「ふつうの子」が世界のトップ大学に「編入」する方法【後編】

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日本ではあまりなじみのない「編入(トランスファー)」という方法で、アメリカのトップ大学への進学をサポートしている、編入専門留学コンサルタントの山内勇樹氏。『東大・京大に勝てる! 世界のトップ大学に編入する方法』において、若い人達に留学をすすめています。前回記事『「ふつうの子」が世界のトップ大学に「編入」する方法』【前編】に続き、留学すべき理由について、英語力との関わりでお話を伺いました。

日本人の英語力の現状

Q:日本人の英語力が低下しているというのは、本当ですか?

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これは切実な問題です。2010年のTOEFLのデータでは、日本はアジア30カ国中27位です。1位はシンガポール、フィリピンは3位です。お隣の韓国は9位、中国は16位となっています。日本のランキングは、今のままの教育ではもっと下がるかもしれません。(注1)
低下の理由はいくつかありますが、TOEFLの形式がiBTに変わり「話す」「書く」が本格的に入ってきたことも理由のひとつです。「話す」「書く」が、学校の授業でなかなかカバーできないため、いい点がとれないのです。学校教育では「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能化に向けた改革も進められていますが、まだ課題も多い状況です。(注2)

Q:学校では「話す」「書く」の教育が不十分だと。

TOEFL iBTを教えられる中学校、高校の英語の先生が少ないことは課題でしょう。最近では、オンライン英会話を取り入れている中学・高校なども出てきていますから、変わっていくことを願っていますが、一朝一夕にはいかないでしょう。
それにしてもこのランキングにおいて、日本より点数が下の国は、ラオス、タジキスタン、カンボジアだけ。これだけ英語の勉強をしているのにと思うと、切ない気持ちにもなります。TOEFLはアメリカの16〜17歳くらいの子が受験して120点満点中、100点くらいがとれる難易度に設定されています。日本の東大生が大学院留学をしたいといって相談にくるのですが、60点、70点を平気で取るんですよ。英文科の学生だって80点レベルです。つまり、東大の英文科出身でも、アメリカの普通の16歳に勝てないというわけです。

Q:日本人の学力が下がっているのでしょうか?

そうは思いません。基本的な学力は、日本人はかなりしっかり身に付いているのですから、英語だけこんな惨状というのは、どう考えてもおかしい。やり方の問題です。実際、日本の高校生の数学の能力は高く、アメリカの短大に入った子どもたちは、授業を楽にこなしていきます。
今の教育現場で英語力が付かないのであれば、やはり留学というのは現実的な選択肢だと思います。なぜなら、教育改革を待っている間に、子どもは大人になってしまうからです。

(注1)EST-Test and Score Data Summary for TOEFL Internet-based and Paper-based Tests Junuary 2010-DECEMBER 2010 TEST DATA
(注2)TOEFL iBT® テストは、インターネットを使用した英語のテスト。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングのスキルを測定する。

英語力は大学ランキングにも影響

Q:日本の大学ランキングも下がっているそうですね。

タイム誌「ザ・タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」から、アジアの大学のランキングが発表されましたが、東京大学は10年来1位をキープしていたのですが、今年はなんと7位に転落。京大は11位。早慶など110位以下です。
これは指標が、「外国人の教員・留学生の数」や「海外での論文引用件数」が含まれるためです。大学で英語を使わないということが、こういったランキングにも影響を及ぼしてしまいます。
ちなみにアジアランキングの1位はシンガポール国立大学です。優秀な生徒はいくつかの大学に合格しますから、ランキングが下がると優秀な学生を他の大学に取られてしまいます。そういった意味で、ランキングの差は実際の差につながってしまうのです。

Q:留学のメリットには、どのようなものがありますか?

留学のメリットは英語力だけではありません。年収、最終学歴の高さももちろんですが、私は人脈が大きいと思っています。編入という方法を使えば、英語力があまりない高校生でもアメリカのトップ大学への進学が可能ですが、そこで得られるのは、世界各国の優秀な学生たちとの絆です。多くの学生が母国に戻って働くことになりますから、大学時代の数年で世界規模のネットワークがつくれるわけです。
特にSNSの普及によって、海外の人とも気軽にやり取りができる現在、同窓生同士で新しいビジネスを始めるということも、当たり前のようになってきました。こういったネットワークは、トップ大学への留学でしか手に入れられないものです。
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山内勇樹さん著『東大・京大に勝てる! 世界のトップ大学に編入する方法』

Q:留学を考えた時に、まずしなくてはいけないことはなんでしょうか?

情報を集めることです。編入を使った留学においても、トップ大学とつながりの深い短大、そうでない短大があります。業者に勧められるままに決めてしまうと、短大に留学はしたものの四年制大学へ進学できないということが生じてしまいます。英語力はあることに越したことはありませんが、それは留学期間に身につけることができますから、それほど心配する必要はありません。
留学を少しでも考えた事のある方には、編入という方法も視野に入れて、どんどんチャレンジしていただきたいと思います。
(構成:黒坂真由子)

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