前編に引き続き、ポーカー世界チャンピオンの木原直哉さんへのインタビューの模様をお伝えしていきます。
▼前編
「僕はポーカーテーブルで英語を覚えた」ポーカー世界王者、木原直哉さんに聞く英語への挑戦【前編】
前編では、苦手だった英語を克服するまでの道のりや、英語が話せるようになったきっかけについてお話して頂きましたが、後編では現在どのように英語を使っていて、それが勝負師の世界でどのように生かされているのかについてお話を伺いたいと思います。
(※ インタビュアーが大学後輩ということもあり、木原さんは終始フレンドリーな口ぶりですが、普段は非常にまじめで誠実な方です)
英語ができなかったら今の自分はなかった
− 単語の暗記は今も苦手なんですか?
苦手だね。26歳の時にconfidence(自信)って単語が分からなかったから(笑)confidenceって言われて「何それ」って聞いたからね。それで辞書引いて初めて「自信じゃん」って知ったよね。confidenceってごく一般的な単語なのに、それすら本当に知らなかったぐらい、単語力はなかったかな。
− 英語に関して何か特別に取り組んだことってありましたか?
ないね。とりあえず、とにかくしゃべること。でも僕が他の人と少し違うかもしれないのは、間違えるということを全く恥ずかしいと思ってなかったことかな。だってこっちは日本語が母国語で、頑張って彼らの言語で喋ってあげてるんだから、別に間違えたっていいじゃんみたいな。そういう厚かましさはあったかな。彼らは母国語が英語で英語しか喋れなくて、その英語で会話してあげてるわけでしょ。
だから、そのことで間違えて恥ずかしいと思う必要はなくて、彼らからしても僕が英語を間違えたからと言って、笑ったりとかバカにしたりっていうのは全くないんだよね。だから間違えることは全然恥ずかしいと思わないし、分からなかったら聞き直すし、それが恥ずかしい事とか悪い事だとは思ってないから。
− なるほど。いまではconfidenceもついたってことですね。木原さんはTwitterでは英語と日本語で呟やかれていますが、あれはどういう風に使い分けているんですか?
ポーカーの内容に関することは英語で呟くことにしてる。外国人のフォロワーが多いからね。正確にはわからないけど、5分の2くらいは外国人なんじゃないかな。個人的な意見とか日々の出来事とかは日本語で書くんだけど、「何位でフィニッシュした」とか「どういう風にゲームが進んでこういう結果になった」とか、そういうポーカーに関することは英語で書いてる。
・ポーカーの世界の”How are you?”は意味が違う?
− ポーカーならではの単語ってありますか? ポーカープレーヤーの間でよく使われているフレーズのような。
やっぱり”Good luck”はよく使うよね。あと”Hey, how are you?”とか。でも中学の時に”How are you?”と聞かれたら、”I’m fine thank you, and you?”と答えましょうって習うじゃん。でもポーカーしてて”How are you?(調子どう?)”って聞かれたら、体調が良い悪いじゃなくて、「いまチップいくら持ってるの?」とか、そっちの調子の意味を表すよね。
だからトーナメントの最中に”How are you?”って聞かれたら、「何点持ってるよ」とか「すごいツイてる」とか、逆に「もう負けちゃったよ」とかそういう風に答えるかな。
—「ツイてる」って英語で何って言うんですか?
“Running good”とかかな。「ツイてる」ってのが”Run good”で、”I’m running good” が正しいんだけど、基本的に”I’m”は省略するから、“Running good”はよく言うかな。もちろんツイてない場合は”Running bad”とも言うよね。
− 他にポーカープレーヤーとはどんなやり取りをするんですか?
具体的なポーカーの話とはよくするよね。例えば相手を讃える時は、“Congrats!”とか”Good job!”とかよく言うし、ゲームが終わった後だと、”Good game!”も言ったりする。
− ポーカーと英語をしゃべることって何か共通点とかあったりしますか?
うーん。自分にとって英語っていうのは、コミュニケーションするための単なるツールでしかなくて。別に英語じゃなくてもコミュニケーション取れるなら、英語じゃなくてもいいじゃんって思うし。ポーカーは、ポーカーっていうゲームが好きでやってて、英語はコミュニケーションをとるための道具としか思ってないかな。
− そのツールとしての英語が使えるようになってよかったなって思う事ってありますか?
それはいくらでもあるよ。もし僕がタイトルを取った時に、英語が話せてなかったら、プロ契約をもらえてないかもしれないし。2012年に、ポーカースターズっていうスポンサー企業が、日本でポーカー普及させたいからって言って、日本人のプロを探してたのね。で、そのタイミングで優勝したんだよね。そして、僕のインタビューを見て、英語でしゃべれることが分かって、担当者の方に声をかけられて、契約をしたんだよね。だからもし英語喋れなかったら、プロ契約はもらえてなかったかもしれない。日本人でポーカー強い人でも、英語をある程度喋れる人って少ないからさ。
・世界中の勝負師たちってどんなこと話すの?
− やっぱりプロになって知り合いとか増えました?
増えたね。海外のプロプレーヤーの友達もたくさんいるよ。やっぱり英語が喋れないと友達にはなれないからね。
− どういうやり取りをするんですか?
本当いろいろだよ。「どこのポーカールームが良い悪い」とか、「あいつには気をつけろ」とかね(笑)相手を見抜く力が当然ないとトッププロなんてなれないから。でも信用出来る人に対しては、カジノで「ちょっと100万円貸してよ」って言ったら「ああ、いいよいいよ」ってポケットから100万円出してきて渡したりとかもあるしね(笑)これは僕もポーカーを始める前は全くイメージ湧かなかったけど、そういう世界だからさ。
あとはゲーム終わった後に、「お前、あの時何持ってたんだよー」とか「いや、あの時実はこういうカード持っててね」とか、そういうのをけっこうリアルに正直に話したりするよ。面白い世界だと思うよ。
・おわりに
− では、これを読んでくれている人たちに、これだけは言っておきたいメッセージとかってありますか?
初めてラスベガスに行った時に、どうしても通じなかった単語があるのね。「マクドナルド」が通じなくて(笑)一生懸命それなりの英語で話したんだけど、誰も理解してなくて… それで困って「マック」って言ったら通じたんだよね。
マクドナルドを「マクド」みたいに変なところで区切ると通じなくなるのね。日本人の喋る英語ってそうなのかもしれないけど、日本語の「マ・ク・ド・ナ・ル・ド」みたいに音節6個で発音すると、通じないことが多いよね。でも英語は「マック」ていう風に母音でひとかたまりで発音するから、日本語みたいに発音すると全く違う言葉に聞こえちゃう。
そういう言葉のリズムは身体で覚えていったかな。だから切り方が重要で、マクドナルドを表したい時に「マクド」はダメだから。マックが正しいよ。だってマックなら通じるんだもん。そのことを関西の人に言いたい(笑)
− なるほど(笑)では最後に英語で好きなフレーズを教えてください。
シンプルに“Do my best.”かな。やることをやらないと結局はどうにもならないからね。
− そうですよね。やることをやっている人にしかチャンスはやってこないし、結果もついてきませんよね。本日はどうもありがとうございました!
[インタビュー・執筆・編集] RareJob English Lab編集部
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