英語学習の目的やゴールは人それぞれですが、多くの人が同じような壁を何度も乗り越えなければなりません。そのひとつが、初級から中級への大きな壁です。
英語を習得するには長時間の継続的な学習が必要ですが、特に初級から中級へレベルアップする段階で挫折してしまう人が多いようです。筆者もまったく英語が話せないゼロからのスタートだったので、初級から脱却する難しさは痛いほどわかります。
この記事では、英語の初級者と中級者の違いを解説するともに、初級者から脱却して中級者の仲間入りをするために必要な勉強法を探っていきます。
初級者と中級者の英語レベルの違い
英語のレベルは、「初級者」「中級者」「上級者」のように分けられるのが一般的ですが、それぞれのレベルの違いを知っていますか?
ここでは初級から脱却するために必要なことをより理解するために、初級と中級の違いを英語に関する資格試験等と、「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」を照らし合わせて見ていきます。自分が初級者から脱却できているのかを確認してみてくださいね。
ちなみに、英語で初級者はBeginner、中級者はIntermediateと言います。Beginnerは「何かを学び始めたばかりで、まだうまくできない人」のことで、Intermediateは「何かについて基本以上の知識はあるものの、完全には習得していない人」のことです。「上級者」はAdvancedで、「高度な知識やスキルを有して、ある分野で深い知識や理解がある人」を指します。
資格試験等による初級と中級の違い
日本では「TOEIC」や「英検」がよく知られた英語の試験ですが、ここでは文部科学省の「各資格・検定試験と CEFRとの対照表」でレベルの違いを確認しましょう。
上記の表の一番左がCEFRで、英語初級者はA1からA2のレベルで、英検なら3級から準2級程度。一方、中級者はB1からB2のレベルで、英検2級から準1級です。
つまり、初級から脱却して中級者になるためには、CEFRのB1へのレベルアップが必要ということ。A2とB1レベルでできることは以下の通りです。
A2:「ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。」
B1:「仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。」
初級と中級の具体的な違い
CEFRでは「具体的にできること」を示すことで英語力を6段階に分けていますが、上記のA2とB1レベルの違いは具体的にどんなことなのでしょうか?
個人的な見解になりますが、A1は「よく使われる表現が理解」できたり、「情報交換に応じる」ことができたりとコミュニケーションの主体は受け身で、応じることはできてもシンプルなことに限られるような印象です。一方、中級者の入口であるB1では、「理解した上で対処する」や「一貫性のあるやり取りがある程度できる」などが求められます。
したがって、初級者と中級者の具体的な違いは、相手の質問等に答えるだけでなく、相手の言ったことを理解して「会話のキャッチボール」ができるかどうかと言えるのではないでしょうか。
オンライン英会話などで、講師の質問に答えるだけ、あるいは質問して答えを聞くだけということはありませんか?今そのような状況の人は、相手の答えを聞いて話をふくらませるようになることが初級者から脱却する第一歩です。その壁を乗り越えることが、初級者から中級者へレベルアップする近道かもしれません。
初級から中級へのレベルアップが難しい理由
初級者から中級者になるためには、双方向のコミュニケーションが必要です。自分の言いたいことを文章にして発言し、相手の返答を理解した上でさらに発言できるようになるには時間がかかります。なぜなら、初級者のうちは英語を話したり聞いたりすることに慣れていないから。少し話せるようになって挫折してしまうのは、この壁を乗り越えるのに多くのエネルギーが必要だからでしょう。
ここでは、初級から中級へレベルアップするのが難しい理由を見ていきます。これは双方向のコミュニケーションが取れない理由と言ってもいいかもしれません。どの理由も直接的あるいは間接的につながりがありますが、自分が初級者から脱却できない理由を探ってみてくださいね。
英語学習ばかりで「会話の練習」が不足している
英語を使いこなせるようになるためには、「文法」「語彙」「発音」という3つの知識が必要です。英語学習を始めた当初は、これら3つの知識について学習します。簡単に言えば、知識をインプットするということ。
けれども初級から中級にレベルアップするには、インプットだけでは十分ではありません。初級から脱却するためには、インプットした知識を使ってアウトプットする必要があるのです。つまり、英語を聞いて英語を話すという「会話の練習」が必要だということ。
会話の練習をせずに学習(インプット)だけを続けていても、話せるようにはなりません。初級から脱却できないのは、「会話の練習」をしない、あるいは不足しているためでしょう。
ネイティブとの会話に慣れていない
初級から中級へのレベルアップが難しい理由として、ネイティブとの会話に慣れていないということも考えられます。相手の話したことが理解できても、どのように返答したらいいのかわからないという場合もあるでしょう。これは先述した練習不足だけでなく、知識も不足していることが考えられます。
また、ネイティブの発音に慣れていないために、何を話しているのか理解できないということもあるかもしれませんね。これは「発音」の知識が不足しているから聞き取れないと考えられます。さらに、ネイティブの発話が早すぎて、考えているうちにどんどん進んでしまって理解できないということもあるでしょう。これは聞いた英語を日本語に訳しているため追いつけなくなると考えられるので、日本語を介入させずに英語を理解していく練習が必要です。
アウトプットが不足している
先述した通り、中級者へレベルアップするためには「会話の練習」が必要です。つまり、インプットした知識をアウトプットすることです。
日本で暮らしているとアウトプットの機会が少ないかもしれませんが、独り言を言ったりオンライン英会話を利用したりして、アウトプットの機会を増やしてみましょう。アウトプットはネイティブの発音やスピードに慣れるためにも必要でしょう。
英語初級者から脱却するためには
初級者から脱却して中級者になるためには、「会話の練習」をしたり「アウトプットの不足」を解消したりしなければなりません。脱却するための方法をいくつか示しておきます。もちろん、アウトプットと並行してインプットも継続しましょう。
文章がパッと出てこないなら
相手の言っていることがなんとなく理解できてもスムーズに英語で返事ができない人は、文法・語彙・発音という英語の3つの知識を復習するとともに、英語で文を作る練習をしましょう。例えば、身の回りのことや自分の一日のスケジュールを英語で表現したり、通勤時に見かけた人のことを英語で説明したりします。書き出すだけでなく、実際に声に出すことが大切です。何を英語にするのかは人それぞれですが、生活に密着した事柄から始めるといいでしょう。
英語で文章を作るのに慣れてきたらシャドーイングをして、どれくらい英文についていけるか、どれくらい理解できるかなどを確認してみてください。シャドーイングとは、英語を聞きながら2~3テンポ遅れて真似しながら読み進めるトレーニングのこと。リスニングとスピーキングを同時にスキルアップできる学習法です。シャドーイングを取り入れる際には、自分の英語レベルに合った教材を使うようにしましょう。
また、オンライン英会話を活用するのもひとつの方法です。プロの講師が発音や文法の誤りなどを指摘してくれるので、効果的に初級者から脱却できます。
英語が早すぎて聞き取れないなら
英語が早すぎて聞き取れない人は、日本語を介入させない練習をしましょう。日本語を介入させれば、どんどん進む会話についていけないのは当然のこと。英語の語順で英語を英語のまま理解していくのは簡単なことではありませんが、練習すればできるようになります。
有効な方法は「スラッシュリーディング」です。スラッシュリーディングとは、一文ずつ完全に日本語に訳しながら読むのではなく、スラッシュ「/」でチャンク(意味のかたまり)ごとに分けて読み進めるトレーニングのこと。簡単に例を示しておきます。
Once upon a time, / there was an old man and an old woman. / The old man went to the mountain / to mow the lawn, / and the old woman went to the river/ to do laundry. /
昔々/ おじいさんとおばあさんがいました/ おじいさんは山へ行き / 芝刈りに /おばあさんは川へ行きました / 洗濯に/
スラッシュリーディングに慣れたら、シャドーイングやオンライン英会話なども取り入れましょう。
参考:「スラッシュリーディング」で読解&リスニングのスピードアップ!
ネイティブの発音が聞き取れないときの勉強法
ネイティブの発音が聞き取れない場合は、発音の復習をおすすめします。シラブル(音節)や強勢アクセント(強く発音する部分)、英語特有の音の変化などを実際に自分で発音して覚えていきます。
参考:英語の「シラブル」って知っている?発音が一気に上達する基本法則を理解しよう
文章がパッと出てこない人や英語が早すぎて聞き取れない人と同じように、シャドーイングが有効な練習法です。どうしても聞き取れない場合は音声のスピードを遅くして、慣れたら通常のスピードに戻すようにしましょう。
参考:英語の「シャドーイング」とは?効果・やり方・おすすめ教材をチェック!
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参考:濃すぎる25分!レアジョブでネイティブ講師のレッスンを受けてみました
英語中級者になったら次に目指すのは
英語の中級者になった後は、さらに困難な上級者へのレベルアップを目指しましょう。
ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
参考:英語中級者から上級者へレベルアップ!必要なフレーズ&学習法
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