グローバル化を背景に世界を舞台に活躍する日本人が増えてきています。
英語を使いながらビジネスの最前線で活躍する彼らは、どのようなきっかけで英語学習を始め、どのようなきかっけで今の環境に飛び込み、そしてどのような気づきや学びを得たのでしょうか。
それに対する答えは、われわれ日本人がこれからのキャリアパスを考える上で、また英語との接点を考える上で、大いに参考になることでしょう。
われわれRareJob English Lab編集部は、10月某日に代々木にあるBar『Shirokuma』で行われたグローバルビジネスパーソンの交流会に参加し取材を行ってきました。
1.外資企業のユニークな文化!“Disagree but commit”とは
まず最初にお話を伺ったのはオーストラリアへの留学経験を持ち、現在は外資系のIT企業で人事の仕事をされているアヤコさんです。
中学時代に英語学習を始めてから、英語が好きで得意だったアヤコさん。勉強を重ねていく内に次第に会話ができるようになり、英語を面白いと思うようになりました。そして、高校生の時にオーストラリアでホームステイを経験し、オーストラリアの自然と都会がマッチングするゆったりとした雰囲気が自分の肌に合っていると感じたそうです。そして高校卒業と同時に、日本の大学に進学するのではなく、オーストラリアの大学に進学することを決意。「入学は簡単だが、やりたいことを頑張って勉強でき、卒業するのが難しい」という海外大学ならではのハードルが、自分の向上心を鼓舞するきっかけになったといいます。
オーストラリアは観光大国。アヤコさんも大学ではホスピタリティ・マネジメントを専攻し、その中で人事系の科目を勉強する中で、人事の仕事に魅力を感じ、大学卒業後は外資系ITの人事の仕事に就きました。
「バイリンガルじゃないとやれない仕事はけっこうありますね。もちろん日本のお客様とは日本語ができれば大丈夫なんですけど、『日本ってこんなにすごいんだよ』、『日本ではこんなことやりたいんだよ』ということをアメリカの本社にアピールしていかないといけないので、英語で発言できるというのはバイリンガルの強みですね。」
また、日本で英語を使って仕事をしている人の共通点については、「色んなことを受け入れられる柔軟性と、自分の意見をしっかり言える主体性の二つを併せ持つ点」だとアヤコさんは言う。
「アメリカの会社の文化に”Disagree but commit”というのがあったんですけど、『反論はするけど一度みんなで決めたことは心からサポートしようね』という。そういう部分が共通しているかな」
グローバル環境で活躍するには、高い語学力のみならず、自分の軸をしっかり持ちながらも、しなやかに対応できる人間性が不可欠なようです。
2.異文化を受け入れる寛容性
次にお話を伺ったのは、インド系IT企業に務めるウエキさんと、同僚であるインド人のアーナブさんのお二人です。
31歳でワーキングホリデーに旅立ったウエキさんは、それまで日本でプログラマーやシステムエンジニアの仕事をしていました。その後、転職活動をしていた時にワーホリの制度を知り、「外資で働きたい」もしくは「日本を脱出したい」という思いを胸に、31歳になるタイミングでワーホリにいく決断をしました。英語学習は受験で読み書きをやった程度でしたが、渡航前に半年間オンライン英会話のレアジョブでレッスンを受けてから出発。現地のイントネーションに慣れるのに時間は要したものの、日本でのそうした準備が、明確にプラスになったそうです。
帰国後、インド系IT企業の日本支社に就職し、チームがほとんどインド人という英語をメインで使う環境で、システム日本語化のテストを行う仕事などをしています。
ウエキさんは日系企業との違いについて「メールをしても、返事が返ってこなかったり、返事が遅かったりする」と言います。
一方で同僚のアーナブさんは、「日本人と働けることはいい経験。日本人はとても時間厳守で、厳しいよ」と、異国の地で働く難しさを感じているようでした。
「日本人はインド人チームに何か尋ねる時、『どうやって聞けばいいんだろう』みたいに考えすぎてしまう。でもインド人はいい意味でフランクだから、わたしたちは彼らから「人への尋ね方」を学ぶことができる。」と語るウエキさん。
「職場で対立が生じた時に、相手の言い分を受け入れてあげなきゃならない。グローバルな職場では寛容性が大切」
そう締めくくってくれたのはアーナブさん。
小さな「村」単位で思考するのではなく、みんなの異なるアイデアを合わせようとする姿勢が、相乗効果を生み出し、会社と個々のパフォーマンスを向上させていくのでしょう。
このように、英語への挑戦はエンジニア業界においても大きなアドバンテージとなり、各々の可能性を広げてくれるのです。
3. 海外で「成果の原体験」を得る
続いてお話を聞かせていただいたのはトーヤさん。トーヤさんは日仏のハーフで教育関係のお仕事をされています。職場は英語環境ではないものの、海外へのインターンシップ支援や語学留学支援など、実際に海外に行って学んできてもらうプログラムをプランニングする仕事などに従事しています。
上記のような海外での育成プログラムをプランニングする狙いは、語学力向上のみならず、マーケティングや、人としてのコミュニケーション力の向上など、ニーズによって様々です。
海外でプログラムを組むメリットの一つは「成果のリアルさ」にあると言うトーヤさん。
「仕事をしていれば、『あなたは明日、海外で成果をだしてほしい』と言われることはいくらでも想定できるじゃないですか。けど、日本で勉強してきた英語が通用するのかしないのかなんて、実際に行ってみないことにはわからないし、逆に立派に英語が話せても「何も生み出せない」もどかしさを感じることの方が多いのではないですかね。異文化の現場で何かを生み出すには何がどの程度必要か、その原点となる感触を実際の経験の中でつかめることが、その後の日本での仕事や学習においても一番大切なものだと思うんです。将来的に海外を目指すのであれば、まず海外に行って感触を掴むっていうのが大事なんじゃないですかね。それも早ければ早いほどよいと思います。」
海外に行ってただ観光するだけなら誰でも出来ますが、そこで何か「やってみる」という機会を提供することに価値がある…そう話すトーヤさんのお顔には経験に根ざした確かな実感がこめられていました。
4.英語で広げる自分の可能性
今回お話を聞かせていただいた4名のみなさんからは、自分の志にチャレンジする勇気と、それを実現させようとする行動力を感じることができました。
一歩を踏み出し、そして困難があればそれを柔軟な対応で克服し、道を開いていく姿勢。グローバル人材が評価される裏側には、語学力のみならず、彼ら一人一人が持っている人間としての魅了があるのです。
他にもさまざまなバックグラウンドを持つグローバル人材からお話を伺うことができたので、続きは後編で紹介いたします。お楽しみに!
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