英語が必修となった小学生をもつ親御さんにとって、少しでも英語学習をサポートできればと思う方は多いと思います。英語を学んでいく上で特に重要なのは、「英語嫌いにならない」ということ。そこで今回は、英語学習へのモチベーションを下げずに、英語学習のスタートを切るためのポイントをご紹介したいと思います。
小学生の英語学習はどう変わった?
2020年の学習指導要領の改訂によって、小学校の英語教育においていくつかの重要な変更がありました。大きな変更点は「小学校3年生から英語の必修化」、「小学校5年生から外国語として教科書を使った学習を行う」ことです。これにより、子どもたちがコミュニケーション能力を重視した英語教育を受けることを目的とした学習になりました。また、フォニックスを取り入れることで、発音やスペリングの指導も含めた総合的な学習が行われるようになりました。
小学校低・中学年のモチベーションを下げがちなNG英語学習
現代の小学生は幼稚園や小学校1年生のうちから外国人の先生と触れ合う機会があるなど、現代的な英語学習に触れているお子さんが多いように思います。しかしその親世代は読み書きからスタートするなど、子供世代の学習方法と英語の学び方に大きな違いがありますよね。親世代のやり方を押し付けることで子供が英語嫌いになることは避けたいものです。
そこでまずは、英語学習を始めたばかりの小学校低・中学年の子供のモチベーションを下げがちな英語学習NG集からご紹介したいと思います。
ABCDを書かせる
親世代では、ABCDを順番に覚えて書くということを英語学習のスタートとして学んだ方が多いと思います。このように「書く」という作業から始めるのは「お勉強」という印象をつけてしまいがちなので、避けたほうが無難でしょう。とにかく「楽しい」「面白い」という切り口から英語に触れ始めることが肝心です。
ABCのアルファベット読みを教え込む
親世代は、ABCを「エー・ビー・シー」とアルファベット読みで発音させられ、アルファベット順に頭から覚えてきました。しかし実際はこのアルファベットの読み方で英単語は発音されません。例えば「B」なら「ビー」ではなく、「ブッ」と発音する音ですし、「P」は「ピー」ではなく、「プッ」と発音する音なのです。このように「B=ブッ」「P=プッ」と発音する「フォニックス読み」は、英語学習の初期の段階で教えられることが重要で、小学生の英語学習でも取り入れる学校が増えているようです。せっかく学校で「B」を「ブッ」と習ってきたのに、家では「ビーだよ!」と教え込んでしまうと、お子さんの戸惑いの原因になってしまい、モチベーションの低下に繋がってしまうかもしれません。
また、学ぶ順番もABCDの順番ではなく、「子音→母音」の順番で学ぶなど様々ですので、お子さんがどんなふうに学んでいるのかを親御さんもしっかりと確認しておくことが必要です。
教科書を読ませる
英語学習において音読は非常に重要ですが、英語学習の入り口としては子供の興味を失わせるものかもしれません。「書いてあるものを読む」という行為は、母国語の習得においても順序は終盤です。それを英語で最初に行ってしまうと、難しく感じてしまい、モチベーションが下がってしまうでしょう。まずは「聞く」「話す」からスタートして、コミュニケーションの楽しさを感じさせてあげましょう。
鉛筆や机はいらない
「今日から英語の勉強をスタートするぞ!」と意気込んで机に座らせたり、紙と鉛筆と教科書を用意して英語を教えようとするのはやめましょう。「英語は勉強」ではなく、「英語は生活の一部で楽しいもの」と思ってもらうことがとても重要です。ソファに座ってリラックスした状態や、車に乗っている手持ち無沙汰な状態の時などに、いつのまにか英語が生活の中に入っていたというくらい自然なスタンスで英語を取り入れることが大切ですよ。
辞書は不要
子供向けの英語の絵本を買ってきて、「分からない単語は辞書を引いたらいいよ」と辞書の引き方を教える。こんな学習をしていませんか?子供にとって、辞書ほど難しく感じてしまう書物はありません。わからない単語がでてきたら親がサラッと口頭で教えてあげるか、googleでサクッと調べてあげるといいでしょう。「一つの単語を理解するのに辞書を引かなきゃわからないんだ」と思ってしまうと、英語自体がとても大変な勉強であると認識されてしまいます。辞書は語彙数が増えてくるようになれば引き方を教えることは大切ですが、初期の段階では不要です。
小学生1~4年生向けの英語学習の始め方
早い学校では遊びの感覚で小学校1年生から外国語の時間があったりと、小学校低学年で英語に触れる時間がある学校も多いようです。ではそんな小学校低・中学年である1~4年生のお子さん向けに、英語学習をどのようにサポートしてあげればいいのか、その方法を具体的にご紹介して行きましょう。
スクリーンタイムは英語アプリで使う
動画やゲームなど、スマホやパソコンを子供が触る機会は多くなりました。そのため、子供がスマホやパソコンに触れる時間、つまりスクリーンタイムを如何に減らせばいいのか、親御さんも苦労されていることと思います。
しかしもし、そのスクリーンタイムをコントロールできるのであれば、子供の最低限のスクリーンタイムはゲームではなく、英語のために使いたいところです。
というのも、普段スマホでゲームなどをしない子供にとっては、英語の学習アプリはとても魅力的なもので、子供のほうからやりたいと懇願して来るようになるからです。そうなると、遊んでいる感覚で英語を自然とマスターしていってくれるのでとてもおすすめです。
「トド英語」など、月2000円以下で英単語やフォニックスなどの英語の基礎を教えてくれる質のいいアプリがたくさんありますので、無料体験などを活用しながらアプリでの英語学習にトライしてみてくださいね。
音楽好きは車で英語の音楽を
歌が好きなお子さんなら、英語の子供向けの歌を車内やお風呂の中でかけてあげるといいでしょう。子供の耳は柔軟なので、意味はわからないながらも、非常にネイティブに近い発音で真似をし始めます。英語の発音に慣れ親しむのに音楽は最適ですよ。
歌を選ぶ際は、できるだけ子供向けの歌で、子供が真似しやすい速さの音楽がオススメ。YouTubeなどで「子供向けの英語の歌」はたくさんありますので、いくつか試しにかけてあげて、気に入ったものを何度もかけるといいでしょう。覚えるくらい何度もかけるのがポイントです。数曲の英語の音楽を覚えてしまえば、「英語のお歌が歌えるよ」と自信を持つことができ、英語への得意意識が生まれます。
簡単な挨拶は英語で
「Good Morning(おはよう)」「I’m hungry(おなかすいた)」「Great(すごい!)」など、日常でよく使う言葉を親が積極的に日常で取り入れて、お子さんに英語が日常会話の手段であることを見せてあげましょう。難しい文章ではなく、毎日の挨拶だけでもいいので、英語を取り入れてあげることで、英語が勉強ではなく、コミュニケーションの手段として認識されるようになります。
カルタを使って英単語を増やす
まだまだ親と遊んでほしい小学校低・中学年のお子さんには、英単語カルタを使って英単語を遊びながら増やしてあげるといいでしょう。30分あれば家族で1ゲームは楽しむことができますので、土日の空いた時間に一緒に遊んであげると親子のコミュニケーション時間にもなって一石二鳥です。
子供の暗記力はすばらしいので、小さいうちにたくさんの単語に触れさせてあげると、後々楽になります。カルタを使えば遊びの中で100語ほどはすぐに覚えられますので、図やイラストからの暗記が得意なお子さんには特におすすめです。
なお、英単語に関しては、最初は「飛行機=エアプレーン」と音だけがわかるだけでOKです。「Airplane」と綴りまで書かせる必要はないので安心してくださいね。
ごっこ遊びを英語で
「学校ごっこ」や「お店屋さんごっこ」など、低学年のお子さんはまだまだごっこ遊びが大好きです。そのごっこ遊びを英語でやってみるのもいいでしょう。例えば「アメリカンハンバーガーやさんごっこ」であれば、「ハンバーガー アンド ポテイト、プリーズ」「オーケー!」「ヒア ユー アー」「センキュー!」などといった簡単な英語表現だけでも、英語を使ってお店で買物ができるということがわかります。遊びの中で楽しく英語を学べる上に、「私は英語が使える!」という自信も感じてもらえるのでとてもおすすめです。
お気に入りのアニメ映画をみつける
アニメを英語で見るのはおすすめですが、実際には、全てのアニメを英語で見せても意味がわからず、「日本語でみたい」と言われてしまう可能性があります。しかし、お気に入りのアニメ映画であれば、既にストーリーを知っているので、英語でも見てくれる確率は非常に高まります。例えば、ディズニーの「アナと雪の女王」が大好きなお子さんであれば、テレビのかわりにその映画を英語でかけてあげておけば、ついつい見入ってしまい、自然と英語表現が耳に入ってくるでしょう。「同じ作品を何度も英語で見る」というのも、とても効果的な英語学習法ですので、とてもおすすめですよ。
小学校5~6年生向けの英語学習の取組み方
小学校でも5~6年生となると、教科書を取り入れた英語学習がスタートします。4年生までに英語に触れることに慣れ始めた子どもたちですが、5~6年では簡単な会話を聞き取ったり、単語を書くことが増え、実際にテストもあるため、親御さんの中でもシビアに点数を評価しがちです。しかしその中でもやはり「コミュニケーションの楽しさ」を忘れず、学習に取り組みたいところです。そんな小学校5~6年生の英語学習法を具体的にご紹介しましょう。
音楽は聞き続ける
思春期が始まるこの年代になると、子供向けの音楽ではなく、海外のアーティストに興味を持つお子さんも増えてきます。親が朝の時間や車内などで、積極的にかっこいい海外の音楽などをかけてあげて一緒に聞くことで、自然とリスニングを鍛えることができるでしょう。
親子でロールプレイ
学校で学んできた簡単な文章を使って、親子でロールプレイをしましょう。「何色が好きですか?」「それはどうしてですか?(Why?)」など、2−3回会話のやり取りができるといいでしょう。椅子や机に座って鉛筆を持ってやるのではなく、ゴロゴロしている時間やケーキと紅茶を食べながらなど、リラックスした状態でやると緊張感もなく、楽しめるため、継続しやすくなるでしょう。
交換日記を英語でする
文章を書くのが好きなお子さんなら、この方法も楽しめるでしょう。最初は1行でもいいので、「今日は野球をした」「今日はアイスクリームを食べた」などと書いてもらいます。親は「それはよかったね。お母さんもアイスクリームが食べたい」など、2−3文の簡単な英語で返してあげましょう。
海外ドラマを一緒に見る
海外に興味をもってもらうために、海外のドラマを一緒に楽しむ時間をつくるといいでしょう。恋愛ものや、サスペンス、海外アニメでもいいでしょう。お子さんが好きそうな分野のものを一緒に見て親も楽しみます。その際、英語音声で日本語字幕で見ることができれば、リスニングの強化に繋がります。
親がオンライン英会話をやる姿を見せる
身近な人が英語を話しているのを見ると、憧れと同時に、「英語は誰でも話せるものなんだ」という意識が育まれます。そうなると、「日本語と同じように、自分もいつか英語が話せる様になるはず」という気持ちになり、英語学習への「違和感」がなくなります。親がオンライン英会話をしている様子をあえて子供の見えるところでやることで、そんな良い効果もありますし、つい「お母さんたちは何を話しているのかな?」と聞き取ろうとすることでお子さんのリスニング力の向上にも繋がります。
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