリア(Australia):Canberra(キャンベラ)

ニュージーランド(New Zealand):Wellington(ウェリントン)

バヌアツ(Vanuatu):Port Vila(ポートビラ)

フィジー(Fiji):Suva(スヴァまたはスバ)

オセアニア地域には数万年前から人が住んでおり、それぞれの島に現地の民族が暮らし、それぞれの言語を有していました。けれども大航海時代の16世紀初頭にヨーロッパとの接触があり、英語やフランス語などの影響を受けたため、カタカナに近い都市名になったと考えられます。オーストラリアやニュージーランドはもちろんですが、フィジーやトンガ、バヌアツ、ミクロネシアなどの島国でも英語が公用語です。

ここからは地域に分けて、カタカナと英語の都市名の違いを見ていきます。シラブル数(音節)とストレス(強く発音する箇所)の位置も発音するうえで重要となるので注意しましょう。

ここでは各単語をシラブル別に「・」で分けて示します。例えば「Canberra」なら「Can・ber・ra」となり、大文字がストレス、つまり強く発音する箇所という意味です。大文字表記がない場合は、強く発音する箇所がないということ。また、発音もカタカナで示しますので、参考にしてみてください。

なお、発音記号は『Longman Dictionary of Contemporary English』を参照。同辞書に記載がないものは、『英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書』を参照しています。

※発音記号の「ˌ」は「第二アクセント」です。第二アクセントは第一アクセントのように上部「’」につくこともありますが、第一アクセントと第二アクセントが近い場合は、紛らわしさを防ぐために下部につけます。

参照:Longman Dictionary of Contemporary English英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書

カタカナ読みと違うヨーロッパの英語の首都名

すでに述べたように、ヨーロッパにはカタカナとは異なる英語の都市名が多く存在します。カタカナだから英語でも通じるだろうと思っていると、コミュニケーションがスムーズに進まなくなってしまうかもしれないので注意しましょう。

アテネ(ギリシャ)

アテネ : Athens : /ˈæθənz/ : Ath・ens : アスンズ

ギリシャ語では「Αθήνα」と表記し、「アシィナァ」のように発音します。

ウィーン(オーストリア)

ウィーン : Vienna : /viˈenə/ : vi・En・na : ヴィエナ

ドイツ語では「Wien」で「ヴィーン」のように発音するので、日本語の「ウィーン」はドイツ語に由来していそうですね。

プラハ(チェコ)

プラハ : Prague : /prɑːɡ/ : prague : プラァーグ

チェコ語では「Praha」となり、カタカナとほぼ同じで「プラハ」のように発音します。

アムステルダム(オランダ)

アムステルダム : Amsterdam : /ˈæmstədæm/ : Am・ster・dam : アムスタダム

カタカナに近い発音ですが、アクセントの位置が異なるので注意。また、かなりスピーディーに発音します。オランダ語ではカタカナの「アムステルダム」のような発音ですが、「ダ」にアクセントが置かれるようです。

パリ(フランス)

パリ : Paris : /ˈpærɪs/ : Par・is : パリィs

「パリス」のように「ス」とはっきり発音せずに、S音を残すような感じで発音。ちなみに、フランス語の発音は語尾のS音がなく、カタカナのように「パリィ」のような発音です。

ベルン(スイス)

ベルン : BernまたはBerne : / bˈɚːn, béɚn/[米], /bˈəːn, bɜ:n/[英]:bErnまたはbErne: バーン

スイスの憲法では首都が定められていませんが、事実上の首都として機能しているので、こちらに含めました。表記が2つあるのは、ドイツ語(Bern)とフランス語(Berne:ベルヌ)の違い。日本語の「スイス」がフランス語由来なので、「ベルン」もフランス語由来かもしれません。

ベルリン(ドイツ)

ベルリン : Berlin : /ˌbɜːˈlɪn/ : ber・Lin : バァーリン

Berlinの語源は「熊」だという説があるそうで、ベルリン州の印章や旗には熊が使われています。

ローマ(イタリア)

ローマ : Rome : /rəʊm/ : rome : ロゥム

語尾の「ム」ははっきり発音せず、ムを発音するように口を閉じます。辞書によってはRomeのoの部分にストレスが置かれているので、「rオゥm」のようなイメージで発音するといいかもしれません。ちなみに、イタリア語では「ロォマ」のようにカタカナに近い発音です。

コペンハーゲン(デンマーク)

コペンハーゲン : Copenhagen : /ˌkəʊpənˈheɪɡən/ : co・pen・Ha・gen : コペンヘィゲン

カタカナに近い発音ですが、「コペン」は下降し、「ヘィゲン」の「ヘ」を強く発音します。

ベオグラード(セルビア)

ベオグラード : Belgrade : /belˈɡreɪd/ : bel・Grade : ベルグレィd

語尾はD音を残す程度に発音。ハンガリー語の「Belgrád」がカタカナに近い発音で、セルビア語では「ベォグラッd」のように発音します。

ワルシャワ(ポーランド)

ワルシャワ : Warsaw : /wˈɔɚsɔː/[米], /wˈɔːsɔː/[英]: wAr・saw : ワルサー

語尾の「サー」は「サ」と「ソ」の間のような音。ポーランド語では「Warszawa」と表記し、「ヴァルシャヴァ」のように発音します。

ブリュッセル(ベルギー)

ブリュッセル : Brussels : /brˈʌslz/[米], /ˈbrʌsəlz/[英]: bRus・sels[米], Brus・sels[英]: ブラッセゥz

カタカナには語尾のsが含まれませんが、英語では語尾にZ音を残すような感じで発音します。

モスクワ(ロシア)

モスクワ : Moscow : /mάskoʊ/[米], /mˈɔskəʊ/[英]: mOs・cow : モスコォゥ[米], モスカァゥ[英]

ロシア語では「Москва」と表記し、カタカナに近い発音です。

カタカナ読みと違うアジアの英語の首都名

次いで、アジアの国々の首都名を見ていきましょう。ヨーロッパほど多くありませんが、日本語のカタカナとは微妙な違いがあるので注意が必要です。

北京(中国)

北京 (ペキン): Beijing : /beɪˈdʒɪŋ/ : bei・Jing : ベイジン

北京は英語でBeijingですが、英語圏でも以前は「Peking(ピーキン)」が使われていたそう。まぎわらしいのですが、「北京ダック」や「北京大学」はBeijingを使わず、「Peking duck」や「Peking University」のようにPekingが使われています。日本語の「ペキン」は、中国南部の唐音に由来するそう。

ソウル(韓国)

ソウル : Seoul : /səʊl/ : seoul : ソゥー

英語では語尾の「ル」は発音されないので注意しましょう。「ソウル(서울)」は朝鮮語で「首都」という意味であるため、釜山(プサン)のような漢字表記がないそうです。

クアラルンプール(マレーシア)

クアラルンプール : Kuala Lumpur : /kwάːləlˈʊmpʊɚ/[米], /kwάːləlʊmˈpʊər/[英]: kuA・la Lum・pur[米], kuA・la lum・Pur[英]: クアラルンプゥー[米], クアラルンプゥーァ[英]

米国と英国ではストレスの位置と発音が違います。どちらにしても、ソウルと同じように語尾の「ル」ははっきりと発音しません。

上記以外にも、タイの首都バンコク(Bangkok)が「バンコッk(「ク」ではなくK音を残す程度)」、ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)が「カトマンデュー」のようにわずかにカタカナとは異なる発音の首都もありますが、許容の範囲でしょう。

カタカナ読みと違う北・中・南米の首都名

北・中・南米から3つの首都をピックアップしました。

オタワ(カナダ)

オタワ : Ottawa : /άəwὰː/[米], /ˈɔtəwə/[英]: Ot・ta・wa : アダワァ[米], オダワァ[英]

ポイントは母音に挟まれたTの音。これは「Flap T」と呼ばれ、T音がD音あるいはR音のように変化します。ですからOttawaの場合は、「タ」ではなく「ダ」のように発音されます。また、語頭の音も米国と英国ではわずかに異なるので覚えておきましょう。

ブエノスアイレス(アルゼンチン)

ブエノスアイレス : Buenos Aires : /ˌbweɪnəs ˈaɪəriz/[米], /ˌbweɪnɒs ˈaɪəriz/[英]: bue・nos Ai・res : ブエノスエリィーz

語尾はZ音を残す程度。アクセントを「エ」に置くと、カタカナとは違った印象になりますね。

サンサルバドル(エルサルバドル)

サンサルバドル : San Salvador : /sænsˈælvəd`ɔɚ/[米], /ˈsænˈsælvʌˌdɔ:r/[英]: san sAl・va・dor[米], San Sal・va・dor[英]: サンサゥヴァドーゥ

カタカナとは微妙に発音が異なります。

カタカナ読みと違う中東の首都名

中東からも3つの首都をピックアップしました。カタカナとの違いをチェックしてみましょう。

カブール(アフガニスタン)

カブール : Kabul : /ˈkɑːbʊl/ : Ka・bul/ : カァブゥ

ストレスが語頭に置かれるので、カタカナとは印象が異なります。

サヌア(イエメン)

サヌア : SanaaまたはSana’a : /sʌˈnɑ/ : sA・naa : サァナ

日本ではあまり知られた都市ではありませんが、世界最古の町の一つなので、覚えておくと役に立つかもしれません。

テヘラン(イラン)

テヘラン : Tehran : /teˈrɑn/[米], /ˌteəˈrɑːn/[英]: teh・Ran : テラン

「ヘ」は発音されないので要注意。

カタカナ読みと違うアフリカの首都名

アフリカにはあまり馴染みがないという人もいるかもしれませんが、アフリカから2つの首都を選びました。この機会に覚えてみてはどうでしょう。

ハルツーム(スーダン)

ハルツーム : Khartoum : /kɑɚtúːm/[米], /kɑːtúːm/[英]: khar・tOUm : カァテュゥm

英語では語頭のK音が発音されるので、カタカナとはかなり違います。語尾はM音を残す程度。

ダカール(セネガル)

ダカール : Dakar : /dˈækɚ/[米], /dɑ:ˈkɑ:r/[英]: Da・kar[米], da・Kar[英]: ダカァー

米国と英国ではストレスの位置が違います。どちらにしても語尾の「ル」は発音しません。

日本語と違うその他の英語の都市名

ここまでは首都名を見てきましたが、首都以外の都市も簡単に見ていきます。

カタカナ読みと違うヨーロッパの英語の都市名

ヨーロッパには英語以外の言語が存在するため、英語とは違う発音の都市がたくさんあります。よく知られた都市を国別に見ていきましょう。

スイスの都市

ジュネーブ : Geneva : /dʒəˈniːvə/ : ge・Ne・va : ジュニィヴァ

チューリッヒ : Zurich : /zˈʊ(ə)rɪk/[米], /ˈzɜː(ɹ).ɪk/[英]: Zu・rich : ズーリッk

Zurichの語尾は「ク」ではなく、K音を残す程度に発音します。

フランスの都市

ベルサイユ : Versailles : /vɚːsάɪ/[米], /veəsάɪ/[英]: ver・sAilles : ベルサイ

マルセイユ : Marseille : /mɑːɹˈseɪ/[米], /mɑːˈseɪ/[英]: mar・Seille : マァセイ

リヨン : Lyon : /ˈlaɪʌn/ : Lyon : ラィオン

カンヌ : Cannes : /kˈæn/ : cAnnes : カァーン

Cannesは「カァーン」と「キャーン」の中間のような音。

ドイツの都市

バイエルン : Bavaria : /bəˈveəriə/ : ba・Var・i・a : バヴェリァ

ケルン : Cologne : /kəlóʊn/[米], /kəlˈəʊn/[英]: co・lOgne : コロォーン

ミュンヘン : Munich : /ˈmjuːnɪk/ : Mu・nich : ミューニッk

Munichの語尾はK音を残す程度に発音しましょう。

イタリアの都市

ナポリ : Naples : /ˈneɪpəlz/ : Na・ples : ネィポーゥz

トリノ : Turin : /ˈtjʊrɪn/[米], /tjɜː(ɹ)ˈɪn/[英]: Tu・rin[米], tu・Rin[英] : テューリン

ベネツィア : Venice : /ˈvenɪs/ : Ven・ice : ヴェニス

フィレンツェ : Florence : /flˈɔːrəns/[米], /ˈflɔ:rʌns/[英]: flOr・ence[米], Flor・ence[英]: フロゥレンs

ミラノ : Milan : /mɪˈlæn/ : mi・Lan : ミラーン

日本語のカタカナ表示は、ほとんどがイタリア語の発音にそったものです。Naplesは語尾にZ音、FlorenceはS音を残しましょう。

その他のヨーロッパの都市

【オランダ】 ハーグ : Hague : /heɪɡ/: hague : ヘィg

【ロシア】 サンクトペテルブルグ : St Petersburg : /seɪnt ˈpiːtərzbɜːrɡ/[米], /sənt ˈpiːtəzbɜːɡ/[英]: st. Pe・ters・burg : セインtピィータァzバァーg

【ウクライナ】 チェルノブイリ : Chernobyl : /tʃɚnóʊbl/[米], /tʃəːnˈəʊ‐/[英]: cher・nO・byl : チェゥノボゥ

Hague の語尾はG音を残す程度にし、St Petersburgは「セインtピィータァzバァーg」のようなイメージで発音しましょう。

カタカナ読みと違うその他の英語の首都名

最後に、カタカナにとても似ている発音の都市と、まったく異なる都市を厳選しました。ストレスとシラブルに注意しながら発音してみてください。

【米国】 ロサンゼルス : Los Angeles : /lɔːsˈændʒələs/[米], /lɔsˈændʒəlìːz/[英]: los An・ge・les : ロサァンジェゥs

【オーストラリア】 シドニー : Sydney : /ˈsɪdni/ : Syd・ney : シッdニィ

【南アフリカ】 ヨハネスブルグ : Johannesburg : /ˌdʒoˈhænɪsbɝg/[米], /ˌdʒəʊˈhænɪsbɜ:g/[英]: jo・Han・nes・burg : ジョゥヘネスバァーg

【イスラエル】 エルサレム : Jerusalem : /dʒəˈruːsələm/ : je・Ru・sa・lem : ジョルーザラm

Los Angelesは語尾を曖昧にしてS音をわずかに残し、Sydneyは「ド」をはっきり発音せずに2音で「シッd・ニィ」のように発音します。また、Johannesburgはカタカナとはまったく異なる発音なので注意しましょう。語尾は口を閉じてM音をわずかに残します。

日本語と違う英語の都市名を使ってみたいなら

自分が行きたい都市や興味のある都市は英語で正しく発音したいですよね。カタカナの発音で通じる英語の都市もありますが、カタカナではなく「発音記号」または「音」で覚えることをおすすめします。

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