毎週200名もの参加者が集まり英語でディスカッションを繰り広げるVital Japan/Vital English。英語学習者の間ではすっかり有名なネットワークとなっています。参加してみたい、と思ったことがある人、参加したことがある人も多いはず。今回はVital JapanとVital Englishの設立経緯と活動にかける思いを代表の小田康之さんに伺いました。
ビジネス+政策で日本をRevitalizeする
Vital Japan誕生の経緯
Q:Vital Japanは、1万人を超す巨大なネットワークとして英語学習者の間で有名ですが、どのような思いで創設されたのですか?
Vital Japanを立ち上げたのは2002年のことです。私は1987年、高校生の頃にYFU(Youth For Understanding)という団体を通じて米国オハイオ州に留学しました。その当時、世界における日本の存在感はとても大きくなってきており、「Japan Bashing(日本たたき)」という言葉ができました。その後バブルがはじけ、経済大国としての日本の存在感は小さくなっていき、失われた10年、20年と続く中で、アジアで注目される国は日本から中国に変わりました。先ほどの「Japan Bashing」から「Japan Passing(日本軽視)」や「Japan Nothing(日本無視)」といった言葉も生まれてきました。
日本はこのまま埋没していくのか?三流国になっていくのか?それを食い止めるにはどうすればいいのか?と考えを巡らせた結果「日本のプレゼンスの大きさはやはり経済力が中心」「戦後の官主導による経済成長が行き詰まり、今後はミクロからつまり各企業が経済活性化の主体となる必要がある」という考えに至ったのです。そして、企業を活性化するためには、20代、30代といった若手が単なる「サラリーマン」としてではなくビジネスパーソンとして専門性を高め、プロフェッショナルとして活躍できるようにしなければならないと考えたのです。若手の能力を高めることにより、日本全体の再活性化の一役を担うことができるのではないか、ということです。このような考えから、専門性を高めるためにビジネス×政策をディスカッションする若手プロフェッショナルの会としてVital Japanを立ち上げたのです。
巨大な業種交流会として発展
Q:「英語」がテーマというわけではなくビジネスと政策をテーマとした会なのですね。
ビジネスと政策をディスカッションする場を作るにあたり、使用言語を日本語としてしまうと、日本人しか参加できなくなってしまう。その排他性を回避するために使用言語は英語としました。専門分野を英語で学び、ディスカッションしようということです。2002年11月に第1回を開催、以降毎月一回ゲストスピーカーを迎えて開催しており、2015年5月で133回を迎えました。英語学習が目的ではないので、テーマによっては使用言語を日本語とする場合もあります。例えば医療をテーマに設定する回は、ディスカッションを妨げないために日本語で開催しました。テーマはビジネスと政策に関するすべてとし、非常に多岐にわたります。毎回200名程度の会場が満員となり、異業種交流ネットワークとして約5,000人が参加しています。
英語で議論ができないとグローバルのステージに立てない
「英語で議論」はハードルが高い
Q:Vital Englishという会もありますがこちらはどのようなものですか?
Vital Japanの参加条件は英語でディスカッションに参加でき、さらにビジネスや公共政策の分野でなんらかの専門性を持っていることです。すると、Vital Japanに対して「英語にそこまで自信がない人が参加できる場、あるいは英語のコミュニケーション力を磨く場を作ってほしい」といった要望を多数いただくようになりました。私自身は、すべての日本人が英語でディスカッションできるようになるべきだ、とは考えていませんが、世界でプレゼンスを発揮するためには英語でディスカッションできなくては話にならないと思っています。
そこで、Vital Japanに参加したいが英語力に自信がなくて参加をためらっている人や、Vital Japanの参加者でも英語コミュニケーション力をさらに高めたい人を対象に週1回程度、主に土曜日に「Vital English」という会を2007年にスタートしたのです。こちらは日常会話レベルでのコミュニケーション編、より高度なビジネス英語編、時事英語編などの勉強会を開催し、英語コミュニケーション力、特に会話力向上を目的とした内容で行っています。
英語学習のモチベーションアップの場として機能
Q:Vital Englishにはどのような方が参加されていますか?
ほぼ毎週開催していますが、毎回200人の会場が満員となり、ネットワークとしては約1万人が参加しています。皆さんの参加の仕方はいろいろですが、初参加の方が平均2割程度います。この割合は会の運営にとってはちょうどよいと感じています。新しい方ばかりだと会の雰囲気が作りづらいですし、毎回同じ人ばかりだとマンネリ化してきます。毎週熱心に参加する人もいれば、たとえば月1回と決めてペースを保って参加する人もいます。英語学習のモチベーションアップの場として活用されている人が多いです。余談ですがここでの出会いで結婚した人もたくさんいます。
民族言語としての英語と世界共通語としての英語
ネイティブ信仰を捨てて世界で発信するための英語を
Q:小田さんご自身の英語学習について教えてください。
私自身、英語圏に滞在したのは高校生の時の1年間の留学と仕事での約2年のみです。帰国子女といった特別な環境で育ったわけではないので、英語学習にかけた努力や方法論の多さでは誰にも負けないかと思います。最初の学習のベースはNHKのラジオ講座です。
大学の専門がスペイン語だったこともあって、私は英語を他の言語と比較し相対化してとらえますが、英語にはイギリス人やアメリカ人などの言語つまり「民族言語」としての側面と、世界の人々が互いに使う「共通言語」としての側面があります。
私自身は米国に留学したこともあって「アメリカ語」としての英語を中心に学んだという認識がありますが、これから学ぶ人たちにはアメリカ人の民族言語としての英語、イギリス人の民族言語としての英語、という認識で英語を学ぶ必要は必ずしもなく、世界で通じる共通語としての英語を学べばいいと考えています。海外に出ればインド人や中国人やフィリピン人、各国の「英語」があります。ネイティブ信仰に陥らず、世界で通じる共通語として英語を学べばよいと思います。
小さな成功体験とモチベーション維持
Q:英語学習の秘訣は何だと思いますか。
私は様々な外国語を学んできましたが、外国語学習で一番大切だと感じていることはとにかく「声に出す」ことですね。日本の英語教育では英語を口に出すことが圧倒的に不足しています。音読、シャドウイングなどとにかく声に出すこと。音声のある素材を選び、聞いて、真似して、音読することを繰り返します。ただ、この「繰り返す」ということが難しい。外国語学習の最大のポイントは「繰り返し」なのですが、人間は飽きやすく単調な「繰り返し」はなかなか続きません。それを克服するためには、内容に興味の持てる素材を使うこと、そして目標を小分けにして小さな成功体験を積み重ねてゆくことです。私自身は学生時代に、米国大統領や大統領候補のスピーチを素材としてよく利用しました。大統領の英語は国民誰でも理解できるように英語は平易ながら、レトリックに富んでいて、さらに当時でも音声素材が手に入りやすかったからです。英語プレゼン力をつける上でもとても役立ちました。
そして、モチベーションを保つためには、仲間を作ることです。Vital Englishは英語を学べる場としてだけでなく、モチベーションアップの機会として使っていただいていると思います。英語学習の過程は単調で孤独を感じることも多いでしょう。英語を学習している仲間や先輩を見ることで「あの人が頑張っているから私も頑張ろう」「私もあんな風になりたい」といった感情を持つことは大きなエネルギーとなります。
Vital Englishを全国で開催してほしい、といった声もいただくのですが、私自身やネイティブの講師が参加するリアルイベントとして毎日、全国でといったご要望に応じ実施することは難しいのが現状です。Vital Englishへの参加の合間にオンライン英会話を使ってモチベーションアップ、英語力アップを図っているメンバーもたくさんいます。
グローバル人材に必要な教養―歴史と宗教の知識
英語が流暢に話せても
Q:グローバルに活躍するために必要なものは何だと思いますか。
一方、グローバルなフィールドで活躍し、日本人として発信するためには、英語力があればよいというわけではありません。むしろ必要なのは英語で「何を」発信できるかです。
さらに、グローバルに活躍する上での常識として、歴史や宗教の知識が挙げられます。Vital Englishでも特別編としてこれらを英語で語れるようにするセッションを開催することがあります。現代の世界の秩序を理解するためにキリスト教の知識は不可欠ですし、イスラム教を知らなければ中東で起こっていることが何なのか理解することは難しいと思います。
ミクロ視点からマクロに働きかける
Q:英語学習者へのメッセージをお願いします。
私自身は地域研究を専攻したこともあり、ある国のある事象から世界を見るといった視点でものを見ます。Vital Japanの設立も、日本全体が元気になるためには一企業、一個人がそれぞれプロフェッショナルとして活躍することが必要だと考えたことにさかのぼります。皆さんの英語学習の目的やきっかけはそれぞれ異なると思いますが、一人一人が英語学習によって新しい視点を得、それぞれの立場でミクロから働きかけていくことで日本全体がRevitalize(活性化)していくことを楽しみにしていますし、Vital JapanやVital Englishがそのきっかけの一つになればと思います。
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