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- 新井リオ(あらい・りお)
- デザイナー / イラストレーター / バンドPENs+のボーカル|2016年カナダに渡りフリーランスに。「英語日記」勉強法をつづった著書『英語日記BOY』(左右社)Amazon本総合人気度ランキング1位を記録。Web:https://arairio.work/
ここ最近、オンライン英会話業界でひそかに話題になっている「新井リオ」さん。わたしたち編集部でも、「なんだかすごいひとがいるらしいぞ!」という噂を聞きつけ、トークイベントに参加したのが1年前のこと…。彼の熱量にやられた編集部は、追いかけ続けることおよそ1年。ようやくインタビューの機会を得られました!
ほんの5年前までは外国人と話したこともなかったというリオさんが、なぜ“オンライン英会話の申し子”となれたのか(勝手に呼んでいます)。独学で英語を習得し、海外で働くまでに至ったおはなしを伺いました。
▼リオさんのYouTube動画
英会話を独学で学ぶことになった背景
その英会話力、独学だけで身につけたってほんとうですか?
ー 唐突にこんな質問してすみません(苦笑)。「独学で英語を習得した」と言うひとに限って、実は海外留学の経験があるとか、幼いころから外国人と接点が多かったなんてはなしを聞くことが多いのですが…。独学だけって、ほんとうですか?
リオさん:はい!(笑)本当に独学です。両親は全く外国と縁がないひとたちで、子どもの頃、英語に触れる環境は一切ありませんでした。ふつうのひとと同じように、大学受験のために英語を勉強していたくらい。他の人よりも英語に興味があったわけでもなかったです。
ー なにがきっかけで英語を勉強しはじめたんですか?
リオさん:音楽ですね。僕は10代後半からバンドを組んでいて、とにかく音楽が好きだった。あるとき、憧れだったアメリカバンドの来日ツアーに、僕のバンドPENs+が共演できることになりました。
ライブが終わってから、「実は高校生の頃から聴いていたんです」と話しかけたかったんですが、「ずっと聴いていた」が英語で言えず、”I listened…um…Thank you!!”みたいな感じになってしまって。
すごく悔しかったのと同時に、「英語が話せる」とは「いま言いたいオリジナル英語フレーズが瞬時に出てくる能力」なんじゃないかと考えるようになりました。
そこで、教科書例文をみたら主語を「I」に変えて、目的語を「自分事」に入れ替え、勝手にオリジナル例文をつくって覚えました。生涯言いそうにない例文を覚えるのはやめよう、と。
ー きっかけがなんともドラマチック…!でも、とても早い段階で英語学習の本質に気が付かれたんですね。
リオさん:後からふりかえっても、早々にこの気づきを得られたのは本当によかったと思いますね。そこから一気に目覚めて、休暇のたびに海外へ行くようになりました。
ー 英語はそのときから勉強し続けているんですか?
リオさん:いえいえ。そのときは外国に興味をもつようになっただけで、英語への関心はそんなにありませんでした。海外旅行程度なら、英語がそれほど話せなくても困らないし。
本気で勉強するようになったきっかけは、僕のバンドがカナダの音楽フェスに招待されたこと。カナダでのライブは僕の夢の一つでもあって、決まったときは「きてくれるすべてのひとを楽しませたい」という想いでいっぱいでした。
でも同時に「オーディエンスを感動させるには、絶対に英語でのMCが必要だな」とも思ったんです。“Thank you! Thank you! I’m Happy!!!”くらいじゃ、僕の気持ちは伝わらない。
ただ、そうはいってもMCで使える英語を教えてくれる英会話教室なんてないじゃないですか。やるとしたら、マンツーマンでレッスンする必要がある。
いろいろと調べてみましたが、英会話教室ってほんとうに高額なんですよね…。僕の小遣いじゃ、通えたとしても週に1回程度。でも、カナダツアーまでは残り3ヶ月 。通学制じゃ、到底間に合いそうにありませんでした。
安くて、毎日レッスンができて、しかも個別レッスンで…という条件で調べて調べて、ようやくたどり着いたのがオンライン英会話でした。
金銭面であきらめかけた英会話、頼みの綱・オンライン英会話との出会い
リオさん:オンライン英会話をはじめてすぐに、「これだ」と思いました。毎日25分間、自分でカスタマイズした個別レッスンを英語で受けることができる。クラス型の授業だと進行具合をまわりにあわせなければいけませんが、オンライン英会話なら「自分が本当に必要な英語」だけを学ぶことができます。
普通だと高額になってしまうマンツーマン授業ですが、物価の違いなどを利用し、英語が話せる現地のフィリピン人講師をオンラインでつなぐことでどちらの需要も叶える。「こんな素晴らしい英会話レッスンがあるのか!?」と、衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
ただ、当時はまだオンライン英会話サービス自体がそれほど知られていなくて、友人たちに教えても「え?フィリピン人?オンライン?なにそれ?英語を本気でやりたいなら留学でしょ」といった、ネガティブな反応ばかりでした 。
それでも、僕の頼みの綱はこれしかなかった。とにかく3カ月、毎日がむしゃらにレッスンを続けました。
「ほかの英語はあまり話せないけど、MCだとものすごく話せる人」に
リオさん:マンツーマンレッスンで毎日「MCの英語」だけを練習できたおかげで、ライブは大成功でした。最後の言葉”Tonight, one of my dreams came true!”を言い終わると、5組中2バンド目なのにアンコールがきてしまうくらい盛り上がりました。
ー はじめに目標を立てたっていうのが、結果的にはとてもよかったんですね。
リオさん:そうかもしれませんね。その当時の僕の英会話力は、一般的に言って「話せる」レベルではなかったと思います。でも観客は、僕に政治の英語も環境問題の英語も求めていない。
「ライブMCの英語」を完璧に言うことができれば、僕はこの場における「英語が話せる人」になれたんです。そのとき、僕たちには「自分に合った英語」があるんだと思いました。
これに気づいたとき、一気に英語が身近な存在になって。ここから勉強が楽しいと感じるようになりました。
ー 楽しいって感じながら英語を勉強できたというのは、すばらしいですね。
でもふつうのひとには参考にならない…?!
ー ただ、スケールが大きくてわたしには無理かなって(笑)リオさんみたいな体験が得られないひとは、どうしたらいいのでしょうか…。
リオさん:たしかにバンドで海外ライブ…みたいなことを言うと現実感がないかもしれません。ただ、これをもっと抽象化すると「英語×好きなこと」という掛け算をしただけなんです。
こうすれば、英語を勉強対象として捉える気持ちが薄れ、もっと身近なツールになります。
成功する英語学習に重要な「続けるための心がけ」
好きからはじめれば、人生単位で英語をすてきに使えるようになる
リオさん:英語習得のメリットは、みなさんご存知だと思います。今の時代、なにかをつきつめたければ、英語ができるだけで可能性は無限大ですもんね。英語でインターネット検索ができれば、山ほど転がっている情報に一発でアクセスできるわけですから。
ただ、英語はあくまでツールなんです。ネイティブレベルに話せなくても、ガンガン英語を使って人生を豊かにしている人はたくさんいます。
日本人は、「英語が話せる」を特殊能力のように思い込みすぎている気がします。もっと気楽でいいんです。ハードルを下げて勉強しやすくデザインするところまでが努力だと思っています。
だからこそ、個人の「好き」に掛け算して、「英語を利用してもっと楽しい人生にする」くらいのフランクさで臨めるといいんじゃないかな。
「そもそも好きを追求できない」ひとは、攻略本をつくるイメージで乗り越える
ー 好きなことを追求するっていうのも、人によってはできなかったりするんですけどね(汗)
リオさん:それもまた発想を工夫すればよいのではないかと。カナダツアー前は必要に迫られていたから毎日頑張れたものの、その後はふつうにさぼってしまうこともありました。
そこで、「ゲーム」の攻略と同じ発想で勉強するようにしました。「自分は今、英語習得ゲームをしている」んだと。
例えば発音につまづいた時。「勉強だ」と思うと気が遠のくので、「英語習得ゲームの中の発音フィールドを攻略しよう」と思い込んだんです。
実際には、英語設定に変えたiPhoneのSiriに、特に苦手だった「GirlとWorld」を認識してくれるまで話しかけてみました。これが全然認識してくれないのですが、楽しくて(笑)。
1ヶ月間、散歩中に毎日話しかけて、完全に認識してくれるようになりました。自分で作った攻略本を実践している感じです!
ー え…、あ、はい。
リオさん:そういう発想でいると、不思議と楽しくなるんですよね。だって、「あーゲームやりたくないなあ」ってあんまり思わないじゃないですか。モチベーションのことを考えずとも自然とやっちゃうのが、勉強における理想的な状態だと思います。
そうやって工夫を加えて、ちょっとずつ好きになっていきました。僕ハンバーグが好きなんですけど、今となっては、英語のことがハンバーグくらい好きです。ハンバーグを食べたい気持ちと、英語に触れていたい気持ちが、すごく似ています(笑)
ー その発想の転換力、応用するとすごく使えそうですね。
目標を常に意識できるよう、自分の学習法にタイトルをつける
リオさん:あともうひとつ、自分の学習法にタイトルをつけるようにしています。
例えば、「いつか海外で働きたいから英語を勉強する」では目標が曖昧で頑張れない。
そこで、「オーストラリアの〇〇カフェでバリスタとして働き、今後どの国のカフェでも働ける知識と経験をつけるワーホリ生活2021」みたいなタイトルをつけるんです。
そうすると「履歴書は今のうちに作っておけるじゃん」とか「接客英語なら日本で練習できるな」というように、「今日やるべきこと」が明確に見えてくる。
もう、自分とずっと対話をするイメージです。「自分は何がしたい?」「いま、何が足りない?」と問いかけ続けました。
(『英語日記』の一部をみせてもらう)
ー 「おい!なまけてますよ!」こうやって自分にはっぱをかけているんですね(笑)
リオさん:はい(笑)。これは、なまけていた当時の僕に自分で喝を入れました(笑)
順風満帆じゃないからこそ、伸ばすことができた英会話力
卑屈な気持ちが英語を好きにさせてくれた
ー 誰かに言われたからやる…ではなく、自分で考えて行動できるというのはリオさんの素質ですね。
リオさん:僕、学生の頃は周りの友人たちと比較して卑屈になったこともあったんです。英語を勉強するために、みんなには海外留学という選択肢があった。
僕はそんなに経済力のある家じゃなかったから「僕の方がこんなに英語を必要としているのに、なんて恵まれてないんだ」って。
でも、そういう社会に対するフラストレーションは力にもなると思っているんですよね。「日本の英語学習ってなんて質が悪いんだ!」って思うのは簡単ですけど、不満を言って今日が輝いたことは一度もなかった。
だから、「こんな自分が今から始められる勉強法ってないのかな?」と考えたのが「英語日記」や「オンライン英会話」につながりました。
これが『英語日記BOY』という本になるなんて当時は考えてもいませんでしたが、創作活動の源泉って「怒り」や「悲しみ」の場合も多いんです。これは、本職の絵や音楽で培った考え方です。もう起こってしまったネガティブな出来事は、今からおこなう行動でポジティブな思い出に変えていくしかないんです。
ー 確かにお話を伺っていると、学習法ひとつとってもいろんな独自の方法を編み出して、やってみては失敗してを繰り返しながら、いまの学習スタイルにたどりついていますもんね。その熱量は、そういうところからきていたのかと納得しました。
ただ問題は継続するモチベーションですね。その熱量って、どうしても続かないんです…
リオさん:僕はあるときから、「時間がかかることを肯定する」ようにしました。
夢が叶うときって、夢が叶うほどの実力がついた時だと思うんです。もちろん運もありますけど、基本的には実力がないと叶わない。だとしたら、思い描いた夢が来月叶っていないのなんて当たり前で、ここに焦る必要はないんじゃかいかと。
毎日熱が燃え滾っているというよりは、時間がかかることを肯定したことによって、今日おこなう勉強や練習を大切にできるようになった感覚です。
ー 続けるにしても、このやり方でいいのか不安になって、進む道を見失ったときはどうしましたか。
リオさん:正直今でも「これが絶対的な正解だ」と思って生きているわけではないです。お金があったら普通に留学していただろうし、それはそれで充実していたと思うんです。
今思うのは、「自分が進むべき道は一つしかない(どこかに絶対的な正解がある)」と考えている人ほど、今の人生がそのレール上にいるのか不安になってしまうのではないか?ということです。
でも、そんなことはないと思うんです。いろんな道がある。だから、「今日動いたかどうか」だけを判断基準にするんです。
僕の尊敬するadot/カラスという会社の牧野圭太さんが、「逃げている人も走っている」と言っていました。すごく好きな言葉です。
そもそも予測がつかないのが人生なので、毎日実験をしているつもりで生きています。うまくいってもいかなくても受け入れて、次に生かすんです。
ー 楽しめることがなにか、それをみつけるためには行動することがいかに大切なのか、よくわかりました。
海外ではたらくという夢を実現したリオさんにとって、いまの目標はなんですか。
リオさん: 欧米でグラフィックアーティストとして力をつけ、10年後にApple Inc.と仕事をしてみたいです。だから今年からドイツに住みます。来年からはイギリス。
ヨーロッパにはまだコネも仕事もないので、どうなるかは正直わかりません。いま十分なお金があるわけでもないです。
ただ、10年後にApple Inc.の夢が叶わなくても失敗だったとは思いません。「自分は今、いつかApple Inc.と仕事ができるかもしれない人生を歩んでいる」と思いながら勉強をし続ける毎日にワクワクするんです。
日本では定職に就いていないと「フラフラして…」と言われることもありますが、おじいちゃんになったときに「ヨーロッパで夢を追いかけてフラフラしていた10年間がある人生でよかったな」と僕は思うはずなんです。そういう人間なんです。
だからもう少し自分を信じてみます。
編集後記
1時間半に及ぶインタビューは、リオさんの前向きなエネルギーにときおりまぶしさを感じながら、たくさんの収穫を得て終えることができました。たった5年で英語を習得した背景には、計り知れないほど多くの失敗を積み重ねてきた軌跡も垣間見えた思いです。
その歩みを経てたどりついた究極の独学法が、最近書籍化しました。リオさん曰く「自伝的」「夢叶えツール」というこの書籍。自分の英会話学習法をみつめなおすきっかけになる――そんな1冊です。
「”英語を話したい”という希望を抱いた人が、お金や環境を理由に悩んでしまう状況が悲しい。英語日記というお金のかからない勉強法が、留学・英会話スクールに続く“第3の選択肢”になれば、救われる人がいると思います。」(新井リオ)
全国書店で発売中ですので、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。
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