イギリス人を中心としたヨーロッパ人の入植が進んで建国されたオーストラリアの英語は、その歴史からもわかるようにイギリス英語がベースです。そのためオーストラリア英語とイギリス英語は似ていると言われますが、興味深いことに発音やスペリングなどに違いが見られます。
今回は独特なスタイルで発展するオーストラリア英語とイギリス英語の違いや似ている点を徹底的に解説します!
オーストラリア英語とイギリス英語の共通点
一口に「イギリス英語」と言っても、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドという4つの国で構成される連合王国の言語ですから、イギリス英語は歴史的な背景や地域差異によって発音に多様性があります。また、アクセントや方言が大きく異なるのも大きな特徴です。
一方、オーストラリア英語はイギリス英語をベースとするものの、先住民族であるアボリジニが使っていた単語が使われたり、豊富なスラングや略語が作られたりして、他の英語とは異なる独特な特徴があります。イギリス英語との共通点や違いから、オーストラリア英語の独自性も見えてくるでしょう。
まず、オーストラリア英語とイギリス英語の似ている点から解説します。両者の共通点は、アメリカ英語との違いとも言えます。
発音の共通点
オーストラリア英語とイギリス英語の発音の共通点から見ていきましょう。
Rの発音
イギリス英語と同様にオーストラリア英語もRの発音が消える「非R発音(non-rhotic)」で、rhotic(R発音)のアメリカ英語と大きく異なります。
car:/kɑː/:Rは発音されず、「カー」のように発音
river:/rívə/:Rは発音されず、「リヴァー」のように発音
hard:/hɑːd/:Rは発音されず、「ハード」のように発音
Caの発音
オーストラリア英語とイギリス英語では、Caの発音が日本語の「カ」のような音です。一方、アメリカ英語では「キャ」のような音ですね。
cat:
アメリカ英語:/kæt/:キャット
オーストラリア英語・イギリス英語:/kæt/:カァット
can’t:
アメリカ英語:/kˈæːnt/:キャント
オーストラリア英語・イギリス英語:/kάːnt/:カァーント
※ただし、canはオーストラリア・イギリスでも「キャン」と発音されます。
castle:
アメリカ英語:/ˈkæsl̩/:キャスゥ
オーストラリア英語・イギリス英語:/ˈkɑːsl̩/:カァースゥ
Tの発音
オーストラリア英語とイギリス英語ではT音をはっきり発音しますが、アメリカ英語ではT音をD音またはR音のように発音。これは「フラップT」と呼ばれ、Tが母音と母音の間、Rと母音の間、RとLの間などで起こりますが、厳格な音変化の条件はありません。
water:
アメリカ英語:/wˈɔːṭɚ/:ウァーラァー
オーストラリア英語・イギリス英語:/wˈɔːtə/:ウォーター
better:
アメリカ英語:/béṭɚ/:ベダー
オーストラリア英語・イギリス英語:/bétə/:ベター
Aの発音
Aの発音にも共通点があり、オーストラリア英語でもイギリス英語でもAを「アー」のように伸ばして発音する場合があります。すべてのAが該当するわけではありませんが、代表例を示しておきましょう。
data:
アメリカ英語:/ déɪṭə/:データ
オーストラリア英語・イギリス英語:/dˈæṭə/:ダーター
dance:
アメリカ英語:/dˈæns/:ダンス
オーストラリア英語・イギリス英語:/dάːns/:ダーンス
スペリングの共通点
次いで、オーストラリア英語とイギリス英語のスペリングの共通点を見ていきましょう。スペリングもアメリカ英語とは異なります。
オーストラリア英語とイギリス英語では、「-erを-re」「-orを-our」「-ize を-ise」「-yzeを-yse」「-enseを-ence」「-ogを-ogue」で表記します。
-er ⇒ -re:
アメリカ英語:center / theater / fiber
オーストラリア英語・イギリス英語:centre / theatre / fibre
-or ⇒ -our:
アメリカ英語:color / favorite / harbor
オーストラリア英語・イギリス英語:colour / favourite / harbour
-ize ⇒ -ise:
アメリカ英語:realize / organize / apologize
オーストラリア英語・イギリス英語:realise / organise / apologise
-yze ⇒ -yse:
アメリカ英語:analyze / paralyze / hydrolyze
オーストラリア英語・イギリス英語:analyse / paralyse / hydrolyse
-ense ⇒ -ence:
アメリカ英語:license / defense / offense
オーストラリア英語・イギリス英語:licence / defence / offence
-og ⇒ -ogue:
アメリカ英語:dialog / monolog
オーストラリア英語・イギリス英語:dialogue / monologue
また、母音の後にLが来る場合、過去形や現在進行形にするとLがもう一つ加わります。
travel:
アメリカ英語:traveled / traveling / traveler
オーストラリア英語・イギリス英語:travelled / travelling / traveller
cancel:
アメリカ英語:canceled / canceling / canceler
オーストラリア英語・イギリス英語:cancelled / cancelling / canceller
単語の共通点
オーストラリア英語とイギリス英語で共通して使われる単語も、アメリカ英語とは異なります。
日本語 | アメリカ英語 | オーストラリア英語 イギリス英語 |
---|---|---|
飴(あめ) | candy | lolly |
携帯電話 | cellphone | mobile phone |
ガソリンスタンド | gas station | petrol station |
エレベーター | elevator | lift |
セーター | sweater | jumper |
お札 | bill | note |
タクシー | cab | taxi |
秋 | fall | autumn |
フライドポテト | french fries | chips |
オーストラリア英語とイギリス英語の違い
オーストラリア英語とイギリス英語には、発音やスペリングなどで多くの共通点があります。共通点を踏まえると両者は似ているように感じるかもしれませんが、違いもいくつかあるので見ていきましょう。
借用語の有無の違い
オーストラリア英語とイギリス英語の最大の違いは、オーストラリア英語には原住民族である「アボリジニ」の言語に由来する言葉があること。よく知られているのは「カンガルー(kangaroo)」や「コアラ(koala)」でしょう。
その他にも、アボリジニの聖地とされるエアーズロック(Ayers Rock)も、オーストラリアではアボリジニにならって「ウルル(Uluru)」と呼びます。また、アボリジニが狩りや儀式などに使った「ブーメラン(boomerang)」も借用語の一つです。
さらに、多くの住所にアボリジニが使っていた名称が残っているため、英語表記してあっても読み方がわからないことが多々あります。
発音の違い
イギリス英語をベースとするオーストラリア英語ですが、発音にいくつかの違いがあります。
Aの発音
共通点としてAの発音を挙げましたが、Aを「エイ/ei/」のように発音する場合、オーストラリア英語では「アイ/ai/」のような発音になることがあります。これはオーストラリア英語の発音の特徴の一つです。
単語 | オーストラリア英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
today | トゥダイ | トゥデイ |
mate | マイト | メイト |
rain | ライン | レイン |
late | ライト | レイト |
taste | タイスト | テイスト |
reservation | リザヴァイション | リザヴェイション |
T音の欠落
オーストラリア英語では、語中のT音が欠落する場合があります。カタカナで発音を示しにくいのでアルファベットで表記しますね。
単語 | オーストラリア英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
bottle | 「bot・l」のような発音 | 「bo・tl」のような発音 |
bitter | 「bit・l」のような発音 | 「bit・er」のような発音 |
little | 「lit・l」のような発音 | 「lit・tl」のような発音 |
語末の発音
オーストラリア英語には「taking(ティキン)」「start(スターッ)」「look(ルッ)」のように、語末の「G」「T」「K」が発音されないという特徴があります。イギリス英語ではこれらの音は地域により発音が異なるので、厳密に言うと両者の違いではありませんが、オーストラリア英語の特徴として覚えておくとよいでしょう。
スペリングの違い
オーストラリア英語とイギリス英語はほとんど同じスペリングですが、いくつか例外があるので示しておきます。
日本語 | オーストラリア英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
アナログ | analog | analogue |
プログラム | program | program |
刑務所 | jail | gaol |
オーストラリアではanalogがスタンダードですが、「Macquarie Dictionary」によると、analogは形容詞、analogueは名詞と記されています。
単語や短縮語の違い
オーストラリア英語とイギリス英語では多くの単語が共通しているものの、違う単語を使う場合もあります。また、オーストラリア独特な短縮語もイギリス英語との違いと言えるでしょう。
単語の違い
オーストラリア英語とイギリス英語で使われる単語が違うケースを示します。
日本語 | オーストラリア英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
歩道 | footpath | pavement |
なす | eggplant | aubergine |
ピーマン | capsicum | green pepper |
トラック | truck | lorry |
海外 | overseas | abroad |
綿あめ | fairy floss | candyfloss |
どういたしまして | No worries | My pleasure |
オーストラリアでは仲間などで集まる場合、「Bring a plate」と言われることがあります。直訳すると「皿を持ってきて」となりますが、「シェアできる食べ物を持ってきて」という意味。オーストラリアに来たばかりのイギリス人は意味がわからなくて、本当に皿だけを持っていったという笑い話を聞いたことがあります。同じ英語を話しているのに、単語だけでなくフレーズも違うのは面白いですね。
オーストラリアの短縮語
日本語でも「パソコン」「コンビニ」「ケイタイ」など多くの短縮語がありますが、オーストラリアにも独特な短縮語が多く存在するので見ていきましょう。
単語 | 短縮語 |
---|---|
BBQ | barbie(バービー) |
university | uni(ユニ) |
kindergarten | kindy(キンディー) |
McDonald’s | Maccas(マッカーズ) |
breakfast | brekkie(ブレッキー) |
mosquito | mossie(モジー) |
sandwich | sanga(サンガ) |
sunglasses | sunnies(サニーズ) |
service station | servo(サーヴォ) |
chocolate | choccy(チョッキー) |
biscuit | biccy(ビッキー) |
afternoon | arvo(アーヴォ) |
イントネーションの違い
英語を話すとき「まだ私の話は続く」と知らせるために文末を上昇させ、文末を下降させることで「私の話は終わりだ」と知らせます。けれどもオーストラリア英語では、疑問文はもちろん、肯定文でも常に文末が上昇する傾向があります。
これは「Australian Question Intonation」と呼ばれ、イギリス英語と大きく異なる点です。オーストラリア英語特有のイントネーションで、肯定文でも疑問文のように文末が上昇することを指します。
以下の文はイギリス英語では文末を下降調で発話しますが、オーストラリア英語では上昇調になります。
You’re coming to the party, aren’t you? [↗](パーティーに来るんですよね?)
I went to the store[↗], and I bought some groceries. [↗] (私は店に行き、食料品を買った)
Yesterday I cleaned the house[↗], cooked dinner[↗], and set the table. [↗] (昨日は家の掃除をして、夕食を作り、テーブルの準備をした)
階級によるアクセント・方言の有無の違い
オーストラリアは広大な国土のため地域よる言語の差異は多少ありますが、方言はほとんどありません。一方、イギリスには地域あるいは社会的な階級によるアクセントや方言の違いがあります。
イギリスには法律上の階級制度はありませんが、現在でもかつての階級制度の名残がアクセントにあり、ときおり差別につながると言われています。
特に、ロンドンの労働者階級地域で話されるコックニー(Cockney)アクセントは映画やテレビのキャラクターなどでしばしば描かれ、イギリス文化の一部として広く認識されています。イングランドの元サッカー選手であるデイビッド・ベッカムがコックニーアクセントであったことは有名で、多くの指摘がありアクセントを矯正したそう。つまり、矯正するくらい、階級によるアクセントの違いが根深く残っているということでしょう。
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