2月下旬、世界で一番ノーベル賞に近いといわれる作家の新刊が発売されました。村上春樹さんの新作『騎士団長殺し』は、「第1部 顕(あらわ)れるイデア編」「第2部 遷(うつ)ろうメタファー編」の1部、2部併せて130万部を突破、日本中で話題になりました。
村上春樹の作品は世界中で読まれており、英訳版は発刊される度に日本と同じように話題になっています。この記事では、小説で英語を学びたい!という人に人気の村上春樹作品の英訳版を紹介し、翻訳者としても知られる村上さんに学ぶ英語学習のコツを探ります。
英語版も大人気!世界でベストセラーになっている村上春樹作品
2014年に刊行された長編小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は日本でも大ベストセラーになりました。約半年遅れで出版された同作の英訳版は、発売直後に米紙ニューヨーク・タイムズのベストセラーランキングで、2週連続でハードカバー・フィクション部門の首位に。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の同ランキングでも7位を記録しました。
長編小説としては、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』以来となる『騎士団長殺し』もアメリカのみならず世界中のファンが翻訳版の登場を心待ちにしていることでしょう。
ちなみに、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の英題は、『Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage』、『騎士団長殺し』の英題はどうなるのだろうと思う人もいるでしょう。この答え、実はすでに小説のカバーに書かれていました。副題や正式なタイトルは出版されてみないとわかりませんが、カバーに『Killing Commendatore』の文字が書かれています。おそらく『騎士団長殺し』の英題は『Killing Commendatore』となるでしょう。
村上春樹さんの過去の中長編作品もほとんどが英訳されています。多くの村上作品で翻訳を手がけてきたのは、米ハーバード大学名誉教授のジェイ・ルービン氏。村上作品が世界中で幅広い読者を獲得している要因の一つは、彼の翻訳力であるとも言われています。
村上作品の英訳者としては、ルービン氏の他に、『Norwegian Wood(ノルウェイの森)』や『Dance Dance Dance(ダンス・ダンス・ダンス)』など、初期の作品を手がけたアルフレッド・バーンバウム氏、『Kafka on the Shore(海辺のカフカ)』『Sputnik Sweetheart(スプートニクの恋人)』を英訳したフィリップ・ガブリエル氏が知られています。
村上作品の英語版は、英語を学ぶのにも有用です。「ハルキスト」であれば、もちろん作品の内容は頭に入っていますよね?
だいたいの内容を把握した上で、彼独自の言い回しや独特の風景描写がどんなふうに英語にされているかを楽しみながら学べるのは大きなメリットです。
英語学習を継続するには自分の興味のあることを中心に「英語でなければできないこと」に取り組むのがいいと言われています。彼の作品に通じる謎解きのような雰囲気を味わいながら原文と英語の表現を見比べてみることは、それだけですでにエンターテインメントと言えるかもしれません。
日本語では何作か読んでるけど、英語で読んだことはないというあなたのために、主な作品の英語タイトルをまとめました。こちらを参考に、Haruki Murakamiの世界を楽しんでみてはいかがでしょう?
日本語タイトル | 英語タイトル |
---|---|
騎士団長殺し | Killing Commendatore |
女のいない男たち | Men Without Women: Stories |
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 | Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage |
1Q84 BOOK 1~3 | 1Q84 BOOK 1~3 |
「象の消滅」 短篇選集 | The Elephant Vanishes |
アフターダーク | After Dark |
海辺のカフカ | Kafka on the Shore |
神の子どもたちはみな踊る | After the Quake |
スプートニクの恋人 | Sputnik Sweetheart |
ねじまき鳥クロニクル | The Wind-Up Bird Chronicle |
国境の南、太陽の西 | South of the Border, West of the Sun |
TVピープル | TV People |
ダンス・ダンス・ダンス | Dance Dance Dance |
ノルウェイの森 | Norwegian Wood |
パン屋再襲撃 | The Second Bakery Attack |
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド | Hard-Boiled Wonderland and the End of the World |
中国行きのスロウ・ボート | A Slow Boat to China |
羊をめぐる冒険 | A Wild Sheep Chase |
1973年のピンボール | Pinball, 1973 |
風の歌を聴け | Hear the Wind Sing |
翻訳家としても活躍 村上春樹はどうやって英語を自分のものにしたのか?
村上春樹さんは、英語で書かれた文学作品の翻訳家としても活躍されています。
『The Great Gatsby(グレート・ギャツビー)』や『The Curious Case of Benjamin Button(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)』でお馴染みのフィッツジェラルドや、『The Big Sleep(大いなる眠り)』『Farewell, My Lovely(さらば愛しき女よ)』『The Long Goodbye(長いお別れ・村上版はロング・グッドバイ)』のレイモンド・チャンドラーなど多くのアメリカ文学を訳しています。
英語の文学作品を翻訳してしまうほどの英語力を持つ村上春樹さんは、どうやって英語を学んだのでしょう?過去の作品やインタビューでの発言を見ると、意外な言葉がたくさん見つかりました。
“当時の英語教師が、今僕が外国小説の翻訳をしているといったら驚くでしょう”
村上さん自身が、こう語るほど「英語の成績」はそれほど良くなかったということです。そんな彼の勉強法は、もっぱらアメリカの小説を読むこと。高校時代、アメリカの小説ばかり読んでいたと言う村上さんは、まず読み書きを習得してから、会話に挑戦していったと言います。「そうは言っても、世界の村上春樹なんだから文学的素養とか、地頭が違うよな」と思ったあなた。村上さんは、『村上朝日堂はいほー!』という作品の中で英語学習について問われてこんなふうに答えています。
“僕の経験から言うと、外国語というのは必要に迫られればある程度は話せるようになる。逆に言えば、必要に迫られなければまずダメだ。これはとても単純な結論だけれど、厳然たる真実です。
~中略~
理屈はともあれ必要性というのが語学習得のための最も重要な要素であることは経験的に言ってまず間違いのないところである。“『村上朝日堂はいほー!』より
村上さんにとっての必然性は、後に自身が翻訳を手がけることになるフィッツジェラルドらチャンドラー、アメリカの文学作品を「読むこと」だったのです。
おわりに
英語で小説を読んで“生きた英語”を学んだ村上春樹さん。その村上さんの作品で英語を楽しみながら学べればきっと英語を習得する喜びを感じられるはずです。大切なのは必然性。村上作品を英語で味わってみたい!ハルキストのあなたならもうこの条件はクリアしています。
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