英語を勉強していると、やはり王道のアメリカ発音やイギリス発音に憧れますが、残念ながら母国語訛りというのはなかなか完全には抜けるものではありません。英語には、母音だけでも日本語にはない音がたくさんありますし、これらは10歳位までに英語のシャワーを浴び続けないと、完全には身につかないと言われています。
しかし、「ネイティブっぽい発音」や、「母国語訛りの少ない、聞き取りやすいクリアな発音」なら、大人になってからでも十分身につけることができます。実際、大人になってから海外に長年住んでいる人たちの多くが、ネイティブとまったく同じ発音とはいかなくても、かなり流暢で自然な英語の発音を手に入れています。
今回は、自宅で日常的にできる発音トレーニングをご紹介したいと思います。
英語の発音で一番大切なのはスピードとイントネーション!
細かい発音以前に、「通じる英語」を手に入れるために一番大切なのは「スピードとイントネーション」です。たとえば、What are you going to do?を一語一語[ワットゥ・アr・ユー・ゴーイン・トゥ・ドゥー?]と区切って言うよりも、[ワラユガナドゥー?]と一息で、イントネーションを意識して言った方が格段に通じやすくなります。
「イントネーション」とは、「音の高低や抑揚」のことです。
イントネーションがおかしいと、日本語でも意味が通じにくくなりますよね。(たとえば北関東訛りのある私の母は、「雨」のイントネーションが独特で、「め」を高く発音するので、「雨が降ってきた」と言っても「飴が降ってきた」にしか聞こえませんw)
英語らしいスピードやイントネーションを身につけるには、とにかく「真似して言う」こと! 2009年に、アメリカで英会話スクールを経営されているセニサック陽子先生、ご長男の淳さんと合同オフ会を開催した際に、淳さんから有益なアドバイスをもらいました。
「会話ではスピードが要求されます。テレビのニュース番組などで、キャスターの話すスピード、 イントネーションをそっくり真似して言う練習が有効。意味は分からなくてもいいです。 恥ずかしくて人前で英語を話せない、という人も、ひとりなら恥ずかしさもない。 毎日練習しましょう。」
以来私も、毎日とはいきませんが、大好きな海外ドラマを観て「こんな風に英語を話したい」と思える女優さんをお手本に、口調をそっくり真似してセリフをつぶやいています。おかげで「アメリカに住んでいたことがあるの?」と思われる程度には上達しましたし、リスニング力も格段にアップしました。
日本語と英語の発音の違いを意識しよう!
すべての音に「ア・イ・ウ・エ・オ」の母音が入っていると、いわゆる「カタカナ発音」になっていまい、外国人にとって聞き取りづらくなります。(日本人同士なら分かりやすいのですが…。)
たとえば、bookは「ブック」ではありません。
最後の音を伸ばして言ってみたときに、「ブックーーーーーーーーゥ」と「ウ」の音が残ってしまうのは、母音が入っている証拠です。正しくbookと発音できていれば、最後は息の音しか残りません。
また、もしもsit(座る)とshit(クソする)を言い間違えてしまったら大変ですよね。以前ある女性が、”A woman sitting in front of me…” (私の目の前に座っている女性が…)と言おうとしたのですが、発音が「シ」の音になっていて、一瞬ギョッとした経験があります(笑)
母音も、日本語の「ア・イ・ウ・エ・オ」では割り切れない、あいまいな音がたくさん存在します。
Appleのaは「アとエの中間っぽい音」と習った方も多いのではないでしょうか。では、oとuとの発音の違いは大丈夫ですか?
(例)
stack(山、積み重ねる)
stock(株、~を蓄える)
stuck(stick(~を行き詰らせる)の過去形・過去分詞形)
しいて言うなら、aは「エァ」のような音、oは口を大きく開いて「アとオ」の中間のような音、uは短い「アッ」という音です。ネイティブにとってははっきり違う音で、単語の意味もまったく違うため、発音を間違えると通じないことがあります。
「フォニックス」を活用して英語発音のトレーニングをしよう!
「フォニックス(phonics)」とは、英語圏の子供が学ぶ「つづりと音」のルールのこと。
本来はつづりを勉強するための教材なのですが、「発音のトレーニングにおすすめだよ」と、十数年前にアメリカ人の同僚が教えてくれました。
初めて出合う単語の読み方が分かるようになるだけでなく、体系的に英語の音が学べてとても便利でした。音の違いを意識するようになったからか、同時にリスニング力も上がった気がします。
発音に関しては、さまざまな本やDVD教材を購入しては、ほとんど積読になってしまった私ですが、ジュミック今井さん著『フォニックス<発音>トレーニングBOOK(アスカカルチャー)』だけは最後までやり遂げることができました。
専門的すぎず、説明が単純明快な上に、メトロノームの軽快なリズムに乗せて練習できる、付属CDが私に合っていたようです。
英文法もそうですが、分厚くて小難しい専門書と格闘し、机上学習の時間を多くとられるよりも、シンプルな本でさっと基本ルールを押さえ、あとはネイティブ英語にどんどん触れて真似しまくった方が、より早く身につくものです。
英語と日本語の違いを意識し、ルールをさっと仕入れたら、あとは練習あるのみ! 通勤電車など公共の場では、つぶやいたり口パクしたり…でもOKです。ぜひ日常生活の中に、発音トレーニングを取り入れてみてくださいね。
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