ビジネス英会話において、フォーマルな表現や堅い表現を使いこなせなければならない…という先入観を持っていませんか?
もちろん、buyをpurchaseにしたり、askをinquireにしたり…と、ビジネスライクな単語もうまく使いこなせれば、それに越したことはありません。
しかしながら、高度な単語の知識を身に付けていなくとも、基本的な動詞を使いこなすことで、ビジネスシーンにも対応できる英会話力を磨いていくことはできるのです。実際、ネイティブスピーカーや英語上級者も基本的な動詞を自在に操り、少ない単語で会話をしています。これは、まさにファッションと同じで、“着回し力”のある基本単語をしっかりとモノにしておけば、名詞や形容詞・前置詞などとうまく組み合わせることで、さまざまな表現が可能となるからです。
今回の記事では、ビジネスシーンでも特に汎用性の高い5つの基本動詞をセレクトし、それぞれの単語が持つイメージと実際のビジネスシーンでよく使われる表現をご紹介していきます。
【1】do:(ある行為を)〜する、〜やる
英会話の実践において、“I…”“We…”と主語から勢いよく話し始めたものの、その次にくる適切な動詞が見つからずに止まってしまう…ということはよくあります。この「動詞がすぐに思い出せない・思い付かない」という状態は、言葉を詰まらせてしまう大きな原因のひとつです。
みなさんにもお馴染みの基本動詞doは、「〜する、〜やる」という意味を持っています。実は、ある行動を表現するときには、具体的な動詞を使う代わりに「do+名詞」で表現できることも多く、言葉を詰まらせる原因となる動詞を考える手間を省くことができる優れモノなのです。
「do+名詞」:物事(名詞)をする、やる
・do the copy(コピーする)
・do the research(調査をする)
・do the accounts(帳簿を付ける)
・do business with 〜(〜とビジネスする、取引する)
「do +some+名詞」:物事(名詞)を(ある程度)する、やる
名詞の前にsomeを付け加えると「ある程度」というニュアンスが入った表現になります。
・do some analysis(分析する)
・do some overtime(残業する)
<例文>
・Let’s do some research on the safety of our products.
(自社製品の安全性に関する調査を行いましょう。)
・We do business with countries around the world.
(私たちは、世界中の国々とビジネス/取引をしています。)
・I have to do some overtime to finish a document.
(書類を仕上げるために、ちょっと残業しなくてはなりません。)
【参考】“do”を使った万能表現:will do
doは「〜する、〜やる」という意味の他にも、「役に立つ・間に合う」という意味も持っており、相手に確認するときや予定調整などのビジネスシーンにおいても使える万能表現が“wil do”です。
・Anytime/Anything will do.(何時でも/何でもいいです。)
・Will this do?(これでよろしいでしょうか?)
・This will do.(これでいいですよ。)
・Either will do.(どちらでも構いません。)
・Either of the plans won’t do.(2つの案のどちらとも駄目です。)
【2】come:ある状態が来る、中心へ向かって移動する
comeは「来る」という意味を持ちますが、場所だけではなく、ある状況や環境などへ向かっているという場合にも使うことができます。ビジネスシーンでもよく使うのが、次にご紹介する「come to〜(〜になる・達する)」という表現で、会議や状況報告・レポートなどの際に役立ちます。
「come+to+名詞」:〜になる・達する
・come to a conclusion(結論に至る、結論に達する)
・come to a compromise(妥協に至る)
・come to an agreement(合意に達する)
・come to an end(終わる)
・come to a standstill(行き詰まる)
・come to the point(本題に入る、要点に触れる)
・come to mind(思い浮かぶ)
<例文>
・The negotiations have come to a conclusion.
(交渉がまとまった。=話しがまとまった。)
・We came to an agreement on the reduction of production costs.
(我々は、製造費の削減について合意に達した。)
【3】go:何かが離れていく、進行する
goは「行く」という意味だけではなく、その場から何かが離れていく・進んでいくというイメージを持った動詞です。人だけではなく物事にも使うことができ、ビジネスシーンにおいてもその汎用性は高いです。
「go+形容詞」:〜になる
・go online(インターネットにつなぐ、オンライン化する)
・go blank(真っ白になる)
「go+副詞」:〜になる
・go wrong(うまくいかない、失敗する・間違える)
<例文>
・Unless sales improve next month, the company will go bankrupt.
(来月売上げが伸びなければ、その会社は倒産するだろう。)
・The project will definitely go well.
(このプロジェクトは必ずうまくいく。)
【4】make:(力を働きかけて)作る・変化させる
makeは、(力を働きかけて)何かを作る・変化させるというイメージを持ちます。
“make a mistake(間違いをする)” “make an appointment(アポイントをとる)”などに代表される「make+名詞」では、「〜する」という表現ができます。先ほどの「do+名詞」との違いは、「make+名詞」は抽象的なものや直接的に目に見えないものを「する」場合に使うという点をおさえておきましょう。
「make+名詞」:〜する
・make a calculation(計算する)
・make cutbacks(削減する)
・make a deal(取引をする)
・make an investment(投資する)
・make a profit/loss(利益/損失を出す)
・make a difference(違いが生じる、効果がある)
<例文>
・We’ll make a change/changes to our website.
(ウェブサイトに変更を加えます。)
・The new inventory system made a difference in productivity.
(新しい在庫システムは、生産性に変化をもたらした。)
・We need to make a calculation before we decide.
(決定する前に、計算を行う必要がありますね。)
【参考】「make+形容詞+名詞」で表現の幅を広げよう!
「make+名詞」が基本的な表現となりますが、ここが定着してきたら、応用編として、形容詞を加えてさらに表現の幅を広げてみましょう。
・make a profit→make a considerable profit(かなり多くの利益を出す)
・make a difference→make little difference(大差がない)
【5】take:手に取って動く
takeは「取る」という意味を持ちますが、“take an umbrella(傘を持っていく)”というような物を取って動かすような場合だけではなく、物事や情報を受け取る・選択するというイメージも持っています。
“take a break(休憩する・息抜きする)”に代表される「take+名詞」では、次のような表現がビジネスでよく使われます。
「take+名詞」:〜する
・take a risk(リスクを負う、危険を冒す)
・take a day off(休みを取る)
・take notes(メモを取る)
・take a look(見てみる、注意して見る)
・take one’s place(〜に取って代わる)
・take an offer(申し出に応じる、受け入れる)
<例文>
・Things are going badly. We need to take action.
(事態は悪い方向に進んでいる。行動する必要があります。)
・I took two days off last week.
(先週、2日間休みを取った。)
・Please take a look at the attached file.
(添付した資料をご覧ください。)
おわりに
いかがでしたでしょうか。このように、ビジネスシーンにおいても、基本動詞を使うことで表現できるものは数多くあります。上達に向けて単語力を伸ばしていく努力は欠かせませんが、新しい単語やフレーズを頭に入れていくのと同時に、基本動詞をうまく使いこなす練習をして、ビジネス英会話を攻略していきましょう!
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