単語の頭につき、その単語の意味を変える働きをする言葉が「接頭辞(prefix)」です。接頭辞はどの単語にも自由に使っていいわけではなく、特定の単語に決まった接頭辞が使われます。英語学習者にとっては、接頭辞の意味を知っておくことで知らない単語に出会っても意味を推測することが楽になるというメリットがあります。
今回は「超」を表す4つの接頭辞「super」「hyper」「ultra」「mega」について解説します。
接頭辞の役割
接頭辞とは、全く異なる単語を作ったり、同じ単語に別の意味を持たせることができます。これは文章や説明を簡略化できる、つまり接頭辞にはコミュニケーションを楽に素早く行えるという大切な役割を持っているということです。
接頭辞は、通常「基語(root word)」と呼ばれる基本となる単語の頭につけられることで、異なる意味の単語になります。接頭辞だけがついた単語も多いですが、中には接頭辞だけではなく接尾辞(suffix:単語末につける言葉)の両方がついたものもあります。
(接頭辞と接尾辞の両方がつく単語例)
unhappiness「不幸」(接頭辞un、接尾辞ness)
misunderstanding「誤解」 (接頭辞mis、接尾辞ing)
unbelievable「信じられない」 (接頭辞un、接尾辞able)
disrespectful「失礼な」 (接頭辞dis、接尾辞ful)
recreation「気晴らし」 (接頭辞re、接尾辞tion)
Illegally「違法に」 (接頭辞il、接尾辞ly)
「超」を表す4つの接頭辞
日本語でも「超◯◯」という言葉を日常的によく使いますが、英語では「super」「hyper」「ultra」「mega」の4つの接頭辞をつけることで同じように表すことができます。それぞれの意味合いの違いは使われ方によっても変わってきますが、次のような感覚で覚えておくといいでしょう。
・super:一定の基準を超えているもの、超越しているものを表します。
・hyper:superと同義ですが、程度がより高く、時には過剰すぎる場合を意味し、医学・科学用語によく使われます。
・mega:物理的なサイズが通常より大きいものを指します。100万という単位を表すこともあります。
・ultra:superより程度は高くても、hyperほど過剰ではない場合に使われることが多く、「非常に」「極端に」といった意味合いがあります。また、megaのように大きさが測れないという意味で、megaより大きなもの、偉大なものを指します。ultraやmegaは、キャラクターの能力を示すために戦闘ゲームでもよく使われている言葉です。
程度の大きさの順序については使われ方によっても変わってくるため一概には言えません。あえて順序をつけるのであれば、「mega<super<ultra<hyper」となりますが、これが絶対ではありません。単語によっては、superとhyperの両パターンがあり、日本語では「超◯◯」と訳されていて違いがわからないこともありますが、その場合はhyperの方が程度が高く、「やりすぎ」「過剰すぎ」というニュアンスを覚えておくといいでしょう。
例えば、感覚過敏な人を、supersensitive、hypersensitiveという2つの言葉で表せますが、supersensitiveは単に通常よりあることやものに対して神経過敏な状態です。一方、hypersensitiveは極度に過敏でちょっとしたことにも敏感な状態で、まさに「触らぬ神に祟りなし」を表します。また、病名の一部や治療が必要な程度の過敏症として使われることも多いです。
例:hypersensitive colon syndrome(過敏性大腸症候群)、hypersensitive skin(治療が必要なほどの過敏肌)、hypersensitive tooth(薬が必要なほどの過敏症の歯)
superがつく接頭辞
接頭辞がどんな単語に使われているのかを知ることで、意味合いがより理解しやすくなります。ここからは実際にどのようなSuperがあるかをご紹介します。
superficial(浅はか、表面的な)
superstar(大スター)
supervisor(監督者、指導教官)
supervise(監督する、管理する)
supercomputer(スパコン)
supermoon(スーパームーン)
supermarket(スーパーマーケット)
superhero(スーパーヒーロー)
supernova(超新星)
supersonic(超音波・超高速の)
supersize(特大サイズ)
supercharge(通常より多くの燃料を投下する、何かをよりパワフルにする)
superman(超人、スーパーマン)
You can supercharge your CV by gaining new skills.
新たなスキルを身につけることで、履歴書をさらに充実させることができる。
Many people are superficial in this city.
この街には表面的な人が多い。
Drinks and food in the US are often supersized.
アメリカの飲み物や食べ物は特大なことが多い。
A supernova was spotted a few days ago.
数日前に超新星が発見された。
We need at least five volunteers to supervise the children during the camp.
キャンプ中に子供たちを監督するボランティアが少なくとも5人必要だ。
hyperがつく接頭辞
hyperは同じ言葉でも否定的、あるいは肯定的な意味合いで使われることもあるので、文脈で判断しましょう。
hyperlink(ハイパーリンク)
hypertension(高血圧)
hypermarket(ハイパーマーケット:郊外にある家具から洋服、食べ物まであらゆるものが売っている超巨大スーパーのこと。ヨーロッパを中心に発展した小売形態の一つ )
hyperactive(活動過多の)
hyperpyrexia(異常高熱:41度あるいはそれ以上の高熱)
hyperbolic(双曲線の、誇張された)
hypercivilized(超文明的:非常に静かで、礼儀正しく、合理的な都市や人のこと)
hyperproduction(過剰生産)
hyperenergetic(過剰にエネルギーがある)
Hyperactive children often find it difficult to concentrate.
多動な子どもは集中するのが難しいことが多い。
Japan is known as a hypercivilized country.
日本は超文明国として知られている。
He is hyperenergetic – I can’t believe he’s in his sixtysomething! He looks like he’s in his twenties.
彼は元気すぎて、60代だとは信じられない!20代みたいだ。
Salescopies are often written in hyperbolic terms.
セールスコピーは誇張した言葉で書かれることが多い。
ultraがつく接頭辞
「過度の」「極度の」「超」として使う”ultra”はいくつ言えますか?
ultraviolet(UV)
ultraconvenient(超便利な)
ultradry(超乾燥している)
ultrafast(超高速の)
ultraslow(超ゆっくりの)
ultrasoft(超柔らかい、超ソフトな)
ultrasimple(超簡単な)
ultrasound(超音波)
ultra-careful(超用心深い)
Ready-made meals are ultraconvenient but they’re not as healthy as homemade ones.
出来合いの食べ物は超便利だけど、手作りほどヘルシーではない。
They played the ultraslow version of the song and everyone loved it.
彼らはその曲の超スロー・バージョンを演奏して、皆に大好評だった。
I’ve been so busy and didn’t have time to go shopping. I need an ultrasimple recipe for dinner tonight.
すごく忙しくて買い物に行く時間がなかったから、今夜の夕食に超簡単なレシピが必要なの。
My advice is to be ultra-careful about what you say and how you say to her.
僕のアドバイスとしては、彼女に何を言うか、どう言うかを普段より一層 気をつけることだね。
megaがつく接頭辞
「大きな、百万」を意味で使われ、単位などでよく見かけますが、他の使い方も見てみましょう。
megabyte(メガバイト、100万超バイト)
megapixel(メガピクセル、100万ピクセル)
megabit(メガビット、100万ビット)
megawatt(メガワット、100万ワット)
megaton(メガトン、100万トン)
megaphone(メガホン、拡声器)
megastore(超大型店、メガストア)
megacity(人口が1千万人以上の巨大都市)
megahit(メガヒット、大ヒット)
megalith(石器時代に宗教・社会的目的で建てられた巨石)
megabucks(大金)
Tokyo is the largest megacity in the world with four times more population than London.
東京はロンドンの4倍の人口を抱える世界最大の巨大都市である。
His goal is to be successful in his new business and earn megabucks.
彼の目標は、新しいビジネスで成功し、大金を稼ぐことだ。
Spirited Away was a megahit in Japan.
『千と千尋の神隠し』は日本で大ヒットした。
The company plans to open a megastore in the center of Osaka.
同社は大阪の中心部に超大型店をオープンする予定だ。
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接頭辞がついた単語を新たに覚える必要はありません。ベースとなっている単語の意味を知っていれば、文章で出てきたときや耳にしたときに意味がわかりますし、別の表現をしたいときにどの接頭辞をつければいいのかを感覚的に理解しておくと便利です。接頭辞を知っておくと、語彙力が簡単に数倍にアップしますので、基本の単語と合わせて学んでおくといいですね。
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