外国人の社員を雇用する企業が増え、年齢・性別・宗教・文化などにとらわれず、多様な人々が共に快適に働ける環境が求められるようになりました。そこで、blind hiring(ブラインド採用)、relax dress code(服装規定を緩和する)など、職場のdiversity(ダイバーシティ)を英語で実現するための表現をご紹介します。これらを使い、多国籍のメンバーとの会議を英語で話し合ってみてください。
そもそも「ダイバーシティ」とは?
「ダイバーシティ」というカタカナ語が広まり、よく「多様性」と説明されていますが、そもそも英語ではどのような意味の単語なのでしょうか。まずは英語のdiversityという語の使い方を確認していきましょう。
diversityの意味を知っておこう
diversityは、「多様性」という意味で広く使われる語で、例えば次のように言うことができます。
It is important to protect the diversity of life.
(生命の多様性を守ることは大切です)
一方、ビジネスの世界では、年齢・性別・宗教・文化など多様なバックグラウンドを持つ人が集まった環境を指すのに使われます。
We should respect the diversity of people who are different in age, gender, religion, and culture.
(年齢、ジェンダー、宗教、文化が異なる人々の多様性を尊重すべきです)
diversityのバリエーション
diversityは名詞で、以下のようなバリエーションがあります。
diverse(多様な)*形容詞
New York is ethnically diverse.
(ニューヨークは民族的に多様です)
diversely(さまざまに異なって)*副詞
The team should be diversely composed.
(チームは多様性を持って構成されるべきです)
diversify(多様化する)*動詞
We have to diversify our business.
(ビジネスを多様化しなければなりません)
equity(エクイティ)とinclusion(インクルージョン)も覚えておこう
職場の環境作りでは、diversityと共に、equity(公平)、inclusion(包含、包括)という言葉もよく使われます。
equity(エクイティ、公平)
すべての人員が力を発揮できるよう、公平な土台を築くこと。「資本」を意味する「エクイティ」と区別するようにしてください。
inclusion(インクルージョン、包含)
include(含める)の名詞形。個々の能力や考え方によって差別することなく、すべての人を組織の方針に含めること。
diversity、equity、inclusionを3つ合わせた「DEI」を経営方針としている企業もあります。
We propose DEI, which stands for Diversity, Equity and Inclusion.
(DEIを提案します。ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの頭文字を取ったものです)
ダイバーシティな職場を作るための7つのルール
職場をダイバーシティなものにするには、例えばどんなことを実践すればいいのでしょうか。次のような言葉を知っておくと、英語で提案できるようになります。
1) blind hiring(ブラインド採用)を行う
We should consider blind hiring.
(ブラインド採用を考慮すべきです)
blindは通常「盲目の」、hiringは「採用」で、blind hiringとは名前や性別、年齢、学歴などを排除して、スキルや職歴だけで採用の判断をすること。そういった情報を含めないCV(履歴書)を、blind CVと呼んだりします。
2) relax the dress code(服装規定を緩和する)
Why don’t we relax the dress code?
(服装規定を緩和してはどうでしょう?)
relaxは通常「リラックスする」ですが、ルールなどを「緩和する」という意味で使えます。服装規定を緩和すると、religion(宗教)やethnicity(民族)によってさまざまに異なる服装の文化に対応できます。
3) belonging(帰属意識)を創る
Create a sense of belonging among employees.
(従業員の間に帰属意識=ビロンギングを創りましょう)
belongingsは「所持品」の意味でも使われますが、ビジネスのbelongingは、「一体感、帰属意識」のこと。自分らしさを発揮しつつ、心地よく職場にいられることを指します。
4) work patterns(勤務形態)を変える
A variety of work patterns will increase efficiency.
(さまざまな勤務形態が、効率を高めます)
telecommuting / working home(在宅勤務)やworking in the office(出社)など、さまざまなwork pattern(勤務形態)を採り入れることで、多様な環境にいる人のefficiency(効率)が高まります。
5) leave system(休暇制度)を見直す
We will review the leave system.
(休暇制度を見直します)
leaveは名詞で「休暇」という意味でも使われ、maternity leave(産休)、childcare leave(産休)のように言うことができます。宗教によって異なるお祝いの時期に対応するには、leave system(休暇制度)を見直す必要があるでしょう。
6) workforce communication platformを使う
How about using a workforce communication platform?
(従業員のコミュニケーションプラットフォームを使うのはどうでしょう?)
workforceは「労働力、従業員全体」を指す言葉。platform(プラットフォーム)は、例えば「共通の基盤」「意見を交換する場」という意味で使われます。在宅勤務の社員も増える中、platformとなるアプリを使えば、チャットなどで気軽に日常のやりとりすることができます。
7)mentor(メンター)を採用する
A mentor is assigned to each new employee.
(各新入社員にメンターが付きます)
職場におけるmentor(メンター)は上司ではなく言わば「先輩」で、経験の浅い人を指導したりアドバイスしたりする役割を担います。「メンターする、指導する」という動詞としても使われます。
英語の会議でダイバーシティを提案しよう
「職場の環境をダイバーシティなものにするには」といったテーマで英語で会議をする場合、例えば次のようにやりとりすることができます。
diversityについて理解する
A: First of all, we need to understand what “diversity” is.
(まず、diversityとは何かを理解する必要があります)
B: Let me explain. We should respect the diversity of people who are different in age, gender, religion, and culture.
(説明します。私たちは、年齢、ジェンダー、宗教、文化が異なる人々の多様性を尊重すべきです)
A: Sounds clear to me.
(わかりやすいですね)
休暇制度について提案する
A: What should we do to make our office diverse?
(職場を多様性のあるものにするには何をすべきでしょうか?)
B: For example, we will review the leave system. Each religious holiday should be considered.
(例えば、休暇制度を見直します。各宗教の祝日が考慮されるべきです)
A: OK. We can start from there.
(わかりました。そこから始めましょう)
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