「お菓子は人を笑顔にする」 世代と“国境”越えて愛されるスイーツを世界に持っていく「BAKE」印牧正貴さん

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チーズタルト、シュークリーム…外国人でも日本人でも、思わず足を止めてしまうスイーツを中心にした商品、店舗を展開するスタートアップ「BAKE」。2013年に設立し、着実に人気を集め、いまは国内9カ所にチーズタルトのお店を構えています。今回は、「なんとかなるだろう!」と思い切ってイギリスで働いた経験をもとに、現在はBAKEの海外進出を引っ張っている印牧(かねまき)正貴さんに海外とコミュニケーションをとりながら働いていく魅力、ポイントを聞いてみました。

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印牧正貴さん
BAKE海外事業部 部長

BAKEのどんなところに魅力を感じましたか? 

もともと僕は飲食の世界で働きたいと思っていたんです。子どものときに父親に作った料理を「美味しい」と言ってもらったことはいまでも覚えています。“食べる”って生きるに直結しますよね。いじめられたり、貧しかったり、日本にも世界にもいろんな恵まれない環境はあります。でも、生きていかないといけない。“食べる”は生きようとする意志ではないでしょうか。

「お菓子は人を笑顔にする」、面接のときに代表の長沼からそんな一言を言われてBAKEに入ろうって決めました。確かにお菓子を前にすると誰でも笑顔になりますよね。“食べる”を生きるだけではなく“楽しみ”にもする。お菓子は小さい子どもからお年寄りまで、世代も国も問わず笑顔にできます。みんなが笑顔になれる。それがお菓子、スイーツの魅力、そしてそれがBAKEの魅力なんです。

いま国内ではチーズタルトの「BAKE」が9店舗、シュークリームの「クロッカンシューザクザク」は3店舗あります。そのほか、キャラクターや写真を描いたオリジナルケーキが作れるオンラインサービス「PICTcake」も国内に向けて展開しています。そして、海外では「BAKE」が香港やタイ、韓国にそれぞれ一店舗ずつあります。僕ひとりで担当していた海外進出は、2016年から6名に増やして積極的にチームで取り組んでいるので、アメリカ、東南アジア、中国など、今後もどんどん出店していきます。

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印牧さんは以前、どんな仕事をされていたんですか?

最初はイギリスの水産加工会社で日本食を扱っていたのですが、最初は全然力を出せませんでした。言葉が通じないんです。一年留学して自信もついたのにビジネスでは全然役に立たない。でも、仕事をしているうち、問題は言葉ではないことに気付いたんです。

日本では「あの人、可愛いね」「これ美味しいね」と言っても通じます。中には「好みじゃないけど」と言う人がいても可愛いや美味しいは伝わっているんです。しかし、イギリスにはいろんな国から人が集まっている。「可愛いね」と言っても、「なんで可愛いと思うんだ?」「これがどうして美味しいんだ?」と質問されてしまう。「日本人は髪が長くて色が白い人が好みだから」「日本の料理と味付けが似ているから」と前提をしっかり伝えることが大事でした。

これは仕事でも同じ。僕は前提を話さずにコミュニケーションをとろうとしていたんです。わからないと思ったら「どういうこと?」とわかるまで何度も質問する。相手も「日本人だからわからないんだな」としっかり前提から説明してくれます。話し疲れたら(笑)「お前の話も聞いてやろう」となりました。

問題は言葉ではなく“文化”だったんです。前提を話すのは、文化の違いを明確にして埋めていくこと。違いをそのままにして言葉だけでコミュニケーションをとろうとしてもダメなんです。敢えて自分の文化を持ってきたり、相手の文化に近寄ってみたりもしていました。

たとえば、お寿司に関することを日本語で言ってみる。「ライスボールじゃないよシャリだよ」とか。メールの最後も「Thank you」ではなく「ありがとう」と書いてみる。僕が相手の国の「ありがとう」をメールに入れてみるのもいいですね。そうやっているうちにMr. kanemakiと呼ばれていたのが、段々Kanemaki-san、Mckee-sanになっていきました。

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どんな人なら海外で活躍できると思いますか?

海外進出の仕事は、会社に貢献していると強く実感が持てると思います。国内と違って、どうしても一人で海外に行き、商談をしなければいけません。しっかり事前準備をして、向こうでもひとりで考え判断しなければなりません。責任が重くのしかかってきますが、それがそのまま達成感や貢献している実感に変わると思います。

僕自身、イギリスで働いていたときは社長の後をつけ回し、いろいろ意見や考えを聞き出して、社内外に伝達するような存在になっていました。BAKEではある国の王位継承権を持つかたと商談をしたこともあります。ただ、それは英語ができたからじゃないんです。自分が会社や周りから何を求められているのかを考え、自ら決断をしてきたから、周りが任せてくれたんだと思っています。

面接のときにもそういう主体性があるかどうかを見ています。英語が堪能かどうかよりも、相手に何を伝えたいのか、自分は何をするべきなのかを持っている人。極端に言えば、「英語が喋れない自分が海外に行ってもしょうがない」と考えてしまうかただと難しい。「必要だ」と思ったら英語力も含め、自分でどうにかしていく、そういうかたと一緒に働きたいです。

それと同じぐらいコミュニケーション能力も大事です。面接のときに話していて、ちょっとしたことで笑顔を見せる。わからないことが出てきても「どういうことですか?」と聞ける。具体的に言えば、商談している相手の国で地震があったとき、「哀しい」と思えるか。仕事のメールに一言だけ「地震は大丈夫だった?」と書けるか。

結局、英語はコミュニケーションをとるためのツール。英語で話せても、「話したいこと」がなければ会話もコミュニケーションも成り立ちません。でも、実はこれは国内でも同じことですよね。主体性を持つ、喜怒哀楽を表現できる、好奇心がある。これを持っているかたなら、日本でも海外でも活躍できると思っています。

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