みなさんは、ビジネス英会話にどんな印象を持っていますか?おそらく日常英会話よりも一気に難易度が上がるような印象を受ける方が多いのではないでしょうか?「日常英会話もまだ十分にできてないのに、ビジネス英会話にチャレンジするのは時期尚早」と、二の足を踏んでいるビジネスパーソンも沢山いらっしゃるかもしれません。
しかし、少し視点を変えて考えてみると、ビジネス英会話は日常英会話よりも簡単と言える側面を持っているのです。今回の記事では、その理由をビジネス英会話と日常英会話の違いや特徴にもとづいて解説し、ビジネス英会話を学ぶ上で効果的な学習アプローチをご紹介します。
【理由1】定型表現の占める割合が多い
ビジネス英会話の大きな特徴は、会話における定型表現の占める割合が高いという点です。ビジネス英会話では、日常英会話以上に定型表現が多く使われるため、会話の出だしやパターンがある程度決まっていることが多くあります。
英会話のスキルを身につけていくには、頻出表現や言い回し、会話の基本パターンなどを学んでいく「トップダウンアプローチ」が重要。ビジネス英会話ではミーティングや電話対応、プレゼンなど、コミュニケーションが発生するシーンを限定しやすいため、より「トップダウンアプローチ」を用いた学習アプローチを取りやすくなります。各シーンに合わせた頻出表現や言い回しを繰り返し練習して身につけていくことで、より効率的に学習することができるのです!
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【理由2】話の流れが予測しやすい
ビジネス英会話は日常英会話と異なり、話す内容や目的、ゴールが明確である場合が多いです。電話の応対をするシチュエーションであれば、おそらく相手からは担当者がオフィスにいるか、不在であればいつ頃戻るか、伝言をお願いしたいという内容が想像できます。
日常会話ではこうは行きません。話の流れや着地点を想像するのが難しい上に、思いもよらない横道に話題が逸れることも珍しくありません。会議のファシリテーションやプレゼンはバリバリこなせるけど、その前後に発生するスモールトーク(世間話・雑談)やアイスブレークが実は苦手という方も、案外多いのではないでしょうか?
特に、会議やミーティングの場合は、話すテーマ・議題が事前に決まっているため、相手が何を話すのか想像しやすいでしょう。また、仮に英語が十分に聞き取れなかったとしても、単語だけでも拾うことができれば、日本語で行っている日頃の業務の経験から内容を推測できるという場合もあります。
【理由3】専門用語・業界用語が多い
ビジネス英会話のもうひとつの大きな特徴が、特殊な用語、つまり専門用語や業界用語を使ってコミュニケーションを図る点です。
ビジネスの分野や業界によって、それぞれ異なる専門用語や業界用語が存在しますが、たとえば、マーケティングであれば“brand/customer engagement”(ブランド/顧客エンゲージメント)“competitive advantage”(競争優位性)、製造業であれば“prototype”(試作品)“processing”(加工) などといった生産に関連した用語が多く使われます。
こうした専門用語や業界用語は一見難しそうに思えますが、日本語でもそのまま英語で使われていることも多いため、比較的イメージしやすく、また覚えやすいと言えるのではないでしょうか。IT、製造、金融、医療、サービスなど業界、マーケティング、セールス、ファイナンス、広告宣伝といった職種ごとに独特の表現があるので、まずは自分の専門分野でよく使う用語を中心に学習をしてみましょう。
ビジネス英会話に効果的な学習アプローチ
これらの理由をふまえて、ビジネス英会話をより効率的に習得するために、心がけるべきアプローチを整理してみましょう。
英語もビジネスも「段取り」が何より大切
ビジネス英会話は、話す内容や目的、ゴールが明確に決まっています。さらに、会話の内容が大きく主題から逸れることが少ないビジネスシーンでは、自分が言いたいことや伝えたいと思う内容について、予め準備がしやすいというメリットがあります。
準備ができることは、英語に自信のない人にとって大きな助けになります。ビジネス上の会話では、相手から質問されそうな内容を想像して、事前に答えを用意しておくことも可能です。
一流アスリートやメダリストたちは自分の勝利や成功を実現するためにイメージトレーニングを大切にしていますが、これは英会話でも同じこと。想像力を働かせて事前に十分な準備をしておけば、会話に余裕も生まれます。「ビジネスは段取りがすべて」という言葉は、そのままビジネス英会話にも当てはまると言えるかもしれません。
単なる丸暗記だけではダメ
ビジネスにおける定型表現を覚えるときには、単なる丸暗記はやめましょう。単語・文法といった構造もしっかりと理解しながら、覚えていくことが重要です。
なぜなら、人間は大人になると脳の性質が変化し、子供時代に得意としていた丸暗記(=「意味記憶」)の能力が低下する代わりに、理解して覚えることによって身につく論理だった記憶(=「エピソード記憶」)が発達すると言われています。このような記憶のメカニズムの観点からも、文を構成している単語や文法の意味を理解しながら学習していきましょう。
【関連記事】『失敗体験が少ないひとは伸びない?英語学習に「エピソード記憶」を活かす3つの方法』
“選択と集中”で実践力を高める
自分にとって必要となる箇所や緊急性の高いものを選定し、集中的に学習しましょう。たとえば、近々英語での会議に出席することになった場合には、自分の意見を述べる・質問をするときによく使う表現を徹底的に学習するといった具合です。
まずは、定型表現を何度も繰り返して口に出す練習を行い、自然とそのフレーズが口から出るような状態を目指します。反復練習を積み重ねることで、英文を見ることなしにスラスラと口に出せるフレーズを増やしていき、後はそれらを応用して、表現力の幅を広げていきましょう。
具体的な学習方法としては、たとえば会議であれば、自分が伝えたいポイントをまず日本語で考え、それを伝えるのに必要となる英単語やフレーズをピックアップします。まだ英会話になれていない場合は、それだけではなく、文法の知識を使って一度英文を組み立てるところまで行っておくといいでしょう。それらの英文を事前に繰り返し口に出す練習をして、本番に備えましょう。
おわりに
みなさんが「難しそう…」と感じているかもしれないビジネス英会話について、その攻略法の糸口になる考え方についてご紹介しました。
難解なイメージのあるビジネス英会話ですが、限定的なシチュエーションでのコミュニケーションが多いこと、専門用語や業界用語という“とっかかり”があることなどを考えると、決して難しいことばかりではありません。まずはできることから少しずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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